『私に嫌われて見せてよ』~もしかして私、悪役令嬢?! ~

伊織愁

文字の大きさ
5 / 27

5話

しおりを挟む
 執務机のそばで口を開けて間抜けな顔を晒して立っている。 エディの手には数年前、まだ10歳にも満たないリュシアンが公務を始めた頃に、可愛いと思っていた婚約者からもらった万年筆が握られている。 未だに理解出来ていないエディに微笑みかける。

 「エディのそんな顔も可愛いね」

 静かにエディのそばへ寄ると、彼女は真っ赤になって細い肩をびくりと震わせた。 リュシアンが万年筆に視線をやり、問いかける様に首を傾げる。 リュシアンの視線に何かを察したのか、真っ赤だった顔を青くさせて言い訳を紡ぎ出す。

 「ち、違うんですっっ! こ、これは、盗んだのではなくてっ!」

 勢いよく、リュシアンの手に万年筆を押し付けてくる。

 (そういう意味で問いかけたのでないんだけど……変な風に取られたか?)

 「ただ、ちょっと懐かしくなって……その、使ってくれてる事が……嬉しくてっ」

 エディが照れながらも嬉しいと伝えてくれる事に、リュシアンの胸も高鳴っていく。 しかし、次の瞬間、もの凄い力で手首を掴まれた。 『何だ』と思ったが、直ぐに思い至った。

 リュシアンの手首に闇妖精が巻き付いている事に気づいたのだろう。 リュシアンの所には、毎朝、何かしらの呪いの闇妖精が贈られてくる。 もう、日常茶飯事で、リュシアン自身、気にしていない。

 「ああ、これはいつもの事だから、手紙や書類、小包に隠す様に呪いが掛けられているからね。 これは今朝の手紙に入っていた令嬢からの物だね」

 闇妖精はリュシアンに何かの魔法を掛けている様で、口元がもごもごと動いていた。 しかし、リュシアンには効かない。 常に防御魔法を身に纏っている。 防御魔法を解いて、わざと掛からない限り、害はない。

 「大丈夫だよ」

 にっこりと微笑めば、エディは眉尻を下げて心配そうな表情を向けて来た。

 「本当に大丈夫なんですか?」
 「うん、令嬢の嫉妬だからね。 対した事無いよ」

 ほっと息を吐き出したエディが理解しがたいと、呆れた表情を浮かべた。

 「どうして、お慕いている方に呪いの闇妖精を贈るのかしら? どうせ贈るなら、光妖精の祝福を贈った方がよろしいのに」
 「……まぁ、可愛さ余って憎さ百倍なんだろうね。 贈って来た令嬢は、側妃にって申し出て来た令嬢で、私は断ったからね」

 ハッとした表情をした後、淑女の顔をしてエディは見つめて来た。 淑女の顔をしているエディからは感情は読み取れない。 少しだけ胸がイラつき、リュシアンの胸に意地悪な感情が湧き上がる。

 「エディは、嫌われる為にここへ来たの? もしかして、何か良からぬ事をしに来たのかな?」

 後ろめたい事があるのか、エディの淑女の仮面は直ぐに剥がれた。 肩を大きく跳ねさせたエディは、分かりやすく狼狽えた。 嘘をつけないタイプだろう。

 (この辺は、もう少し教育が必要かな……王族は嘘も必要だからね)

 「ふふっ、エディ、無駄だよ。 何をしても私はエディの事を嫌いになる事はないからね。 願わくば、私の事を愛してほしいな」

 リュシアンの宣言に、エディは頭に岩を落とされた様な衝撃を受けている。

 ◇

 「お嬢様、起きて下さい。 もう、朝日が昇って大分時間が経ってますよ」

 鈍い動きでベッドの中で蠢きながら、エディは先日の事を考えていた。 誰もいない王太子の宮、タイミングよく入って来たリュシアン。 もしかしてと、布団の中で瞳を大きく開けた。

 「もしかしなくても、私、殿下に誘導されたっ!!」
 「えっ、今更ですか?」
 「コーンは気づいてたのっ?!」

 王太子の宮へ忍び込み、リュシアンに見つかった後、応接間で美味しい紅茶とお菓子を頂いた。 帰る時には近衛騎士も戻ってきており、にこやかに挨拶された。

 「だって、あんなに近衛騎士が居ないなんて事、あり得ませんよ。 殿下も仕事があったはずです。 きっと、お嬢様が王宮へ来たら前もって殿下に知らせが行っているんですよ。 宝物庫がある場所を教えたのも、お嬢様が王太子の宮へ興味を持ってくれないかなって思っての事ですよ」
 「……っ私は、まんまと嵌められったってわけっ……」

 悔しそうにベッドのクッションを拳で殴るエディを見て、ロジェは溜息を吐いている。

 「何故、そんなに殿下と結婚するのが嫌なんです?」
 「えっ、それは……私の未来がっ……」

 『私の未来が破滅に向かうから』など、ロジェに言っても分からないだろう。 まだ、転生した小説も思い出していない。 先の未来に何があるのか分からないのだ。

 (メインヒーローと離れるだけでもしないと、私の未来が危ぶまれるっ!!)

 カーテンを開けたロジェは、直ぐに遅いモーニングティーを乗せたトレイをエディに渡して来た。

 朝からもう遅い時間だが、ベッドでモーニングティーとは、とても優雅だと思いカップに口をつける。 口いっぱいに広がる紅茶の香りにホッと癒される。

 「本日も図書室へ行かれますか?」
 「勿論よ。 あ、でも午後からは大聖堂へ行くわ」
 「また、光妖精を探しに行くのですか?」
 「そうよ、見つかるまで探すと言ったでしょ。 私の目標は婚約破棄後、劇場で歌手になるんだからっ」
 「……っやっぱり、それは本気で言っているんですねっ」
 「当たり前よ」

 ベッドから出ると、衣裳部屋へ入って身支度を急いだ。 午前中は図書室で本を貪り、午後は光妖精を探して大聖堂を訪れる。 王宮のそばに大聖堂はあるが、王太子の宮には寄らない。

 「今日も光妖精は現れませんでしたね。 王太子の宮へは寄らないのですか?」
 「寄らないわよ。 殿下とは極力、近づかないと決めているの」
 「きっと寂しがっておいでですよ」
 「そんな事無いわよ。 殿下に嫌われる作戦が上手く行かないし、何か策を考えないと、殿下とは会えないわ。 次のお茶会での嫌われ作戦、何かないかしら」
 「なら、他に好きな男性を作りますか? そんな事しても無駄でしょうけどっ、でも、殿下がヤキモチをっ」

 ロジェが言い切る前に、瞳を輝かせたエディはロジェの手を取る。

 「それよ!! 他に好きな人が出来たら、流石に殿下も諦めるわよねっ! コーン、ありがとう。 あ、でも、どうやって殿方と知り合えばいいのかしら?」
 「コーンじゃありません。 本当に他に好きな人を作るつもりですか?」
 「本気よ」

 しかし、あまり娯楽がない世界。 前世だと合コンやら出会い系アプリなど、色々と出会える機会がある。 学園にもまだ通っていない上に、貴族令嬢という事で、あまり外へ出る事もない。

 「取り敢えず、お茶会に行ってみようかしら」
 「……まぁ、お友達作りも必要ですし、学園前に仲の良いご友人を作るのもいいかと思います」
 「決まりね。 コーン、私への招待状でいい物を探して置いて」
 「僕はコーンではありませんけど……はい、かしこまりました」

 という訳で、エディはリュシアン以外の未来の旦那候補を見つける為、お茶会へ参加する事にした。

 ◇

 エディの暮らすルブラルン王国は15歳で成人だが、15から18まで通う学園の学生の内は、準成人とみなされ、舞踏会にも参加できる。 未来の旦那様を見つける為には舞踏会へ参加する事が手っ取り早い。

 しかし、舞踏会だと婚約者がいる者はパートナー必須の為、婚約者であるリュシアンを連れていないと、おかしな目で見られてしまう。 昼間に行われるお茶会ならば、パートナーの有無は義務付けられていないので、エディ単体で参加できる。

 (婚約者連れで男漁りは出来ないもんね。 よしっ、頑張るぞっ)

 やる気を漲らせているエディの背中を見つめて、不味い事になったと、頭を抱えているロジェの事など、エディの視界にも入っていない。

 本日のエディは思いついた通り、招待されたお茶会へ来ていた。 中堅クラスの伯爵家からの招待だった。 学園前に次期王妃となるエディとお近づきになりたい貴族の様だ。

 (もしかして……私の取り巻き候補ってやつ?!)

 意地の悪そうな顔をした伯爵が自身とそっくりな令嬢を引き連れて紹介して来る。 令嬢を見たエディは内心で大きな溜息を吐いた。 やはり自身は悪役令嬢なのだと。 淑女の笑みを浮かべているが、目的を忘れてもう帰りたいと思い始めていた。

 『では、学園ではよろしくお願い致します』と淑女らしくお辞儀すると、早々に伯爵親子から離れた。

 (取り巻きなんていらないわよっ! 私がヒロインを虐めなくても、取り巻きたちが虐めるじゃないっ。 学園に入学したら、適当にあしらって距離を取っておこう。 自分の為にもっ)

 周囲を見回しながら歩いていたので、前をちゃんと見ていなかった。 男性の驚く声と、期せずして男性の胸に飛び込んでしまった。 直ぐに離れたエディは頭を下げた。

 「申し訳ございませんっ! ちゃんと前を見ていませんでしたっ」
 「いえ、大丈夫ですよ。 お怪我はありませんか?」
 「はい」

 顔を上げたエディは僅かに瞳を見開いた。 目の前の爽やかな青年は、何処かで見た事がある。

 「はじめてお目にかかります、ドゥクレ侯爵令嬢。 私はガッド・デル・ジュレと申します。 以後お見知り置きを」
 
 ガッドは爽やかな笑みを浮かべて、エディを見つめて来る。 ジュレ家は王家の遠縁にあたる侯爵家で名門だ。 勿論、お妃教育で知っていたが、挨拶をされたのは今日が初めてだった。

 ガッドは六つの色の魔力を保持していて、リュシアン、エディに次ぐ高い魔力を持っている。 リュシアンに何かあれば、ガッドが虹色の魔力を保持した者が生まれるまでの繋ぎとして王位を継ぐ。

 エディは淑女の笑みを浮かべ、綺麗なカーテシーを披露する。

 「お初にお目にかかります。 ドゥクレ侯爵の長女、エディットと申します。 ジュレ家の方とお会いできるなんて、とても光栄です」
 「私も貴方の様な美しいご令嬢にお会い出来てとても光栄です。 よろしければ、少しだけお話をしてもよろしいですか?」
 「ええ、喜んでお付き合い致します」

 『お嬢様っ』とロジェが困惑の表情を浮かべている。 少しだけ話をするだけだが、ロジェが気にしているのは、ガッドのそばで控えている鷲のサージェントが気になるのだろう。 先程から、ロジェを舐める様に見つめて来ている。 粘着質な眼差しに、見つめられていないエディもかなり引いた。

 (……まさかっ、コーンの事、食べる気っ?!)

 直ぐに気づいたガッドが鷲のサージェントへ視線をやる。

 「ヨアン、悪いが少しだけ離れていてくれ。 お前の視線が彼女のサージェントに引かれている」
 「申し訳ございません、若様。 失礼致しましたご令嬢、お付きの方。 では、私は入り口の使用人部屋で控えさせていただきます」
 「そうしてくれ」

 お辞儀をしてヨアンは離れて行った。 離れた途端、ロジェは分かりやすく詰めていた息を吐き出す。 ロジェの様子に小さく笑ったガッドが口を開く。

 「申し訳ないね。 きっとヨアンは君の事を気に入っているんだ。 ちゃっと後で叱っておくから」

 本当に申し訳なさそうに笑みを浮かべるガッドは、とても良い人なのだろうと、エディとロジェは笑みを返した。

 「ジュレ家の子息がドゥクレ嬢と接触を図りました」
 『そうか、では、そのまま見張れ。 何かあれば報告しろ』
 「はい」

 エディを離れた場所から見守っている人影が魔道具を使って主人に報告をしている。 エディたちから離れているので、会話は聞かれていない。 エディには知らされていないが、リュシアンの婚約者になった時から、エディの周囲を王家の『影』が守っている。

 そして、エディに近づいて来る者を性別関係なく、リュシアン指導の下、排除して来た。

 エディがお茶会でガッドと楽しく会話していた事が、リュシアンに報告されていた。 報告を聞いたリュシアンの口元が怪しく笑った事も知らない。 勿論、ガッドも知らないだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~

しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。 豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。 ――食事が、冷めているのだ。 どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。 「温かいごはんが食べたい」 そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。 地下厨房からの高速搬送。 専用レーンを爆走するカートメイド。 扉の開閉に命をかけるオープナー。 ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!? 温かさは、ホッとさせてくれる。 それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。 冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、 食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ! -

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

愛しいあなたは竜の番

さくたろう
恋愛
 前世で無惨に処刑された記憶を持つ少女フィオナは、今世では幼い頃から番である竜族の王に保護されて塔の中で大切に育てられていた。  16歳のある日、敵国の英雄ルイが塔を襲撃しにきたが、なんとフィオナは彼に一目惚れをしてしまう。フィオナを人質にするために外へと連れ出したルイも、次第に彼女に離れがたい想いを感じ始め徐々に惹かれていく。  竜人の番として育てられた少女が、竜を憎む青年と恋に落ちる物語。 ※小説家になろう様に公開したものを一部省略して投稿する予定です。 ※全58話、一気に更新します。ご了承ください。

さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~

阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」 婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。 けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。 セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。 「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。 ――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。

処理中です...