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こうれんの腹の中で内臓がぐるりと半転したような、いやな感覚が発生した。
こうれんはつふたから手ぬぐいをひったくった。
「あっこらっ!」
ごしごしっと必死でこすったが、においがとれない。こすればこするほど気が逸っていく。こうれんの心臓が早鐘のように鳴った。「みず。」とこうれんはつぶやいた。水でもっとしっかり洗えば落ちるかもしれないと考えた。
ガッと体を蹴られた。これまでとちがって手加減の一切感じられない力だった。こうれんの体がどうなってもまったく構わないという力。こうれんの息がつまった。こうれんは目をつぶった。目だけは守りたいと思った。
「化けもん!」
声そのものに切りつけるような力があった。
「ちがうっ。」
こうれんは叫んだ。
そのとき、
「やめてくれ!」
という声が聞こえた。大声だ。大人の声。こうれんは、大人が本気で出す大声をはじめて聞いた。
その場にいる全員に絶対に聞かせるという真剣な声。
男たちが声のするほうを一斉に見た。
つふたがつぶやいた。
「らいぜんさん。」
こうれんは目を開き頭を上げた。すぐそばに祖父、らいぜんが立っていた。つふたが甲高い声を上げた。
「離れろ、らいぜんさん。そいつが変な雨を降らせた!」
「ない。それはない。」
「さっき大岩で黒い固まりを出した。」
「ぼくはやってないっ。」
こうれんは言った。それに被せるようにらいぜんが、
「お前は黙っていろ!」
と、こうれんを叱りつけた。まるで肉食獣の咆哮みたいな一喝だった。この声はこうれんを押さえつけるような力があった。力を感じたのはこうれんだけではなかったようで、男たちも静かになった。
こうれんは、ささらがいることに気づいた。
(ささらがおじいちゃんを連れてきてくれたんだ。)
こうれんの体から少しだけ力が抜けた。
らいぜんが言った。
「こいつを連れて帰る。おれの孫だ、おれが責任を持つ。」
ずっしりした声だった。言ったことは必ずやる、そういう重みがあった。男たちは黙ったままだ。らいぜんの言葉に正面から立ち向かえる者がいないようだった。
らいぜんがこうれんに手を差しのべた。こうれんはその手をとった。ぐいっと手を引かれてこうれんは立ちあがった。
「帰るぞ。」
らいぜんが短く言った。助かったんだ、とこうれんは気づいた。自分を囲んだ男たちのギラギラした、殺気立った気配が、いつの間にか様子見をする気配に変化していた。
「ま、待てよ。」
つふたが声を出した。ひるんだような声。らいぜんとは強さがちがうとこうれんは気づいた。腕っぷしならつふたのほうが強いだろう。でも気配がちがう。それでもつふたは声をかけただけ他の者に比べたらましだろう。あとはみんな黙ったままだ。
とにかく助かったんだ、とこうれんは思った。
ところが、ことはそれほど上手いこと運ばなかった。
岩のようならいぜんが、男たちに向かって重々しく告げたのだ。
「わけのわからんことが終わるまでの間、孫は外へ出さん。おれとつれあいが見張る。学校も休ませる。それでいいいな。」
こうれんは(あっ。)と思った。
「おじいちゃん!」
「行くぞ。」
らいぜんがこうれんの腕を強く引いて歩きだした。こうれんも歩いた。なかば引きずられるような格好だった。祖父のゆるぎない決心をこうれんは感じた。
こうれんを絶対に連れて帰る、という決心。
「ま、まあ、らいぜんさんがそういうなら、あんたに免じて、なあ。」
つふたがとりつくろうように言い、男たちはだれも反対しなかった。人垣がそそくさとくずれて通り道ができた。その通り道の真ん中をらいぜんがこうれんの手を引っぱって歩いた。こうれんはささらのすぐそばを通った。ささらに声をかけようとしたが、口を開いた瞬間にまたらいぜんに手を引っぱられた。黙れ、という意志を感じる。らいぜんの「連れて帰る」という本気の中にこうれんの口をふさぐことも含んでいるらしかった。もしこうれんがなにかを言ったら、おそらくなにを言っても、それが本当のことであっても、男たちが再びいきり立ったにちがいないのだから。
とはいえ。
困ったことになったとこうれんは思った。男たちの殺気立った気配と同じくらいかそれ以上に、祖父の決意は手強そうだった。
そしてそれからずっと、こうれんは家から出られなかった。
こうれんの腰に縄がくくりつけられた。
「辛抱おし、こうれん。」
やおが言う。
はじめこうれんは冗談かと思った。だけどらいぜんがきつくしばった縄は、子どもの力ではほどけなかった。なんだこれは、と、こうれんは唖然としたが、らいぜんもやおも平気な顔だった。やおなど、どこか懐かしそうな様子でさえあった。
「お前の母さんも三つになる頃までこうしていたね。」
「はあ?」
「あらえはかしこい子だったから縄がいらなくなるのも早かったねえ。田んぼであたしらが忙しいときは、こうするしかなくてね。目を離したすきに危ない目にあったら困るからねえ。」
信じられない、とこうれんは思った。
こうれんがなにを言っても、怒っても泣いても、ていねいに話しても畳に額をこすりつけて頼んでも、らいぜんはこうれんを家の敷地から外へ決して出そうとしなかった。
母屋とは別の棟にある厠へ行くときだけ、縄の端っこを祖父母のうちどちらかの腰へくくりつけて一緒に出る。そのときだってこうれんの腰の側をしばった縄がほどかれることはない。
風呂は使えなかった。
泥もとれなかった。
何度水で洗ってもとれなかった。
らいぜんもやおも泥をぬぐってきれいにすることには協力的だったにもかかわらず、だ。
水でダメならぬるま湯を使い、火傷しないように様子を見ながら熱い湯を使って洗ってみたが、だめ。石けんを、灰や炭を、塩を、酢や酒を水でといて使ってみたが効きめなし。
やおは心配し、らいぜんは目を逸らした。
こうれんが事情を説明しようとしても、2人とも耳を貸さない。聞かないほうがものごとが良いほうに進むと信じているようだった。そしてそれ以外のことは不自然なほど淡々とした暮らしをつづけた。
朝、やおが起きだして食事をこしらえる。それを三人で食べる。やおはにぎり飯もこしらえる。一人三つ、合わせて九つ。祖父母がそれを持って出かける。こうれんのぶんは木の盆に乗せ布巾をかぶせて置いていく。
その後ずっとこうれんにはすることがない。
外の様子に耳をすませるが、人が通る気配はとても少ない。ここはこうれんが住んでいたような大きな町ではないのだ。毎日決まって自転車が通るくらいだ。祖母に聞いたら、町から郵便配達に来る自転車だという。
ときどきびゅうっと風が吹く。通り雨もある。こうれんはそういう音を聞くたびに大岩から出てきたものだろうかと身がまえるが、音はしても姿が見えず、また家を吹き飛ばすようなことはなかったから、実際のところなにが起きているのか全然わからない。
手づまりだ。完璧に、みごとに、この上なく手づまり。
そのまま5日がすぎ、6日、7日、8日と時間だけ過ぎていく。ある程度の日数が過ぎたあと毎日こうれんは祖父母に、
「ねえ、ぼくはここにいて何もできないから、今日起きたことはぼくが無関係な証明になるよね。」
と言いつづけた。実際にその通りであるはずだ。だけどらいぜんは、頑としてこうれんの腰にくくりつけた縄をほどこうとしなかった。
「約束は約束だ。おかしなことが治るまでお前は家の中で過ごせ。」
「それじゃダメなんだよ!」
こうれんは必死で訴えた。らいぜんはジロリと横目でこうれんをにらんだ。
「お前になにができる?」
正面切ってそう問われると、こうれんも返事につまる。具体的なことはこうれんも知らないのだ。
祖父は毎日必ず田んぼを見にいく。若い男たちがこれも毎日交代でこうれんの様子を見にくる。中にはこうれんの縄にふれて固くしばられていることを確認する奴もいた。外に出られなくなってから後に集落で起きた出来事について、らいぜんもやおもこうれんに教えようとしない。やおなら、らいぜんに比べると手加減してくれるかもしれない、こうれんはそう考えて二人きりのときにいく度となく外の様子をたずねたが、祖母が祖父よりやさしいのは態度だけだった。願いごとについてはにべもなかった。
「じいさんが、あんたにはなにも教えるなと言うんだよ。あんたが外でなにが起きたか知っていたら、つふた達があんたへの疑いを解かないだろうって。あたしもその通りだと思うねえ。じいさんが正しい。」
一理あると、こうれんも認めた。
やおはため息をついた。
「それにしても雨は困るねえ。」
「また変な雨が降ったの?」
「教えないってば。いいかげんあきらめなさい。」
こうれんはつふたから手ぬぐいをひったくった。
「あっこらっ!」
ごしごしっと必死でこすったが、においがとれない。こすればこするほど気が逸っていく。こうれんの心臓が早鐘のように鳴った。「みず。」とこうれんはつぶやいた。水でもっとしっかり洗えば落ちるかもしれないと考えた。
ガッと体を蹴られた。これまでとちがって手加減の一切感じられない力だった。こうれんの体がどうなってもまったく構わないという力。こうれんの息がつまった。こうれんは目をつぶった。目だけは守りたいと思った。
「化けもん!」
声そのものに切りつけるような力があった。
「ちがうっ。」
こうれんは叫んだ。
そのとき、
「やめてくれ!」
という声が聞こえた。大声だ。大人の声。こうれんは、大人が本気で出す大声をはじめて聞いた。
その場にいる全員に絶対に聞かせるという真剣な声。
男たちが声のするほうを一斉に見た。
つふたがつぶやいた。
「らいぜんさん。」
こうれんは目を開き頭を上げた。すぐそばに祖父、らいぜんが立っていた。つふたが甲高い声を上げた。
「離れろ、らいぜんさん。そいつが変な雨を降らせた!」
「ない。それはない。」
「さっき大岩で黒い固まりを出した。」
「ぼくはやってないっ。」
こうれんは言った。それに被せるようにらいぜんが、
「お前は黙っていろ!」
と、こうれんを叱りつけた。まるで肉食獣の咆哮みたいな一喝だった。この声はこうれんを押さえつけるような力があった。力を感じたのはこうれんだけではなかったようで、男たちも静かになった。
こうれんは、ささらがいることに気づいた。
(ささらがおじいちゃんを連れてきてくれたんだ。)
こうれんの体から少しだけ力が抜けた。
らいぜんが言った。
「こいつを連れて帰る。おれの孫だ、おれが責任を持つ。」
ずっしりした声だった。言ったことは必ずやる、そういう重みがあった。男たちは黙ったままだ。らいぜんの言葉に正面から立ち向かえる者がいないようだった。
らいぜんがこうれんに手を差しのべた。こうれんはその手をとった。ぐいっと手を引かれてこうれんは立ちあがった。
「帰るぞ。」
らいぜんが短く言った。助かったんだ、とこうれんは気づいた。自分を囲んだ男たちのギラギラした、殺気立った気配が、いつの間にか様子見をする気配に変化していた。
「ま、待てよ。」
つふたが声を出した。ひるんだような声。らいぜんとは強さがちがうとこうれんは気づいた。腕っぷしならつふたのほうが強いだろう。でも気配がちがう。それでもつふたは声をかけただけ他の者に比べたらましだろう。あとはみんな黙ったままだ。
とにかく助かったんだ、とこうれんは思った。
ところが、ことはそれほど上手いこと運ばなかった。
岩のようならいぜんが、男たちに向かって重々しく告げたのだ。
「わけのわからんことが終わるまでの間、孫は外へ出さん。おれとつれあいが見張る。学校も休ませる。それでいいいな。」
こうれんは(あっ。)と思った。
「おじいちゃん!」
「行くぞ。」
らいぜんがこうれんの腕を強く引いて歩きだした。こうれんも歩いた。なかば引きずられるような格好だった。祖父のゆるぎない決心をこうれんは感じた。
こうれんを絶対に連れて帰る、という決心。
「ま、まあ、らいぜんさんがそういうなら、あんたに免じて、なあ。」
つふたがとりつくろうように言い、男たちはだれも反対しなかった。人垣がそそくさとくずれて通り道ができた。その通り道の真ん中をらいぜんがこうれんの手を引っぱって歩いた。こうれんはささらのすぐそばを通った。ささらに声をかけようとしたが、口を開いた瞬間にまたらいぜんに手を引っぱられた。黙れ、という意志を感じる。らいぜんの「連れて帰る」という本気の中にこうれんの口をふさぐことも含んでいるらしかった。もしこうれんがなにかを言ったら、おそらくなにを言っても、それが本当のことであっても、男たちが再びいきり立ったにちがいないのだから。
とはいえ。
困ったことになったとこうれんは思った。男たちの殺気立った気配と同じくらいかそれ以上に、祖父の決意は手強そうだった。
そしてそれからずっと、こうれんは家から出られなかった。
こうれんの腰に縄がくくりつけられた。
「辛抱おし、こうれん。」
やおが言う。
はじめこうれんは冗談かと思った。だけどらいぜんがきつくしばった縄は、子どもの力ではほどけなかった。なんだこれは、と、こうれんは唖然としたが、らいぜんもやおも平気な顔だった。やおなど、どこか懐かしそうな様子でさえあった。
「お前の母さんも三つになる頃までこうしていたね。」
「はあ?」
「あらえはかしこい子だったから縄がいらなくなるのも早かったねえ。田んぼであたしらが忙しいときは、こうするしかなくてね。目を離したすきに危ない目にあったら困るからねえ。」
信じられない、とこうれんは思った。
こうれんがなにを言っても、怒っても泣いても、ていねいに話しても畳に額をこすりつけて頼んでも、らいぜんはこうれんを家の敷地から外へ決して出そうとしなかった。
母屋とは別の棟にある厠へ行くときだけ、縄の端っこを祖父母のうちどちらかの腰へくくりつけて一緒に出る。そのときだってこうれんの腰の側をしばった縄がほどかれることはない。
風呂は使えなかった。
泥もとれなかった。
何度水で洗ってもとれなかった。
らいぜんもやおも泥をぬぐってきれいにすることには協力的だったにもかかわらず、だ。
水でダメならぬるま湯を使い、火傷しないように様子を見ながら熱い湯を使って洗ってみたが、だめ。石けんを、灰や炭を、塩を、酢や酒を水でといて使ってみたが効きめなし。
やおは心配し、らいぜんは目を逸らした。
こうれんが事情を説明しようとしても、2人とも耳を貸さない。聞かないほうがものごとが良いほうに進むと信じているようだった。そしてそれ以外のことは不自然なほど淡々とした暮らしをつづけた。
朝、やおが起きだして食事をこしらえる。それを三人で食べる。やおはにぎり飯もこしらえる。一人三つ、合わせて九つ。祖父母がそれを持って出かける。こうれんのぶんは木の盆に乗せ布巾をかぶせて置いていく。
その後ずっとこうれんにはすることがない。
外の様子に耳をすませるが、人が通る気配はとても少ない。ここはこうれんが住んでいたような大きな町ではないのだ。毎日決まって自転車が通るくらいだ。祖母に聞いたら、町から郵便配達に来る自転車だという。
ときどきびゅうっと風が吹く。通り雨もある。こうれんはそういう音を聞くたびに大岩から出てきたものだろうかと身がまえるが、音はしても姿が見えず、また家を吹き飛ばすようなことはなかったから、実際のところなにが起きているのか全然わからない。
手づまりだ。完璧に、みごとに、この上なく手づまり。
そのまま5日がすぎ、6日、7日、8日と時間だけ過ぎていく。ある程度の日数が過ぎたあと毎日こうれんは祖父母に、
「ねえ、ぼくはここにいて何もできないから、今日起きたことはぼくが無関係な証明になるよね。」
と言いつづけた。実際にその通りであるはずだ。だけどらいぜんは、頑としてこうれんの腰にくくりつけた縄をほどこうとしなかった。
「約束は約束だ。おかしなことが治るまでお前は家の中で過ごせ。」
「それじゃダメなんだよ!」
こうれんは必死で訴えた。らいぜんはジロリと横目でこうれんをにらんだ。
「お前になにができる?」
正面切ってそう問われると、こうれんも返事につまる。具体的なことはこうれんも知らないのだ。
祖父は毎日必ず田んぼを見にいく。若い男たちがこれも毎日交代でこうれんの様子を見にくる。中にはこうれんの縄にふれて固くしばられていることを確認する奴もいた。外に出られなくなってから後に集落で起きた出来事について、らいぜんもやおもこうれんに教えようとしない。やおなら、らいぜんに比べると手加減してくれるかもしれない、こうれんはそう考えて二人きりのときにいく度となく外の様子をたずねたが、祖母が祖父よりやさしいのは態度だけだった。願いごとについてはにべもなかった。
「じいさんが、あんたにはなにも教えるなと言うんだよ。あんたが外でなにが起きたか知っていたら、つふた達があんたへの疑いを解かないだろうって。あたしもその通りだと思うねえ。じいさんが正しい。」
一理あると、こうれんも認めた。
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