我関せずな白蛇の亜人が恋に落ちる

伊織愁

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2話

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 ローラとの顔合わせの後、瞬く間にブリティニア王国だけでなく祖国であるカウントリム帝国まで、アンガスとローラに本物の番の刻印が刻まれたと、話が広まった。

 アンガスは自室の居間のソファで、だらしなく足を投げ出して彼らしくなく寝そべり、ローラの事を思い出していた。 脳裏に映るのは顔合わせで見たローラの姿だ。

 手の甲の刻印が熱く熱を持ち、胸が高鳴っていく。

 見た目とは裏腹におっとりしているが、表情は豊かで、相変わらずの大食漢だった。 お茶請けのお菓子を美味しそうに次々と口に運び、頬を緩ませて頬張っていた様子は小動物の様だった。

 (……口いっぱいにお菓子を頬張るから、へび族のなのに、リスみたいだったっ)

 廊下が俄かに騒がしくなり、困惑する執事の声と慌てた様な足音が近づいて来る。

 アンガスが起き上がって振り返る前に、執事に止められるのもお構いなしに、ノックも無しに部屋の扉を開けて侵入して来る者がいた。 侵入者の第一声は。

 「アンガスっ!! 本物の番が見つかったというのは本当かっ!!」

 先触れもなく、アンガスの予定も確認せず、挨拶も無しに部屋へ押し入って来た不届き者は、ソファで半身を起き上がろうしているアンガスに近づいて悔しそうに顔を歪めた。

 悔しそうな侵入者に、呆れた様な眼差しを送ってやる。 不敬罪に問われても、彼の所業を思えばゆるされるだろう。

 「ジェレミー殿下、来られるのでしたら、先ぶれを出してください。 家の者が皆、困ります」
 「そんな事よりもっ! 本当なのかと聞いているっ!!」
 「本当ですよ。 そんな直ぐに分かる嘘を言ってどうするんです」
 「ど、何処に刻印があるんだっ?!」

 騒ぎ立てるジェレミーを心底呆れたという表情で見つめた後、溜め息をついて左手の甲をジェレミーに向けて掲げた。 アンガスに本物の番が現れたと聞きつけ、本当なのか確かめる為、王都から馬車で3日の距離を急いでやってきたらしい。

 目の前に立つジェレミーの黄金の瞳に、アンガスの左手の甲に刻まれた刻印が映し出された。

 ジェレミーは眉間に深く皺を寄せ、口を引き結んでいる。 もっと言うと涙目になっていて、アンガスは再び溜め息を吐くと、同時に同じように溜め息を吐いたのか、第三者の気配を感じた。

 「ジェレミー殿下、悔しいからと言って、詰め寄るのは頂けません」

 聞き覚えがある低い声に視線をやると、扉付近に立っていたのは補佐候補である少年、アダム・フィン・グウィバーである。 白竜の獣人族で王家の親戚筋、身分は公爵子息だ。

 アダムはアンティークグレイの短髪、グレーの瞳。 鋭い目元は15歳だと言うのに、人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。

 そして、2人の側で先程から悔しがって騒いでいるジェレミーは、ブリティニア王国の第一王子、成人した事を機に、近日中に王太子として立太子される事が決まっている第一王子だ。

 騒ぎ続けるジェレミーを、アンガスとアダムは白い目で見詰める。 ジェレミーの言い分は。

 「3人の中では、絶対に私が一番先に番を見つけられると思っていたのにっ、先を越されたら悔しいじゃないかっ!」
 「……そこまで悔しいですか?」
 「悔しいっ!」

 もう15歳になり、成人したというのに、何とも子供っぽいと、アンガスは大きく息を吐き出した。

 金髪に黄金の瞳を持つ王族は、赤竜の獣人である。 昔々からブリティニア王国を治め、莫大な魔力を内に内包している。 まだ精神は幼いが、成人した事で落ち着いて来るだろうと思っていた。

 「……ジェレミー殿下」
 「……っ」

 アンガスとアダムの呆れた様な空気がアンガスの部屋で漂った。 アンガスとアダム、ジェレミーとは同じ年の高位貴族として、幼い頃から友人兼補佐候補として一緒に学んできた仲だ。

 「私の方が2人より、多くの令嬢と出会っているのだぞ。 15年の間に100は超える令嬢とだっ! その私に番の刻印が出ないなんてっ……悔しいじゃないかっっ!」

 ((そっちですか……))

 「ジェレミー殿下は、とても楽しみにしてたからな。 成人の義式で番が現れると豪語していたし」
 「……ええ、そうですね」

 ジェレミーが心を躍らせて、成人の儀式まで指折り数えている姿を思い出した。 アンガスにきつく当たって来たのは、ただの八つ当たりだったのか、とアンガスとアダムは何度目かの溜め息を吐き出した。 全く、困った人である。

 「で? そのご令嬢は何処に居る? 紹介してくれ。 未来の補佐官のご夫人になるのだからな」

 先程まで不機嫌だったが、叫び倒して吹っ切れたのか、ジェレミーは黄金の瞳を輝かせ、アンガスに問いかけて来た。 見つめて来る2人の視線をそっと逸らす。

 アンガスの態度にジェレミーとアダムは首を傾げた。

 「番とは四六時中、一緒に居たいと思うものなのだろう? 一緒に暮らしていないのか?」

 ジェレミーはアンガスの部屋に番の痕跡がないか、辺りを見回している。 部屋の中を歩き回るジェレミーに反して、アダムはじっと何かを探るように見つめて来た。 いずれは知られるのだから、アンガスは顔合わせであった事をジェレミーとアダムに話した。

 そして、ジェレミーの大きな声がアンガスの部屋で轟いた。

 「信じられないっ! 直ぐにも婚約の手続きをしろっ!」

 ジェレミーは腰に手を当てて、鼻息荒く息を吐き出した。

 「ジェレミー殿下、落ち着いて下さい。 紅茶が入りましたよ、飲んでください。 落ち着きますから」

 アダムがジェレミーを促し、2人掛けソファに座らせ、自身はアンガスと一緒にジェレミーの対面に置いてある2人掛けソファで落ち着き、暫し3人は紅茶の香りと菓子を楽しんだ。

 執事の淹れた紅茶が運ばれ、ローテーブルに置かれた紅茶と菓子の饅頭のいい香りが部屋で漂う。

 「はぁ~、美味い。 この小さい饅頭も美味いな。 何個でもいけるぞ」
 「うん、美味い」
 
 ジェレミーの喉が美味しそうに饅頭を嚥下して上下する。 美味しそうに饅頭を咀嚼するジェレミーとアダムを嬉しそうにアンガスは見つめた。

 「ありがとうございます。 饅頭はカウントリムの菓子なのです。 小腹が空いた時にもいいんですよ、腹持ちが良くて。 子供の頃、よく、晩餐まで持たない時に食べました」
 「ほう、そうか。 カウントリムの菓子なのか。 今度、取り寄せてみるか。 母上や弟にも食べさせてやりたい」
 「はい、是非。 我が家では家の料理人が作っていますが、後でカウントリムの老舗をお教えしますね」
 「うむ」

 ニコニコと穏やかな空気が3人の間に流れ、まったりとした後、ジェレミーが我に返った。

 「って、お茶を飲んでまったりしている場合ではないっ!」

 ジェレミーが立ち上がり、再び荒れ狂った。 アンガスの隣で座っていたアダムは、ジェレミーに落ち着くように促す。 ジェレミーは咳き込みながら座り、紅茶で喉を潤した。

 「放っている間に誰かに取られても知らないぞ」
 「でも、俺もアンガスの気持ちは少しだけ分かります。 俺も行き成り番だと言われたら、戸惑いますし、令嬢と何を話していいかなんて分からないっ……」

 ジェレミーと同様に、沢山の令嬢と出会っているはずのアダムも、成人の義式では番は見つかっていない。 堅物なアダムが番と仲睦まじい姿などとても想像できないと、ジェレミーとアンガスは乾いた笑い声を上げた。

 「まぁ、アンガスと番の相手が決めた事だ。 我々の意見など、言える立場ではないか」
 「行く前に散々、提言しましたが? まぁ、悔しいさが先に立って、俺の言葉など聞いていない様でしたけど」
 「……」

 アダムの攻めに、ジェレミーは紅茶カップを手に取って口に運ぶ事で誤魔化した。

 (全く誤魔化せてませんよ、殿下……)

 程なくして、雑談だけした後、アダムが無理やりジェレミーを引っ張って連れ帰ってくれた。

 ◇

 ブレイク領は、グイベル領の西の位置にある。 領都グイベルから2時間ほど、馬車で走った場所にある。 ブレイク領の外れに小高い丘があり、ブレイク領が一望できる場所に屋敷は建てられている。

 ブレイク家の先祖の代で爵位を賜り、グイベル領の土地を分け与えられ、代官としてブレイク領を治めて来た。 広大な畑が拡がり、多くの領民が農民で、野菜や小麦を育てている。

 ブレイク家は武家の為、ローラも幼い頃から武術に触れて育って来た。 屋敷には剣道場があり、ローラの毎朝の日課は素振りから始まる。 ローラが握っているのは、刀と呼ばれている武器で、刀身が細身で湾曲している。

 ブレイク家の屋敷は、祖国カウントリム調で建てられている。 身に着けている服も少し、ブリティニアで着られている服ではない。 前合わせの長衣と軟かそうな二股の下衣、腰元を布で締める服装、踵の低い靴はブリティニアにはないものだ。 ブレイク領やグイベル領の領民たちには、よく着られている服装で、ブリティニアの中でも異国情緒で溢れている領でもある。

 灰色の瞳に魔力を宿すと、灰色から赤色の獣目に変わる。 眉間から額に掛けてへびの鱗が現れる。

 へび族が能力を行使する時に現れる特徴だ。 刀の刀身に魔力を宿らせ、型通りに刀を振る。 ローラの周囲に静謐な空気が流れ、脳裏から現世の事が薄れていく。

 ピンと張りつめた空気の中、刀を振るローラは美しく、舞武を踊っている様にも視える。

 長時間、刀を振ったからか、うっすらと汗を掻き、首筋に白から灰色のグラデーションの髪が絡みつく。 刀を振る時は、いつも1つに纏めて、頭頂部から流している。

 先日の事を整理をしたいと思い、いつもより長く集中して素振りをしていた。 高くなってきた朝日がローラの顔を射して気づいた。

 (あっ! 朝ごはんっ! 考え込んでいたら、いつもよりも長くなってしまったわっ。 まだ、残っているかしらっ)

 ローラの家族は母親を除いて、皆が大食漢だ。 育ち盛りの黒へびの兄と弟、白へびの妹が1人いる。 少しでも遅れると、兄弟たちがローラの分を先を競って食べてしまうのだ。

 大急ぎで、シャワーで汗を流し、ゆったりとした足首丈のワンピースを頭から被って着る。 ワンピースの長袖は広がっていて苦手だが、上着の長袖を着れば無駄に揺れなくて邪魔にならない。

 上に膝丈の前合わせの長衣を着ると、メイドがローラの腰元を布で縛る。 メイドが用意してくれた服は、ピンクと白で合わせてあった。 ワンピース白で長衣がピンクだ。 武道場の脱衣所にある姿見で自身の姿を確認していると、後ろで控えているメイドから声が掛かった。

 「お嬢様、急ぎませんと。 もう、既に皆さま食堂で揃っております」
 「ええ」

 ローラは最後に髪を整え脱衣所を出た。 道場を出ると食堂まで急ぎ足で歩く。 踵の低い靴が廊下の床を鳴らす。

 (本当は走りたいけど……メイドが着いて来てるから無理ねっ)

 チラリと後ろから着いて来るメイドを振り返ったら、『走るなんて許されませんからねっ』と、獣目に変わっている瞳が訴えて来た。 言葉を詰まらせたローラは大人しく早歩きで廊下を進んだ。

 屋敷の1階にある食堂の両扉を押し開けると、朝食のいい香りがローラの食欲をそそる。

 「遅れてしまい申し訳ありませんっ!」

 食堂では既に家族が揃い、食事を始めていた。 長いテーブルの上座に父が座っており、母と弟、妹が並んで座り、母たちと向かい合って座っている兄の背中が見える。 兄の隣がローラなのだが、もう1人、ローラの席の隣に青年の背中が見えた。

 (えっ?! お客様っ……メイドからは何も聞いてませんよっ)

 一緒に着いて来たメイドに視線を向けると、メイドは顔を小さく横に振っていた。 メイドもずっと武道場に居て知らない上に、知らされていなかった様だ。

 「ローラ、ボケっとしていないで座りなさい。 皆、お前を待っていたのだぞ。 遅いから先に始めてしまったがな」
 「すみませんっ」

 ローラは慌てて自身の席に着き、初めて隣に座っている客人の方へ視線を向けた。 隣の客人と視線が合った途端、ローラの灰色の瞳が見開いた。

 「リーバイっ! どうしてこちらにっ?!」

 にっこり笑ったリーバイは、先にご飯を食べようと、ローラを促した。 ローラの左手の甲の番の刻印に、リーバイの視線が鋭く動く。 リーバイの視線にハッとしたローラは、そっと左手を隠した。

 (リーバイっ、目から何か漏れてるわっ……目が細くて開いているか、閉じているのか分からないけど、隙間から魔力の圧が漏れてるわよ)

 視線をリーバイに寄せると、ローラの視線に気づいたリーバイが爽やかに笑う。

 リーバイの爽やかな笑みの裏にどす黒い感情が宿っている事をローラは知っている。 リーバイとは母方のいとこで、彼はカウントリムで暮らしている。 ローラの母はカウントリムから嫁いできた。

 ローラの母の実家は黒へび族で、稀に生まれる白へびとして生を受けた。 リーバイの父が母の兄で、ローラの伯父にあたる。 今回、リーバイがブレイク家に来た目的は分かっている。

 隣でリーバイから大きな溜め息が吐き出された。

 「ローラはやっぱりカウントリムで暮らしていれば良かったな。 そしたら番と出会わずに、僕と偽印を刻めば、番とすれ違っても分からなかったのにっ」
 「……リーバイっ」

 食堂の窓から見える空は青いのに、中は暗雲が立ち込めていてとても空気が重い。

 助けを求めて家族の方に視線を向けたが、何故か全員と視線が合わない。 ローラは父親をじろりと見た後、リーバイがまだ何か言っているが、無視して朝食を食べ始めた。 黙々とハムエッグを3つ、大量のマッシュポテト、バターロールを4個とツナサラダを次々と口に運ぶ。

 自身を無視して朝食を食べるローラをリーバイは愛し気に見つめて来ていた。

 (ものすごっく食べづらいのだけど……)

 リーバイの熱い視線を受けて食べる朝食は、いつもよりとても食べづらい。 炭酸水でバターロールを喉に流し込み。 まだ物足りないが、デザートのヨーグルトゼリーを飲み込んだ後、リーバイににっこり笑って声を掛けた。

 「さぁ、中庭の東屋に行きましょ、リーバイ。 私に話があって来たのでしょう?」

 見た目はキツ目で、中身はおっとりしているローラだが、鈍い訳ではない。 察しが良く、しっかりとしている部分もあるのだ。 食堂を出る時、メイドにお茶とお菓子を沢山と頼む事を忘れなかった。

 ローラとリーバイは中庭の東屋へ移動して来た。 屋敷はコの字型になっており、中庭に道場がたててあり、道場と屋敷の間に東屋が設置されている。 東屋のベンチに腰掛けると、付いて来ていたメイドがお茶の用意を始める。 東屋の中に紅茶セットが置いてある。

 屋敷の厨房からお菓子が届き、紅茶の準備が整うと、ローラはメイドに礼を言ってから紅茶を一口飲んだ。 一息ついて、リーバイにも紅茶を進める。

 「リーバイもどうぞ、美味しいわよ。 あら、お饅頭っ! これ、美味しいわよね」
 「ああ、ローラが好きだったと思い出して、カウントリムの老舗で買って来た」
 「まぁ、リーバイのお持たせなのね。 ふふっ、ありがとう。 相変わらず物覚えが良いのね」

 美味しそうに頬張るローラの右手を取り、リーバイは眉尻を下げて悲し気に見つめて来る。

 「僕が君の番になりたかった……」

 取った右手をリーバイは口元へ持っていく。 リーバイの唇が触れる前に、ローラは咄嗟に右手を引いて右手を左手で庇った。 ローラの胸元で左手の甲の番の刻印が銀色に光りを帯びる。

 まるで、ローラに触れるなと言うように、刻印が虹色に光り輝いていた。

 刻印を凝視するリーバイは、とても悲しそうだ。 しかし、刻印が刻まれてしまったのだから、リーバイが間に入る隙間はない。 先日の顔合わせからローラは幼馴染だと思っていたアンガスに引かれ始めている。 久しぶりに会ったアンガスは、とても素敵だったのだ。

 (これも刻印に引っ張られているからかしら? アンガスの事を思うと胸が熱くなる)

 ローラは気づいていなかった。 アンガスの事を思っている時のローラの顔は、頬を染めていて、いつものおっとりとしたローラの雰囲気ではなくなっていた。 リーバイが傷ついたような表情をしている事にも、ローラは気づいていなかった。

 「ローラ……ローラに番が出来たから、僕にも婚約者が出来るんだ。 両親にはもう少しだけ待ってっくれるように言っている。 僕は君の幸せを見届けないと、君の事を諦めきれないっ」
 「……っリーバイ」

 細い目を更に細めているのか、顔を歪めて悔しそうに膝に乗せた拳を握りしめていた。

 「僕は暫くブレイク領で暮らすっ! こちらにも屋敷があるから、そちらで暮らすよ。 その内、ローラの番にも会わせてね。 僕が品定めしてあげる」
 「……っ!」

 リーバイの『品定めしてあげる』の宣言に、周囲で見守っていたメイドもドン引き、おっとりとしているローラもドン引きした。 リーバイは宣言通り、アンガスとローラに纏わりついてくる事になり、どうすれば諦めてくれるのか、途方に暮れるのだった。

 紅茶カップを口元へ持っていき、一口飲んで熱い視線を送って来るリーバイの視線を避ける。

 (取り敢えず、婚約が延期になった事は黙っておこう……直ぐにバレそうだけど)
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