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第二十七話
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それかられいことゆりは、金曜日の夜に教会で誓い合うという決まりにした。
毎週金曜日が来るたび胸が高鳴った。
それは、繰り返されてもなくなることはない。
れいこはますます美しくなっていくし、ゆりも美しさを増す。
この誓いはなんと素晴らしいことか!
永遠にそれが続くと思っていた。
少なくともゆりは。
二人が中等部二年のある日。
たしかそれは不吉な13日の金曜日の夜。
ゆりはいつもと同じように教会に行こうとした。
だがどうしても意識がはっきりしない。足がふらついて倒れてしまった。
その音に気づいて同じ部屋の子がゆりを抱き起こす。
「早見さん、酷い熱だわ。早くベッドに戻って。」
それからのことは覚えていない。
気が付いたのは次の日の夕方であった。
ゆりは、慌てて起き上がる。
れいことの約束を破ってしまった。
ゆりは、まだ少し意識がはっきりしないまま、れいこの部屋へ走った。
「ごめんなさい!れいこ!!私、熱が出ていて貴女の約束の日に行けなかったの。ごめんなさい!!」
するとれいこはゆっくり振り返った。そして微笑む。だがそれは以前と違って何か恐ろしい微笑みであった。
「いいの、ゆり。いいのよ。気にしないで。大丈夫。」
「れいこ・・・。本当に、私!!」
「謝らないで。でも、これきりにしましょう。もう、貴女はそこに来ない方がいいわ。」
ゆりは驚き頭が真っ白になった。
やはり、あの時無理をしてでも約束を守ればよかった。
そう思って必死にれいこの手を取る。
「だから、謝らないで。これは私の問題なの。貴女の事、嫌いになったわけではないの。違うの。でも、放っておいて。」
それから、れいこは変わってしまった。
勿論ゆりのことは怒っていないようで、いつも通り話してくれる。
ただ、れいこは変わってしまった。
あんなに綺麗だった長い髪の毛も切ってしまって。
それだけではない。
あんなに綺麗なものが好きで大事にするれいこだったのに、綺麗なものをすべて壊すようになった。
滅茶苦茶にして、壊すようになった。
ゆりがその理由を聞いてもいつも同じ答え。
「私、本当はこういう性格なの。貴女が何も知らなかっただけ。」
「ねぇ、お願いよ。そんなことしないで。私とのあの関係はなくなったの?」
するとれいこは微笑む。しかしそれは悪魔のように。
「関係・・・。どうしても関係を持ちたいなら、寝るだけの関係にしましょう。嫌ならいいのよ。」
ゆりは戸惑った。
自分たちの関係を壊すことに。
だが、それでもゆりはれいこと一緒にいたかった。自分が彼女を悪魔から守らなければいけない。その一心で彼女の提案に賛同したのであった。
それから、二人は高等部に進学した。
れいこの美貌は輝きを増す一方。だが、同時にれいこの悪は増す一方。
ゆりはだが、決して彼女を見捨てることはなかった。関係が変わってしまっても。
お互いの性格が変わってしまっても。
今は。今は。彼女のそばにいたい一心で。
ゆりもまた、変わってしまったのだ。
れいことゆり。
高等部一年の春。
毎週金曜日が来るたび胸が高鳴った。
それは、繰り返されてもなくなることはない。
れいこはますます美しくなっていくし、ゆりも美しさを増す。
この誓いはなんと素晴らしいことか!
永遠にそれが続くと思っていた。
少なくともゆりは。
二人が中等部二年のある日。
たしかそれは不吉な13日の金曜日の夜。
ゆりはいつもと同じように教会に行こうとした。
だがどうしても意識がはっきりしない。足がふらついて倒れてしまった。
その音に気づいて同じ部屋の子がゆりを抱き起こす。
「早見さん、酷い熱だわ。早くベッドに戻って。」
それからのことは覚えていない。
気が付いたのは次の日の夕方であった。
ゆりは、慌てて起き上がる。
れいことの約束を破ってしまった。
ゆりは、まだ少し意識がはっきりしないまま、れいこの部屋へ走った。
「ごめんなさい!れいこ!!私、熱が出ていて貴女の約束の日に行けなかったの。ごめんなさい!!」
するとれいこはゆっくり振り返った。そして微笑む。だがそれは以前と違って何か恐ろしい微笑みであった。
「いいの、ゆり。いいのよ。気にしないで。大丈夫。」
「れいこ・・・。本当に、私!!」
「謝らないで。でも、これきりにしましょう。もう、貴女はそこに来ない方がいいわ。」
ゆりは驚き頭が真っ白になった。
やはり、あの時無理をしてでも約束を守ればよかった。
そう思って必死にれいこの手を取る。
「だから、謝らないで。これは私の問題なの。貴女の事、嫌いになったわけではないの。違うの。でも、放っておいて。」
それから、れいこは変わってしまった。
勿論ゆりのことは怒っていないようで、いつも通り話してくれる。
ただ、れいこは変わってしまった。
あんなに綺麗だった長い髪の毛も切ってしまって。
それだけではない。
あんなに綺麗なものが好きで大事にするれいこだったのに、綺麗なものをすべて壊すようになった。
滅茶苦茶にして、壊すようになった。
ゆりがその理由を聞いてもいつも同じ答え。
「私、本当はこういう性格なの。貴女が何も知らなかっただけ。」
「ねぇ、お願いよ。そんなことしないで。私とのあの関係はなくなったの?」
するとれいこは微笑む。しかしそれは悪魔のように。
「関係・・・。どうしても関係を持ちたいなら、寝るだけの関係にしましょう。嫌ならいいのよ。」
ゆりは戸惑った。
自分たちの関係を壊すことに。
だが、それでもゆりはれいこと一緒にいたかった。自分が彼女を悪魔から守らなければいけない。その一心で彼女の提案に賛同したのであった。
それから、二人は高等部に進学した。
れいこの美貌は輝きを増す一方。だが、同時にれいこの悪は増す一方。
ゆりはだが、決して彼女を見捨てることはなかった。関係が変わってしまっても。
お互いの性格が変わってしまっても。
今は。今は。彼女のそばにいたい一心で。
ゆりもまた、変わってしまったのだ。
れいことゆり。
高等部一年の春。
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