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【最終話 みずほ先輩の華麗なる誘導尋問】
【8-3】
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あわてた結果、眼鏡を落としたみたいで、はいつくばり両手でバタバタと床を叩いている。どうやらド近眼で眼鏡を見失ったらしい。
見るに見かねた俺は眼鏡を拾いあげ、愛美ちゃんの目の前にかがみ込む。
愛美ちゃんは四つんばいのまますっとんきょうな顔で俺を見上げる。
「探し物、これだろ?」
俺はその顔にそっと眼鏡をかけてやった。愛美ちゃんの頬が突然、紅に染まる。
「す、すいません……。恥ずかしいところを見せちゃって……」
「ふっ、この失敗は努力の結果だろ。きみの頑張りは今、俺の胸に深く刻まれた」
やんわりとフォローしつつ散らかった本を寄せ集める。
「優しいんですね。え、と、確か副生徒会長の……」
「黒沢克樹。ちなみに男にとっちゃ優しいなんて褒め言葉にならねえんだよ」
「えっ、そっ、そうなんですか? 失礼しましたっ!」
ペコペコと頭を下げる愛美ちゃん。同級生なのにていねい語で、しかも仕草がたどたどしい。なかなか可愛らしい妹キャラだ。
「それにしても、ひとりでやってるんだな。誰か誘えばいいのに」
「私、あがり症だし友達少なくて……」
「そっか。まあ、俺でよければ話し相手になってあげるよ」
「ほっ、ほんとうですかっ⁉ 嬉しいです!」
喜んでもらえて幸いだ。これは副生徒会長として、生徒のお悩みをひとつ、解決してあげられることになる。
以来、俺はたびたび図書室に足を運び、愛美ちゃんとお喋りをするようになった。
「黒澤君、私、観たい映画があるんですよ~。でも、一緒に行ってくれる人がいなくて……」
「そうか、じゃあ俺が一緒に観に行ってもいいけど、どうする?」
「えっ、いいんですかっ⁉ ありがとうございます!」
会話の流れで映画を観に行くことになった。愛美ちゃんはぼっち映画を回避できて喜んでいる。ふふふ、これぞ副生徒会長の矜恃。
映画は村を襲った鬼に復讐をするストーリーの人気アニメ。戦いがエキサイティングで人気を博している。
ところが冒頭で恐ろしい姿の鬼が出現した瞬間、愛美ちゃんは「うーん」と泡を吹いて意識を失った。
「あ……」
どうやら彼女は怖いものが大の苦手らしい。アニメだからとなめてかかったのがいけなかったのだろう。
今度、声をかけられたら、ほのぼのした映画を勧めようと俺は心に誓った――。
愛美ちゃんを回想した俺は答えを再考する。
――そうだ、四番目の愛美ちゃんは正解がわかるはずなのに、すぐに答えなかった。
これは鬼が呪いをかける問題だ。だから鬼の姿を目の当たりにした愛美ちゃんが正気でいられるはずはない。
たぶん今頃、最後尾で人知れずカニのように泡を吹いていることだろう。
答えられる状態ではなくなったと考えれば、愛美ちゃんは正解であるはずがない。
「――というわけで、俺は愛美ちゃんは選ばない!」
「よし、なるほど。わかったわ」
みずほ先輩は納得したようで首を縦に大きく振る。
「じゃあ、誰を選ぶのかな」
「そんなの、速攻で決められるでしょ」
俺はふたたび、あっさりと回答した。
「俺が選ぶのは三番目の青葉さんっす。だって、青葉さんはふたり分の焼き印を確認できますけど、二番目のみずほ先輩は俺の焼き印しか見られないですよね。だとすると、青葉さんのほうが正解する確率が高そうですから」
答えると、みずほ先輩はふたたび両手のひらを俺に向けぶんぶんと首を横に振る。
「ほんとうにそれでいいの? 青春は短いんだよ? 無駄にしちゃダメなんだよ? もう少しよく考えて答えてよ!」
「はぁ、なにが青春でなにが無駄なんすか。みずほ先輩、頭大丈夫っすか?」
「とっ、と・に・か・く、今すぐ答えを再考しなさい! してくださいっ!」
むぅ、今日のみずほ先輩は明らかに錯乱している。なにか悪いものでも食ったのだろうか。たとえば妄想誘発作用のある毒キノコみたいなやつとか。
しかし、どうして青葉さんを選ばせてくれないのだろうか。
そこで俺は次に選んだ三番目の青葉さんのことを回想した。
見るに見かねた俺は眼鏡を拾いあげ、愛美ちゃんの目の前にかがみ込む。
愛美ちゃんは四つんばいのまますっとんきょうな顔で俺を見上げる。
「探し物、これだろ?」
俺はその顔にそっと眼鏡をかけてやった。愛美ちゃんの頬が突然、紅に染まる。
「す、すいません……。恥ずかしいところを見せちゃって……」
「ふっ、この失敗は努力の結果だろ。きみの頑張りは今、俺の胸に深く刻まれた」
やんわりとフォローしつつ散らかった本を寄せ集める。
「優しいんですね。え、と、確か副生徒会長の……」
「黒沢克樹。ちなみに男にとっちゃ優しいなんて褒め言葉にならねえんだよ」
「えっ、そっ、そうなんですか? 失礼しましたっ!」
ペコペコと頭を下げる愛美ちゃん。同級生なのにていねい語で、しかも仕草がたどたどしい。なかなか可愛らしい妹キャラだ。
「それにしても、ひとりでやってるんだな。誰か誘えばいいのに」
「私、あがり症だし友達少なくて……」
「そっか。まあ、俺でよければ話し相手になってあげるよ」
「ほっ、ほんとうですかっ⁉ 嬉しいです!」
喜んでもらえて幸いだ。これは副生徒会長として、生徒のお悩みをひとつ、解決してあげられることになる。
以来、俺はたびたび図書室に足を運び、愛美ちゃんとお喋りをするようになった。
「黒澤君、私、観たい映画があるんですよ~。でも、一緒に行ってくれる人がいなくて……」
「そうか、じゃあ俺が一緒に観に行ってもいいけど、どうする?」
「えっ、いいんですかっ⁉ ありがとうございます!」
会話の流れで映画を観に行くことになった。愛美ちゃんはぼっち映画を回避できて喜んでいる。ふふふ、これぞ副生徒会長の矜恃。
映画は村を襲った鬼に復讐をするストーリーの人気アニメ。戦いがエキサイティングで人気を博している。
ところが冒頭で恐ろしい姿の鬼が出現した瞬間、愛美ちゃんは「うーん」と泡を吹いて意識を失った。
「あ……」
どうやら彼女は怖いものが大の苦手らしい。アニメだからとなめてかかったのがいけなかったのだろう。
今度、声をかけられたら、ほのぼのした映画を勧めようと俺は心に誓った――。
愛美ちゃんを回想した俺は答えを再考する。
――そうだ、四番目の愛美ちゃんは正解がわかるはずなのに、すぐに答えなかった。
これは鬼が呪いをかける問題だ。だから鬼の姿を目の当たりにした愛美ちゃんが正気でいられるはずはない。
たぶん今頃、最後尾で人知れずカニのように泡を吹いていることだろう。
答えられる状態ではなくなったと考えれば、愛美ちゃんは正解であるはずがない。
「――というわけで、俺は愛美ちゃんは選ばない!」
「よし、なるほど。わかったわ」
みずほ先輩は納得したようで首を縦に大きく振る。
「じゃあ、誰を選ぶのかな」
「そんなの、速攻で決められるでしょ」
俺はふたたび、あっさりと回答した。
「俺が選ぶのは三番目の青葉さんっす。だって、青葉さんはふたり分の焼き印を確認できますけど、二番目のみずほ先輩は俺の焼き印しか見られないですよね。だとすると、青葉さんのほうが正解する確率が高そうですから」
答えると、みずほ先輩はふたたび両手のひらを俺に向けぶんぶんと首を横に振る。
「ほんとうにそれでいいの? 青春は短いんだよ? 無駄にしちゃダメなんだよ? もう少しよく考えて答えてよ!」
「はぁ、なにが青春でなにが無駄なんすか。みずほ先輩、頭大丈夫っすか?」
「とっ、と・に・か・く、今すぐ答えを再考しなさい! してくださいっ!」
むぅ、今日のみずほ先輩は明らかに錯乱している。なにか悪いものでも食ったのだろうか。たとえば妄想誘発作用のある毒キノコみたいなやつとか。
しかし、どうして青葉さんを選ばせてくれないのだろうか。
そこで俺は次に選んだ三番目の青葉さんのことを回想した。
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