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神の誤算
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「ワッハッハー!」
地球神アースは笑っていた。
「実に面白い! 私の完全勝利だ! ワッハッハー!」
神様は碧に勝ったことを大いに喜んでいた。
「こんな爽快な気持ちになったのは初めてだ! これも初めて負けという屈辱を味わったからだろう。買った時の爽快感がたまらんな! ワッハッハー!」
有頂天になっている神様。
「こうなったら酒でも天女でも呼んで天界全体でパーティーでもするか! 今度は台風の次は地球に大干ばつでも与えてやるか! ワッハッハー!」
たかが人間に勝っただけで大喜びの神様であった。
「これも全て、私が地球を異世界ファンタジーの世界にしたおかげじゃな! 愉快じゃ! 愉快じゃ! 楽しいぞ! ワッハッハー!」
地球に起きる出来事は全て神様の悪戯であった。
20〇〇年。地球に異世界ファンタジーがやってきた。ある日、科学力は無意味になり、一部の人間は剣だの魔法だのが使えるようになった。
「俺の性だ・・・・・・。」
まだ碧は落ち込んでいた。
「長崎県が諸島になったのは。」
碧が本当直撃の史上最強台風を魔法で弾いて防いだが、代わりに長崎が犠牲になってしまった。
「お詫びにちゃんぽんとカステラでも買って食おう。」
そんなことしか思いつかない碧。
「俺の性だ・・・・・・。」
まだまだ碧の心は沈んだままだった。
「韓国のソウルが破壊されまくったのは。」
台風は長崎から韓国に渡り大いに首都ソウルを破壊しまくった。猛威を振るった台風の性で韓国の経済は麻痺した。
「韓国の皆さん。キムチをいっぱい買うから許してください。」
韓国といえばキムチだ。
「俺の性だ・・・・・・。」
どれだけ反省しても傷がいえない碧の心。
「ロシアの極東が壊滅したのも。」
台風は韓国からロシアに行きロシアの極東を壊していった。
「ピロシキを買うから許してください。」
碧の一つの行動で世界は変わった。たった一つの行動で世界は良くも悪くも大きく動くのであった。
「俺の性だ・・・・・・。」
碧は悲しみと後悔に苛まれていた。
「ワッハッハー! 神の祝勝会だ!」
その天界の神様は天女や天使を大勢呼んでパーティーを開いていた。
「飲め飲め! 今日は無礼講じゃ!」
「おお!」
上機嫌の神様は客人たちにお酒を振る舞う。
「神様? 何か良いことでもあったのですか?」
「ああ、あったぞ。」
「何があったんですか? 教えてくださいよ。」
天女や天使からせがまれて悪い気はしない神様。
「いいだろう。教えてやろう。実はな、私は人間に勝ったのだ! ワッハッハー!」
得意げに語る神様。
「え? 人間に勝った?」
「しょぼい・・・・・・。」
しかし話を聞いた天女や天使たちは神様を大人げないと思った。
「え?」
神様は天女や天使たちの冷たい目線に気がついた。
「神様! 神のくせに弱い人間をいじめるなんてあんまりです!」
「そうですよ! 我々は天界人なんですから、人間如き豆粒の下等生物に勝つのは当たり前じゃないですか!」
「すいません・・・・・・。」
多勢に無勢。神様であっても謝ざるを得なかった。
「でも!? でも!? 人間の中には神を謀る悪い人間もおるのじゃぞ!?」
子供みたいに言い返す神様。
「嘘~。信じられない。」
「神様! あなたにはプライドはないんですか? 自分の幼さをたかが人間なんかの性にして!」
「そ、そんな!?」
全く信じてもらえない天界の偉い神様でした。
「全部俺が悪いんだ・・・・・・。」
碧は部屋に引きこもり自己嫌悪に浸っていた。
「碧!」
そこに恋が飛び込んでくる。
「あれ? いつものようにイギリスを調べてないのね?」
そこにはいつもと違う碧がいた。
「恋か。はあ・・・・・・。」
「どうしたのよ? 何かあったの?」
元気がないので碧に理由を尋ねる恋。
「俺の性で長崎、韓国、ロシアで多くの人々に迷惑をかけてしまった。俺の性で・・・・・・。」
「何を言っているのよ? まるであんたが台風ね。」
「ガーン・・・・・・。」
(なぜこいつに、こんな奴に俺の正体が分かるんだ!?)
碧は心の中でツッコんだ。
「いいな、おまえには悩み事が無くて。」
自分より不幸な人間はいないと碧は思い込んでいる。
「はあ!?」
いじけている碧の態度にだんだん恋の怒りが込み上げてくる。
「ふざける!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そして爆発した。
「碧の意気地なし! 碧の男女!」
「恋!?」
「そんなにメソメソしたいんだったら引きこもりにでもなってしまえばいいんだわ! どうせ、あんたの悩みなんてアリンコよりも小さいのよ! そうよ! あんたなんかアリンコ以下よ!」
碧の態度にキレた恋が言い放つ。
「知らなかった!? 俺の悩みはアリンコ以下だったのか!?」
恋の言葉に何かが吹っ切れた碧。
「そうだな。悩んだって何も変わらない。過ぎたことを後悔するよりも、これからの人生をどうすれば良くなるかを考えた方がいいな。」
碧の中で台風の出来事は嵐の様に過ぎ去って消滅した。
「ありがとう。恋。おまえのおかげで前に進めそうだ。」
「どういたしまして。」
こうして碧は失敗のトラウマを乗り越えた。
「なぜ天女や天使たちに怒られねばならない! 私は神であるぞ! 私は偉いのだ!」
自称、一番偉い者の神様の反撃が始まる。
「いいだろ! おまえたちに私を欺き、私を超える願いを得て何度も私に歯向かい戦いを仕掛けてきた人間を見せてやる!」
神様は天女や天使たちに碧を見せることにした。
「ポチっとな。」
天界に碧の姿が映し出される。
「ニューカッスル・アポン・タインと。」
碧は引き続きイギリスを調べていた。
「イングランドの北東部にある城塞都市。」
碧は調べものに集中していた。
「人口は30万人。おお、やっと人口が増えたな。」
これが碧の日々の変化もない日常だった。
「嘘つき!」
「この神様は最低だな。人間以下だ。」
碧の映像を見た天女や天使たちの一言だった。
「そ、そ、そんなバカな!? 自身の判断ミスで多くの人々にご迷惑をかけたのに、あの人間は何事も無く平然と自分の趣味を満喫しているというのか!? 信じられん!? 本当なら今頃、自分の犯した罪の重さに押しつぶされそうな罪悪感を感じて落ち込んでいるはずだ!? なぜだ!?」
神様には普段通りに暮らしている碧の姿が信じられなかった。
「帰ろう。帰ろう。神様、最低。」
「そうね。神様なんだから嘘をついてはいけないでしょ。よくそれで神様をやってられますね。」
立ち去っていく天女や天使たち。
「そ、そんな・・・・・・。」
神様は天界で嘘つき扱いされることになった。
「クソッ!? 人間はなんて立ち直りの早い生き物なんだ!? 私なら3日はご飯が喉を通らないぞ!?」
人間を甘く見ていた神様の誤算であった。
「でも確かに学校で国語や数学などの勉強を習っても、社会に出て使うことはない。授業の内容も外国語やプログラミング、投資、不動産なんかを教えてくれた方が生きていける知識だ。」
復活した碧は人生を振り返る。どうすれば人間は生きていけるかをテーマに真剣に考えているのだ。
「どうせなら学校で剣術や魔法の使い方を教えてくれた方が自給自足できそうだ。徴兵制のある国では男子は筋トレをして、警察や消防、軍隊に街中のケンカもできそうだが、今の日本はチャラいとキモイといい加減な男子ばかりだもんな。」
問題は学校の先生が魔法を教えることができないということ。剣術の代わりは剣道くらいしかないということ。さらに平和な世の中では普通は剣も魔法も要らないということである。
「かといって、戦争が起こるのも困る。やっぱり平和が一番だ。」
台風や神様の相手で戦争とまではいかないが、争いや事件があると疲れることを碧は知っている。
「碧、さっきから何を独り言を言っているの?」
そこに恋が現れた。
「出たな!? 危機!?」
「誰が危機だ。誰が。」
「アハハハッ。」
笑って誤魔化す碧。
「命の恩人様でした。」
「その通り! 私の一括で落ち込んで暗くなっていた碧の気持ちを明るく晴れ晴れとした普段の碧に戻してあげたんだから!」
そう。恋は魔法は使えない。
「あ、そっか!? これが魔法なんだ!?」
暗闇に覆われた人の心に光を灯す。まるで魔法そのものであった。
「小さな幸せは人の心を明るくする魔法なんだ!」
戦争を止めるとか、ダンジョンを突破するとか、魔王を倒すとか、何か大きなことを達成するだけでなく、心を明るくする出来事は全て魔法であると碧は気づいた。
「人間が花が咲いているのを見て綺麗と思ったり、夜空のお星さまを見たり、重い荷物を持っているおばあちゃんの荷物を持ってあげたり、そうゆうささやかな人間の善意が魔法なんだ!」
意外に多い小さな幸せ。
「何をキモイことを言っているの? なんでも現実社会を異世界ファンタジーに置き換えるのはやめなさい。子供が見たら頭のおかしなお兄ちゃんがいて怖がられるから。」
一般人の恋からすると碧は変態さんに見えた。
「ありがとう! 恋! 君のおかげだ!」
「ど、どういたしまして。」
それでも暗くて落ち込んでいる碧を見るよりは、喜んでいる碧を見る方が好きな恋だった。
「恋、君は僕の魔法使いだ! 大好きだ!」
「はあ!? 何を言っているんだか? 付き合ってらんない。私は帰る。」
そういうと恋は帰って行った。
「私は碧の魔法使いか。アハッ。」
何はともあれ大好きと言われて嬉しい恋であった。
「頼もう!」
碧の前に珍客が現れる。
「人間の感情の起伏をコントロールするのが魔法であるならば、危機を感情のマイナスと考えて、その危機や試練を乗り越えて感情をプラスにすることで笑顔になることを魔法と考えれば、つまらない現代劇でも書けるな。」
碧の趣味は小説やストーリーを考えることであった。
「おい、人間。」
現れたのは、ほぼ天界を追放された神様であった。
「でも現代は感情の起伏を嫌う。どちらかというと嬉しいことがあるより、悲しいことがあることを嫌がる。悲しいことがあるぐらいなら嬉しいことを切り捨てて、何もないことを選んでいるのが現代を生きる人間だ。友達を作るより、スマホで一人で遊んでいる方が自分が傷つかなくていいからだ。」
しかし神様の登場に自分の世界に入り込んでいる碧は気づかない。
「こらー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
さすがに優しい神様もムカついた。
「うわっ!? なんだ!? か、神様!?」
やっと碧は神様を認識した。
「ヤッホー。」
人間界にやって来て陽気な神様。
「何しに来た!? この邪神め!? 台風の次は津波か!? それとも干ばつか!? 今度は何で人間を苦しめるつもりだ!?」
神様を警戒しまくる碧。
「酷い!? 邪神だなんて!? まだ堕天使ならぬ堕神と呼んでくれた方がいい響きだ。」
「どっちも似たようなもんだろう?」
なんやかんやで碧と神様は仲がいい。
「何しにやって来た!? 神様。」
仕切り直し。
「人間のおまえに教えてもらおうと思ってやってきた。」
低姿勢な神様。
「普段バカにしている人間に教えてほしだと!?」
何か企みがあるのではないかと警戒する碧。
「その通りだ。神である私には人間のことが分からないみたいだ。だから人間の友達であるおまえに尋ねたい。」
分からないことは素直に質問する勉強熱心な神様。
「誰が友達だ?」
いつの間にか碧と神様は友達になっていた。顔見知りや何回かあった人間というのは親しくなってしまうものである。
「で、何が聞きたい?」
「おまえは台風逸らし失敗事件で自殺を考えるくらいに落ち込んでいたはずだ。それなのに1日もしないで元気に明るく振る舞っている。なぜだ!? 私なら最低でも3日は暖かい布団で寝込んでいるぞ。どれだけ考えても分からない。教えてくれ。おまえはどうして生きていられる? なぜ笑っていられるのだ?」
天界にお住いのペンネーム神様からの質問です。
「なんだ。そんなことか。くだらない。」
「くだらないだと!? 私は真剣に悩んでいるんだぞ。」
「確かに何でも思い通りにできてしまう神様には分からないだろうな。」
答えに碧は心当たりがある。
「弱い人間は生きていると辛いことの方が多い。叶えたい夢が叶うことも数少ない。夢も希望も失った人間の心はどんどん闇に飲み込まれてしまう。そして暴力、陰口、いじめなど、もっと行ってしまえば七つの大罪の負の感情などを心に抱いてしまう。」
人間の心は脆くて儚い。絶大な力を誇る神様とは違い、人間は弱い。
「だから人間は群れになる。人間は群れになって助け合うんだ。だから俺が落ち込んでいたら助けてくた奴がいた。俺を励ましてくれた奴がいる。俺は一人ではなかった。俺を世界の終わりから救ってくれた奴がいた。だから俺は立ち直ることが出来たんだ。」
奴とは恋のことである。
「そうか!? 何でも思い通りにできる神である私は強すぎて弱い者の痛みが分からなかったのか!?」
神様は初めて弱さの強みを知る。
「ああ~! 人間に生まれて良かった! ありがとう! 神様!」
初めて神に感謝する碧であった。別に戦わなくても神に勝てる人間であった。
つづく。
地球神アースは笑っていた。
「実に面白い! 私の完全勝利だ! ワッハッハー!」
神様は碧に勝ったことを大いに喜んでいた。
「こんな爽快な気持ちになったのは初めてだ! これも初めて負けという屈辱を味わったからだろう。買った時の爽快感がたまらんな! ワッハッハー!」
有頂天になっている神様。
「こうなったら酒でも天女でも呼んで天界全体でパーティーでもするか! 今度は台風の次は地球に大干ばつでも与えてやるか! ワッハッハー!」
たかが人間に勝っただけで大喜びの神様であった。
「これも全て、私が地球を異世界ファンタジーの世界にしたおかげじゃな! 愉快じゃ! 愉快じゃ! 楽しいぞ! ワッハッハー!」
地球に起きる出来事は全て神様の悪戯であった。
20〇〇年。地球に異世界ファンタジーがやってきた。ある日、科学力は無意味になり、一部の人間は剣だの魔法だのが使えるようになった。
「俺の性だ・・・・・・。」
まだ碧は落ち込んでいた。
「長崎県が諸島になったのは。」
碧が本当直撃の史上最強台風を魔法で弾いて防いだが、代わりに長崎が犠牲になってしまった。
「お詫びにちゃんぽんとカステラでも買って食おう。」
そんなことしか思いつかない碧。
「俺の性だ・・・・・・。」
まだまだ碧の心は沈んだままだった。
「韓国のソウルが破壊されまくったのは。」
台風は長崎から韓国に渡り大いに首都ソウルを破壊しまくった。猛威を振るった台風の性で韓国の経済は麻痺した。
「韓国の皆さん。キムチをいっぱい買うから許してください。」
韓国といえばキムチだ。
「俺の性だ・・・・・・。」
どれだけ反省しても傷がいえない碧の心。
「ロシアの極東が壊滅したのも。」
台風は韓国からロシアに行きロシアの極東を壊していった。
「ピロシキを買うから許してください。」
碧の一つの行動で世界は変わった。たった一つの行動で世界は良くも悪くも大きく動くのであった。
「俺の性だ・・・・・・。」
碧は悲しみと後悔に苛まれていた。
「ワッハッハー! 神の祝勝会だ!」
その天界の神様は天女や天使を大勢呼んでパーティーを開いていた。
「飲め飲め! 今日は無礼講じゃ!」
「おお!」
上機嫌の神様は客人たちにお酒を振る舞う。
「神様? 何か良いことでもあったのですか?」
「ああ、あったぞ。」
「何があったんですか? 教えてくださいよ。」
天女や天使からせがまれて悪い気はしない神様。
「いいだろう。教えてやろう。実はな、私は人間に勝ったのだ! ワッハッハー!」
得意げに語る神様。
「え? 人間に勝った?」
「しょぼい・・・・・・。」
しかし話を聞いた天女や天使たちは神様を大人げないと思った。
「え?」
神様は天女や天使たちの冷たい目線に気がついた。
「神様! 神のくせに弱い人間をいじめるなんてあんまりです!」
「そうですよ! 我々は天界人なんですから、人間如き豆粒の下等生物に勝つのは当たり前じゃないですか!」
「すいません・・・・・・。」
多勢に無勢。神様であっても謝ざるを得なかった。
「でも!? でも!? 人間の中には神を謀る悪い人間もおるのじゃぞ!?」
子供みたいに言い返す神様。
「嘘~。信じられない。」
「神様! あなたにはプライドはないんですか? 自分の幼さをたかが人間なんかの性にして!」
「そ、そんな!?」
全く信じてもらえない天界の偉い神様でした。
「全部俺が悪いんだ・・・・・・。」
碧は部屋に引きこもり自己嫌悪に浸っていた。
「碧!」
そこに恋が飛び込んでくる。
「あれ? いつものようにイギリスを調べてないのね?」
そこにはいつもと違う碧がいた。
「恋か。はあ・・・・・・。」
「どうしたのよ? 何かあったの?」
元気がないので碧に理由を尋ねる恋。
「俺の性で長崎、韓国、ロシアで多くの人々に迷惑をかけてしまった。俺の性で・・・・・・。」
「何を言っているのよ? まるであんたが台風ね。」
「ガーン・・・・・・。」
(なぜこいつに、こんな奴に俺の正体が分かるんだ!?)
碧は心の中でツッコんだ。
「いいな、おまえには悩み事が無くて。」
自分より不幸な人間はいないと碧は思い込んでいる。
「はあ!?」
いじけている碧の態度にだんだん恋の怒りが込み上げてくる。
「ふざける!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そして爆発した。
「碧の意気地なし! 碧の男女!」
「恋!?」
「そんなにメソメソしたいんだったら引きこもりにでもなってしまえばいいんだわ! どうせ、あんたの悩みなんてアリンコよりも小さいのよ! そうよ! あんたなんかアリンコ以下よ!」
碧の態度にキレた恋が言い放つ。
「知らなかった!? 俺の悩みはアリンコ以下だったのか!?」
恋の言葉に何かが吹っ切れた碧。
「そうだな。悩んだって何も変わらない。過ぎたことを後悔するよりも、これからの人生をどうすれば良くなるかを考えた方がいいな。」
碧の中で台風の出来事は嵐の様に過ぎ去って消滅した。
「ありがとう。恋。おまえのおかげで前に進めそうだ。」
「どういたしまして。」
こうして碧は失敗のトラウマを乗り越えた。
「なぜ天女や天使たちに怒られねばならない! 私は神であるぞ! 私は偉いのだ!」
自称、一番偉い者の神様の反撃が始まる。
「いいだろ! おまえたちに私を欺き、私を超える願いを得て何度も私に歯向かい戦いを仕掛けてきた人間を見せてやる!」
神様は天女や天使たちに碧を見せることにした。
「ポチっとな。」
天界に碧の姿が映し出される。
「ニューカッスル・アポン・タインと。」
碧は引き続きイギリスを調べていた。
「イングランドの北東部にある城塞都市。」
碧は調べものに集中していた。
「人口は30万人。おお、やっと人口が増えたな。」
これが碧の日々の変化もない日常だった。
「嘘つき!」
「この神様は最低だな。人間以下だ。」
碧の映像を見た天女や天使たちの一言だった。
「そ、そ、そんなバカな!? 自身の判断ミスで多くの人々にご迷惑をかけたのに、あの人間は何事も無く平然と自分の趣味を満喫しているというのか!? 信じられん!? 本当なら今頃、自分の犯した罪の重さに押しつぶされそうな罪悪感を感じて落ち込んでいるはずだ!? なぜだ!?」
神様には普段通りに暮らしている碧の姿が信じられなかった。
「帰ろう。帰ろう。神様、最低。」
「そうね。神様なんだから嘘をついてはいけないでしょ。よくそれで神様をやってられますね。」
立ち去っていく天女や天使たち。
「そ、そんな・・・・・・。」
神様は天界で嘘つき扱いされることになった。
「クソッ!? 人間はなんて立ち直りの早い生き物なんだ!? 私なら3日はご飯が喉を通らないぞ!?」
人間を甘く見ていた神様の誤算であった。
「でも確かに学校で国語や数学などの勉強を習っても、社会に出て使うことはない。授業の内容も外国語やプログラミング、投資、不動産なんかを教えてくれた方が生きていける知識だ。」
復活した碧は人生を振り返る。どうすれば人間は生きていけるかをテーマに真剣に考えているのだ。
「どうせなら学校で剣術や魔法の使い方を教えてくれた方が自給自足できそうだ。徴兵制のある国では男子は筋トレをして、警察や消防、軍隊に街中のケンカもできそうだが、今の日本はチャラいとキモイといい加減な男子ばかりだもんな。」
問題は学校の先生が魔法を教えることができないということ。剣術の代わりは剣道くらいしかないということ。さらに平和な世の中では普通は剣も魔法も要らないということである。
「かといって、戦争が起こるのも困る。やっぱり平和が一番だ。」
台風や神様の相手で戦争とまではいかないが、争いや事件があると疲れることを碧は知っている。
「碧、さっきから何を独り言を言っているの?」
そこに恋が現れた。
「出たな!? 危機!?」
「誰が危機だ。誰が。」
「アハハハッ。」
笑って誤魔化す碧。
「命の恩人様でした。」
「その通り! 私の一括で落ち込んで暗くなっていた碧の気持ちを明るく晴れ晴れとした普段の碧に戻してあげたんだから!」
そう。恋は魔法は使えない。
「あ、そっか!? これが魔法なんだ!?」
暗闇に覆われた人の心に光を灯す。まるで魔法そのものであった。
「小さな幸せは人の心を明るくする魔法なんだ!」
戦争を止めるとか、ダンジョンを突破するとか、魔王を倒すとか、何か大きなことを達成するだけでなく、心を明るくする出来事は全て魔法であると碧は気づいた。
「人間が花が咲いているのを見て綺麗と思ったり、夜空のお星さまを見たり、重い荷物を持っているおばあちゃんの荷物を持ってあげたり、そうゆうささやかな人間の善意が魔法なんだ!」
意外に多い小さな幸せ。
「何をキモイことを言っているの? なんでも現実社会を異世界ファンタジーに置き換えるのはやめなさい。子供が見たら頭のおかしなお兄ちゃんがいて怖がられるから。」
一般人の恋からすると碧は変態さんに見えた。
「ありがとう! 恋! 君のおかげだ!」
「ど、どういたしまして。」
それでも暗くて落ち込んでいる碧を見るよりは、喜んでいる碧を見る方が好きな恋だった。
「恋、君は僕の魔法使いだ! 大好きだ!」
「はあ!? 何を言っているんだか? 付き合ってらんない。私は帰る。」
そういうと恋は帰って行った。
「私は碧の魔法使いか。アハッ。」
何はともあれ大好きと言われて嬉しい恋であった。
「頼もう!」
碧の前に珍客が現れる。
「人間の感情の起伏をコントロールするのが魔法であるならば、危機を感情のマイナスと考えて、その危機や試練を乗り越えて感情をプラスにすることで笑顔になることを魔法と考えれば、つまらない現代劇でも書けるな。」
碧の趣味は小説やストーリーを考えることであった。
「おい、人間。」
現れたのは、ほぼ天界を追放された神様であった。
「でも現代は感情の起伏を嫌う。どちらかというと嬉しいことがあるより、悲しいことがあることを嫌がる。悲しいことがあるぐらいなら嬉しいことを切り捨てて、何もないことを選んでいるのが現代を生きる人間だ。友達を作るより、スマホで一人で遊んでいる方が自分が傷つかなくていいからだ。」
しかし神様の登場に自分の世界に入り込んでいる碧は気づかない。
「こらー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
さすがに優しい神様もムカついた。
「うわっ!? なんだ!? か、神様!?」
やっと碧は神様を認識した。
「ヤッホー。」
人間界にやって来て陽気な神様。
「何しに来た!? この邪神め!? 台風の次は津波か!? それとも干ばつか!? 今度は何で人間を苦しめるつもりだ!?」
神様を警戒しまくる碧。
「酷い!? 邪神だなんて!? まだ堕天使ならぬ堕神と呼んでくれた方がいい響きだ。」
「どっちも似たようなもんだろう?」
なんやかんやで碧と神様は仲がいい。
「何しにやって来た!? 神様。」
仕切り直し。
「人間のおまえに教えてもらおうと思ってやってきた。」
低姿勢な神様。
「普段バカにしている人間に教えてほしだと!?」
何か企みがあるのではないかと警戒する碧。
「その通りだ。神である私には人間のことが分からないみたいだ。だから人間の友達であるおまえに尋ねたい。」
分からないことは素直に質問する勉強熱心な神様。
「誰が友達だ?」
いつの間にか碧と神様は友達になっていた。顔見知りや何回かあった人間というのは親しくなってしまうものである。
「で、何が聞きたい?」
「おまえは台風逸らし失敗事件で自殺を考えるくらいに落ち込んでいたはずだ。それなのに1日もしないで元気に明るく振る舞っている。なぜだ!? 私なら最低でも3日は暖かい布団で寝込んでいるぞ。どれだけ考えても分からない。教えてくれ。おまえはどうして生きていられる? なぜ笑っていられるのだ?」
天界にお住いのペンネーム神様からの質問です。
「なんだ。そんなことか。くだらない。」
「くだらないだと!? 私は真剣に悩んでいるんだぞ。」
「確かに何でも思い通りにできてしまう神様には分からないだろうな。」
答えに碧は心当たりがある。
「弱い人間は生きていると辛いことの方が多い。叶えたい夢が叶うことも数少ない。夢も希望も失った人間の心はどんどん闇に飲み込まれてしまう。そして暴力、陰口、いじめなど、もっと行ってしまえば七つの大罪の負の感情などを心に抱いてしまう。」
人間の心は脆くて儚い。絶大な力を誇る神様とは違い、人間は弱い。
「だから人間は群れになる。人間は群れになって助け合うんだ。だから俺が落ち込んでいたら助けてくた奴がいた。俺を励ましてくれた奴がいる。俺は一人ではなかった。俺を世界の終わりから救ってくれた奴がいた。だから俺は立ち直ることが出来たんだ。」
奴とは恋のことである。
「そうか!? 何でも思い通りにできる神である私は強すぎて弱い者の痛みが分からなかったのか!?」
神様は初めて弱さの強みを知る。
「ああ~! 人間に生まれて良かった! ありがとう! 神様!」
初めて神に感謝する碧であった。別に戦わなくても神に勝てる人間であった。
つづく。
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