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<ジルベール>シリアス ルート
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握りしめた手から、感覚がなくなっていく。
―― まずい
どうにかしなければと、焦りだけがつのっていく。心配げな声に、応えている余裕がない。
ふと景色が、ぶれた。身構えたが、遅い。周りが緑に変化していく。どうやら森の中の映像を見ているらしいことが分かった。勢いよく景色が、動いていく。
―― 速く、速くっ!
息が、上がる。足がもつれそうになる。それでも速くいかないと。
―― 行くなっ!
木々の間を、駆けているのが分かる。誰なのかは、はっきりとは分からない。ただいつもの子供のような気がした。焦りと不安と、案じる心が伝わってくる。ひどく急いでいるようだ。
けれど、なんでだろうか。引き留めたくて、しょうがない。行かせては、ならない気がした。何の根拠も、ない。けれど気づけば、声を張り上げて止めていた。だが振り絞ってあげた声は、音にならない。
足を止めたいのに掴んででも、止めてしまいたいのに何もできない。ただ見ていることしかできない。
木の間を抜けて、見えた姿に声を張り上げる。
『お父さん!』
耳に届いた声に、いつもの子供だと確信を抱く。
必死に父親を、捜していたらしい。安堵した様子が、伝わってきた。
―― どういう状況だ
なにもないなら、会えてよかったなって思う。捜していた父親を見つけられて、良かったなで終わる。けど子供の視界を通してみた光景に、息をのんだ。
一斉に向けられた視線に、穏やかさはない。
鎧を着こんで、手には長剣を持っている。そんな連中が、何十人もいる。鎧がこすれる音が聞こえる。気づけば目の前に、剣を振り上げた男が見えた。
慌てて術を構築しようとする。
父さんが母さんが、褒めてくれた。術を構築するのが、早いって。凄いって。
子供の考えていることが、伝わってきた。そこには、確かに自信があった。大好きな親が、褒めてくれた。それを疑うことなく信じてる。でもきっとそれは、子供のための優しい嘘だ。
―― 間に合わない
体が震えて、うまくできない。子供の感じた恐怖が、足元から駆け抜けていく。
『お父さん……』
『いい子だ。父さんのそばを、離れるなよ』
子供を切り捨てようとした男が、崩れ落ちていくのが見えた。気づけば穏やかな声が、聞こえてくる。視線をあげれば優しい目を向けた、子供の父親に抱えられていた。
―― まずい
どうにかしなければと、焦りだけがつのっていく。心配げな声に、応えている余裕がない。
ふと景色が、ぶれた。身構えたが、遅い。周りが緑に変化していく。どうやら森の中の映像を見ているらしいことが分かった。勢いよく景色が、動いていく。
―― 速く、速くっ!
息が、上がる。足がもつれそうになる。それでも速くいかないと。
―― 行くなっ!
木々の間を、駆けているのが分かる。誰なのかは、はっきりとは分からない。ただいつもの子供のような気がした。焦りと不安と、案じる心が伝わってくる。ひどく急いでいるようだ。
けれど、なんでだろうか。引き留めたくて、しょうがない。行かせては、ならない気がした。何の根拠も、ない。けれど気づけば、声を張り上げて止めていた。だが振り絞ってあげた声は、音にならない。
足を止めたいのに掴んででも、止めてしまいたいのに何もできない。ただ見ていることしかできない。
木の間を抜けて、見えた姿に声を張り上げる。
『お父さん!』
耳に届いた声に、いつもの子供だと確信を抱く。
必死に父親を、捜していたらしい。安堵した様子が、伝わってきた。
―― どういう状況だ
なにもないなら、会えてよかったなって思う。捜していた父親を見つけられて、良かったなで終わる。けど子供の視界を通してみた光景に、息をのんだ。
一斉に向けられた視線に、穏やかさはない。
鎧を着こんで、手には長剣を持っている。そんな連中が、何十人もいる。鎧がこすれる音が聞こえる。気づけば目の前に、剣を振り上げた男が見えた。
慌てて術を構築しようとする。
父さんが母さんが、褒めてくれた。術を構築するのが、早いって。凄いって。
子供の考えていることが、伝わってきた。そこには、確かに自信があった。大好きな親が、褒めてくれた。それを疑うことなく信じてる。でもきっとそれは、子供のための優しい嘘だ。
―― 間に合わない
体が震えて、うまくできない。子供の感じた恐怖が、足元から駆け抜けていく。
『お父さん……』
『いい子だ。父さんのそばを、離れるなよ』
子供を切り捨てようとした男が、崩れ落ちていくのが見えた。気づけば穏やかな声が、聞こえてくる。視線をあげれば優しい目を向けた、子供の父親に抱えられていた。
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