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第八話
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暫くして。
みちるは不服ながらも徳島すみれをれいこの元へと連れてきた。
すみれは急に知らない先輩に温室に連れていかれ頭がパニックである。
しかも呼び出した主は、れいこときた。
もう何が何だか頭が追いつかない。
「こんにちは、徳島さん。」
「あ・・・あの・・・急に・・・どうなされたのですか?私なんかを呼び出して。」
「あら、嫌だった?」
すみれは、スカートをぎゅっと握り締めながらもごもごと小声で答える。
「嫌ではないです・・・。ただ・・・でも、私なんかに・・・。」
れいこは、すみれの手を取ると椅子に座らせた。そして耳元で囁くように言う。
「私なんか・・・なんて言わないで。貴女は充分に素敵よ。」
「そんな・・・。」
「それよりね、私、今日は徳島さんとお茶会しようと思って呼んだの。ほら、ケーキもあるのよ。ショートケーキとチョコレートケーキ、どちらがいいかしら。」
そう言ってれいこは、さも自分が用意したかのようにケーキを見せた。
「え!?ケーキ!?私、ショートケーキがいいです!!」
急に目を輝かせ珍しく大きな声で言うものだから、れいこは少し面食らった。
そんなれいこに気づき、すみれは、ハッとして自分の言動を恥じる。真っ赤な顔をしてまた下を向いてしまった。
「す、すみません・・・。つい・・・。」
「ふふふっ!面白い!!」
れいこは、思わず声をあげて笑ってしまった。
どうやら、この子は食べることが好きらしい。
れいこはそれが意外で逆にもっと気に入ったのである。
「徳島さんは、ケーキが好きなのね。」
「・・・すみません。私・・・なんて失礼なことを・・・。ミカエル様の前で・・・こんなこと・・・。」
「いいの。可愛いから。どうぞ、食べて?」
先ほどの行動を反省しているのか、ケーキを受け取ろうとする手が行ったり来たりしているが、ついに我慢できなくなり、謝りながら「いただきます。」とすみれはケーキを受け取ったのである。
そんな姿に、れいこはもう可愛くて可愛くて仕方がない。
ケーキを食べる姿は、猫というよりまるで犬みたい。表情がすぐ読める。
意外に単純な子ね。
この子、躾ければ従順な子になるのかしら。
おあずけしたらちゃんと待てるのかな。
そういうことは嫌がるのかな。
それとも猫みたいに気を逆立てて怒るタイプかしら。
どっちにしろ私にとって彼女は魅力的で・・・。
「美味しそう。」
「え・・・?」
不意にそう言われ、すみれがれいこの表情をうかがうと、れいこはにこりと微笑みかけた。
「徳島さんが、あまりにも嬉しそうに食べるから。つい。」
「ご、ごめんなさい。」
「いいの、謝ることじゃないわ。」
あの!じゃあ、このケーキ!半分こしますか?
すみれはそう軽率に言おうとして、慌てて口をつぐんだ。そしてまた恥ずかしくなる。
相手は、なおではなくミカエル様なのに。なんて自分は馬鹿なのだろう。
すみれは、ほとほと自分に呆れ、そして情けなくなってしまった。
じっとれいこを見ると、ゆっくりフォークを置いた。
みちるは不服ながらも徳島すみれをれいこの元へと連れてきた。
すみれは急に知らない先輩に温室に連れていかれ頭がパニックである。
しかも呼び出した主は、れいこときた。
もう何が何だか頭が追いつかない。
「こんにちは、徳島さん。」
「あ・・・あの・・・急に・・・どうなされたのですか?私なんかを呼び出して。」
「あら、嫌だった?」
すみれは、スカートをぎゅっと握り締めながらもごもごと小声で答える。
「嫌ではないです・・・。ただ・・・でも、私なんかに・・・。」
れいこは、すみれの手を取ると椅子に座らせた。そして耳元で囁くように言う。
「私なんか・・・なんて言わないで。貴女は充分に素敵よ。」
「そんな・・・。」
「それよりね、私、今日は徳島さんとお茶会しようと思って呼んだの。ほら、ケーキもあるのよ。ショートケーキとチョコレートケーキ、どちらがいいかしら。」
そう言ってれいこは、さも自分が用意したかのようにケーキを見せた。
「え!?ケーキ!?私、ショートケーキがいいです!!」
急に目を輝かせ珍しく大きな声で言うものだから、れいこは少し面食らった。
そんなれいこに気づき、すみれは、ハッとして自分の言動を恥じる。真っ赤な顔をしてまた下を向いてしまった。
「す、すみません・・・。つい・・・。」
「ふふふっ!面白い!!」
れいこは、思わず声をあげて笑ってしまった。
どうやら、この子は食べることが好きらしい。
れいこはそれが意外で逆にもっと気に入ったのである。
「徳島さんは、ケーキが好きなのね。」
「・・・すみません。私・・・なんて失礼なことを・・・。ミカエル様の前で・・・こんなこと・・・。」
「いいの。可愛いから。どうぞ、食べて?」
先ほどの行動を反省しているのか、ケーキを受け取ろうとする手が行ったり来たりしているが、ついに我慢できなくなり、謝りながら「いただきます。」とすみれはケーキを受け取ったのである。
そんな姿に、れいこはもう可愛くて可愛くて仕方がない。
ケーキを食べる姿は、猫というよりまるで犬みたい。表情がすぐ読める。
意外に単純な子ね。
この子、躾ければ従順な子になるのかしら。
おあずけしたらちゃんと待てるのかな。
そういうことは嫌がるのかな。
それとも猫みたいに気を逆立てて怒るタイプかしら。
どっちにしろ私にとって彼女は魅力的で・・・。
「美味しそう。」
「え・・・?」
不意にそう言われ、すみれがれいこの表情をうかがうと、れいこはにこりと微笑みかけた。
「徳島さんが、あまりにも嬉しそうに食べるから。つい。」
「ご、ごめんなさい。」
「いいの、謝ることじゃないわ。」
あの!じゃあ、このケーキ!半分こしますか?
すみれはそう軽率に言おうとして、慌てて口をつぐんだ。そしてまた恥ずかしくなる。
相手は、なおではなくミカエル様なのに。なんて自分は馬鹿なのだろう。
すみれは、ほとほと自分に呆れ、そして情けなくなってしまった。
じっとれいこを見ると、ゆっくりフォークを置いた。
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