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3-7
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3-7-1
「ああ~、暇だな。」
いつも皇女様は退屈していた。
「愛ちゃん、何か楽しいことはない?」
AIの愛ちゃんに尋ねました。
「は~い! 可愛い愛ちゃんです! 外のビルの解体工事の音がうるさくて鼓膜が破れそうです!」
「えっ!? AIって、耳があるの!?」
「愛ちゃんは、可愛い福耳ですよ! エヘッ!」
今どきの、AIは、耳があるらしい。
「ねえねえ、愛ちゃん。」
「私のチンジャオロースはあげませんよ!」
「ズコー!」
皇女様はズッコケるしかない。
ピキーン!
「なんか私、疲れちゃった。長寿アニメの毎回のテンプレ―トも完成したし、なんか、こう、もっと、人をぶん殴ピー!、ピー! を巨人や鬼の餌にして遊んだりしたいわ!? うおおおおおー!」
殺人衝動におかされている皇女様。ポン王国では、非暴力・殺人NGが法律なので、ストレスが溜まる。
「お祓いしてあげましょうか? 愛ちゃん! エクスキューション!」
愛ちゃんが断罪するという恐ろしい必殺技である。
「おお!? ここはどこだ!? 私は何をやっていたんだ!?」
プレッシャー負けから立ち直った皇女様。
「皇女様、全国のチビッ子から応援メッセージが来てますよ!」
「ええー!? 本当!? やったー!」
皇女様の長年の苦労が報われた瞬間である。
「2通だけですけどね。」
「ズコー!?」
これもズッコケるしかない皇女様。
「2通だけでも、私に届いたファンレターには違いない! ありがとう! ちびっ子たち! 後で100万ポンをプレゼントするわ!」
本当に嬉しかった皇女様。
「なになに? 皇女様へ、魔ポンにお手紙を書いたけど、お返事が届きません。魔ポンに返事を書くように言ってください!? なんじゃこりゃ!?」
1通目は、皇女様を仲介役に使う強かなちびっ子のお手紙だった。
「大丈夫! 私には、もう一通お手紙がある! アハッ!」
残り一通の手紙に支えられ、元気を出す皇女様。
「なになに? 皇女様、大好きです!? 皇女様のことを思うと夜も眠れません!? 貸したポン・プリンは、いつ返してくれますか? んん? 後、冷蔵庫に入れていたコーヒー・ポン・ゼリー3個食べたの知ってます。早く返してください!? エヘッ!?」
完全に苦情のお手紙だった。
「ぬぬぬぬぬぬっ!? ・・・・・・おまえか!」
「バレましたか? エヘッ!」
笑い声で気が付いた皇女様。
「やっぱり、良いことしないとファンレターなんて来ないのね。ガクッ!」
ちなみに、皇女様への苦情の手紙は、1万通以上。
「これだけ地球を救っているポン王国で良いことって、もうしようがないのよね。」
皇女様は、破綻しかけの公共機関や国にポンマネーを出資し、ポン国連、ポンIMF、ポンWHO、ポン日本、ポンアフリカの小国などに援助してきた。ポンの力で現実世界の戦争も止めて、皇女様はノーエル・ポン・賞も受賞した。世界からは「お金持ちの正しいお金の使い方!」として、賞賛された。
「愛ちゃんに豚まんを下さい。これ良いことですよ? エヘッ!」
「・・・・・・。」
どこまでも、ポンコツAIの愛ちゃん。
「ログアウト!」
「あっ!? 逃げた!?」
皇女様は、現実世界に戻っていった。
つづく。
3-7ー2
「ふあ~あ! 良く寝た! 6話終わって3万5000字。約18話で終わるわね。ということは、1話でやった私の小学校編を7話と13話にやれば、間もあいてるし飽きられないでしょう! アハッ!」
これでも上機嫌のスズ。皇女様は、現社では、鈴木スズ。10歳の女の子である。
「ポンの世界だと、私は皇女だから、ゴミ拾いもできないのよね。よし! 今日も一日一ポンよ!」
一日一ポンは、一日一善のことである。
スズは着替えて、居間に移動。
「おはようございます!」
「おはよう! スズ!」
「おはよう! スズちゃん!」
スズの両親のスズ男とスズ子である。
「はい。ご飯。」
「いただきます! 美味しい!」
平凡な日常を過ごすスズ。
「おい。スズ。最近は不幸の手紙が流行っているみたいだぞ。」
グサッ!?
持った箸を落とす、スズの心にダメージが。
「おまえも気をつけろよ。」
「そ、そうだね。アハハハハッ・・・・・・。」
スズに、ファンレター2通の悪夢がよみがえる。
「私、学校に行ってくるね。」
「もうご飯を食べないの? 朝ご飯を食べないと力が出ないわよ?」
食欲のない娘を心配するスズ子。
「大丈夫。ダイエットしているから。行ってきます!」
スズは、家から逃げ出した。
通学路を歩くスズ。
「これじゃあ、私の人生、逃げてばっかり。私にどうしろという?」
不憫な今どきの小学生のスズ。
「やっぱり私にできることは、道に落ちているゴミを拾うくらい。」
スズの日課は、邪悪な自分を普通に変えようと始めた、登下校のゴミ拾いである。
「私は、徳を積んで、偉いお坊さんになるんだ!」
10才で人生を達観してるスズであった。
ピキーン!
「おお! 10円玉だ! ラッキー! 後でチョコレートを買いに行こう! アハッ!」
今どき、10円ではチョコレートも買えない。スズの受難はつづく。
つづく。
3-7-3
「おはようございます! タナ教祖様!」
スズは教室にやってきて、お友達のタナに挨拶をする。
「おはよう!? 私のことを教祖って崇めるのは、スズちゃんだけだよ!?」
「タナちゃんは、私の普通の先生だからね。アハッ!」
普通の神のタナ教徒は、スズ一人だけであった。
ピキーン!
「そうだ! スズちゃん! 放課後に私、行きたい所があるんだけど、一緒に行ってくれるかな?」
タナの方からスズをデートに誘ってくれた。
「いいよ! タナちゃんとなら、地獄の底や、灼熱のフライパンの上でも一緒に行くよ!」
大喜びのスズは、どんな罰ゲームにも耐えれる自信があった。
「それは嫌かも・・・・・・。」
タナは、普通の価値観を持った普通少女。スズとは違う。
「で、どこに行きたいの?」
「ポン区の中心に行きたいの。宇宙・ポン・エレベーターが移動した後に、あのお方の銅像ができたんだって。ニコッ!」
大きくて邪魔な、宇宙・ポン・エレベーターは、スズの住むポン都営住宅の敷地にあり、スズの部屋の日照権を脅かしている。
「銅像?」
スズは、嫌な予感しかしない。
ピキーン!
「まさか!? あのお方って!?」
「ポン皇女様よ! ニコニコニコッ!」
「やっぱり!?」
スズの嫌な予感は的中した。
(愛ちゃんめ!? また私がいない間に勝手に生成したな!?)
スズが現実世界に戻っている時に、好き勝手するのが、AIの可愛い愛ちゃんである。
「ポン皇女様は、私の憧れなの!」
「えっ!? あんなポンコツな皇女のどこがいいの!?」
「だって、ポン皇女様は、他のお金持ちはしないけど、飢えて貧しい人々を救っているのよ! 本当にすごいことなのよ! 私みたいな普通の人間には無理だわ!」
タナ、スズの功績を称える。
「おお! 知らなかったよ! 私って、偉かったんだね!」
暗闇を彷徨っていたスズの心が光ポンで溢れる。
「えっ!? なんでスズちゃんが喜ぶの!? お友達止めちゃうよ!?」
タナは、自分が好きな、憧れのポン皇女様をけなされたみたいで嫌だった。
「めんごめんご。タナちゃん、許してよ。私もポン皇女様は、とても偉いと思うよ。」
「本当! 嬉しいな! スズちゃんに、ポン皇女様の偉大さが分かってもらえて!」
(おお!? これが共感というやつか!? もしかして今まで一人で生きてきた私は、初共感ですか!?)
パンパカパーン!
また普通に、一歩近づけたスズの脳内は祝福に包まれていた。
つづく。
3-7-4
「どうして、あんたたちまでついてくるのよ!?」
スズとタナのデートは、邪魔された。
「僕たちも、ポン皇女様の像を見たいんだ。一緒に行こう。」
佐藤サト。同級生。庶民。
「俺様は、ポン皇女様の像の下で、ポン・カード・バトルをして遊ぶんだ! ワッハッハー!」
高橋タカ。同級生。金持ち。
「私とタナちゃんのデートを邪魔するなんて、おまえたちは、祟りが怖くないのか!?」
鈴木スズ。我らが皇女様。貧乏。
「スズちゃん、普通はどうしたの? 普通は?」
田中タナ。同級生。普通教の教祖。
「おお! ポン皇女様の像が見えてきたぞ!」
スズたちはポン区の中央にできた、ポン皇女様の像の元へやってきた。
「すごい人だね!? これじゃあ、近づけないね!?」
ポン皇女様の像には、大勢の人々が拝みにやってきていた。
(そりゃあ、そうだよ。私の像は・・・・・・女魔王の像だからね。)
ポンの世界には、新規でゲームを開始する時に、奇妙な規約がある。
1、非暴力・殺人NG
2、語尾にポン! とつける。
3、ポン皇女教の信者になる。
などである。さりげなく規約4項目めもあることを示唆している。
(全世界から聖地巡礼、観光客が腐るほどくるから、過疎地に活気ある町ができるし、ポン皇女様の像を設置した国や地方公共団体には、ポン王国から設置料が税収として入ってくる。良いことばかりの皇女様の像である。)
ということで、スズの皇女様の信者は、100億人越えの世界最大の宗教である。
(不味いな!? 皇居、皇族、政治に、宗教・・・・・・長寿アニメになるためには触れない方がいいんだけどな。)
既に全てに触れているぞ、スズ。アハッ!
「やったー! 1万ポン!」
タナが1万ポンを手に入れた。
「えっ!? どうしたの!?」
「ポン皇女様の像にお祈りすると、ポン皇女ルーレットができて、最大100万円が当たるんだよ!」
恐るべし! ポン皇女の像!
(また愛ちゃんの仕業だな!? ばらまくなって言っているのに!? 私のチョコレート代が無くなるではないか!?)
やはり自分大好きな皇女様。
「さあ! 用は済んだから帰ろうか?」
結構、現金なタナ。
「待てい! 折角ここまで来たんだ! 俺様が親のクレジットカードでハンバーガーを奢ってやろう!」
セレブのタカがハンバーガーを奢ってくれるという。
「どうする? タナちゃん。」
「お母さんが言っていた。貰えるものは、貰っておけって。」
タナはお母さんの言いつけは守る普通の子。
「一度、タナちゃんのお母さんに会ってみたいね。」
スズは、妙にタナ母に親近感を覚えた。
つづく。
3-7-5
「美味しかった! これがハンバーガーなのね! アハッ!」
貧乏で、引きこもりだったスズは人生初のポン・ハンバーガーを美味しくいただいた。
「支払いはカードで。」
タカが親のクレジットカードを店員に渡す。
ブブッ!
「お客様、このクレジットカードは使えないようになっておりますが?」
「しまった!? ポン・カードを買い過ぎて、親にクレジットカードを止められていたんだった!?」
タカは、金持ちだが役に立たなかった。
「いいよ、いいよ。私が当たったポンマネーで払うよ。」
タナが支払いをしようとする。
「みんなで割り勘にしよう! それが平等だ!」
サトが割り勘を主張する。
「俺様はどうするんだ!? お金を持ってないぞ!?」
「ポン・カードを売ってくればいいじゃないか!」
「それだけはダメだ!?」
サトとタカは険悪になる。
「・・・・・・。」
(はあ・・・・・・これだから子供は嫌なんだ。まあ、私が皇女アカウントからス鈴木スズアカウントにポンマネーを送金すれば簡単に払えるんだけどね。・・・・・・できれば、払いたくない。)
スズもお子様であった。
「この子たちのハンバーガー代は私が払いますよ。」
そこにサングラスで顔を隠した紳士が現れ、一瞬でスズたちの支払いを終えた。
(ゲッ!? なぜおまえがここに!?)
その男は、スズの顔見知りだった。
「ありがとうございます!」
スズたちは俺を言った。
「あの、お名前を伺ってもいいですか?」
「私は当然のことをしただけで、名乗るほどの名前はない。敢えて言うならば・・・・・・魔ポンだ! ニッ!」
高橋尚ポン並みにサングラスを投げ捨て正体を明かす魔ポン。
「魔ポン!?」
「すごい!? 本物だ!?」
スーパースターの正義のヒーロー、魔ポンが現れた。
「タナちゃん。お便りの返事が遅くなったね。ごめんね。悪と戦っていたら返事を書く暇がなかったんだ。だから、お詫びに、君に会いに来たんだよ! ニッ!」
さすが人気キャラクター投票で二連覇を達成している魔ポン。ファン・サービスは忙しくても忘れない。ファンを大切にする姿勢が彼を人気者にする。
「魔ポン様!」
完全に目がハートのタナ。
(おまえだったのか!? 私のファンレターに、魔ポンの返事を書くように依頼してきた奴は!? 私に憧れていたのではなかったのか!? この裏切者!)
皇女様の二通のファンレターは、愛ちゃんとタナだったことが判明。
(・・・・・・いつか、私に応援のお便りは届くのだろうか?)
スズは、窓から遠くを見つめるのであった。
ピキーン!
(そうだ! 自分で書けばいいんだ! お歳暮も誰もくれないから、自分で自分に送る時代だもんね! よし! これでファンレター問題も解決だ! 私は天才! なぜなら私は鈴木スズなのだから! オッホッホー!)
皇女様に敗北の文字はない。アハッ!
つづく。
「ああ~、暇だな。」
いつも皇女様は退屈していた。
「愛ちゃん、何か楽しいことはない?」
AIの愛ちゃんに尋ねました。
「は~い! 可愛い愛ちゃんです! 外のビルの解体工事の音がうるさくて鼓膜が破れそうです!」
「えっ!? AIって、耳があるの!?」
「愛ちゃんは、可愛い福耳ですよ! エヘッ!」
今どきの、AIは、耳があるらしい。
「ねえねえ、愛ちゃん。」
「私のチンジャオロースはあげませんよ!」
「ズコー!」
皇女様はズッコケるしかない。
ピキーン!
「なんか私、疲れちゃった。長寿アニメの毎回のテンプレ―トも完成したし、なんか、こう、もっと、人をぶん殴ピー!、ピー! を巨人や鬼の餌にして遊んだりしたいわ!? うおおおおおー!」
殺人衝動におかされている皇女様。ポン王国では、非暴力・殺人NGが法律なので、ストレスが溜まる。
「お祓いしてあげましょうか? 愛ちゃん! エクスキューション!」
愛ちゃんが断罪するという恐ろしい必殺技である。
「おお!? ここはどこだ!? 私は何をやっていたんだ!?」
プレッシャー負けから立ち直った皇女様。
「皇女様、全国のチビッ子から応援メッセージが来てますよ!」
「ええー!? 本当!? やったー!」
皇女様の長年の苦労が報われた瞬間である。
「2通だけですけどね。」
「ズコー!?」
これもズッコケるしかない皇女様。
「2通だけでも、私に届いたファンレターには違いない! ありがとう! ちびっ子たち! 後で100万ポンをプレゼントするわ!」
本当に嬉しかった皇女様。
「なになに? 皇女様へ、魔ポンにお手紙を書いたけど、お返事が届きません。魔ポンに返事を書くように言ってください!? なんじゃこりゃ!?」
1通目は、皇女様を仲介役に使う強かなちびっ子のお手紙だった。
「大丈夫! 私には、もう一通お手紙がある! アハッ!」
残り一通の手紙に支えられ、元気を出す皇女様。
「なになに? 皇女様、大好きです!? 皇女様のことを思うと夜も眠れません!? 貸したポン・プリンは、いつ返してくれますか? んん? 後、冷蔵庫に入れていたコーヒー・ポン・ゼリー3個食べたの知ってます。早く返してください!? エヘッ!?」
完全に苦情のお手紙だった。
「ぬぬぬぬぬぬっ!? ・・・・・・おまえか!」
「バレましたか? エヘッ!」
笑い声で気が付いた皇女様。
「やっぱり、良いことしないとファンレターなんて来ないのね。ガクッ!」
ちなみに、皇女様への苦情の手紙は、1万通以上。
「これだけ地球を救っているポン王国で良いことって、もうしようがないのよね。」
皇女様は、破綻しかけの公共機関や国にポンマネーを出資し、ポン国連、ポンIMF、ポンWHO、ポン日本、ポンアフリカの小国などに援助してきた。ポンの力で現実世界の戦争も止めて、皇女様はノーエル・ポン・賞も受賞した。世界からは「お金持ちの正しいお金の使い方!」として、賞賛された。
「愛ちゃんに豚まんを下さい。これ良いことですよ? エヘッ!」
「・・・・・・。」
どこまでも、ポンコツAIの愛ちゃん。
「ログアウト!」
「あっ!? 逃げた!?」
皇女様は、現実世界に戻っていった。
つづく。
3-7ー2
「ふあ~あ! 良く寝た! 6話終わって3万5000字。約18話で終わるわね。ということは、1話でやった私の小学校編を7話と13話にやれば、間もあいてるし飽きられないでしょう! アハッ!」
これでも上機嫌のスズ。皇女様は、現社では、鈴木スズ。10歳の女の子である。
「ポンの世界だと、私は皇女だから、ゴミ拾いもできないのよね。よし! 今日も一日一ポンよ!」
一日一ポンは、一日一善のことである。
スズは着替えて、居間に移動。
「おはようございます!」
「おはよう! スズ!」
「おはよう! スズちゃん!」
スズの両親のスズ男とスズ子である。
「はい。ご飯。」
「いただきます! 美味しい!」
平凡な日常を過ごすスズ。
「おい。スズ。最近は不幸の手紙が流行っているみたいだぞ。」
グサッ!?
持った箸を落とす、スズの心にダメージが。
「おまえも気をつけろよ。」
「そ、そうだね。アハハハハッ・・・・・・。」
スズに、ファンレター2通の悪夢がよみがえる。
「私、学校に行ってくるね。」
「もうご飯を食べないの? 朝ご飯を食べないと力が出ないわよ?」
食欲のない娘を心配するスズ子。
「大丈夫。ダイエットしているから。行ってきます!」
スズは、家から逃げ出した。
通学路を歩くスズ。
「これじゃあ、私の人生、逃げてばっかり。私にどうしろという?」
不憫な今どきの小学生のスズ。
「やっぱり私にできることは、道に落ちているゴミを拾うくらい。」
スズの日課は、邪悪な自分を普通に変えようと始めた、登下校のゴミ拾いである。
「私は、徳を積んで、偉いお坊さんになるんだ!」
10才で人生を達観してるスズであった。
ピキーン!
「おお! 10円玉だ! ラッキー! 後でチョコレートを買いに行こう! アハッ!」
今どき、10円ではチョコレートも買えない。スズの受難はつづく。
つづく。
3-7-3
「おはようございます! タナ教祖様!」
スズは教室にやってきて、お友達のタナに挨拶をする。
「おはよう!? 私のことを教祖って崇めるのは、スズちゃんだけだよ!?」
「タナちゃんは、私の普通の先生だからね。アハッ!」
普通の神のタナ教徒は、スズ一人だけであった。
ピキーン!
「そうだ! スズちゃん! 放課後に私、行きたい所があるんだけど、一緒に行ってくれるかな?」
タナの方からスズをデートに誘ってくれた。
「いいよ! タナちゃんとなら、地獄の底や、灼熱のフライパンの上でも一緒に行くよ!」
大喜びのスズは、どんな罰ゲームにも耐えれる自信があった。
「それは嫌かも・・・・・・。」
タナは、普通の価値観を持った普通少女。スズとは違う。
「で、どこに行きたいの?」
「ポン区の中心に行きたいの。宇宙・ポン・エレベーターが移動した後に、あのお方の銅像ができたんだって。ニコッ!」
大きくて邪魔な、宇宙・ポン・エレベーターは、スズの住むポン都営住宅の敷地にあり、スズの部屋の日照権を脅かしている。
「銅像?」
スズは、嫌な予感しかしない。
ピキーン!
「まさか!? あのお方って!?」
「ポン皇女様よ! ニコニコニコッ!」
「やっぱり!?」
スズの嫌な予感は的中した。
(愛ちゃんめ!? また私がいない間に勝手に生成したな!?)
スズが現実世界に戻っている時に、好き勝手するのが、AIの可愛い愛ちゃんである。
「ポン皇女様は、私の憧れなの!」
「えっ!? あんなポンコツな皇女のどこがいいの!?」
「だって、ポン皇女様は、他のお金持ちはしないけど、飢えて貧しい人々を救っているのよ! 本当にすごいことなのよ! 私みたいな普通の人間には無理だわ!」
タナ、スズの功績を称える。
「おお! 知らなかったよ! 私って、偉かったんだね!」
暗闇を彷徨っていたスズの心が光ポンで溢れる。
「えっ!? なんでスズちゃんが喜ぶの!? お友達止めちゃうよ!?」
タナは、自分が好きな、憧れのポン皇女様をけなされたみたいで嫌だった。
「めんごめんご。タナちゃん、許してよ。私もポン皇女様は、とても偉いと思うよ。」
「本当! 嬉しいな! スズちゃんに、ポン皇女様の偉大さが分かってもらえて!」
(おお!? これが共感というやつか!? もしかして今まで一人で生きてきた私は、初共感ですか!?)
パンパカパーン!
また普通に、一歩近づけたスズの脳内は祝福に包まれていた。
つづく。
3-7-4
「どうして、あんたたちまでついてくるのよ!?」
スズとタナのデートは、邪魔された。
「僕たちも、ポン皇女様の像を見たいんだ。一緒に行こう。」
佐藤サト。同級生。庶民。
「俺様は、ポン皇女様の像の下で、ポン・カード・バトルをして遊ぶんだ! ワッハッハー!」
高橋タカ。同級生。金持ち。
「私とタナちゃんのデートを邪魔するなんて、おまえたちは、祟りが怖くないのか!?」
鈴木スズ。我らが皇女様。貧乏。
「スズちゃん、普通はどうしたの? 普通は?」
田中タナ。同級生。普通教の教祖。
「おお! ポン皇女様の像が見えてきたぞ!」
スズたちはポン区の中央にできた、ポン皇女様の像の元へやってきた。
「すごい人だね!? これじゃあ、近づけないね!?」
ポン皇女様の像には、大勢の人々が拝みにやってきていた。
(そりゃあ、そうだよ。私の像は・・・・・・女魔王の像だからね。)
ポンの世界には、新規でゲームを開始する時に、奇妙な規約がある。
1、非暴力・殺人NG
2、語尾にポン! とつける。
3、ポン皇女教の信者になる。
などである。さりげなく規約4項目めもあることを示唆している。
(全世界から聖地巡礼、観光客が腐るほどくるから、過疎地に活気ある町ができるし、ポン皇女様の像を設置した国や地方公共団体には、ポン王国から設置料が税収として入ってくる。良いことばかりの皇女様の像である。)
ということで、スズの皇女様の信者は、100億人越えの世界最大の宗教である。
(不味いな!? 皇居、皇族、政治に、宗教・・・・・・長寿アニメになるためには触れない方がいいんだけどな。)
既に全てに触れているぞ、スズ。アハッ!
「やったー! 1万ポン!」
タナが1万ポンを手に入れた。
「えっ!? どうしたの!?」
「ポン皇女様の像にお祈りすると、ポン皇女ルーレットができて、最大100万円が当たるんだよ!」
恐るべし! ポン皇女の像!
(また愛ちゃんの仕業だな!? ばらまくなって言っているのに!? 私のチョコレート代が無くなるではないか!?)
やはり自分大好きな皇女様。
「さあ! 用は済んだから帰ろうか?」
結構、現金なタナ。
「待てい! 折角ここまで来たんだ! 俺様が親のクレジットカードでハンバーガーを奢ってやろう!」
セレブのタカがハンバーガーを奢ってくれるという。
「どうする? タナちゃん。」
「お母さんが言っていた。貰えるものは、貰っておけって。」
タナはお母さんの言いつけは守る普通の子。
「一度、タナちゃんのお母さんに会ってみたいね。」
スズは、妙にタナ母に親近感を覚えた。
つづく。
3-7-5
「美味しかった! これがハンバーガーなのね! アハッ!」
貧乏で、引きこもりだったスズは人生初のポン・ハンバーガーを美味しくいただいた。
「支払いはカードで。」
タカが親のクレジットカードを店員に渡す。
ブブッ!
「お客様、このクレジットカードは使えないようになっておりますが?」
「しまった!? ポン・カードを買い過ぎて、親にクレジットカードを止められていたんだった!?」
タカは、金持ちだが役に立たなかった。
「いいよ、いいよ。私が当たったポンマネーで払うよ。」
タナが支払いをしようとする。
「みんなで割り勘にしよう! それが平等だ!」
サトが割り勘を主張する。
「俺様はどうするんだ!? お金を持ってないぞ!?」
「ポン・カードを売ってくればいいじゃないか!」
「それだけはダメだ!?」
サトとタカは険悪になる。
「・・・・・・。」
(はあ・・・・・・これだから子供は嫌なんだ。まあ、私が皇女アカウントからス鈴木スズアカウントにポンマネーを送金すれば簡単に払えるんだけどね。・・・・・・できれば、払いたくない。)
スズもお子様であった。
「この子たちのハンバーガー代は私が払いますよ。」
そこにサングラスで顔を隠した紳士が現れ、一瞬でスズたちの支払いを終えた。
(ゲッ!? なぜおまえがここに!?)
その男は、スズの顔見知りだった。
「ありがとうございます!」
スズたちは俺を言った。
「あの、お名前を伺ってもいいですか?」
「私は当然のことをしただけで、名乗るほどの名前はない。敢えて言うならば・・・・・・魔ポンだ! ニッ!」
高橋尚ポン並みにサングラスを投げ捨て正体を明かす魔ポン。
「魔ポン!?」
「すごい!? 本物だ!?」
スーパースターの正義のヒーロー、魔ポンが現れた。
「タナちゃん。お便りの返事が遅くなったね。ごめんね。悪と戦っていたら返事を書く暇がなかったんだ。だから、お詫びに、君に会いに来たんだよ! ニッ!」
さすが人気キャラクター投票で二連覇を達成している魔ポン。ファン・サービスは忙しくても忘れない。ファンを大切にする姿勢が彼を人気者にする。
「魔ポン様!」
完全に目がハートのタナ。
(おまえだったのか!? 私のファンレターに、魔ポンの返事を書くように依頼してきた奴は!? 私に憧れていたのではなかったのか!? この裏切者!)
皇女様の二通のファンレターは、愛ちゃんとタナだったことが判明。
(・・・・・・いつか、私に応援のお便りは届くのだろうか?)
スズは、窓から遠くを見つめるのであった。
ピキーン!
(そうだ! 自分で書けばいいんだ! お歳暮も誰もくれないから、自分で自分に送る時代だもんね! よし! これでファンレター問題も解決だ! 私は天才! なぜなら私は鈴木スズなのだから! オッホッホー!)
皇女様に敗北の文字はない。アハッ!
つづく。
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征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
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