最強の歯科助手、みなみちゃん4

渋谷かな

文字の大きさ
29 / 48

4ー11

しおりを挟む
「やっと過去作を読み終わったよ。」
疲労困憊の歯科医師の美代先生。
「先生、ご苦労様でした。ラーメンを食べに行くならお供しますよ。」
「キュル。」
調子のいい歯科助手のみなみちゃんとパンダのパンパン。
「逃げたくせに。」
「ちゃんと帰って来たじゃないですか?」
「ごはんを奢ってほしいだけでしょう?」
「アハハ。そ、そんなことありませんよ!?」
「キュル!?」
とりあえず飼い主と同じく慌てる行動をするパンダ。
「はあ・・・みなみちゃんには敵わないな。出前とっていいよ。」
「やったー!」
「キュル!」
白旗を揚げて歯科助手に降参する歯科医師。
「それにしても、わざわざ読み返したけど、意外に登場人物が少なかったな。これなら、もっと好き勝手に話を誇張できるな。」
読み返し出てきたキャラクターは、野菜防衛隊の綾、友梨、麻美、ミク。日本秘密庁の安倍景子、イスラちゃん。渋谷塚大学病院の息子の渋井ハチ太郎、ベテランのおばちゃん婦長。みなみちゃんの先輩の歯科衛生士の東西北の3人組。みなみちゃんのストーカー刑事の倉朝君。上野のシャンシャンでなく、上野のパンダのシャシャ。
「これなら読み返す必要が無かったではないか!? 時間と体力を無駄にしたわ!?」
美代先生は自己嫌悪に陥る。
「あ、渋谷軒ですか? ラブリーみなみです。いつものお願いします。」
「キュル。」
みなみちゃんの出前の電話注文のレベルが上がっている。
「みなみちゃん、いつからラブリーみなみになったの?」
「今からですよ。将来、渋谷の街をみなみ一色で染め上げるんです。夢はハチ公の像の横に、みなみの像を建てることです。」
「キュル。」
作品の過去を理解した所で、みなみの野望が生まれても、過去と矛盾が発生しないことは確認済みである。
「キュルキュル!?」
「もちろん、パンパンもみなみの側で渋谷名物の待ち合わせスポットの像になりますよ。」
「キュル!」
像になることを余り理解していないが、飼い主のみなみちゃんと一緒なので喜ぶパンダ。
「あっそう。」
呆れてものが言えない歯科医師。
「わ~い! わ~い! みなみは渋谷駅前で像になりますよ!」
「キュル! キュル! キュルキュル!」
とにかく楽しそうな歯科助手とパンダ。
「それにしても過去作を読まずに書くだけになると、こんなバカな内容で、もう900字越えか。楽だな。」
矛盾を気にせず、書くだけに徹しようかなと悪いことを考えてしまう歯科医師。
「失礼します。」
「あう。」
その時だった。美代歯科医院にお客さんがやって来た。
「おまえたちは!? 私にラーメンすら食べさせずにこき使った悪魔の秘密結社!?」
現れたのは美代先生を利用するだけ利用する日本秘密庁の安倍景子とイスラちゃんであった。全て、他の過去作からキャラクターをコンバートさせ、ゲスト出演させればキャラ作りの手間が省ける。M&Aで会社を札束で買収し、一から始める面倒臭い手間と時間を省くのと同じである。
「誰が地獄の閻魔様の使いですか? それとも冥界のハーデースの使いですか?」
「あう。」
「いや、そこまでは言ってない。」
安倍の方が美代先生より一枚上手だった。
「狙いは・・・みなみのラーメン50杯と餃子30人前ですね!? サービスの小籠包は1個もあげませんよ!?」
「キュルキュル!?」
必死に自分の取り分を守る歯科助手とパンダ。
「誰も食べません。ご飯は食べてきました。」
「あう。」
目的は食料ではないと否定する日本秘密庁の職員たち。
「なんだ、それなそうと言ってくれれば良かったのに。いらっしゃいます。」
「キュル。」
「・・・あのね。すごい手の平の返しようだね。」
自分の食料が食べられないと知り、態度を変える現金な歯科助手とパンダ。
「じゃあ、何しに来たんですか?」
「歯が痛いんだ。治療してほしいんだ。」
「あう。」
やっと本題である。
「いいけど、問題が1つある。」
「なに?」
「もう1600字で尺がないんだ。」
この物語はSNコンテスト条件の1話2000字でライトに書かれている。
「なんじゃそりゃ!? どうでもいいから、虫歯を直してくれ!?」
「あう!?」
「まったく忙しい人たちだな。分かった。直せばいいんだろう。」
美代先生は渋々だが歯の治療を引き受けた。
「みなみちゃん。」
「嫌な予感が・・・。」
「後よろしく。」
「やっぱり・・・。」
引き受けるのは美代先生。歯を治療するのはみなみちゃんである。
「キュル! キュル!」
そして応援するのは、パンダである。
「みなみちゃん、尺が無いからダイジェスト治療でいいよ。」
「いいんですか!? ダイジェストで!?」
「いいよ。私は休憩室でカップラーメンを食べているから、後よろしく。」
そう言って美代先生は去って行った。それではここからはダイジェスト治療でお楽しみください。もしアニメ化されたら、真面目に治療されるでしょう。
「みなみ! いきます!」
「出たな! ストレス虫歯! 爆弾虫歯!」
「みなみに治せない虫歯は無い!」
「必殺! クリーニング波動砲!」
「白い歯って、いいな。」
「キュル。」
こうして安倍景子とイスラちゃんの虫歯は、最強の歯科助手のみなみちゃんによって治療され帰って行った。そして休憩室に行ったみなみちゃん。
「え!? 本当にダイジェスト治療したの!?」
「し、しましたよ!? 美代先生がいいって言ったじゃないですか!?」
「キュル!?」
これでも美代先生とみなみちゃんとパンパンは仲良し。

つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

処理中です...