7 / 43
第七話
しおりを挟む
可愛い、可愛い、徳島さん。
何して遊ぼうかな。
何をしたら悦んでくれるかな。
純粋なあの子が乱れたら、どんなに可愛いだろう。
可愛い、可愛い、徳島さん!
れいこはそんなことを嬉しそうに考えながら、温室で紅茶を嗜んでいた。
この学院の温室は、温室というには広く、草木や花々が美しく管理されており、普段の学院生活の騒がしさから逃れてゆっくりとできる場所であった。
いつからか、テーブルや椅子が置かれ、ご丁寧なことにお茶のセットまで置かれている。(この管理は誰ともいわず下級生の役目になっていたのだが。)
まさに女生徒たちの憩いの場となっていた。
そして、そこにくれば大体、学院の「王子様」「お姫様」「大天使様」と出会えるので、下級生たちもこぞって通っていたのである。
れいこもそこに癒しを求めに来る「大天使様」の一人で、よくここで休んでいた。可愛い子品定めも兼ねて。
「・・・様、ミカエル様!!」
「え!?」
れいこは、ハッとして現実にようやく戻る。
するとそこには一人の愛らしい少女が立っていた。
小柄な背丈。髪型は腰までのポニーテール。ドングリみたいな可愛い瞳。
彼女の名前は山代みちる。高等部二年。
簡潔に説明すると、れいこの雑務係。悪くいえば下僕。
れいこの信奉者で、れいこが目をつけて以来ずっとそばに置き、あれをしてだのこれをしてこいだの散々と使っていた。勿論、とびきり優しく甘い言葉でお願いはしているのだが。
そばに置いておくからには、れいこのお眼鏡にかなう容姿をしているのであるが、彼女にとってみちるは完全に欲望の対象外であった。ただの可愛い小間使いとしか認識していない。
みちるは誰よりもれいこの側にいて誰よりも彼女を慕っているのに、誰よりも願いは叶わない。
ゆりに言わせれば、生殺しされている可愛い子うさぎちゃんとのこと。
れいこはそれを聞いて、
いいわね!まさにそれよ!
と腹を抱えて笑っていた。彼女は全くどこまでも歪んでいる。
「どうしたの?山代さん。」
「ケーキが食べたいとおっしゃっていたのでお持ちしたのです。ミカエル様こそ、どうなされたのですか?ずっと上の空でしたよ。」
そう言って、みちるはケーキの入った箱を取り出した。おおよそ、そのようなことをしているクラブに無理を言ってもってきたのだろう。
みると、そこにはショートケーキとチョコレートケーキがそれぞれ一つずつ。
「二つあるじゃない。どうしたの?」
「ミカエル様がどちらを選ばれるか決めかねて・・・二つ頂いてきました。」
決めかねて・・・って、それくらいわからないの?本当に使えない子!
内心は苛立ってはいるが、顔は極上の笑顔。
「さすが、山代さんね。私のために考えてくれたのね。」
れいこは、みちるの手を取って微笑む。
「でも、さすがに二つは食べられないから・・・どうしようかしら・・・。」
そうだわ!私と一緒に食べましょう。
もしかしたら、そう言ってくださるかもしれない。
みちるは、持ってはならない期待をしながられいこに話しかけようとする。
それと同時にれいこは目を大きくして何か思いついたようである。
「そうだわ!一緒に食べればいいのよ!」
「ミカエル様・・・っ!」
みちるは嬉しくて満面の笑みになるが、次のれいこの言葉で一気に突き落とされた。
「徳島さんよ!徳島さんを誘えばいいんだわ!!ね、山代さん。1年B組の徳島さんを呼んできて。」
「え・・・と、徳島さん?」
「そうよ、私が行くとまたびっくりしちゃうから・・・。お願い、早くここに連れてきてちょうだい。」
みちるは予想外もいいところの答えを受けて戸惑うばかり。
だが、れいこの言うことは絶対である。
「わ・・・わかりました。B組の徳島さんですね。ここに連れてきます。」
「ありがとう。いい子ね。」
そう言うと、れいこはゆっくりとみちるの頭を撫でてあげた。
まるで、ペットの子うさぎちゃんを扱うように。
何して遊ぼうかな。
何をしたら悦んでくれるかな。
純粋なあの子が乱れたら、どんなに可愛いだろう。
可愛い、可愛い、徳島さん!
れいこはそんなことを嬉しそうに考えながら、温室で紅茶を嗜んでいた。
この学院の温室は、温室というには広く、草木や花々が美しく管理されており、普段の学院生活の騒がしさから逃れてゆっくりとできる場所であった。
いつからか、テーブルや椅子が置かれ、ご丁寧なことにお茶のセットまで置かれている。(この管理は誰ともいわず下級生の役目になっていたのだが。)
まさに女生徒たちの憩いの場となっていた。
そして、そこにくれば大体、学院の「王子様」「お姫様」「大天使様」と出会えるので、下級生たちもこぞって通っていたのである。
れいこもそこに癒しを求めに来る「大天使様」の一人で、よくここで休んでいた。可愛い子品定めも兼ねて。
「・・・様、ミカエル様!!」
「え!?」
れいこは、ハッとして現実にようやく戻る。
するとそこには一人の愛らしい少女が立っていた。
小柄な背丈。髪型は腰までのポニーテール。ドングリみたいな可愛い瞳。
彼女の名前は山代みちる。高等部二年。
簡潔に説明すると、れいこの雑務係。悪くいえば下僕。
れいこの信奉者で、れいこが目をつけて以来ずっとそばに置き、あれをしてだのこれをしてこいだの散々と使っていた。勿論、とびきり優しく甘い言葉でお願いはしているのだが。
そばに置いておくからには、れいこのお眼鏡にかなう容姿をしているのであるが、彼女にとってみちるは完全に欲望の対象外であった。ただの可愛い小間使いとしか認識していない。
みちるは誰よりもれいこの側にいて誰よりも彼女を慕っているのに、誰よりも願いは叶わない。
ゆりに言わせれば、生殺しされている可愛い子うさぎちゃんとのこと。
れいこはそれを聞いて、
いいわね!まさにそれよ!
と腹を抱えて笑っていた。彼女は全くどこまでも歪んでいる。
「どうしたの?山代さん。」
「ケーキが食べたいとおっしゃっていたのでお持ちしたのです。ミカエル様こそ、どうなされたのですか?ずっと上の空でしたよ。」
そう言って、みちるはケーキの入った箱を取り出した。おおよそ、そのようなことをしているクラブに無理を言ってもってきたのだろう。
みると、そこにはショートケーキとチョコレートケーキがそれぞれ一つずつ。
「二つあるじゃない。どうしたの?」
「ミカエル様がどちらを選ばれるか決めかねて・・・二つ頂いてきました。」
決めかねて・・・って、それくらいわからないの?本当に使えない子!
内心は苛立ってはいるが、顔は極上の笑顔。
「さすが、山代さんね。私のために考えてくれたのね。」
れいこは、みちるの手を取って微笑む。
「でも、さすがに二つは食べられないから・・・どうしようかしら・・・。」
そうだわ!私と一緒に食べましょう。
もしかしたら、そう言ってくださるかもしれない。
みちるは、持ってはならない期待をしながられいこに話しかけようとする。
それと同時にれいこは目を大きくして何か思いついたようである。
「そうだわ!一緒に食べればいいのよ!」
「ミカエル様・・・っ!」
みちるは嬉しくて満面の笑みになるが、次のれいこの言葉で一気に突き落とされた。
「徳島さんよ!徳島さんを誘えばいいんだわ!!ね、山代さん。1年B組の徳島さんを呼んできて。」
「え・・・と、徳島さん?」
「そうよ、私が行くとまたびっくりしちゃうから・・・。お願い、早くここに連れてきてちょうだい。」
みちるは予想外もいいところの答えを受けて戸惑うばかり。
だが、れいこの言うことは絶対である。
「わ・・・わかりました。B組の徳島さんですね。ここに連れてきます。」
「ありがとう。いい子ね。」
そう言うと、れいこはゆっくりとみちるの頭を撫でてあげた。
まるで、ペットの子うさぎちゃんを扱うように。
0
あなたにおすすめの小説
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
秋の陽気(ようき)
転生新語
恋愛
元夫(もとおっと)が先月、亡くなった。四十九日法要が終わって、私は妹の娘と再会する……
カクヨム、小説家になろうに投稿しています。
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/822139836259441399
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n1892ld/
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる