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エヘッ! 7
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「やって来ました! 魔女の国!」
おみっちゃんは魔女の国にいる。
「いらっしゃいませ! 美味しい! お茶とお団子はいかがですか!」
一生懸命に働く茶店の看板娘のおみっちゃん。
「成仏されるまでこき使ってやる! イヒッ!」
守銭奴の女将さん。
「じゃあね。おみっちゃん。メアリー先輩と一緒に犬の国を攻め滅ぼしてくるわね。バイバイ。」
魔女っ子たちは犬の国を攻めに行った。
「行ってらっしゃい! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「今度はアメリカン・ドックでも作るとするか。」
新商品の開発に余念がない女将さん。
「ご一緒にフランクフルトとポテトもいかがですか? エヘッ!」
意外と優秀なエヘ幽霊。
「さあ、どうすればおみっちゃんにファンができるか、一般大衆の共感を得て応援してもらえるかをかんがえるよ。そうすれば茶店の売り上げも看板娘を見たさに行列が増えることは間違いないからね。イヒッ!」
おみっちゃんのためなのか、茶店の売り上げのためか分からない女将さんの善意。
「困りましたね。どうすればいいんでしょ? 私がいじめられっ子設定なら、今時の多くの学生さんは自分と同じだと応援してくるんでしょうか? それとも「ざまあみろ! もっといじめろ!」と今時の一般大衆は悪意の塊なのでしょうか?」
暗い世の中だと思うおみっちゃん。
「私も意見を言ってもよろしいかな?」
そこに一人の男性が現れる。
「あら? お客さん。お茶とお団子のおかわりですか? 毎度有り! おみっちゃん! 早くお出しして!」
女将さんは商売上手である。
「いえ!? お茶とお団子は結構です。」
お客は断る。
「残念でした! もうお出ししたのでお茶とお団子20人前の料金を頂きます! エヘッ!」
2人前ではなく20人前を請求するエヘ幽霊。
「ここは北新地のぼったくりバーか!?」
お客は困惑する。
「いいえ。美味しいお茶とお団子の茶店ですよ。エヘッ!」
恐るべし! 看板娘のエヘ幽霊。
「話を戻しますが、どうでしょう? 生い立ちから考えるというのは。生まれ、幼少期、成人、老い。それが今のあなたを作ってくれるのですから。キャラクターも過去も未来も考えなければいけません。」
お客さんはもっともらしいことを言う。
「やるね。お客さん。」
女将さんは感心する。
「では私の生まれから考えてみましょう。」
おみっちゃんは自分の生い立ちを考える。
「私は普通の人間として生まれました。歌が好きな女の子でいつも歌を歌っていました。ある日、歌の歌いすぎで喉を壊してしまいます。」
おみっちゃんは元々は人間だった。
「そこでデスボイスが生まれたんだ。」
女将さんは地獄の始まりを知る。
「細かいことは気にしないで私は歌を歌い続けます。するとお父さん、お母さん、村の人々は私の極度の音痴でデスボイスを聞いて体内爆発を起こし次々と死んでいきました。」
村人皆殺し! これがデスボイスの初陣である。
「それか幼い頃に村に盗賊が急襲してきて親を殺された所を見てしまい、悲しみと呪いを手に入れる。それがデスボイスだ!」
エヘ幽霊にも悲しみがあった。おみっちゃんがエヘッ! 笑いで感情が壊れているのはこのためかもしれない。
「不幸の数だけ物語は盛り上がるからな。」
お客さんも他人の不幸が大好きだ。
「一人で彷徨っていた私は女将さんと出会って茶店の看板娘として元気いっぱいに働くのでした。エヘッ!」
これがエヘ幽霊の生い立ちである。
「あんた、子供のころから恐ろしかったんだね。」
呆れる女将さん。
「いいえ。子供の頃から可愛かったんです。エヘッ!」
可愛さには自信があるエヘ幽霊。
「どうでしょう? おみっちゃんが幽霊ならたくさんの人間たちと仲良く暮らし、その人間の死をお見送りするというのが今の流行です。おみっちゃんは幽霊なので不老不死みたいなもの。実は300年幽霊やってますの方が拍が付いて良いのではないでしょうか?」
お客さんも立派なアイデアを出す。
「それいいね。でも魔女も幽霊みたいなものだから、魔女っ子たちもなかなか死なないよ。」
寿命ゲームですな。
「おみっちゃんと出会って・・・・・・死ぬ所までやるか? 毎回、誰かを殺す所までやるか?」
不幸な物語。
「人殺し、大量虐殺、細菌兵器、パンデミック、不幸が大きければ大きい程、物語は劇的になる。例えば巨人に人間が食われるとか、鬼に家族を殺されるとか、妹を鬼にされるとか。何か新しい不幸を考え出す必要はない。ありきたりの不幸でいい。不幸でさえあれば。見る人間の心さえ引き付けることができれば。」
それが進撃の巨人、鬼滅の刃である。
「私の不幸は幼い頃に両親を失った。悲しみの末にデスボイスを手に入れた。これ以上の不幸は私には必要ないですよね。女将さんの所で修行して侍忍者になりましたからね。そこから渋い谷の茶店、イギリス、そして魔界ですからね。」
おみっちゃんは意外にも不幸な女であった。
「生き物に不幸は付き物。誰にも不幸はある。」
新しい格言である。
「しかし、不幸がエネルギーの源になるパターンもありますよね。」
不幸があるから、不幸から這い上がるために人は努力して強くなる。乗り越えるために成長するのが生き物だ。
「昔の人が言っていた。不幸があるから物語が劇的になると。」
物語を作るのは課題、困難などの不幸な話を作るということかもしれない。悲しく思えてくる創作活動。
「一層のことおみっちゃんを亡国の姫にしてしまうか?」
新しい提案である。
「いいえ。私は普通の村人設定です。エヘッ!」
否定するエヘ幽霊。
「これならどうだ? 本当は姫だけど、何らかの事情で村に預けられていたというのは。」
これなら辻褄が合う。
「何らかの事情ってなんですか?」
おみっちゃんの素朴な疑問。
「命を狙われていたとか、死を呼ぶ歌声を代々引き継ぐ呪われた一族の末裔だとか。」
客さんの男性も一歩も引かない。
「なら私の本当のお父さんとお母さんはどこに!?」
おみっちゃんの質問。
「どこかのお城の王様と妃。若しくはあの世・・・・・・。」
悲しいおみっちゃんの両親。
「ですよね。だって私300年生きていますもの。未だに生きてたらおかしいですもん。クスン。」
少し寂しそうな表情を見せるおみっちゃん。
「でもおみっちゃんのように幽霊かゾンビになって生きているかもしれないよ。」
優しい女将さん。
「そうか! その手があったか! エヘッ!」
両親に会える可能性が広がり喜ぶエヘ幽霊。
「良かったね。おみっちゃん。」
面倒見のいい女将さん。
「はい! ありがとうございます! 女将さん! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊の復活である。
「そうだな。何も物語が動かないから同じことの繰り返しで面白くないんだな。1話完結で一般大衆がどこからでも見れるという利点はあるんだけど。」
お客さんは良いことに気がついた。
「なら物語が動けば同じことの繰り返しではなくなり面白くなるということだ。」
結論としてパターンを変えろということである。
「でも大きく物語を動かせば、途中から見る一般大衆は何がなんだか分からないのついてこれない。」
困ったものだ。
「毎話毎話、話を少しだけ動かすしかないか。」
これでも1話に1国を滅ぼすおみっちゃんのおかげで既に3国を魔女の国は滅ぼしている。これが少しの変化だ。
「ありがとうございます! お客さんのおかげで私の生い立ちや物語の勧め方が分かりました! エヘッ!」
お客さんに感謝するエヘ幽霊。
「お客さん、お名前は?」
おみっちゃんはお客さんに名前を尋ねてみた。
「私の名前はドラゴン・ジェネラル。魔女の国を偵察に来たものです。」
お客さんの正体はドラゴンの国の将軍のドラゴン・ジェネラルであった。
「ありがとう! ドラ・ジェネさん! エヘッ!」
特に魔女でもないおみっちゃんは心からドラゴン・ジェネラルに感謝する。
「不思議な気持ちだ。こんなに誰かに感謝されたことが今まであっただろうか?」
ドラゴン・ジェネラルの心の隙間におみっちゃんの細菌が侵入して悪い心を犯していく。
「大変だ!」
そこに血相を変えてメグが帰ってくる。
「どうした? 関羽!」
おみっちゃんが出迎える。
「誰が関羽だ!? 私はメグだ!」
あくまでも三国志ベース。
「そんなことより大変だ! 犬の国もドラゴン国に魂を売り渡していて、ドック。ドラゴンが暴れていて、サリーとアッコが危ないんだ!」
ピンチのサリーとアッコ。
「なんだって!? 張飛と趙雲がピンチだって!?」
あくまでも三国志。
「メアリ先輩はどうした?」
魔女のメアリ先輩。
「あっさりドック・ドラゴンにやられたよ。」
メアリ先輩は殉職した。
「こうしてはいられない! 女将さん! 救援に行ってきます!」
おみっちゃんは犬の国を目指した。
「行ってらっしゃい! サボった分は給料を減らしておくからね!」
鬼の女将さん。
「おみっちゃんは魔女ではないのにどうして魔女の援軍に行くのですか?」
ドラゴン・ジェネラルは女将さんに尋ねる。
「私たちは魔女の国で茶店を出させてもらっているので仕方が無く協力してるんですよ。イヒッ!」
義理堅い女将さん。
「そんな!? あんなか弱いお嬢さんが戦に行くだなんて!? 魔女の国は大量虐殺を行うような強大で凶悪な極悪魔女がいる国ですよ!?」
これがドラゴン・ジェネラルの魔女の国の認識である。
「そうだね。あはははっは・・・・・・。」
その極悪皆殺し魔女の正体がおみっちゃんだと言えない女将さん。
「こうしてはいられない! おみっちゃんを助けに行かなければ!」
ドラゴン・ジェネラルは犬の国におみっちゃんを助けに行こうとした。
「やめときな。あの子は無事に戻って来るから。それよりもおみっちゃんを助けたいんなら、皿を洗いな! お客さんを待たせるんじゃないよ!」
女将さんはおみっちゃんの代わりの皿洗いを見つけた。
「はい・・・・・・。」
女将さんの迫力に負け、これがおみっちゃんの助けになるのならと皿洗いをするドラゴン・ジェネラル。
「ギャアアアアアアー!」
「助けて! お母さん!」
サリーとアッコは生死の境にいた。
「犬と思ってなめるなよ! 我が犬の国はドラゴンの国の傘下に入りドラゴンの力を分け与えられたのだ! ワッハッハー!」
犬の国はドラゴンの国に魂を売り渡していた。
「張飛! 趙雲! 助けに来たわよ!」
そこにおみっちゃんが現れる。
「おみっちゃん!」
「なんでもいいから助けて!」
名前なんか気にしていられない魔女っ子たち。
「新しい魔女か? 死ね! ドック・ドラゴン・ファイア!」
犬が火を吐いた。
「キャアアアアアアー!」
おみっちゃんは炎に包まれた。
「援軍も大したことがないな! ワッハッハー!」
ドック・ドラゴンは勝ったつもりで有頂天だった。
「それはどうかしら? エヘッ!」
炎の中からエヘ幽霊が現れる。
「バカな!? おまえは炎で燃やしたはず!? なぜだ!?」
想定外の事態に驚くドック・ドラゴン。
「私は既に死んでいる。」
おみっちゃんは幽霊なので炎なんかは透き通るのでダメージを与えられないのであった。
「おみっちゃんは幽霊なのだ!」
「その通り! おみっちゃんは強いんだからね!」
魔女っ子たちが息を吹き返す。
「幽霊だと!? ふざけるな! ドラゴンの力を手に入れた私は最強なのだ!」
しかしドック・ドラゴンは自分が相手を侮っていると認めることができなかった。
「せっかくなのでここで歌を歌いたいと思います。」
いきなり歌を歌いだそうとするおみっちゃん。
「はあ!? 戦闘中だぞ!? 何を考えている!?」
ドック・ドラゴンは型破りな展開に戸惑う。
「耳栓用意!」
魔女っ子たちは耳栓をする。
「1番! おみっちゃん歌います! 曲は犬のおまわりちゃん! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃん極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「最後にドックフードが食べたかった。ギャアアアアアアー!」
ドック・ドラゴンはおみっちゃんのデスボイスに耐え切れずに体内爆発を起こして消えていった。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
更におみっちゃんは気持ち良く歌を歌い続ける。
「ワン!? ギャアアアアアアー!」
「アベシ!」
「ヒデブ!」
「ブシュ!」
「チュウ!」
「ホギャ!」
犬の国の犬たちもおみっちゃんの歌声に耐え切れずに体内爆発を起こして死んでいく。
「ご清聴ありがとうございました。ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
おみっちゃんは歌を歌い終えた。
「あれ? 誰もいない? もっとたくさんの人に私の歌を聞いてもらいたいな。」
そして犬の国は誰もいなくなった。
「お腹も空いたし帰りますか。エヘッ!」
今日もおみっちゃんは幸せに暮らしましたとさ。
つづく。
おみっちゃんは魔女の国にいる。
「いらっしゃいませ! 美味しい! お茶とお団子はいかがですか!」
一生懸命に働く茶店の看板娘のおみっちゃん。
「成仏されるまでこき使ってやる! イヒッ!」
守銭奴の女将さん。
「じゃあね。おみっちゃん。メアリー先輩と一緒に犬の国を攻め滅ぼしてくるわね。バイバイ。」
魔女っ子たちは犬の国を攻めに行った。
「行ってらっしゃい! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「今度はアメリカン・ドックでも作るとするか。」
新商品の開発に余念がない女将さん。
「ご一緒にフランクフルトとポテトもいかがですか? エヘッ!」
意外と優秀なエヘ幽霊。
「さあ、どうすればおみっちゃんにファンができるか、一般大衆の共感を得て応援してもらえるかをかんがえるよ。そうすれば茶店の売り上げも看板娘を見たさに行列が増えることは間違いないからね。イヒッ!」
おみっちゃんのためなのか、茶店の売り上げのためか分からない女将さんの善意。
「困りましたね。どうすればいいんでしょ? 私がいじめられっ子設定なら、今時の多くの学生さんは自分と同じだと応援してくるんでしょうか? それとも「ざまあみろ! もっといじめろ!」と今時の一般大衆は悪意の塊なのでしょうか?」
暗い世の中だと思うおみっちゃん。
「私も意見を言ってもよろしいかな?」
そこに一人の男性が現れる。
「あら? お客さん。お茶とお団子のおかわりですか? 毎度有り! おみっちゃん! 早くお出しして!」
女将さんは商売上手である。
「いえ!? お茶とお団子は結構です。」
お客は断る。
「残念でした! もうお出ししたのでお茶とお団子20人前の料金を頂きます! エヘッ!」
2人前ではなく20人前を請求するエヘ幽霊。
「ここは北新地のぼったくりバーか!?」
お客は困惑する。
「いいえ。美味しいお茶とお団子の茶店ですよ。エヘッ!」
恐るべし! 看板娘のエヘ幽霊。
「話を戻しますが、どうでしょう? 生い立ちから考えるというのは。生まれ、幼少期、成人、老い。それが今のあなたを作ってくれるのですから。キャラクターも過去も未来も考えなければいけません。」
お客さんはもっともらしいことを言う。
「やるね。お客さん。」
女将さんは感心する。
「では私の生まれから考えてみましょう。」
おみっちゃんは自分の生い立ちを考える。
「私は普通の人間として生まれました。歌が好きな女の子でいつも歌を歌っていました。ある日、歌の歌いすぎで喉を壊してしまいます。」
おみっちゃんは元々は人間だった。
「そこでデスボイスが生まれたんだ。」
女将さんは地獄の始まりを知る。
「細かいことは気にしないで私は歌を歌い続けます。するとお父さん、お母さん、村の人々は私の極度の音痴でデスボイスを聞いて体内爆発を起こし次々と死んでいきました。」
村人皆殺し! これがデスボイスの初陣である。
「それか幼い頃に村に盗賊が急襲してきて親を殺された所を見てしまい、悲しみと呪いを手に入れる。それがデスボイスだ!」
エヘ幽霊にも悲しみがあった。おみっちゃんがエヘッ! 笑いで感情が壊れているのはこのためかもしれない。
「不幸の数だけ物語は盛り上がるからな。」
お客さんも他人の不幸が大好きだ。
「一人で彷徨っていた私は女将さんと出会って茶店の看板娘として元気いっぱいに働くのでした。エヘッ!」
これがエヘ幽霊の生い立ちである。
「あんた、子供のころから恐ろしかったんだね。」
呆れる女将さん。
「いいえ。子供の頃から可愛かったんです。エヘッ!」
可愛さには自信があるエヘ幽霊。
「どうでしょう? おみっちゃんが幽霊ならたくさんの人間たちと仲良く暮らし、その人間の死をお見送りするというのが今の流行です。おみっちゃんは幽霊なので不老不死みたいなもの。実は300年幽霊やってますの方が拍が付いて良いのではないでしょうか?」
お客さんも立派なアイデアを出す。
「それいいね。でも魔女も幽霊みたいなものだから、魔女っ子たちもなかなか死なないよ。」
寿命ゲームですな。
「おみっちゃんと出会って・・・・・・死ぬ所までやるか? 毎回、誰かを殺す所までやるか?」
不幸な物語。
「人殺し、大量虐殺、細菌兵器、パンデミック、不幸が大きければ大きい程、物語は劇的になる。例えば巨人に人間が食われるとか、鬼に家族を殺されるとか、妹を鬼にされるとか。何か新しい不幸を考え出す必要はない。ありきたりの不幸でいい。不幸でさえあれば。見る人間の心さえ引き付けることができれば。」
それが進撃の巨人、鬼滅の刃である。
「私の不幸は幼い頃に両親を失った。悲しみの末にデスボイスを手に入れた。これ以上の不幸は私には必要ないですよね。女将さんの所で修行して侍忍者になりましたからね。そこから渋い谷の茶店、イギリス、そして魔界ですからね。」
おみっちゃんは意外にも不幸な女であった。
「生き物に不幸は付き物。誰にも不幸はある。」
新しい格言である。
「しかし、不幸がエネルギーの源になるパターンもありますよね。」
不幸があるから、不幸から這い上がるために人は努力して強くなる。乗り越えるために成長するのが生き物だ。
「昔の人が言っていた。不幸があるから物語が劇的になると。」
物語を作るのは課題、困難などの不幸な話を作るということかもしれない。悲しく思えてくる創作活動。
「一層のことおみっちゃんを亡国の姫にしてしまうか?」
新しい提案である。
「いいえ。私は普通の村人設定です。エヘッ!」
否定するエヘ幽霊。
「これならどうだ? 本当は姫だけど、何らかの事情で村に預けられていたというのは。」
これなら辻褄が合う。
「何らかの事情ってなんですか?」
おみっちゃんの素朴な疑問。
「命を狙われていたとか、死を呼ぶ歌声を代々引き継ぐ呪われた一族の末裔だとか。」
客さんの男性も一歩も引かない。
「なら私の本当のお父さんとお母さんはどこに!?」
おみっちゃんの質問。
「どこかのお城の王様と妃。若しくはあの世・・・・・・。」
悲しいおみっちゃんの両親。
「ですよね。だって私300年生きていますもの。未だに生きてたらおかしいですもん。クスン。」
少し寂しそうな表情を見せるおみっちゃん。
「でもおみっちゃんのように幽霊かゾンビになって生きているかもしれないよ。」
優しい女将さん。
「そうか! その手があったか! エヘッ!」
両親に会える可能性が広がり喜ぶエヘ幽霊。
「良かったね。おみっちゃん。」
面倒見のいい女将さん。
「はい! ありがとうございます! 女将さん! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊の復活である。
「そうだな。何も物語が動かないから同じことの繰り返しで面白くないんだな。1話完結で一般大衆がどこからでも見れるという利点はあるんだけど。」
お客さんは良いことに気がついた。
「なら物語が動けば同じことの繰り返しではなくなり面白くなるということだ。」
結論としてパターンを変えろということである。
「でも大きく物語を動かせば、途中から見る一般大衆は何がなんだか分からないのついてこれない。」
困ったものだ。
「毎話毎話、話を少しだけ動かすしかないか。」
これでも1話に1国を滅ぼすおみっちゃんのおかげで既に3国を魔女の国は滅ぼしている。これが少しの変化だ。
「ありがとうございます! お客さんのおかげで私の生い立ちや物語の勧め方が分かりました! エヘッ!」
お客さんに感謝するエヘ幽霊。
「お客さん、お名前は?」
おみっちゃんはお客さんに名前を尋ねてみた。
「私の名前はドラゴン・ジェネラル。魔女の国を偵察に来たものです。」
お客さんの正体はドラゴンの国の将軍のドラゴン・ジェネラルであった。
「ありがとう! ドラ・ジェネさん! エヘッ!」
特に魔女でもないおみっちゃんは心からドラゴン・ジェネラルに感謝する。
「不思議な気持ちだ。こんなに誰かに感謝されたことが今まであっただろうか?」
ドラゴン・ジェネラルの心の隙間におみっちゃんの細菌が侵入して悪い心を犯していく。
「大変だ!」
そこに血相を変えてメグが帰ってくる。
「どうした? 関羽!」
おみっちゃんが出迎える。
「誰が関羽だ!? 私はメグだ!」
あくまでも三国志ベース。
「そんなことより大変だ! 犬の国もドラゴン国に魂を売り渡していて、ドック。ドラゴンが暴れていて、サリーとアッコが危ないんだ!」
ピンチのサリーとアッコ。
「なんだって!? 張飛と趙雲がピンチだって!?」
あくまでも三国志。
「メアリ先輩はどうした?」
魔女のメアリ先輩。
「あっさりドック・ドラゴンにやられたよ。」
メアリ先輩は殉職した。
「こうしてはいられない! 女将さん! 救援に行ってきます!」
おみっちゃんは犬の国を目指した。
「行ってらっしゃい! サボった分は給料を減らしておくからね!」
鬼の女将さん。
「おみっちゃんは魔女ではないのにどうして魔女の援軍に行くのですか?」
ドラゴン・ジェネラルは女将さんに尋ねる。
「私たちは魔女の国で茶店を出させてもらっているので仕方が無く協力してるんですよ。イヒッ!」
義理堅い女将さん。
「そんな!? あんなか弱いお嬢さんが戦に行くだなんて!? 魔女の国は大量虐殺を行うような強大で凶悪な極悪魔女がいる国ですよ!?」
これがドラゴン・ジェネラルの魔女の国の認識である。
「そうだね。あはははっは・・・・・・。」
その極悪皆殺し魔女の正体がおみっちゃんだと言えない女将さん。
「こうしてはいられない! おみっちゃんを助けに行かなければ!」
ドラゴン・ジェネラルは犬の国におみっちゃんを助けに行こうとした。
「やめときな。あの子は無事に戻って来るから。それよりもおみっちゃんを助けたいんなら、皿を洗いな! お客さんを待たせるんじゃないよ!」
女将さんはおみっちゃんの代わりの皿洗いを見つけた。
「はい・・・・・・。」
女将さんの迫力に負け、これがおみっちゃんの助けになるのならと皿洗いをするドラゴン・ジェネラル。
「ギャアアアアアアー!」
「助けて! お母さん!」
サリーとアッコは生死の境にいた。
「犬と思ってなめるなよ! 我が犬の国はドラゴンの国の傘下に入りドラゴンの力を分け与えられたのだ! ワッハッハー!」
犬の国はドラゴンの国に魂を売り渡していた。
「張飛! 趙雲! 助けに来たわよ!」
そこにおみっちゃんが現れる。
「おみっちゃん!」
「なんでもいいから助けて!」
名前なんか気にしていられない魔女っ子たち。
「新しい魔女か? 死ね! ドック・ドラゴン・ファイア!」
犬が火を吐いた。
「キャアアアアアアー!」
おみっちゃんは炎に包まれた。
「援軍も大したことがないな! ワッハッハー!」
ドック・ドラゴンは勝ったつもりで有頂天だった。
「それはどうかしら? エヘッ!」
炎の中からエヘ幽霊が現れる。
「バカな!? おまえは炎で燃やしたはず!? なぜだ!?」
想定外の事態に驚くドック・ドラゴン。
「私は既に死んでいる。」
おみっちゃんは幽霊なので炎なんかは透き通るのでダメージを与えられないのであった。
「おみっちゃんは幽霊なのだ!」
「その通り! おみっちゃんは強いんだからね!」
魔女っ子たちが息を吹き返す。
「幽霊だと!? ふざけるな! ドラゴンの力を手に入れた私は最強なのだ!」
しかしドック・ドラゴンは自分が相手を侮っていると認めることができなかった。
「せっかくなのでここで歌を歌いたいと思います。」
いきなり歌を歌いだそうとするおみっちゃん。
「はあ!? 戦闘中だぞ!? 何を考えている!?」
ドック・ドラゴンは型破りな展開に戸惑う。
「耳栓用意!」
魔女っ子たちは耳栓をする。
「1番! おみっちゃん歌います! 曲は犬のおまわりちゃん! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃん極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「最後にドックフードが食べたかった。ギャアアアアアアー!」
ドック・ドラゴンはおみっちゃんのデスボイスに耐え切れずに体内爆発を起こして消えていった。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
更におみっちゃんは気持ち良く歌を歌い続ける。
「ワン!? ギャアアアアアアー!」
「アベシ!」
「ヒデブ!」
「ブシュ!」
「チュウ!」
「ホギャ!」
犬の国の犬たちもおみっちゃんの歌声に耐え切れずに体内爆発を起こして死んでいく。
「ご清聴ありがとうございました。ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
おみっちゃんは歌を歌い終えた。
「あれ? 誰もいない? もっとたくさんの人に私の歌を聞いてもらいたいな。」
そして犬の国は誰もいなくなった。
「お腹も空いたし帰りますか。エヘッ!」
今日もおみっちゃんは幸せに暮らしましたとさ。
つづく。
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王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
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