英語は魔法 English is Magic

渋谷かな

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揺れる心

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「ここはどこだ?」
「魔法渋谷区役所の地下倉庫です。」
「それはいい。ちょうど真上に打つべき者がいるのだな。」
 望たちが幽閉されていたのは区役所の真下だった。
「さあ! 皆で俺たちの渋谷区を取り戻そう!」
「おお!」
 フル装備を身に着けた生徒たちには戦意が高揚し、地下から地上にレジスタンスのように駆けあがって行く。
(俺の渋谷区を取り戻すために働いてもらうぞ! このミジンコどもめ!)
 望はクラスメイト達のことを自分の操り人形の様にしか思っていない。
「副委員長。おまえたちには、また別にやってもらいたいことがある。」
「はっ。」
 暗躍する望の知能はフル回転する。
「望、戦争なんかやめにしない?」
「どうした? 副委員長。」
「その副委員長なんて呼び方も変だよ!?」
 副委員長の一人、希が望に意義を申し立てる。
「私たちは学生だよ!? 政局争いなんて、大人がすることだよ!?」
「その大人は、渋谷区長から区議、区職員まで皆殺しにされたんだぞ!? 俺たち子供が悪い侵略者と戦うしかないだろう!?」
「それはそうだけど!? どうして私たちが戦わなければいけないの!?」
 希は戦争の混沌とした現状に不安から精神が壊れそうになり、自然と涙も零れて取り乱している。
「俺も、俺も誰かを傷つけるなんか嫌だけど、誰かが戦わないと大切な人を守れない。黙って皆が殺されていくのを見ているだけなんてできないよ。」
「望。」 
 望は、そっと希を抱きしめる。望の嘘の本心に希は少し安堵し涙が止まって落ち着いてくる。
「何も戦いたい訳じゃない。戦争なんか早く終わらせて、希と一緒に幸せに暮らそう。」
「うん! 私、がんばる! 悪い人たちを倒すんだ! 全滅させてやる!」
 希は望の口車に乗せられて戦意が再び点火した。
(ちょろいな。これだから子供の相手はしたくないんだ。ああ~疲れる。)
 望は自分の野心のためなら幼馴染の副委員長すら危険に飛び込ませる。

「まもなく魔法渋谷中心地の制圧も完了すると思われます。」
「そうか。そうか。これで渋谷区も我々のモノだ。ワッハッハー!」
 渋谷区に攻めてきた新宿区長の笑い声が響き渡る。
「ピピピピピー!」
 その時、魔法の警報器の警報音がなる。
「何事だ!?」
「どこかからか魔法で攻撃を受けています!?」
「いったいどこから!?」
「真下です!? この区役所の真下からです!?」
「真下だと!?」
 新宿区長や新宿職員の魔法使いたちは、予期せぬ攻撃に動揺し混乱する。
「さあ、ゲームの始まりだ。反撃といこうか。」
 望の狂気の夢は全てを覆いつくす。
 つづく。
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