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22話
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エディたちが作った展示ブースは無事に出来上がった。 校舎の空き教室を借りて作った展示ブースは中々の出来だ。 前日までに出来上がった展示作品が搬入され、当日の朝まで鍵が掛けられた。
芸術祭の全ての準備が終り、最後まで残っていた生徒や教師たちも自宅や学園の寮へ帰って行く。
夜空に雲の間から満月が現れる時刻、展示ブースの一室の扉が静かに開けられた。 鍵を掛けていたはずの扉が何故、開けられたのか。 展示ブースに入って来た人影は、小脇に抱えられるくらいの大きさの木箱を持っていた。
展示ブースの隅に木箱を置くと、人影は足音を鳴らさずに空き教室を出て行った。
◇
芸術祭の当日は快晴だった。 講堂での朝礼の後、芸術祭が始まる。 エディは本日も裏方で、音楽祭の時の様に、客席で観劇出来る暇はない。 芸術祭は多くの保護者や来賓も来る。
エディたちは朝礼が終ると、直ぐにタイトルボードを運び、生徒会のメンバーにも手伝ってもらい、学園の門に取り付ける様子を眺めていた。 リュシアンがそばへ来て、エディに声を掛けて来た。
「エディ、おはよう。 今日でエディの臨時の執行委員は終わりだね」
「はい、あまりお役に立てませんでしたが……」
「ううん、そんな事ないよ。 エディが頑張ってる姿は可愛かったよ」
「……殿下。 でも、結局、カトリーヌ様たちに執行委員の仕事をさせられませんでしたっ」
「直ぐには無理だね。 でも、手伝ってくれた貴族子女もいただろう?」
「はい、それはそうですけど……」
「後は私の仕事だね。 執行委員の運営も正さないとね」
リュシアンは生徒会長に呼ばれ、エディから離れていく。 立ち去る時、リュシアンに耳元で囁かれた。
『今日のダンスパーティー、私が贈ったドレスを着るエディを楽しみにしているよ』
リュシアンが笑顔で立ち去って行った後、真っ赤に頬を染めたエディが残された。
◇
芸術祭が始まり、講堂ではリュシアンと生徒会長が劇を披露するチームを紹介をしている。
今回も生徒会メンバーを無視してカトリーヌがリュシアンと一緒に司会をすると、言い出して宥めるのが大変だった。 カトリーヌに司会を頼むにしても、生徒会メンバーには侯爵家の子女がいる。
余計な争い事を防ぐ為にも、生徒会長が順当な人選である。
(本当に、ブリエ嬢が二人いるみたいだわっ)
エディのチームは予選落ちしたので、執行委員の仕事をする事になっていた。 花形の受付はカトリーヌたちに取られ、貴族子女の二年生は一年生に仕事を任せ、自分たちは講堂で観劇している。
エディは『何故だっ!』と内心で叫んだ。 毎年の事らしいので、二年生は堂々と一年生に仕事を押し付けた事に憤りを感じる。 教師も生徒会の顧問も注意をしない。
芸術作品を展示している校舎を見回りながら、エディは呟いた。
「これは……殿下、生徒会に報告しましょう」
「えっ、報告するんですかっ?!」
エディの呟きを聞いたネリーは、内容に驚きの声を上げる。
「ええ、だって彼女らは、音楽祭の時も、芸術祭の準備も手伝わなかったんですから。 彼女たちをクビにするとしても、権限は生徒会長たちにあります。 何もしない人は執行委員には要りません」
「そうですけど……。 今までにも苦言を呈した方も居たそうですけど、反対に皆、返り討ちに遭ってますよ」
「そうなのね、でも、私は気にしないわ。 これが私の執行委員での最後の仕事よっ」
ロジェとネリーは心配そうにエディを見つめていた。
芸術祭の展示ブースは、中々、盛況の様で、多くの人が見に来ていた。 中には高額で取引された芸術作品もあり、エディは『青田買いかっ!』と、内心で呟いた。 エディもどんな作品が買われたのか、見て見たくなった。
生徒の芸術作品はH型の校舎、右下の9室の空き教室で展示されていた。 ブース作りは、凝ったものを作ったので、全ての展示作品を設置した時は、達成感で感動もひとしおだった。
エディは展示ブースの中を見て見たくなり、ネリーに覗いてみようと、提案してみた。
「いいですねっ!」
「でしょう。 ちょっとくらい私たちだって、楽しんでもいいと思うんです」
「お嬢様方は頑張ってましたから、僕も賛成ですっ!」
エディたちは三階まで上がり、上から下へ降りながら展示ブースを覗いて行く事にした。 ほんの少しだけ、リュシアンとブースを回る妄想をしてしまい、『いいや、無い無い』と顔を振って妄想を消し飛ばした。
一つ目の空き教室の扉を開けて、エディは笑顔のまま固まった。 続くロジェとネリーも同じように笑顔で固まっている。 何故かというと、展示ブースがぐちゃぐちゃに壊されていたのだ。
展示されていた作品は壊され、作品が乗せられていた机がひっくり返り、飾っていた色とりどりのティッシュの花たちが空中に飛んでいる。 エディの瞳には、闇妖精が狂ったように呪いを掛けている様子が見えた。 事態を把握したエディは叫ぶ。
「ロジェっ! ネリーを外へっ!」
「はい、お嬢様っ」
ロジェは直ぐにネリーを抱け上げると、廊下へ出て行った。 次々と現れる闇妖精がロジェたちの後を追いかけていく。 エディは直ぐに扉へ飛びついて扉を閉めた。
何処から闇妖精が出て来るのかと、周囲を見回す。 教室の隅に見慣れない木箱が置かれていた。
「あの木箱ねっ」
怪しい木箱を見つけ、開けられた蓋から闇妖精が次々と、出て来ている。 闇妖精はとても怒っていて、エディに呪いを掛けようとしていた。 エディの脳裏に浮かんだのは。
「呪い返しっ?! どうしよう、どうすればっ」
扉の外ではロジェがエディを呼ぶ声が聞こえ、ネリーが『先生を呼んでくる』と叫んで廊下を走っていく足音が聞こえて来た。
「お嬢様、大丈夫ですかっ?!」
「大丈夫よ、コーンっ!」
(闇妖精の対処法は、光妖精だったかしら? いや、それは呪いが掛けられた時だっ。 そうだ、闇に闇を)
エディの口から古代語の呪文が紡がれ、エディが契約している闇妖精が飛び出してくる。
三頭身の闇妖精は、エディを確認すると、周囲を見回した。 自身の仲間が沢山いて、何処かおかしい様子に気づいた様だ。 怒りをあらわにしている仲間の闇妖精が、自身の契約者であるエディに呪い返しを掛けようとしている。
闇妖精はエディの前へ立ちはだかり、エディがお願いをする事なく、呪い返しを呪い返しした。
闇妖精が突き出した小さい両手から黒い楕円形の盾が作り出され、放たれた呪い返しが弾かれ、黒い稲光を放ち、呪い同士がぶつかり合って火花を散らした。
(……で、どうすればいいのっ?!)
エディに戦いのセンスはない。 火の妖精や風の妖精、水の妖精なども攻撃魔法を持っているが、エディには思いつかなかった。 扉に張り付いていたエディは、背中でロジェの声を聞いていた。
隅に置かれていた木箱に誰も気づかず、誰がいつ、木箱を開けたのかも分からない。
闇妖精に何をお願いすればいいのかも、エディは思いつかなかった。 ただ、闇妖精は呪い返しが出来ると知っていただけだった。 パニックになりながらもエディは頑張って考えた。
(どうしよう、どうすればいいっ?! 何か方法はっ、えと、闇妖精の得意魔法はっ……。 呪い返しと、防御魔法、それと、解呪だからっ。 ……解呪っ?!)
怒っている闇妖精の瞳を見ると、何処かいってしまっている様に見える。 という事は、何かの呪いにかかっているという事。 呪いを収めるには、解呪だと、エディは結論付けた。
「お願い、貴方の仲間の呪いを解いてっ!」
エディの方へ振り返った闇妖精は、黙った頷いた。 危ない状況なのに、きりっとした目元がとてもかっこいいと思い、とても頼りになると、エディも大分パニックなっている。
闇妖精が古代語の呪文を唱えると、仲間の闇妖精を黒い球体が包み込む。 苦しそうに叫び声を上げ、闇妖精が痙攣をおこしている。 不安な表情で状況を見守るエディの喉が小さく鳴らされた。
闇妖精の解呪の呪文は続けられた。 暫し、苦しそうな叫び声を上げていた闇妖精の声が徐々に小さくなっていく。 もしかして、死んだのかと思ったが、闇妖精の瞳に正常な光が見えて来た。
ついには痙攣も収まり、闇妖精たちは正気を取り戻した様で、周囲を見回して青い顔をしている。
正気を失っていたとはいえ、人間に迷惑を掛けたのだ。 闇妖精はエディに気づくと、一斉に頭を下げた。 そして、ジェスチャーでブースを直すと請け負ってくれた。
「ああ、そうか。 闇妖精の魔法に、復元もあったわね」
闇妖精たちは早速、復元を掛けようとしたが、エディは『待って』と止めた。
「この惨状を記録に残しておかないと、誰か一人でも証人になってほしいわ。 直してしまうと、犯行がなかった事になってしまうし」
闇妖精たちは証人になってくれる事を快く引き受けてくれた。 しかも、自分たちもエディと契約すると言ってくれたが、契約は丁重にお断りした。 契約妖精は一人で十分なのだ。
投影魔法の水晶で惨状を記録し、展示ブースを闇妖精にお願いして元通りにしてもらう。
闇妖精たちが展示ブースから出て行った後、鍵を開けて扉を開けたら、ネリーが呼んで来た教師たちが居て、説明するのに一苦労した。 ロジェは物凄く落ち込んでいた。
「申し訳ありませんでしたっ、お嬢様。 僕がもっと早く気づいていればっ」
「気にしないで、コーン。 私は無事だったんだし」
「……コーンじゃないですっ」
涙目になりながら訂正するロジェに、いつもの冗談は通じなかった。 『次は頑張って』とロジェを慰めた。 呪いを掛けられた闇妖精は、誰に掛けられたか覚えていないだろう。
廊下の端で状況を見守っていた犯人は、エディの所為で失敗した事を知り、口元を歪めていた。
芸術祭の全ての準備が終り、最後まで残っていた生徒や教師たちも自宅や学園の寮へ帰って行く。
夜空に雲の間から満月が現れる時刻、展示ブースの一室の扉が静かに開けられた。 鍵を掛けていたはずの扉が何故、開けられたのか。 展示ブースに入って来た人影は、小脇に抱えられるくらいの大きさの木箱を持っていた。
展示ブースの隅に木箱を置くと、人影は足音を鳴らさずに空き教室を出て行った。
◇
芸術祭の当日は快晴だった。 講堂での朝礼の後、芸術祭が始まる。 エディは本日も裏方で、音楽祭の時の様に、客席で観劇出来る暇はない。 芸術祭は多くの保護者や来賓も来る。
エディたちは朝礼が終ると、直ぐにタイトルボードを運び、生徒会のメンバーにも手伝ってもらい、学園の門に取り付ける様子を眺めていた。 リュシアンがそばへ来て、エディに声を掛けて来た。
「エディ、おはよう。 今日でエディの臨時の執行委員は終わりだね」
「はい、あまりお役に立てませんでしたが……」
「ううん、そんな事ないよ。 エディが頑張ってる姿は可愛かったよ」
「……殿下。 でも、結局、カトリーヌ様たちに執行委員の仕事をさせられませんでしたっ」
「直ぐには無理だね。 でも、手伝ってくれた貴族子女もいただろう?」
「はい、それはそうですけど……」
「後は私の仕事だね。 執行委員の運営も正さないとね」
リュシアンは生徒会長に呼ばれ、エディから離れていく。 立ち去る時、リュシアンに耳元で囁かれた。
『今日のダンスパーティー、私が贈ったドレスを着るエディを楽しみにしているよ』
リュシアンが笑顔で立ち去って行った後、真っ赤に頬を染めたエディが残された。
◇
芸術祭が始まり、講堂ではリュシアンと生徒会長が劇を披露するチームを紹介をしている。
今回も生徒会メンバーを無視してカトリーヌがリュシアンと一緒に司会をすると、言い出して宥めるのが大変だった。 カトリーヌに司会を頼むにしても、生徒会メンバーには侯爵家の子女がいる。
余計な争い事を防ぐ為にも、生徒会長が順当な人選である。
(本当に、ブリエ嬢が二人いるみたいだわっ)
エディのチームは予選落ちしたので、執行委員の仕事をする事になっていた。 花形の受付はカトリーヌたちに取られ、貴族子女の二年生は一年生に仕事を任せ、自分たちは講堂で観劇している。
エディは『何故だっ!』と内心で叫んだ。 毎年の事らしいので、二年生は堂々と一年生に仕事を押し付けた事に憤りを感じる。 教師も生徒会の顧問も注意をしない。
芸術作品を展示している校舎を見回りながら、エディは呟いた。
「これは……殿下、生徒会に報告しましょう」
「えっ、報告するんですかっ?!」
エディの呟きを聞いたネリーは、内容に驚きの声を上げる。
「ええ、だって彼女らは、音楽祭の時も、芸術祭の準備も手伝わなかったんですから。 彼女たちをクビにするとしても、権限は生徒会長たちにあります。 何もしない人は執行委員には要りません」
「そうですけど……。 今までにも苦言を呈した方も居たそうですけど、反対に皆、返り討ちに遭ってますよ」
「そうなのね、でも、私は気にしないわ。 これが私の執行委員での最後の仕事よっ」
ロジェとネリーは心配そうにエディを見つめていた。
芸術祭の展示ブースは、中々、盛況の様で、多くの人が見に来ていた。 中には高額で取引された芸術作品もあり、エディは『青田買いかっ!』と、内心で呟いた。 エディもどんな作品が買われたのか、見て見たくなった。
生徒の芸術作品はH型の校舎、右下の9室の空き教室で展示されていた。 ブース作りは、凝ったものを作ったので、全ての展示作品を設置した時は、達成感で感動もひとしおだった。
エディは展示ブースの中を見て見たくなり、ネリーに覗いてみようと、提案してみた。
「いいですねっ!」
「でしょう。 ちょっとくらい私たちだって、楽しんでもいいと思うんです」
「お嬢様方は頑張ってましたから、僕も賛成ですっ!」
エディたちは三階まで上がり、上から下へ降りながら展示ブースを覗いて行く事にした。 ほんの少しだけ、リュシアンとブースを回る妄想をしてしまい、『いいや、無い無い』と顔を振って妄想を消し飛ばした。
一つ目の空き教室の扉を開けて、エディは笑顔のまま固まった。 続くロジェとネリーも同じように笑顔で固まっている。 何故かというと、展示ブースがぐちゃぐちゃに壊されていたのだ。
展示されていた作品は壊され、作品が乗せられていた机がひっくり返り、飾っていた色とりどりのティッシュの花たちが空中に飛んでいる。 エディの瞳には、闇妖精が狂ったように呪いを掛けている様子が見えた。 事態を把握したエディは叫ぶ。
「ロジェっ! ネリーを外へっ!」
「はい、お嬢様っ」
ロジェは直ぐにネリーを抱け上げると、廊下へ出て行った。 次々と現れる闇妖精がロジェたちの後を追いかけていく。 エディは直ぐに扉へ飛びついて扉を閉めた。
何処から闇妖精が出て来るのかと、周囲を見回す。 教室の隅に見慣れない木箱が置かれていた。
「あの木箱ねっ」
怪しい木箱を見つけ、開けられた蓋から闇妖精が次々と、出て来ている。 闇妖精はとても怒っていて、エディに呪いを掛けようとしていた。 エディの脳裏に浮かんだのは。
「呪い返しっ?! どうしよう、どうすればっ」
扉の外ではロジェがエディを呼ぶ声が聞こえ、ネリーが『先生を呼んでくる』と叫んで廊下を走っていく足音が聞こえて来た。
「お嬢様、大丈夫ですかっ?!」
「大丈夫よ、コーンっ!」
(闇妖精の対処法は、光妖精だったかしら? いや、それは呪いが掛けられた時だっ。 そうだ、闇に闇を)
エディの口から古代語の呪文が紡がれ、エディが契約している闇妖精が飛び出してくる。
三頭身の闇妖精は、エディを確認すると、周囲を見回した。 自身の仲間が沢山いて、何処かおかしい様子に気づいた様だ。 怒りをあらわにしている仲間の闇妖精が、自身の契約者であるエディに呪い返しを掛けようとしている。
闇妖精はエディの前へ立ちはだかり、エディがお願いをする事なく、呪い返しを呪い返しした。
闇妖精が突き出した小さい両手から黒い楕円形の盾が作り出され、放たれた呪い返しが弾かれ、黒い稲光を放ち、呪い同士がぶつかり合って火花を散らした。
(……で、どうすればいいのっ?!)
エディに戦いのセンスはない。 火の妖精や風の妖精、水の妖精なども攻撃魔法を持っているが、エディには思いつかなかった。 扉に張り付いていたエディは、背中でロジェの声を聞いていた。
隅に置かれていた木箱に誰も気づかず、誰がいつ、木箱を開けたのかも分からない。
闇妖精に何をお願いすればいいのかも、エディは思いつかなかった。 ただ、闇妖精は呪い返しが出来ると知っていただけだった。 パニックになりながらもエディは頑張って考えた。
(どうしよう、どうすればいいっ?! 何か方法はっ、えと、闇妖精の得意魔法はっ……。 呪い返しと、防御魔法、それと、解呪だからっ。 ……解呪っ?!)
怒っている闇妖精の瞳を見ると、何処かいってしまっている様に見える。 という事は、何かの呪いにかかっているという事。 呪いを収めるには、解呪だと、エディは結論付けた。
「お願い、貴方の仲間の呪いを解いてっ!」
エディの方へ振り返った闇妖精は、黙った頷いた。 危ない状況なのに、きりっとした目元がとてもかっこいいと思い、とても頼りになると、エディも大分パニックなっている。
闇妖精が古代語の呪文を唱えると、仲間の闇妖精を黒い球体が包み込む。 苦しそうに叫び声を上げ、闇妖精が痙攣をおこしている。 不安な表情で状況を見守るエディの喉が小さく鳴らされた。
闇妖精の解呪の呪文は続けられた。 暫し、苦しそうな叫び声を上げていた闇妖精の声が徐々に小さくなっていく。 もしかして、死んだのかと思ったが、闇妖精の瞳に正常な光が見えて来た。
ついには痙攣も収まり、闇妖精たちは正気を取り戻した様で、周囲を見回して青い顔をしている。
正気を失っていたとはいえ、人間に迷惑を掛けたのだ。 闇妖精はエディに気づくと、一斉に頭を下げた。 そして、ジェスチャーでブースを直すと請け負ってくれた。
「ああ、そうか。 闇妖精の魔法に、復元もあったわね」
闇妖精たちは早速、復元を掛けようとしたが、エディは『待って』と止めた。
「この惨状を記録に残しておかないと、誰か一人でも証人になってほしいわ。 直してしまうと、犯行がなかった事になってしまうし」
闇妖精たちは証人になってくれる事を快く引き受けてくれた。 しかも、自分たちもエディと契約すると言ってくれたが、契約は丁重にお断りした。 契約妖精は一人で十分なのだ。
投影魔法の水晶で惨状を記録し、展示ブースを闇妖精にお願いして元通りにしてもらう。
闇妖精たちが展示ブースから出て行った後、鍵を開けて扉を開けたら、ネリーが呼んで来た教師たちが居て、説明するのに一苦労した。 ロジェは物凄く落ち込んでいた。
「申し訳ありませんでしたっ、お嬢様。 僕がもっと早く気づいていればっ」
「気にしないで、コーン。 私は無事だったんだし」
「……コーンじゃないですっ」
涙目になりながら訂正するロジェに、いつもの冗談は通じなかった。 『次は頑張って』とロジェを慰めた。 呪いを掛けられた闇妖精は、誰に掛けられたか覚えていないだろう。
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