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テオドロの場合~君を手に入れるまで~
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『テオなんか、だいっきらい!! もう、あそばない!! けっこんもしない!!』
(えっなんで? ぼく、なにかいけないことした? ほなみがめっちゃないてる……なんで? かあさんにもおこられて、さいあくだ。 ぼくは、ただ、とうさんのいうとおりにしただけなのに……ほなみにきらわれた。 とうさんのせいだ……)
テオの父がブランデーのグラス片手にテオに恋愛指南をしている。
『テオ、今から1人の女に決める事はない。 色んな女の子とチューしてみろ。 その中から決めたらいいんだから。 その中で電撃が走ったら、その子がお前の運命の相手だ』
『うん、わかったよ。 とうさん』
酔っ払いの戯言を素直に信じた純粋なテオは、帆奈美に実行して見事に玉砕したのだった。 テオドロ・ガルシア・長谷川、五歳の春の事だった。
――テオドロ・ガルシア・長谷川 17歳、春
「相変わらず帆奈美は笑った顔が可愛いなぁ。 はぁ、帆奈美に会いたい。 写真じゃ物足りない! 抱きしめたい!」
テオは、自室のベッドでTシャツに短パンで寝転んで、帆奈美の母親から届いた写真を眺めていた。 写真には、17歳になった帆奈美の弾ける笑顔が写っていた。 開いていたドアをノックする母親を見て、目を細める。 タンクトップに、スキニーパンツの美女が手紙を片手で振って、腕を組んで壁に持たれている。 テオとそっくりだ。 母親はテオを『残念』な子と見つめていた。
「テオ、帆奈美ちゃんからの手紙、届いてるわよ。 あんた、まだ連絡先教えてもらえてないの?」
「……っ」
母親から手紙を受け取ったテオは、待ちきれないように手紙の封を切った。 読んだテオの顔が、みるみるうちに青くなっていく。 手紙を持つ手が小刻みに震えている。 母親は、息を吐いて出て行った。 手紙を読んだテオは、慌ててリビングに降りて行って、母親に自分が考えていた事を伝える。
「母さん! 僕、日本に行く。 帆奈美に悪い虫が付いた!! それも、今度は教師だ!! 帆奈美の高校に留学したい!!」
「駄目よ。 留学は大学からって約束でしょ」
母親がすげなく言うと、鞄を持って出かける準備をしている。
「母さん!! ちゃんと勉強するし、やりたい事も見つけるから!! 今、行かないと駄目な気がするんだ。 お願いだ、母さん」
母親はテオの尋常じゃない熱意に根負けして、溜め息吐いた。
「分かったわ。 ただし、条件があるわ。 1年よ。 1年経っても帆奈美ちゃんを手に入れられなかったら、諦めて帰ってきなさい。 こっちの大学に入れるように帰って来るのよ。 帆奈美ちゃんと上手くいったら、そのまま日本の大学に行っていいわ。 後は、間違いが起こらないようにしてよね」
「分かったよ、母さん。 その条件、呑むよ。 帆奈美、待ってて。 悪い虫なんて僕が追い払ってあげるよ」
側で聞いていた母親が『己の育て方が間違っていたか』と頭を抱えてげんなりしている様子を、気づかない振りをして、日本に居る帆奈美に思いを馳せた。
――それからそれから
「母さん、今日本に着いたよ。 うん、分かってる。 その内におじぃちゃんと、おばぁちゃんにもちゃんと挨拶に行ってくるよ。 うん。 奈美さんに伝えとく。 母さんも体には、気を付けてね。 うん、僕も愛してる」
電話を切ったテオの顔は、これから帆奈美に会える事に心が高揚して、輝いている。 もう、高校の制服を着ていて、空港から学校に行って始業式に出る事になっていた。
空港を出るとロータリーに外車が止まっている。 助手席のドアに持たれてタバコをふかしている。 スーツ姿が様になっていると思い込んでいる人物を見て、テオは目を眇めた。 帆奈美の八つ離れた兄だ。 テオに気づくと片手を上げて合図を送って来た。 義兄は帆奈美に似た笑顔でテオを出迎えた。
「隆兄さん、もしかして、今日仕事だった?」
「大丈夫だ。 ちょっと会社に用事があっただけだから、始業式は10時からだ。 十分間に合うよ。 荷物はもう、昨日のうちに届いてるから、整理は自分でやれよ」
「何から何までありがとう。 ……帆奈美は?」
「あいつは昨日、友達の家に泊まりに行ってて、そのままお泊りしてるから、何にも気づいてないぞ」
義兄は、面白そうに笑っている。 幾つに為っても子供っぽい所がある人だ。
――職員室で恋敵に遭う
「すみません、相葉先生。 ちょっと面倒事が起きて、留学生を教室まで案内出来ますか?」
「いいですよ」
テオの恋敵(?)の伊織はにこやな笑顔で請け負った。 伊織の後を追って職員室を出る。 横目でじっくりと伊織を観察してみると、スーツを上品に着こなしていて、大人な雰囲気で色気も漂っている。
(帆奈美は、こういう大人っぽい男性が好みなのか? 銀縁眼鏡が冷たい印象だけど……)
「伊織くん!! おはよう! 今日、帰りデートしようよ」
前方から、テオが会いたかった帆奈美が笑顔で伊織に駆け寄って行く。 帆奈美は隣にテオがいる事に全く気付いていない。 伊織に全く相手にされなくて、拗ねている帆奈美が可愛くて自然と笑いが零れた。
テオの様子に帆奈美が気づいて、目を見開いて見つめてくる。 帆奈美の真っ直ぐな瞳に胸が高鳴っていく。 テオの大好きな帆奈美が目の前にいるのだ。 帆奈美のふわふわの髪を手に取って、驚いている帆奈美を見つめる。 テオは嬉しくて破顔した。 テオを認識した途端、帆奈美の目が鋭い光を放つ。 冷たい態度の帆奈美に心なしかショックを受けたが、これから帆奈美と一緒にいられる事が嬉しくて楽しくなってきた。
(帆奈美、まだあの時の事、怒ってるのかな……)
――クラスでの自己紹介
「5歳から帆奈美とは、文通をしていて婚約している仲なので売約済みです。 悪しからず」
ざわついていたクラスメイト達と、ギラギラとした瞳でテオを見ていた女子もあっけに取られて一斉に静かになった。 テオは、クラスメイト達の反応を見る。 特に男子の反応に注視する。
(よし、このクラスに帆奈美を狙っている男はいないな)
帆奈美の反応も怖いがそっと見てみる。 目が合って微笑むと、まんざらでもない反応が返って来て、期待してしまう気持ちが溢れていく。 放課後は、帆奈美に撒かれてしまったが、テオからしたら想定内だ。
義兄を呼び出して帆奈美の家へ先回りする。 電車の帆奈美の方が帰るのが遅いだろうと踏んで。 帆奈美の家族を味方に付ければ、帆奈美はテオを無下には出来ないだろうという判断だ。 作戦は上手くいった。
好機は直ぐに来た、帆奈美が伊織に全く相手にされないであろうことが分かったのだ。
(帆奈美が悲しむのは可哀そうだけど、このチャンスを逃す手はない。 傷いつている所につけ込むのは、本位じゃないけど、帆奈美の気持ちを僕に向けるチャンスだ)
義兄の助けを借りて、なんとか帆奈美とのデートに漕ぎつけた。
(カップルシートに乗れなかったのは残念だったけど……猶予は、1年しかないんだ。 なりふり構っていられない。 デートで告白して何としても帆奈美と付き合いたい!!)
「テオ、押してばっかりじゃ駄目だぞ。 特に帆奈美は、意地っ張りで素直じゃないからな」
義兄の助言を受けて、帆奈美には『いつでも待ってるから』と言ったが、テオにはそんな猶予はない。
――お昼休みにテオの携帯に着信音が鳴る。
(マリーからだ。 大体話の内容分かるな。 どうせ、父さんがわがまま放題、言ってるんだろ)
「大丈夫? マリー」
テオが電話に出て、優しい声で訊くと、電話の向こうから『大丈夫じゃない!!』と涙声で訴えてきた。
暫く、愚痴を聞いてあげると少し落ち着いて来た。 テオは、屋上に続く階段の踊り場で壁を背にして話し込んでいた。 上から階段を降りてくる足音が聞こえてくる。 足音で帆奈美だと直ぐに分かった。
(マリー、帆奈美がいるの知ったら『帆奈美に代わって』ってうるさいだろうな。 それに帆奈美、多分だけど、マリーの事忘れてる。 マリー知ったら号泣するだろうな……もし、帆奈美を見て、慌てて電話を切ったら……帆奈美はどんな反応をするんだろう? 気を惹けるかな?)
テオの心に悪魔の声が囁く。 テオは帆奈美の前で、わざとらしく電話を切った。 反応は微妙だった。
(もっと、帆奈美の心を揺さぶらないと駄目か……)
――テオの着信が鳴る。
携帯の画面には、マリーの文字。 テオは溜め息を吐いて、電話に出た。 テオの予想通り、マリーの話の内容は、父親への愚痴だった。 父親の我儘を止めれるのは、母親しかいない。
下から階段を上がって来る帆奈美の足音が聞こえる。 部屋の前で立ち止まる気配がする。 まだ、電話は終わらない。 帆奈美の立ち去る気配を感じて、いつものように『マリ―、愛してる』で電話を終わらせた。 結果、帆奈美に号泣されてしまった。
(まだ、足りない……もっと、もっと、帆奈美の心を揺さぶらないと……帆奈美から僕に落ちてくれないと)
翌日、テオの母親から連絡があり、スペインに一時帰国する事になった。 帆奈美の母親には、自分から話すから、帰国する事だけ伝えてもらった。
(帆奈美、早く僕の所に落ちてきて)
「お願い、テオ……マリーさんの方が良かったなんて言わないで!……〇△□※~~」
帆奈美の言葉と行動にテオの胸が高鳴って、自然と笑みが零れていた。
(帆奈美は本当にマリーの事を忘れているんだな……嫉妬で涙する帆奈美、可愛い。 やっと手に入れた。 12年、諦めないで良かった)
朝から、ずっと気になっていた事を帆奈美に伝える。
「帆奈美、今日、ずっと言いたかったんだけど。 足、出し過ぎ」
「今、気にするとこそこなの~~!!」
帆奈美をがっちりホールドして、離さない。 『絶対に離さないからね』と帆奈美に気づかれずに笑みを零した。 ――完
(えっなんで? ぼく、なにかいけないことした? ほなみがめっちゃないてる……なんで? かあさんにもおこられて、さいあくだ。 ぼくは、ただ、とうさんのいうとおりにしただけなのに……ほなみにきらわれた。 とうさんのせいだ……)
テオの父がブランデーのグラス片手にテオに恋愛指南をしている。
『テオ、今から1人の女に決める事はない。 色んな女の子とチューしてみろ。 その中から決めたらいいんだから。 その中で電撃が走ったら、その子がお前の運命の相手だ』
『うん、わかったよ。 とうさん』
酔っ払いの戯言を素直に信じた純粋なテオは、帆奈美に実行して見事に玉砕したのだった。 テオドロ・ガルシア・長谷川、五歳の春の事だった。
――テオドロ・ガルシア・長谷川 17歳、春
「相変わらず帆奈美は笑った顔が可愛いなぁ。 はぁ、帆奈美に会いたい。 写真じゃ物足りない! 抱きしめたい!」
テオは、自室のベッドでTシャツに短パンで寝転んで、帆奈美の母親から届いた写真を眺めていた。 写真には、17歳になった帆奈美の弾ける笑顔が写っていた。 開いていたドアをノックする母親を見て、目を細める。 タンクトップに、スキニーパンツの美女が手紙を片手で振って、腕を組んで壁に持たれている。 テオとそっくりだ。 母親はテオを『残念』な子と見つめていた。
「テオ、帆奈美ちゃんからの手紙、届いてるわよ。 あんた、まだ連絡先教えてもらえてないの?」
「……っ」
母親から手紙を受け取ったテオは、待ちきれないように手紙の封を切った。 読んだテオの顔が、みるみるうちに青くなっていく。 手紙を持つ手が小刻みに震えている。 母親は、息を吐いて出て行った。 手紙を読んだテオは、慌ててリビングに降りて行って、母親に自分が考えていた事を伝える。
「母さん! 僕、日本に行く。 帆奈美に悪い虫が付いた!! それも、今度は教師だ!! 帆奈美の高校に留学したい!!」
「駄目よ。 留学は大学からって約束でしょ」
母親がすげなく言うと、鞄を持って出かける準備をしている。
「母さん!! ちゃんと勉強するし、やりたい事も見つけるから!! 今、行かないと駄目な気がするんだ。 お願いだ、母さん」
母親はテオの尋常じゃない熱意に根負けして、溜め息吐いた。
「分かったわ。 ただし、条件があるわ。 1年よ。 1年経っても帆奈美ちゃんを手に入れられなかったら、諦めて帰ってきなさい。 こっちの大学に入れるように帰って来るのよ。 帆奈美ちゃんと上手くいったら、そのまま日本の大学に行っていいわ。 後は、間違いが起こらないようにしてよね」
「分かったよ、母さん。 その条件、呑むよ。 帆奈美、待ってて。 悪い虫なんて僕が追い払ってあげるよ」
側で聞いていた母親が『己の育て方が間違っていたか』と頭を抱えてげんなりしている様子を、気づかない振りをして、日本に居る帆奈美に思いを馳せた。
――それからそれから
「母さん、今日本に着いたよ。 うん、分かってる。 その内におじぃちゃんと、おばぁちゃんにもちゃんと挨拶に行ってくるよ。 うん。 奈美さんに伝えとく。 母さんも体には、気を付けてね。 うん、僕も愛してる」
電話を切ったテオの顔は、これから帆奈美に会える事に心が高揚して、輝いている。 もう、高校の制服を着ていて、空港から学校に行って始業式に出る事になっていた。
空港を出るとロータリーに外車が止まっている。 助手席のドアに持たれてタバコをふかしている。 スーツ姿が様になっていると思い込んでいる人物を見て、テオは目を眇めた。 帆奈美の八つ離れた兄だ。 テオに気づくと片手を上げて合図を送って来た。 義兄は帆奈美に似た笑顔でテオを出迎えた。
「隆兄さん、もしかして、今日仕事だった?」
「大丈夫だ。 ちょっと会社に用事があっただけだから、始業式は10時からだ。 十分間に合うよ。 荷物はもう、昨日のうちに届いてるから、整理は自分でやれよ」
「何から何までありがとう。 ……帆奈美は?」
「あいつは昨日、友達の家に泊まりに行ってて、そのままお泊りしてるから、何にも気づいてないぞ」
義兄は、面白そうに笑っている。 幾つに為っても子供っぽい所がある人だ。
――職員室で恋敵に遭う
「すみません、相葉先生。 ちょっと面倒事が起きて、留学生を教室まで案内出来ますか?」
「いいですよ」
テオの恋敵(?)の伊織はにこやな笑顔で請け負った。 伊織の後を追って職員室を出る。 横目でじっくりと伊織を観察してみると、スーツを上品に着こなしていて、大人な雰囲気で色気も漂っている。
(帆奈美は、こういう大人っぽい男性が好みなのか? 銀縁眼鏡が冷たい印象だけど……)
「伊織くん!! おはよう! 今日、帰りデートしようよ」
前方から、テオが会いたかった帆奈美が笑顔で伊織に駆け寄って行く。 帆奈美は隣にテオがいる事に全く気付いていない。 伊織に全く相手にされなくて、拗ねている帆奈美が可愛くて自然と笑いが零れた。
テオの様子に帆奈美が気づいて、目を見開いて見つめてくる。 帆奈美の真っ直ぐな瞳に胸が高鳴っていく。 テオの大好きな帆奈美が目の前にいるのだ。 帆奈美のふわふわの髪を手に取って、驚いている帆奈美を見つめる。 テオは嬉しくて破顔した。 テオを認識した途端、帆奈美の目が鋭い光を放つ。 冷たい態度の帆奈美に心なしかショックを受けたが、これから帆奈美と一緒にいられる事が嬉しくて楽しくなってきた。
(帆奈美、まだあの時の事、怒ってるのかな……)
――クラスでの自己紹介
「5歳から帆奈美とは、文通をしていて婚約している仲なので売約済みです。 悪しからず」
ざわついていたクラスメイト達と、ギラギラとした瞳でテオを見ていた女子もあっけに取られて一斉に静かになった。 テオは、クラスメイト達の反応を見る。 特に男子の反応に注視する。
(よし、このクラスに帆奈美を狙っている男はいないな)
帆奈美の反応も怖いがそっと見てみる。 目が合って微笑むと、まんざらでもない反応が返って来て、期待してしまう気持ちが溢れていく。 放課後は、帆奈美に撒かれてしまったが、テオからしたら想定内だ。
義兄を呼び出して帆奈美の家へ先回りする。 電車の帆奈美の方が帰るのが遅いだろうと踏んで。 帆奈美の家族を味方に付ければ、帆奈美はテオを無下には出来ないだろうという判断だ。 作戦は上手くいった。
好機は直ぐに来た、帆奈美が伊織に全く相手にされないであろうことが分かったのだ。
(帆奈美が悲しむのは可哀そうだけど、このチャンスを逃す手はない。 傷いつている所につけ込むのは、本位じゃないけど、帆奈美の気持ちを僕に向けるチャンスだ)
義兄の助けを借りて、なんとか帆奈美とのデートに漕ぎつけた。
(カップルシートに乗れなかったのは残念だったけど……猶予は、1年しかないんだ。 なりふり構っていられない。 デートで告白して何としても帆奈美と付き合いたい!!)
「テオ、押してばっかりじゃ駄目だぞ。 特に帆奈美は、意地っ張りで素直じゃないからな」
義兄の助言を受けて、帆奈美には『いつでも待ってるから』と言ったが、テオにはそんな猶予はない。
――お昼休みにテオの携帯に着信音が鳴る。
(マリーからだ。 大体話の内容分かるな。 どうせ、父さんがわがまま放題、言ってるんだろ)
「大丈夫? マリー」
テオが電話に出て、優しい声で訊くと、電話の向こうから『大丈夫じゃない!!』と涙声で訴えてきた。
暫く、愚痴を聞いてあげると少し落ち着いて来た。 テオは、屋上に続く階段の踊り場で壁を背にして話し込んでいた。 上から階段を降りてくる足音が聞こえてくる。 足音で帆奈美だと直ぐに分かった。
(マリー、帆奈美がいるの知ったら『帆奈美に代わって』ってうるさいだろうな。 それに帆奈美、多分だけど、マリーの事忘れてる。 マリー知ったら号泣するだろうな……もし、帆奈美を見て、慌てて電話を切ったら……帆奈美はどんな反応をするんだろう? 気を惹けるかな?)
テオの心に悪魔の声が囁く。 テオは帆奈美の前で、わざとらしく電話を切った。 反応は微妙だった。
(もっと、帆奈美の心を揺さぶらないと駄目か……)
――テオの着信が鳴る。
携帯の画面には、マリーの文字。 テオは溜め息を吐いて、電話に出た。 テオの予想通り、マリーの話の内容は、父親への愚痴だった。 父親の我儘を止めれるのは、母親しかいない。
下から階段を上がって来る帆奈美の足音が聞こえる。 部屋の前で立ち止まる気配がする。 まだ、電話は終わらない。 帆奈美の立ち去る気配を感じて、いつものように『マリ―、愛してる』で電話を終わらせた。 結果、帆奈美に号泣されてしまった。
(まだ、足りない……もっと、もっと、帆奈美の心を揺さぶらないと……帆奈美から僕に落ちてくれないと)
翌日、テオの母親から連絡があり、スペインに一時帰国する事になった。 帆奈美の母親には、自分から話すから、帰国する事だけ伝えてもらった。
(帆奈美、早く僕の所に落ちてきて)
「お願い、テオ……マリーさんの方が良かったなんて言わないで!……〇△□※~~」
帆奈美の言葉と行動にテオの胸が高鳴って、自然と笑みが零れていた。
(帆奈美は本当にマリーの事を忘れているんだな……嫉妬で涙する帆奈美、可愛い。 やっと手に入れた。 12年、諦めないで良かった)
朝から、ずっと気になっていた事を帆奈美に伝える。
「帆奈美、今日、ずっと言いたかったんだけど。 足、出し過ぎ」
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