22 / 43
第二十二話
しおりを挟む
上機嫌なのは、すみれも同じ。
スキップをしながら廊下を走る。飛び跳ねながら階段を降りる。
れいこさんのお部屋に入っちゃった!
れいこさんに制服借りちゃった!
れいこさんに髪の毛乾かしてもらっちゃった!
れいこさんと同じ香りになっちゃった!
れいこさん!れいこさん!!
私、れいこさんの特別に少しでもなれたのかな?
そう考えた時、すみれは立ち止まった。
れいこの部屋に入ったことがあるのは自分だけではない。
そう思うと、心が何やら変である。
相手はガブリエル様なのだから無理もない。
でも、れいこさんはガブリエル様のことどう思っているのかしら。
昔からの付き合いっていつから?
私が知るずっとずっと前からかしら?
それじゃあ、私なんて・・・。
すみれは、今度は落ち込む。
れいこでの言葉ではないが、すみれの感情は秋の空のようにコロコロ変わる。
だが、悲しさで制服をぎゅっとした時に、ふわりと薔薇の香りがした。
れいこの香りだ。
れいこさんは私に優しくしてくださる。
私はれいこさんに許されている。
優しい優しいお姉様。
それだけでいい。今は。
すみれは自分を抱きしめた。
れいこの匂いがする。
すみれはれいこを想ってその芳しく香りに包まれたのだった。
すみれが自分の部屋に帰ると、部屋は真っ暗で誰もいない。
「よかった!なおはまだ帰ってきていないわ!」
すみれは、どすっと自分のベッドに倒れ込む。ベッドが跳ねて髪が揺れる。
するとまたあの香り。
れいこさん、れいこさん!れいこさん!!
すみれは暫く夢見心地でうつ伏せになって寝転ぶと足をぶらぶらさせる。
だが次の瞬間、ハッとして起き上がった。
「大変!制服!隠さなきゃ!!なおに気づかれたら怒られちゃう!」
すみれは慌てて制服を脱いで畳む。下着姿になると部屋のクローゼットから私服を取り出そうとしたその時。
部屋の扉が開いた。
「ひゃぁっ!!」
なおが帰ってきたのである。
「すみれ、ただいま。ごめん遅くなって・・・ってあんた、どうしたの!?下着姿で正座して・・・。」
みると部屋の真ん中ですみれが下着姿で正座していた。
「あ、あのね。あの・・・私!待ってたの!!なおと遊ぼうと思って!!ずっと待ってたのよ!!」
「そんな格好で?」
すみれは何度も頷く。
「早く遊ぼうと思って!!ねぇ、何する?今日は何する?夕飯の前に遊びましょ?」
なおはすみれの奇行に訝しむが、こう甲斐甲斐しく待っていてくれていたなら悪い気はしない。なおは微笑みかける。
「すみれは本当に馬鹿な子ね。じゃあ、今日は久しぶりにおもちゃで遊ぼうか。」
それを聞いてすみれは飛び上がって手を振る。
「なお、それ、私苦手なの。知っているでしょ?私それ、嫌いなの。他の遊びしましょ?」
なおは、ため息をつくと仕方ないなと、すみれに近づく。
「わかった。じゃあ、何しようかな。」
そう言ってすみれをいつものように抱きしめる。が、彼女をすぐ引き離した。
「なお・・・?」
すみれが不思議そうな目で見ると、なおの表情は見たことのない恐ろしいものになっていた。
「違う。」
「え?」
「これ、わたしの匂いじゃない。誰?誰かと寝たの?」
「な、なお・・・?何を言っているの?私、何もしていないよ。」
「嘘。」
なおはちらりとベッドを見る。すると綺麗にたたまれている制服があった。
「これ・・・これも、貴女の匂いじゃない。私の匂いじゃない。誰よ・・・。貴女、私を裏切ったの?」
「違うの!!なお、私はれいこさんとそんな関係じゃないのよ?」
なおの手が止まる。
「れいこさん・・・ですって?」
「あ・・・。」
すみれは両手で口を押えた。
またこれだ。また言ってしまう。とことんすみれは隠し事が苦手ある。
「私との約束、覚えてないの?私を怒らせないでって言ったよね?」
「なお、誤解よ!違うの!!」
「いいわ。貴女の言う通り遊びましょうよ。貴女の嫌いな遊び。しましょ?」
「やめて・・・。なお、お願い。なおの言うことちゃんと聞く!だから、そんなことしないで。」
すみれは首を振りながら震えて懇願する。
「なお、ごめんなさい。怒らないで。怒らないで。」
なおはすみれに深く深く口づけすると、微笑んだ。
「すみれ、一緒に遊びましょう?」
スキップをしながら廊下を走る。飛び跳ねながら階段を降りる。
れいこさんのお部屋に入っちゃった!
れいこさんに制服借りちゃった!
れいこさんに髪の毛乾かしてもらっちゃった!
れいこさんと同じ香りになっちゃった!
れいこさん!れいこさん!!
私、れいこさんの特別に少しでもなれたのかな?
そう考えた時、すみれは立ち止まった。
れいこの部屋に入ったことがあるのは自分だけではない。
そう思うと、心が何やら変である。
相手はガブリエル様なのだから無理もない。
でも、れいこさんはガブリエル様のことどう思っているのかしら。
昔からの付き合いっていつから?
私が知るずっとずっと前からかしら?
それじゃあ、私なんて・・・。
すみれは、今度は落ち込む。
れいこでの言葉ではないが、すみれの感情は秋の空のようにコロコロ変わる。
だが、悲しさで制服をぎゅっとした時に、ふわりと薔薇の香りがした。
れいこの香りだ。
れいこさんは私に優しくしてくださる。
私はれいこさんに許されている。
優しい優しいお姉様。
それだけでいい。今は。
すみれは自分を抱きしめた。
れいこの匂いがする。
すみれはれいこを想ってその芳しく香りに包まれたのだった。
すみれが自分の部屋に帰ると、部屋は真っ暗で誰もいない。
「よかった!なおはまだ帰ってきていないわ!」
すみれは、どすっと自分のベッドに倒れ込む。ベッドが跳ねて髪が揺れる。
するとまたあの香り。
れいこさん、れいこさん!れいこさん!!
すみれは暫く夢見心地でうつ伏せになって寝転ぶと足をぶらぶらさせる。
だが次の瞬間、ハッとして起き上がった。
「大変!制服!隠さなきゃ!!なおに気づかれたら怒られちゃう!」
すみれは慌てて制服を脱いで畳む。下着姿になると部屋のクローゼットから私服を取り出そうとしたその時。
部屋の扉が開いた。
「ひゃぁっ!!」
なおが帰ってきたのである。
「すみれ、ただいま。ごめん遅くなって・・・ってあんた、どうしたの!?下着姿で正座して・・・。」
みると部屋の真ん中ですみれが下着姿で正座していた。
「あ、あのね。あの・・・私!待ってたの!!なおと遊ぼうと思って!!ずっと待ってたのよ!!」
「そんな格好で?」
すみれは何度も頷く。
「早く遊ぼうと思って!!ねぇ、何する?今日は何する?夕飯の前に遊びましょ?」
なおはすみれの奇行に訝しむが、こう甲斐甲斐しく待っていてくれていたなら悪い気はしない。なおは微笑みかける。
「すみれは本当に馬鹿な子ね。じゃあ、今日は久しぶりにおもちゃで遊ぼうか。」
それを聞いてすみれは飛び上がって手を振る。
「なお、それ、私苦手なの。知っているでしょ?私それ、嫌いなの。他の遊びしましょ?」
なおは、ため息をつくと仕方ないなと、すみれに近づく。
「わかった。じゃあ、何しようかな。」
そう言ってすみれをいつものように抱きしめる。が、彼女をすぐ引き離した。
「なお・・・?」
すみれが不思議そうな目で見ると、なおの表情は見たことのない恐ろしいものになっていた。
「違う。」
「え?」
「これ、わたしの匂いじゃない。誰?誰かと寝たの?」
「な、なお・・・?何を言っているの?私、何もしていないよ。」
「嘘。」
なおはちらりとベッドを見る。すると綺麗にたたまれている制服があった。
「これ・・・これも、貴女の匂いじゃない。私の匂いじゃない。誰よ・・・。貴女、私を裏切ったの?」
「違うの!!なお、私はれいこさんとそんな関係じゃないのよ?」
なおの手が止まる。
「れいこさん・・・ですって?」
「あ・・・。」
すみれは両手で口を押えた。
またこれだ。また言ってしまう。とことんすみれは隠し事が苦手ある。
「私との約束、覚えてないの?私を怒らせないでって言ったよね?」
「なお、誤解よ!違うの!!」
「いいわ。貴女の言う通り遊びましょうよ。貴女の嫌いな遊び。しましょ?」
「やめて・・・。なお、お願い。なおの言うことちゃんと聞く!だから、そんなことしないで。」
すみれは首を振りながら震えて懇願する。
「なお、ごめんなさい。怒らないで。怒らないで。」
なおはすみれに深く深く口づけすると、微笑んだ。
「すみれ、一緒に遊びましょう?」
0
あなたにおすすめの小説
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
秋の陽気(ようき)
転生新語
恋愛
元夫(もとおっと)が先月、亡くなった。四十九日法要が終わって、私は妹の娘と再会する……
カクヨム、小説家になろうに投稿しています。
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/822139836259441399
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n1892ld/
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる