94 / 151
<ジルベール>恋愛ルート
12
しおりを挟む
「すまない」
「えっ、どうしたんだい?」
お茶を持ってきてくれたジルベールに、まず謝る。ただ何についての謝罪か前置きをしなかったから、不思議そうに返された。
「閉じ込められていたから、来られなかったんだろう。あいつが一人で来た時に、確認すれば良かった」
「確かに閉じ込められたけど、君は何も悪く無いよ。だから謝らないで」
ジルベールの言うとおり全面的に悪いのは、従兄の奴ではある。普通はこんなものを作って、閉じ込めたりしない。俺もまさかそんなことになっているなんて、想像もしなかった。
けど従兄と話しながら歩いているときに、こんなものに閉じ込められていたと思うと何というか気分が沈む。
「本当に気にしないで」
「分かった」
これ以上何か言うと、逆に気を遣わせるかもしれないから言われたとおりにすることにした。
「さっき言った通りユージスの事を話すよ。何か聞きたいことある?」
「……」
そういえば、そんなことを言っていた。強固な術を施せるという印象が、従兄を閉じ込める変態に変わってしまったせいで関心が消えてしまっていた。
でもあれだな、話題を発展させる努力は、したほうがいいのかもしれない。頑張るか。
「これはどれくらいで、構築したんだ?」
「気づいたらあっという間に……凄いだろユージスは」
はっきりとした答えは返ってこないが、ほんの数秒で術を構築したということだろうか。見た目は華奢で、だが強靱な氷だ。これを作れるのなら確かに凄い。俺では足下にも及ばないのは分かる。
凄いとは思う。間違いなく凄い。けど従兄の実力云々より、ジルベールの様子の方が気になった。従兄を褒めたとき、なんというか自虐的な表情をしたんだ。気のせいかも知れないけれど、なんというか従兄が来てから何時もと違う表情ばかりしている。
あいつが嫌いなだけなら、別にそれでいいのだが。なんか引っかかる。
「俺と五歳しか違わないんだけど、国立の研究機関で二番目に偉くて異例の出世だって言われてる」
「そうか」
聞いてもいないのに従兄のことを、話し始める。どんな立場にいるのか。どれだけ術に関して優れているか。内容だけ聞いていれば、従兄の自慢をしているように見えるが表情からは明るさが見えない。
なんと返すのが、良いのだろうか。コミュ力が低いから、こういうとき直ぐに適切な対応が思い浮かばない。
―― あいつに、コンプレックスでもあるのか?
ふと思い浮かんだ考えに、自分が最悪の返しをしたかもしれないことに気づく。もしジルベールが、従兄に劣等感を持っているなら興味があるかの問いに肯定したのは不味かったのではないか。
―― いや、もう少し話を聞くか
コミュ力ゼロの俺が、早々に決めつけたら大火傷に発展しかねない。
今分かっているのは、ジルベールが何時もと様子が違うことだ。原因をこれだと決めて間違ったら、傷つけることになりかねない。
俺にもう少しというか人並みのコミュ力があれば、良かったのにな……そうすればジルベールが、何を思っているのか分かったかも知れない。
ただそう思ったところで、俺のコミュ力が一気にあがったりはしない。そんな都合の良いことは、モブには起きないものだ。
今、俺に出来るのは、ジルベールの話を聞いて俺なりに考えることくらいだ。しょうがない、モブはモブらしく欲張らないにしないとな。
―― よし、ちゃんと話を聞くぞ
なんと言っても、友達だからな。
言葉にせずに決意して、ジルベールの話に耳を傾けた。
「えっ、どうしたんだい?」
お茶を持ってきてくれたジルベールに、まず謝る。ただ何についての謝罪か前置きをしなかったから、不思議そうに返された。
「閉じ込められていたから、来られなかったんだろう。あいつが一人で来た時に、確認すれば良かった」
「確かに閉じ込められたけど、君は何も悪く無いよ。だから謝らないで」
ジルベールの言うとおり全面的に悪いのは、従兄の奴ではある。普通はこんなものを作って、閉じ込めたりしない。俺もまさかそんなことになっているなんて、想像もしなかった。
けど従兄と話しながら歩いているときに、こんなものに閉じ込められていたと思うと何というか気分が沈む。
「本当に気にしないで」
「分かった」
これ以上何か言うと、逆に気を遣わせるかもしれないから言われたとおりにすることにした。
「さっき言った通りユージスの事を話すよ。何か聞きたいことある?」
「……」
そういえば、そんなことを言っていた。強固な術を施せるという印象が、従兄を閉じ込める変態に変わってしまったせいで関心が消えてしまっていた。
でもあれだな、話題を発展させる努力は、したほうがいいのかもしれない。頑張るか。
「これはどれくらいで、構築したんだ?」
「気づいたらあっという間に……凄いだろユージスは」
はっきりとした答えは返ってこないが、ほんの数秒で術を構築したということだろうか。見た目は華奢で、だが強靱な氷だ。これを作れるのなら確かに凄い。俺では足下にも及ばないのは分かる。
凄いとは思う。間違いなく凄い。けど従兄の実力云々より、ジルベールの様子の方が気になった。従兄を褒めたとき、なんというか自虐的な表情をしたんだ。気のせいかも知れないけれど、なんというか従兄が来てから何時もと違う表情ばかりしている。
あいつが嫌いなだけなら、別にそれでいいのだが。なんか引っかかる。
「俺と五歳しか違わないんだけど、国立の研究機関で二番目に偉くて異例の出世だって言われてる」
「そうか」
聞いてもいないのに従兄のことを、話し始める。どんな立場にいるのか。どれだけ術に関して優れているか。内容だけ聞いていれば、従兄の自慢をしているように見えるが表情からは明るさが見えない。
なんと返すのが、良いのだろうか。コミュ力が低いから、こういうとき直ぐに適切な対応が思い浮かばない。
―― あいつに、コンプレックスでもあるのか?
ふと思い浮かんだ考えに、自分が最悪の返しをしたかもしれないことに気づく。もしジルベールが、従兄に劣等感を持っているなら興味があるかの問いに肯定したのは不味かったのではないか。
―― いや、もう少し話を聞くか
コミュ力ゼロの俺が、早々に決めつけたら大火傷に発展しかねない。
今分かっているのは、ジルベールが何時もと様子が違うことだ。原因をこれだと決めて間違ったら、傷つけることになりかねない。
俺にもう少しというか人並みのコミュ力があれば、良かったのにな……そうすればジルベールが、何を思っているのか分かったかも知れない。
ただそう思ったところで、俺のコミュ力が一気にあがったりはしない。そんな都合の良いことは、モブには起きないものだ。
今、俺に出来るのは、ジルベールの話を聞いて俺なりに考えることくらいだ。しょうがない、モブはモブらしく欲張らないにしないとな。
―― よし、ちゃんと話を聞くぞ
なんと言っても、友達だからな。
言葉にせずに決意して、ジルベールの話に耳を傾けた。
123
あなたにおすすめの小説
流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆4月19日18時から、この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」を1話ずつ公開予定です。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
第2王子は断罪役を放棄します!
木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。
前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。
それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。
記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる!
ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる!
スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します!
この話は小説家になろうにも投稿しています。
美形×平凡のBLゲームに転生した平凡騎士の俺?!
元森
BL
「嘘…俺、平凡受け…?!」
ある日、ソーシード王国の騎士であるアレク・シールド 28歳は、前世の記憶を思い出す。それはここがBLゲーム『ナイトオブナイト』で美形×平凡しか存在しない世界であること―――。そして自分は主人公の友人であるモブであるということを。そしてゲームのマスコットキャラクター:セーブたんが出てきて『キミを最強の受けにする』と言い出して―――?!
隠し攻略キャラ(俺様ヤンデレ美形攻め)×気高い平凡騎士受けのハチャメチャ転生騎士ライフ!
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる