リア充するにもほどがある!? 生徒会から始まる、みずほ先輩の下僕ライフ365日

秋月 一成

文字の大きさ
40 / 68
【第五話 みずほ先輩の壮絶な生徒会長選挙】

【5-6】

しおりを挟む
 戻ると宇和野先輩は壇上の玉城圭吾とにらみ合っていた。

「演説を前に逃げ出してしまうような無責任な輩に、この学校を任せることなんてできません! さあ、いなくなった理由を説明してください、現生徒会長さん!」

 宇和野先輩は答えに窮していた。生徒たちも何事かとざわめいていて、戦況は明らかに不利な雰囲気だった。

 もとの席に戻った俺は、宇和野先輩のかわりに玉城圭吾に向かって叫ぶ。

「みずほ先輩は無責任な輩なんかじゃありません!」

 そして壇上へ駆け上がり、玉城圭吾からマイクを奪い取る。

「玉城先輩、今度は俺たちの演説の番です。みずほ先輩はすぐに戻ってきますから、そのあいだ、みずほ先輩がどれだけ素晴らしいひとなのか、俺が教えてあげますよ!」

 しつこく居座ろうとする玉城圭吾を突き放し、全校生徒に向かって思いのたけを込めて伝える。

「清川瑞穂先輩、あのひとはいつだって一生懸命に生きているひとです。たとえば広報誌のコラムの取材、あれはぜんぶみずほ先輩がやっているんですよ! それに、誰に対しても思いやりがあるんですよ。だって今、姿を消したのは、その優しさが原因なんですから――」

 それから俺はみずほ先輩との猫の救出劇について語った。緊張で胸が高鳴り、声はひどく震えた。でも気持ちが止まらない。

 さらに、みずほ先輩と一緒に過ごした時間を思い出しながら、いいところも、怖いところも、そして――俺がみずほ先輩をどんなふうに思っているのかも、ぜんぶ語りつくした。

「――だから、俺はそんなみずほ先輩を心底、尊敬しています!」

 言い終わってから、自分の息が荒いことに気づいた。他人のことでこんなにむきになったのは初めてだ。

 いや、みずほ先輩は俺にとって、他人なんかじゃないのかもしれない。

 そこでみずほ先輩がジャージ姿で現れた。早足で登壇し俺の隣に並ぶ。

「おまたせ、かつき君」
「待ってました。ようやっと真打登場っすね」

 マイクを手渡し顔を見合わせる。同時にうなずく。

 俺が一歩下がると、みずほ先輩は全校生徒に向き合いあいさつをする。

「皆様、長らくお待たせしました!」

 会場からはいっせいに拍手喝采が沸き起こる。皆、羨望の眼差しをみずほ先輩に向けている。

 かたや、みずほ先輩は予想外の歓迎ぶりに戸惑いを隠せない。

「みんな、みずほ先輩の演説を心待ちにしていたようですよ」

 俺はそう言い残してきびすを返す。舞台袖に降りたところで声が響く。

「皆さん聞いてください、わたしが生徒会長になったあかつきには、学校の改革に乗り出したいと思います。まずはこの学校の校則を――」

 みずほ先輩らしい、自信に満ちあふれた、どこまでも響く声。

 会場はしだいに、その美しい音色に包まれていった――。



「いやいや、なかなか立派だったぞ!」
「恐縮です、宇和野先輩。それにみんなありがとう」

 生徒会室で称えられるみずほ先輩はひどく赤面している。

「これで僕も心置きなく受験勉強に打ち込めるってもんだ」

 選挙の結末は壮絶だった。みずほ先輩の圧勝、それも玉城圭吾を支持した人数は、彼の陣営の人数よりも少なかったという。

「みずほ先輩、もはや学校のアイドルから王女様に昇格っすね」
「そんな……みんなに支えられたおかげだよ。かつき君、ほんとうに助かったよ」

 俺が壇上で猫の話を持ち出したから、みずほ先輩は質疑応答で猫との関係を責め立てられた。

 玉城圭吾は攻撃的だったが、正直に話したことが好感を得、結果的に支持者は増え、しかも餌付けの件はお咎めなしとなった。

 さらに里親のオファーが殺到し、万々歳の結末となった。

「しかし会長としての最初の仕事が餌付けだなんて、みずほ先輩らしいっすね」
「そうかしら。でも、引き渡しまでは責任持って面倒を見なくちゃ」

 選挙の後、みずほ先輩の演説に感動した校長の独断により、里親が決まるまでの期間限定で猫の飼育が許可された。

 野良猫を卒業した以上、餌付けは条例違反ではない。

 窓の外では魚肉ソーセージをたらふく食した猫たちが丸まって寝息を立てていた。すべては丸く収まったということか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンスクミ〜学園のアイドルと偶然同じバイト先になったら俺を3度も振った美少女までついてきた〜

野谷 海
恋愛
「俺、やっぱり君が好きだ! 付き合って欲しい!」   「ごめんね青嶋くん……やっぱり青嶋くんとは付き合えない……」 この3度目の告白にも敗れ、青嶋将は大好きな小浦舞への想いを胸の内へとしまい込んで前に進む。 半年ほど経ち、彼らは何の因果か同じクラスになっていた。 別のクラスでも仲の良かった去年とは違い、距離が近くなったにも関わらず2人が会話をする事はない。 そんな折、将がアルバイトする焼鳥屋に入ってきた新人が同じ学校の同級生で、さらには舞の親友だった。 学校とアルバイト先を巻き込んでもつれる彼らの奇妙な三角関係ははたしてーー ⭐︎第3部より毎週月・木・土曜日の朝7時に最新話を投稿します。 ⭐︎もしも気に入って頂けたら、ぜひブックマークやいいね、コメントなど頂けるととても励みになります。 ※表紙絵、挿絵はAI作成です。 ※この作品はフィクションであり、作中に登場する人物、団体等は全て架空です。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件

こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。 ・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。 ・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。 ・物静かで儚げな美術部員。 ・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。 ・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。 拓海の生活はどうなるのか!?

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

処理中です...