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1章妖精の愛し子

12.

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そんな風にして遊んでいたら、パンケーキの焼ける甘いいい匂いがしてきた。
「おやちゅ、まだかな?」
「ん~、もう少しじゃない?」
スカイはリリーフィア肩の上に乗り、足をぶらぶらとさせると、ところでと続けた。
「君、誰? 今まで家に居なかったよね」
手伝いを終え、近づいてきたアロイを警戒するスカイ。

「ありょいなの、今日おにわであったのよ。 ねっ、ありょい?」
「うん、そうだね。 改めまして、僕の名はアロイ。 藍の妖精だよ。 よろしくね? あと、リリーフィアには恩があるし、何よりここは居心地が良いから僕もしばらくお世話になろうと思ってるんだけどいいかな?」
「ふ~ん、藍の妖精か… まあ、リリーフィアの為になら居ても良いかな」
にこにことアロイのことを紹介するリリーフィアと、胸を張って自己紹介をするアロイを見て、少し面白くなさそうなスカイは小さな声でそう呟いた。

「スカイなにか言っちゃ?」
「ううん、なんでもないよ さっ、パンケーキが出来るまで遊んでよう? あと、アロイも一緒にどう?」
アロイはおまけという感じで付け加えたスカイ。
「一緒に遊ばせてもらうよ」
スカイとアロイの間にはバチバチと言いそうな程すごい敵対心が窺えるが、繰り広げられているのはどちらがリリーフィアのお気に入りかというどうでもいい争いだった。

「パンケーキ焼けたよ~!」
サクラとハヤテが協力しながらパンケーキのお皿をテーブルの上に運ぶ。
「遊んだものを片付けるんだぞ、リリーフィア」
「はぁ~いなの」
リリーフィアがおもちゃを片付けている間に、最後のトッピングが行われる。
イーゴや生クリームでデコレーションをし、ナイフとフォークを置けば完成だ。

スカイに手伝ってもらい椅子に座ったリリーフィアはパンケーキを見て目を輝かせた。
「うわぁ~! ねこしゃんだ~!」
そう、パンケーキは猫の形に作られていた。
バーナとブルベーの実で目を作り、頬はイーゴで、そして生クリームは絞ったり塗ったりし、猫の耳飾りやお皿に描かれた花になっていた。

「いっただっきま~しゅ!」
リリーフィアはにこにこしながら猫の耳にフォークとナイフをいれた。
パンケーキは二枚重ねになっていて、二枚の間からはクリームやイーゴなどが覗いていた。
「毎回思うけどサクラって料理のプロだよね」
「そう? リリーフィアが喜ぶならこれくらい普通だと思うけど」
サクラとハヤテはリリーフィアの食べる姿を眺めながらいつもと同じやり取りを繰り返す。
「パンケーキ美味しい?」
アロイはリリーフィアの向かいで頬杖をつく。
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