リア充するにもほどがある!? 生徒会から始まる、みずほ先輩の下僕ライフ365日

秋月 一成

文字の大きさ
21 / 68
【第四話 かつき君の不思議な夏の体験記】

【4-1】

しおりを挟む
 一学期の終業式終了後。争いが勃発した。

 こともあろうに場所は生徒会室。火花を散らしたふたりは才色兼備の副生徒会長、清川瑞穂きよかわみずほ――通称みずほ先輩と、この俺、黒澤克樹くろさわかつきである。

 きっかけを作ったのはみずほ先輩のほうだ。いや、俺なのかもしれない。

 一学期のカリキュラムを終えた生徒会のメンバーは皆、生徒会室に集合した。

 和気あいあいと今学期の総括をしながら荷物を片付ける。

 宇和野先輩は晴れ晴れとした顔であいさつをする。

「皆、今季もよく頑張ってくれた、お疲れな。ちなみに皆の働きについてはよく承知している」

 コホンと咳払いし、あらたまって続ける。

「円城に対する『学生お悩み相談』は今学期、なんと二十五件もあった。相変わらずの人気だな」

 たびたび耳にしてはいたが、円城嘉門えんじょうかもん先輩を相談役として指名する生徒は多いとのこと。一見ぶっきらぼうに見える先輩なのに、どこに人気の秘密が?

「はい、まあ適当に答えてますけどね」
「円城先輩、適当なんっすか⁉ いったいどんな回答を……」
「いやな、先日なんか、告白して振られたっていう一年の女子が泣きながらきたもんで、いちおうアドバイスしておいたよ。『とりあえず寝ろ。起きたら友達と街に出ろ。それから甘いものを食いつつ、その男の好きだったところを百個、日記に書いておけ。一年後にそれを読め。そのときに同じ気持ちだったらもう一度告白しろ』――ってな」
「なんか、怒涛の説得っすね」
「だろ? すげえ納得したみたいで、『はい、ずっと想い続けて、もういちど勇気を出したいと思います!』って前を向いて帰っていったぞ。――まあ、一年後に日記を読み直して赤面するのは目に見えているがな」

 円城先輩はうつむいてくっくと笑っている。このひと、脳の一部は悪魔の遺伝子からできているに違いない。

「だが人気がある反面、アンチも多いからな。その点は清川と違うだろ?」
「そうっすよね。円城先輩よく炎上してますもんね」

 円城先輩に対しては非難的な匿名の投書が多いし、「とんでもないこと言う人だった」という陰口を聞いたこともある。けれどそんなふうに敵が多いことが円城先輩にとっての誇りらしい。そのタフネスメンタル、右に出る者はいない。

 宇和野先輩はさらに続ける。

「それから『瑞穂のタウンアドベンチャー!』はいつもながら反響が大きいな」

『瑞穂のタウンアドベンチャー!』とは生徒会が発行する広報誌のコラムのひとつ。みずほ先輩が書いていて、学生への好感度はきわめて高い。そこで紹介した店舗やイベントは週末に「城西高校渋滞」という現象に見舞われるほどだ。

「いえいえそんな、みなさんの協力のおかげですよ~。かつき君の取材協力もすごく助かりましたし」
「みずほ先輩の直筆がポイント高い理由なんじゃないっすか?」

 南鷹先輩が栗色の髪をかき上げながら俺に同意する。

「私もそう思うなぁ~。隠れファン多いっていうじゃない?」

 褒められたみずほ先輩はちらと俺を見て困り顔。

「そんな、からかわないでくださいよぉ南鷹先輩。ファンなんていませんからー」

 事実なんだから否定しなくたっていいのに。それになぜ俺の顔色を気にしたんだ?

 それから南鷹先輩は面白そうにこんな提案をした。

「そうだ、夏休みの間に取材溜めしてきたらどう? 黒澤君と遠出してさ」
「ちょっ、南鷹先輩、やめてください!」

 派手に両手を振って顔を赤らめるみずほ先輩。

「いやー、今年の夏は楽しくなりそうね~、黒澤君!」
「俺はいいっすよー。どこまででもお供しますってば」

 一度決めたらやり抜くのが男ってもんだ。たとえそれが下僕という身分であっても。

「かつき君、みんなの前でそんなこと堂々と言わない!」

 えっ、なぜ俺は拒絶された⁉ 下僕は連れられてこそ、下僕だっていうのに。存在意義を否定されたようで悔しい。

 こうなったら、生徒会の最高権力者に同意を求めるしかない。

「だって公認の関係っすよ、いいじゃないっすか。ですよね、宇和野先輩?」

 振り向き宇和野先輩に視線を送る。

 ところが宇和野先輩の様子がおかしい。ひどく青ざめていて、わなわなと震えている。

「宇和野先輩、どうしたんすか⁉」
「黒澤……お前、夏休みはゆっくり休め。無理に取材をしちゃだめだ。あとで反動が来るぞ」
「えっ⁉ せっかく時間があるっていうのに」
「お前は気付いていないようだが、取材ってのは想像以上に精神を蝕むんだ。俺はお前が取材しすぎで廃人にならないか心配しているんだ」
「まじっすか! ううっ、宇和野先輩、優しい言葉をありがとうございます!」

 宇和野先輩は何につけて俺のことを気にかけてくれる。青くなってまで心配してくれる兄貴分の先輩に胸が熱くなる。

 そんな感動の余韻を残し、一学期の生徒会活動はお開きとなった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」   「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」 この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。 半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。 別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。 そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。 学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー ⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。 ⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 ※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

処理中です...