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4ー11

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「やっと過去作を読み終わったよ。」
疲労困憊の歯科医師の美代先生。
「先生、ご苦労様でした。ラーメンを食べに行くならお供しますよ。」
「キュル。」
調子のいい歯科助手のみなみちゃんとパンダのパンパン。
「逃げたくせに。」
「ちゃんと帰って来たじゃないですか?」
「ごはんを奢ってほしいだけでしょう?」
「アハハ。そ、そんなことありませんよ!?」
「キュル!?」
とりあえず飼い主と同じく慌てる行動をするパンダ。
「はあ・・・みなみちゃんには敵わないな。出前とっていいよ。」
「やったー!」
「キュル!」
白旗を揚げて歯科助手に降参する歯科医師。
「それにしても、わざわざ読み返したけど、意外に登場人物が少なかったな。これなら、もっと好き勝手に話を誇張できるな。」
読み返し出てきたキャラクターは、野菜防衛隊の綾、友梨、麻美、ミク。日本秘密庁の安倍景子、イスラちゃん。渋谷塚大学病院の息子の渋井ハチ太郎、ベテランのおばちゃん婦長。みなみちゃんの先輩の歯科衛生士の東西北の3人組。みなみちゃんのストーカー刑事の倉朝君。上野のシャンシャンでなく、上野のパンダのシャシャ。
「これなら読み返す必要が無かったではないか!? 時間と体力を無駄にしたわ!?」
美代先生は自己嫌悪に陥る。
「あ、渋谷軒ですか? ラブリーみなみです。いつものお願いします。」
「キュル。」
みなみちゃんの出前の電話注文のレベルが上がっている。
「みなみちゃん、いつからラブリーみなみになったの?」
「今からですよ。将来、渋谷の街をみなみ一色で染め上げるんです。夢はハチ公の像の横に、みなみの像を建てることです。」
「キュル。」
作品の過去を理解した所で、みなみの野望が生まれても、過去と矛盾が発生しないことは確認済みである。
「キュルキュル!?」
「もちろん、パンパンもみなみの側で渋谷名物の待ち合わせスポットの像になりますよ。」
「キュル!」
像になることを余り理解していないが、飼い主のみなみちゃんと一緒なので喜ぶパンダ。
「あっそう。」
呆れてものが言えない歯科医師。
「わ~い! わ~い! みなみは渋谷駅前で像になりますよ!」
「キュル! キュル! キュルキュル!」
とにかく楽しそうな歯科助手とパンダ。
「それにしても過去作を読まずに書くだけになると、こんなバカな内容で、もう900字越えか。楽だな。」
矛盾を気にせず、書くだけに徹しようかなと悪いことを考えてしまう歯科医師。
「失礼します。」
「あう。」
その時だった。美代歯科医院にお客さんがやって来た。
「おまえたちは!? 私にラーメンすら食べさせずにこき使った悪魔の秘密結社!?」
現れたのは美代先生を利用するだけ利用する日本秘密庁の安倍景子とイスラちゃんであった。全て、他の過去作からキャラクターをコンバートさせ、ゲスト出演させればキャラ作りの手間が省ける。M&Aで会社を札束で買収し、一から始める面倒臭い手間と時間を省くのと同じである。
「誰が地獄の閻魔様の使いですか? それとも冥界のハーデースの使いですか?」
「あう。」
「いや、そこまでは言ってない。」
安倍の方が美代先生より一枚上手だった。
「狙いは・・・みなみのラーメン50杯と餃子30人前ですね!? サービスの小籠包は1個もあげませんよ!?」
「キュルキュル!?」
必死に自分の取り分を守る歯科助手とパンダ。
「誰も食べません。ご飯は食べてきました。」
「あう。」
目的は食料ではないと否定する日本秘密庁の職員たち。
「なんだ、それなそうと言ってくれれば良かったのに。いらっしゃいます。」
「キュル。」
「・・・あのね。すごい手の平の返しようだね。」
自分の食料が食べられないと知り、態度を変える現金な歯科助手とパンダ。
「じゃあ、何しに来たんですか?」
「歯が痛いんだ。治療してほしいんだ。」
「あう。」
やっと本題である。
「いいけど、問題が1つある。」
「なに?」
「もう1600字で尺がないんだ。」
この物語はSNコンテスト条件の1話2000字でライトに書かれている。
「なんじゃそりゃ!? どうでもいいから、虫歯を直してくれ!?」
「あう!?」
「まったく忙しい人たちだな。分かった。直せばいいんだろう。」
美代先生は渋々だが歯の治療を引き受けた。
「みなみちゃん。」
「嫌な予感が・・・。」
「後よろしく。」
「やっぱり・・・。」
引き受けるのは美代先生。歯を治療するのはみなみちゃんである。
「キュル! キュル!」
そして応援するのは、パンダである。
「みなみちゃん、尺が無いからダイジェスト治療でいいよ。」
「いいんですか!? ダイジェストで!?」
「いいよ。私は休憩室でカップラーメンを食べているから、後よろしく。」
そう言って美代先生は去って行った。それではここからはダイジェスト治療でお楽しみください。もしアニメ化されたら、真面目に治療されるでしょう。
「みなみ! いきます!」
「出たな! ストレス虫歯! 爆弾虫歯!」
「みなみに治せない虫歯は無い!」
「必殺! クリーニング波動砲!」
「白い歯って、いいな。」
「キュル。」
こうして安倍景子とイスラちゃんの虫歯は、最強の歯科助手のみなみちゃんによって治療され帰って行った。そして休憩室に行ったみなみちゃん。
「え!? 本当にダイジェスト治療したの!?」
「し、しましたよ!? 美代先生がいいって言ったじゃないですか!?」
「キュル!?」
これでも美代先生とみなみちゃんとパンパンは仲良し。

つづく。
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