嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜

𝓝𝓞𝓐

文字の大きさ
37 / 45
私、帝国領で暴れます!

私、突入します!

しおりを挟む
「ふぃ~……。極楽極楽」

 あ、どうも。セレスティアさんです。私は今、温泉でカッポーン! してます。お外にある、露天風呂っていうお風呂で一息ついてるところですね。もちろん、仕切りで隠されてますからね! 覗かれる心配は無いですよ。

 魔物の軍勢はどうしたんだって? 無視してますけど、それが何か? だって、私には関係ないないんだも~ん。たまたま入った都市が、たまたま魔物の軍勢に襲われ始めただけで……。

 ……似たような出来事が、直近であった……ような……? いえいえいえいえ、アレはだって、真後ろに居た訳ですし。流石に関係無いですよね。うんうん。

 それより今は温泉ですよ。ふぃ~。極楽ですぅ~。

 温泉と言えば、天然か人口か、という二種類があるみたいですけど、ぶっちゃけそんな事は関係無いのです。どうでもいいのです。こう言うのは、雰囲気とリラックス出来るかどうかが大切なので!

『『『『『グルァァァァァァ!!!!』』』』』

 壁の外側が賑やかしいですね。こう言うのも風情がある、というのでしょうか? まあ、今の私が出ていったところで、あんまり役には経ちそうにないですしね。魔法使うと頭痛が痛い! みたいな状態になりますもん。

 まあ、私のところまで来たらブッコロ☆しますけどね。限界突破ってやつです。何故ならこの場には、

「あ、あの……本当に大丈夫でしょうか……」
「うぇ? ああ、はい。だいじょぶですよぉ~」

 そう、ミーナスさんがいるのです。仕切りを跨いだ奥側には、弟子もいます。なので、ここまで魔物たちが迫って来たのなら、それはもう無理をしないといけない時間というお話ですよ。

 私がある程度回復するまで時間を稼いでくれたら、ちゃーんと全部殲滅してあげます! って約束もしてますし、シルベスターさんたちが頑張ってくれるでしょう。

 それまでの間、私たちはゆっくりのほほんと過ごしていれば良いのです。うむ。苦しゅうない!

「……そ、そうですか……。ですが、やはり私は不安になってしまって……」
「んぁ~。んー。ふむふむ。あまり温泉を楽しめてないんですね……? なるほどなるほど」

 ……ピコピコ動いているお耳が可愛いです。弟子にもあるのかな……?

 いえ、そうではなくって。ミーナスさんはやっぱり、人間に捕らえられていてずっと一人だった訳ですから、ちょっとした事でも不安になってしまうのでしょう。今は弟子も近くにおりませんし……。

「はっ! 私はなんと言うことを!」

 そうです。生き別れた母子を即(仕切りで)切り離すなど、言語道断だったのです! 人間の所業じゃありません!
「お前ら(ら?)人間じゃねェッ!!!!!(迫真)」と言われても文句を言えないレベルです。

 気付いてしまったのなら、正す他ありません! てなワケで、弟子を呼ぶ事にします。

「すぅぅぅぅ。弟ーーー子ーーー!!! こっちへーー!! 来てくださいーー!!!」
「っ!?!!? な、ななな、何をっ!!?」
「え? 弟子を呼んだんですよ……? ミーナスさん、不安なんですよね? 母親として。あっ、大丈夫ですよ。オーナーさんとかは、もちろん許してくれると思うので!」

 今は《音届おとどけ》の魔法も使えませんからね。仕方なく大声を出しました。普通ならマナー違反の行為ですけど、今は状況が状況なので、貸切状態なのです。……なんなら、オーナーさんもいません。

 なので、小さな男の子が女風呂に入ろうが、ボインバインの女が男風呂に入ろうが、大した問題では無いのです。ええ。どうせ客なんて来ませんからね。

 やっぱり、母子は一緒にいませんとね。弟子はまだまだ子供ですし、女風呂にいてもおかしくは無いでしょう。それこそ、他のお客さんがいたところで、指を指してわーわー言われる程の年齢まではいってませんよね。

 だから、問題なし! です。

「……返事ないですね? 弟子もちゃんと温泉に入っているはずですけど……」
「そ、そうですね……? もう上がっちゃったのでは無いでしょうか」
「え? でも、声をかけた時に、バッシャァァンって音、聞こえましたよね……?」
「え、いや、確かに聞こえましたけど……」

 おかしいですね。弟子は、決して無視をするような子では無いんですけど。……もしかして、沈んでる……?

 可能性……、普通にあるのでは? と言うか、そう考えるのが一番自然なのでは?

「ミーナスさん。弟子の命が危ないです! 突入しますよ!」
「ファッッっ!?!!?」

 善は急げ! 命が危ない!
 いざ突入!!!

 ドガァァァァァン

 木で作られている仕切りなど、私が少し魔力を纏えば一撃です! よっしゃい!!! いくらでも穴開けたりますよ!

 バシャバシャドカドカと音を立てながら男湯(非常事態により貸し切り)に侵入すると、真ん中の方で泡がぶくぶくしていました! まずいですよ! 弟子が死ぬ!!!

 私は、ええ。とてもとても、焦っていたのです。非常に異常に、焦っていたのです。何と言っても、弟子の命の危機ですからね。
 ですので、変な魔法をクリエイトしちゃうくらいは、まあ、ご愛嬌です。

「消滅魔法ッッ!!!《温泉消滅お湯消えろ》ッッッ!!!!!」

 ブジョワァッッッ!!!

 お湯は無事、全て消えました。ふう。これで一安し……、弟子が息をしていない!

「ミーナスさんッ! 弟子が死んだ!!!」「!!?!?!!!?」

 セレスティアさんは、今までにないほど焦っていた。それはもう、ヤベェくらいに焦っていた。「息していない」を、間違えて「死んだ」と言ってしまうくらいには、焦っていた。

 暴走したセレスティアさんが、今まで何をしてきたか。皆様は、覚えておられるだろうか? 直近のもので言うと、アレだ。氷像手前皇子殺害未遂事件だ。そして少し遡ると、う○ちぶりぶりブリガ○ンと、頭のおかしい事を考えてしまっていたりだとか。

 まあ要するに、セレスティアさんは暴走すると、何を仕出かすか分からないヤベェ天然女なのである。

 今回もまあ、当然、やらかさないはずもなかった。

 ちなみにだが、弟子を温泉に沈めたのはセレスティアさん本人である。
 良かれと思って発した、あの呼びかけが原因だった。

 酷い天然な女である。

════════════════
エール感謝14本目!

ランキング駆け下がるのを見ていると切ないです(n꒪꒳꒪n)ブエッ
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか

あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。 「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」 突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。 すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。 オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……? 最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意! 「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」 さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は? ◆小説家になろう様でも掲載中◆ →短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます

処理中です...