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第三十話
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それから、れいこはすみれと一通り踊ると彼女の頭に顔をうずもれさせ、その香りをかぐ。
「私の香りね。」
そして、自分の手に付いたすみれの液を舐めながら言う。
「ご馳走様。」
すみれはというと膝を抱えて顔をうつぶせたまま肩を震わせていた。それを見たれいこは仕方がないと彼女に制服を着せようとした。
すると、すみれはその手を払いのける。
「服くらい、自分で着れます!!」
折角、気持ちのいいことをしてあげたのに何を言っているのか。
みんなこうすれば従順になったのに。
れいこは苛立ちを覚えて、すみれに無理やり口づけた。
だがしかし。
「・・・っ!!」
慌ててれいこが唇を離す。
そして、自分の唇をゆっくり触った。
血だ。
すみれに嚙みつかれたのである。
「血・・・。久しぶりに見たわ。貴女、私の顔に傷をつけたのね。私の顔に。」
「傷つけばいいのです!れいこさんは、綺麗でも何でもありません。綺麗なれいこさんなんていないのです。」
その言葉を聞いてれいこはすみれの頬を叩こうと手を振り上げた。
・・・が。
そのまま怒りに震える手を止めた。
綺麗でも何でもない。
綺麗なれいこはいない。
れいこはもう片方の手を握りしめる。
知らないくせに!
知らないくせに!!
貴女は私の事、何も知らないくせに!!!
思い出したくないことに触れないで!!
れいこはまた苛立ちながら手を下すと自分の爪を噛んだ。
この仕打ち!
この仕打ち!!
私が許しているのに!!!
許さない・・!
愛してなんかやらない。すぐ壊してしまおう。
そう思った時、れいこの部屋のドアがいきなり開いた。
するとそこには荒牧なおが立っていた。
「なお・・・!!」
「貴女が帰ってくるのが遅いから!!心配して・・・。どうしたのよ!?そんな恰好で!?」
すみれはただ泣いてなおに抱き付く。
まさか・・・。
「ミカエル・・・いいえ。犬飼先輩。すみれに何をしたのですか?」
れいこは荒牧なおを見下すように言う。
「何をしたって、そのままよ。すみれちゃんを美味しくいただけ。すごく可愛いのね、すみれちゃんて、どこもかしこも敏感で。貴女が大事にするのもわかるわ。でも気を付けて。その子、誰にでもやらしてくれるみたいだから。」
「この・・・っ!!」
「殴れるものなら殴りなさいよ。」
すみれは必死になおを引っ張って止める。
「なお、やめて。なお、こんな私のために怒ってくれるのは嬉しい。でもこんなことは駄目よ。」
こんな姿になりながらもすみれがしがみついて泣くものだから、なおは怒りを収めた。
だが、やはりそれは収まっていない。
なおはすみれに服を着せて彼女を立たせると抱き寄せた。そして今度はなおがれいこを見下して言う。
「先輩はすみれを手に入れることは決してできない。先輩はすみれの本当に悦んだ顔を見たの?すみれは私にしか見せない。先輩は本当にすみれの喘ぎ声を聞いたの?それって嫌がる声だけではないの?私は何度も絶頂に達する声を聞いたことがある。先輩はこの子を本当に思うように動かせたの?いいえ、できるはずがないわ。」
れいこの眉がピクリと動く。
「すみれは、貴女の事そういう目で見ていない。先輩が一人で勘違いして悦んでいただけ。恥ずかしいわね。そんな弱い悪魔見たことがない。すみれは絶対に渡さない。そしてすみれは貴女のところに絶対行かない!!」
れいこは唇をかみしめた。
れいことしたことが何一つ反論できない。
「行きましょう、すみれ。さようなら、哀れな悪魔。」
れいこは暫く彼女たちが去って躊躇いもなく閉めたドアを見つめる。
そして、唇をかみしめた。
唇の傷が悪化して血が流れる。
両こぶしを握り締めながら、彼女は怒りに震えていた。
「悔しい!悔しい!!悔しい!!!悔しい!!!!私にこんな思いをさせるなんて!!」
れいこは壁を思い切り殴ると、棚のガラス細工を投げつけて全て割ってしまった。
「哀れですって!?この私が!?ふざけるな!!私が負けるはずがない・・・!私は全部壊すの。壊せるの!じゃないと・・・じゃないと、あの時に戻ってしまう。思い出したくないっ!!」
れいこは涙を流し始めた。
悔しいから?彼女たちが憎いから?
いいえ、これは・・・。
「私は・・・。」
れいこはその場で崩れ去った。
彼女しか分からない理由で。
「私の香りね。」
そして、自分の手に付いたすみれの液を舐めながら言う。
「ご馳走様。」
すみれはというと膝を抱えて顔をうつぶせたまま肩を震わせていた。それを見たれいこは仕方がないと彼女に制服を着せようとした。
すると、すみれはその手を払いのける。
「服くらい、自分で着れます!!」
折角、気持ちのいいことをしてあげたのに何を言っているのか。
みんなこうすれば従順になったのに。
れいこは苛立ちを覚えて、すみれに無理やり口づけた。
だがしかし。
「・・・っ!!」
慌ててれいこが唇を離す。
そして、自分の唇をゆっくり触った。
血だ。
すみれに嚙みつかれたのである。
「血・・・。久しぶりに見たわ。貴女、私の顔に傷をつけたのね。私の顔に。」
「傷つけばいいのです!れいこさんは、綺麗でも何でもありません。綺麗なれいこさんなんていないのです。」
その言葉を聞いてれいこはすみれの頬を叩こうと手を振り上げた。
・・・が。
そのまま怒りに震える手を止めた。
綺麗でも何でもない。
綺麗なれいこはいない。
れいこはもう片方の手を握りしめる。
知らないくせに!
知らないくせに!!
貴女は私の事、何も知らないくせに!!!
思い出したくないことに触れないで!!
れいこはまた苛立ちながら手を下すと自分の爪を噛んだ。
この仕打ち!
この仕打ち!!
私が許しているのに!!!
許さない・・!
愛してなんかやらない。すぐ壊してしまおう。
そう思った時、れいこの部屋のドアがいきなり開いた。
するとそこには荒牧なおが立っていた。
「なお・・・!!」
「貴女が帰ってくるのが遅いから!!心配して・・・。どうしたのよ!?そんな恰好で!?」
すみれはただ泣いてなおに抱き付く。
まさか・・・。
「ミカエル・・・いいえ。犬飼先輩。すみれに何をしたのですか?」
れいこは荒牧なおを見下すように言う。
「何をしたって、そのままよ。すみれちゃんを美味しくいただけ。すごく可愛いのね、すみれちゃんて、どこもかしこも敏感で。貴女が大事にするのもわかるわ。でも気を付けて。その子、誰にでもやらしてくれるみたいだから。」
「この・・・っ!!」
「殴れるものなら殴りなさいよ。」
すみれは必死になおを引っ張って止める。
「なお、やめて。なお、こんな私のために怒ってくれるのは嬉しい。でもこんなことは駄目よ。」
こんな姿になりながらもすみれがしがみついて泣くものだから、なおは怒りを収めた。
だが、やはりそれは収まっていない。
なおはすみれに服を着せて彼女を立たせると抱き寄せた。そして今度はなおがれいこを見下して言う。
「先輩はすみれを手に入れることは決してできない。先輩はすみれの本当に悦んだ顔を見たの?すみれは私にしか見せない。先輩は本当にすみれの喘ぎ声を聞いたの?それって嫌がる声だけではないの?私は何度も絶頂に達する声を聞いたことがある。先輩はこの子を本当に思うように動かせたの?いいえ、できるはずがないわ。」
れいこの眉がピクリと動く。
「すみれは、貴女の事そういう目で見ていない。先輩が一人で勘違いして悦んでいただけ。恥ずかしいわね。そんな弱い悪魔見たことがない。すみれは絶対に渡さない。そしてすみれは貴女のところに絶対行かない!!」
れいこは唇をかみしめた。
れいことしたことが何一つ反論できない。
「行きましょう、すみれ。さようなら、哀れな悪魔。」
れいこは暫く彼女たちが去って躊躇いもなく閉めたドアを見つめる。
そして、唇をかみしめた。
唇の傷が悪化して血が流れる。
両こぶしを握り締めながら、彼女は怒りに震えていた。
「悔しい!悔しい!!悔しい!!!悔しい!!!!私にこんな思いをさせるなんて!!」
れいこは壁を思い切り殴ると、棚のガラス細工を投げつけて全て割ってしまった。
「哀れですって!?この私が!?ふざけるな!!私が負けるはずがない・・・!私は全部壊すの。壊せるの!じゃないと・・・じゃないと、あの時に戻ってしまう。思い出したくないっ!!」
れいこは涙を流し始めた。
悔しいから?彼女たちが憎いから?
いいえ、これは・・・。
「私は・・・。」
れいこはその場で崩れ去った。
彼女しか分からない理由で。
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