銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ

マサノブ

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王家の絆編

PART34 ガルスグレーサー帝国の驚異

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ヘルターナーが太陽系にやってきたのは
地球防衛軍との開戦後6年目の事である。

彼は星帝ギルザート18世の腹心である
宰相リンクスと会見した

巨人である彼等との謁見は其れだけで
{大変名誉}な事だとされている。

身長が自分の10倍の大きさの人間の
相手というのは恐るべき胆力を誇る
ヘルターナーであっても緊張するものだ
「リンクス様、冥王星攻略にまた失敗したとの
連絡が入りました」

リンクスにはその表情を見ることが
高さ的に出来ないが相当機嫌が悪いのは解る

「これで23回目の失敗か・・6年も掛かって
何をしているのだ・・?」
舌打ちをしないだけでも我慢しているのは伝わる

「冥王星と言いますと、あのコード983星系の
辺境惑星ですか?」

リンクスは忌々しそうに
「そうだ、6年も掛かって未だに攻略出来ない」

ターナーは此は千載一遇のチャンスだと思い
宰相リンクスに直談判した

「そうですか、その事でギルザート様に
お目通りを願いたいのですが」

元は小さいながらも1惑星の総督であっても
ガルスグレーサーでは同じ様な身の上の
異星人は数多に居て序列で言えば
ターナー等はまだまだ新参だった。

だからこそ宰相と直接会って話しをし味方の
失敗を報告するこの状況に最大のチャンスを見出した

『この男正気か?・・・』だが小人奴隷とはいえ
宰相の自分に対し物怖じしない胆力には感心した
それにこの男の纏う空気は強者の風格さえ感じる

「良いだろう御取り次ぎ仕様、
但し取り次いでも場合によっては
貴様の最後の蛮勇で終わる事も覚悟せよ」

「望むところで御座います」

数分後ターナーは{宇宙一}の権力者に
望み通り目通りが叶った、そうして星帝の前で
堂々と宣言する
「冥王星を1年、いえ半年で
攻略して見せましょう」

ギルザートは覇気を纏い
ヘルターナを試す事を言う
「半年で冥王星の攻略が出来なければどうする?」

「その時は自決して果てましょう」そう言いきる
ターナーの目に一切の迷いはなかった。

『大言雑言するにしてもわざわざ命を懸けて
星帝である余に対し此処まで大見得を切る
{此ほど燃えるような情熱を持つ人物}が
軍に居たとは、こ奴に任せるのも一興か・・』

ギルザート18世はこの潔さに感銘を受け
前例が無いにも係わらず、この掟破りの新入りに
天の河銀河983星系(太陽系)攻略の任務を命じた。

この異例とも言えるターナーの抜擢に多少の
波風は立つもギルザートの決定は神の言葉
それに異を唱える愚か者は存在しない

こうしてターナーは冥王星攻略のために
地球に潜入させるスパイの数を{5倍}に増やし
{ムーの末裔}と言うカルト集団との
連携を果たして

太陽系防衛軍の内部情報と情報操作などを
駆使し星帝との約束通り僅か半年で
冥王星を陥落させた。
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クリスタルアーマーステーション

真耶と響が歩いていると

「チーフ、それに響サン、助けて下サイ
7号が・・7号が」そう言ってコンガラクが
真耶の足元に平伏す

真耶は突然泣きついてきたコンガラクに
7号がどうしたのかを聞いた所、
どうやら7号がいつも通り訓練をサボり
堪忍袋の尾が切れた滝川チーフが

ハヤテの天才科学者、春吉さんに罠を頼んで
どうやら7号がその罠に引っかかって
身動きが取れなくなっているらしいのだ

真耶と響はゴキブリホイホイのデカい版に
毛が粘着テープに接着し身動き取れなく
成っている情けない7号の姿に大笑いした

「犬が・・犬がゴキブリホイホイに・・」
響が腹筋が崩壊する勢いで笑っている
真耶が「笑っちゃ可愛そうよ」と言いながら
二人の涙が止まらない。

コンガラクが二人を連れて来た時には既に
滝川鏡子が腕組みをしながらそんな7号を
窘めている最中だった

粘着テープで雁字搦めになって必死にもがく
7号が「チーフ反省しています
助けて下さいよー」と
滝川チーフに懇願するものの
「何情けない事言ってるの
貴方忍犬なんでしょ?自分で何とかなさい」

「クーン・・」今更犬の泣き真似しても駄目です

『デスよねー』真耶と響はテレパシーでハモった。

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深淵広がる大宇宙に惑星と言っても過言でない
超巨大円盤が驚愕の大艦隊を引き連れ航行している

この超巨大円盤の大きさは
直径40万キロM全高6万Mにもなり
宇宙とは言えあまりにも大き過ぎて
重力さえ発生する規模なのだ。

この天体級大円盤を基点として240万もの超艦隊が
移動を続けるその光景は現実離れした物であり
そしてその目的地が銀河系であることは
当事者達にとっては恐るべき事実だ。

天体級大円盤ムー・{星帝宮殿}

巨人の国の中枢であり富と権力の象徴
その王座に身長19Mの巨人の王が君臨していた。
彼の名は星帝ギルザート18世

星帝は此より大きな決断を下そうとしていた
即ち、ガルスグレーサーに敵対する
たった1機の円盤を討伐する為だけに

ガルスグレーサー{最大最強深淵の巨鯨}にして
冥府の導き手{あらゆる災厄の竜}地獄の使者
星帝級{巨人要塞戦艦}ファノサイス
その最大戦力の投入を決断したのだった。

星帝が宰相リンクス3世に向かって命じる
「ファノサイスの出撃を命じる!」と

リンクスは星帝の命令を復唱する
「畏まりました星帝様の御命令に従い
{星帝級巨人要塞戦艦}ファノサイスを出撃させ
偉大なる星帝様に小賢しくも逆らう銀河円盤なる
愚かな蛮族共の希望を討ち砕きましょう」

「頼むぞ我が臣下達よ」

「御意!」その場に控える巨人数名が
全てファノと呼ばれる究極戦艦の艦長等である。
ファノサイスはファノ艦隊の旗艦であり
巨人権力の象徴であり道標でもある

巨人に有らず者は人に有らず
その主義主張を力で強引に押し通すのが
ファノサイスの使命であり存在意義だ。

天体級大円盤ムーから70キロメートル近くの
超巨体が分離され、その漆黒の塊が1隻の
巨鯨と化し、ファノ艦隊1強の旗艦が
そのフォルムに変化を遂げれば
宇宙最強の力がここに顕現するのだ。

一つ宇宙の深淵

一つ宇宙の暴食

一つ宇宙の災害

一つ宇宙の万能

一つ宇宙の神罰

一つ宇宙の信仰

一つ宇宙の神秘

一つ宇宙の恐怖

一つ宇宙の壊滅

一つ宇宙の絶望

星帝級巨人要塞戦艦・其の数10隻
ファノ・シリーズ基本スペックは

超魔導臨界型エンジン
動力・魔導エネルギー
主砲・魔導砲全100門
全長66000M
全幅5530M
全高8860M

星帝級巨人要塞戦艦・星帝艦隊

旗艦
No.1ファノサイス{シン・ファノサイス}
魔導兵器・破壊滅却キルギス砲
{ファノサイス伝説の一つとして語られるのは
その龍こそが全ての龍の根元であり全てを統べる
炎の王でもあり、あらゆる物を飲み込み
炎の力に変えて吐き出す災害権化と化す}

No.2ファノクロス
魔導兵器・液体重金属砲
{ファノクロス伝説で語られる有名な一節には
天空を覆い尽くす夜の羽衣が漆黒の闇で
全ての罪人を呑み込み天の裁きを与えるという}

No.3ファノムート
魔導兵器・空間斬殺砲
{ファノムート伝説には星が邪魔をして
商船を通さないので、あの星に
退くよう説得して欲しいと頼まれ
ファノムートは星に退くよう頼むが
星は回り道しろと言い、そこで
ファノムートは仕方なく空間を割って
商船の通り道を作ったと言う}

No.4ファノアマト
魔導兵器・超時空砲
{数多あるファノアマト伝説で最も有名なのは
龍の一匹が戦で重傷を負い死に瀕したとき
その龍が時を巻き戻し龍を救ったと伝わる}

No.5ファノギウス
魔導兵器・超神域電磁砲
{ファノギウス伝説では龍が雷の檻を作り
その中に敵の星を閉じこめることで
無傷で星の果実を得たとある}
電光如意金箍棒九柱

No.6ファノライエ
魔導兵器・超空間転移砲
{ファノライエ伝説で銀河の星の数もある敵が
光の矢を撃って来たのを全て空間を入れ替え
敵に返して撃退したと言う1節がある}

ファノクジャタ
魔導兵器・暗黒ガス星雲砲
{ファノクジャタ伝説に語られし1節
異界より呼び出せし魔物の息は強毒気体
何千何万という魑魅魍魎も無垢な魂の子等も
皆等しく死の川を渡るという}

ファノアプス
魔導兵器・超重力砲
{ファノアプス伝説には大軍に襲われた龍が
その軍勢の中心部に黒い穴を作りそれらを
全部飲み込ませたという1節がある}

ファノタウリ
魔導兵器・高次元振動砲
{ファノタウリ伝説では大地の存在しない世界で
龍が地震を起こし全ての敵を葬り去ったと言う}

ファノシルト
魔導兵器・超精神汚染砲
{ファノシルト伝説では龍が心卑しき悪鬼共の魂を
全て浄化し清浄に戻し無傷で神に献上したとある}

全てのファノが最強と呼ばれ
ガルスグレーサーの非道が罷り通る
元凶と成っている

この怪物共が有る限りこの宇宙に平和は来ない。
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「中には見知った能力を使う艦もあるだろうが
魔導力を使う時点でもう別物と考えて欲しい」

「以上が巨人要塞戦艦に関する概要であり
此に魔導回路とエンジンの大まかな設計図を
纏めた物がJジョーカーから
ウルフシューター将軍に届けられた
全データーだと言う事です」

春吉進一郎はクリスタルアーマーステーションで
勝艦長と大城誠矢にそう説明をしながら
ハヤテ改装計画の全容を説明した

「何しろもう時間がないのでハヤテの改装は
此処までにして後は予備の戦力アップに全精力を
回すのが良いと言う結論に至りました」

「具体的に言うと例の坂巻専用機ですね?」

誠矢はあの{紅い死神}に親友を乗せるのは
ハッキリ言って良い気分ではなかった
が、あの戦闘力は巨人要塞戦艦と戦うとき
必ず必要に成る、それも間違いない

「其れともう一つ、偽装駆逐艦ハヤテFの方も
魔導コアでパワーアップする予定です」

「其れは又・・・」勝艦長と誠矢は息を呑む

「そうなれば、あの偽装戦艦は
只の偽物の枠を超えた超戦艦に生まれ変わる
可能性が有りそうです」

今一歯切れの悪い
春吉{総科学班長}の言葉だった。

惑星ウラジーノとガドラ
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商業惑星ウラジーノ
{民主的な商業活動で発展した惑星国家}
銀河連邦に加盟してはいるが
ガルスグレーサー帝国軍の接近で
侵略の危機に瀕し、其処で軍事国家として
悪名高い隣国のガドラ軍国に助けを求めたのが
ケチの付き初めとなる。

首相の名はテリ・シヤン

そして軍国惑星ガドラ
{ガドラ軍国と言うガチガチの軍国主義国家}
前々から商業惑星ウラジーノを狙っており
征服計画を着々と進めていた。

軍王・デザー・ド・グルナス
ガドラ軍国の血も涙もない独裁者

ウラジーノは商業で発展した星である
その貿易は多岐に渡り多くの惑星と
公益を交わしていた

位置的には銀河渦巻腕に位置し
ガルスグレーサーが現れるまでは
ユニオンによって庇護され繁栄していたのだが・・

ガルスグレーサーが銀河連邦ユニオンと
裏取引をして太陽系以外に手を出さないと言う約束は
全く守られず、

渦巻腕の方々の星に強力な宇宙戦艦を
配備する事で航路を邪魔し商業活動をする民間船に
{安全保障条約}を口実に{危険な物資を積んで
いないかの査察}を名目に圧力外交、そして
難癖をつけては商船を拿捕し、船員を不当に
逮捕するなど其れこそ軍事力を傘に好き放題だ。

此に対しユニオンはガルスグレーサーに抗議は
するものの基本的に武力衝突を回避する為に
極地的にでも武力衝突すれば紛争が勃発し
その火種が銀河全体に広まればユニオンいとって
大きな損失となると
「その結果、一番に被害を受けるのは
君達ではないのかね?」と指摘されると
ウラジーノ星としてはユニオンに
抗議はするものの他にどうしようもなく

商業惑星であるウラジーノは他の星との交易が
生命線である為め其れを阻害されると言うことは
国家存亡の危機、そこで一計を案じた結果

隣接する軍事国家ガドラにウラジーノは
軍事支援を求めたのだ
その結果{航路を確保}出来る様になり
交易を再会する事でウラジーノは息を吹き返す。

そしてある時、{銀河の盾}を名乗る
強力無比な存在が現れ、その銀河の盾が
ガルスグレーサー軍を撤退させた事から
銀河系の商業活動が復活し軍事的な脅威が
去ったのだ

此で{目出度し目出度し}の
筈だった・・のだが、

{軍王・デザー・ド・グルナス
ガドラ国軍の血も涙もない独裁者は}
この平和を歓迎しなかった

少し前まではガルスグレーサー軍から
商業船を守るだけで多額の護衛料を
稼げていたというのに

{ウラジーノの恩知らず共め・・少しばかり
平和になった位でもう護衛の必要はないとか抜かしおって・・」
ド・グルナスとしては面白くない
『だがどうする?奴らのバックには銀河連邦が・・』

「今の銀河連邦は弱体化し銀河辺境への
影響力が落ちていると聞く
だとすれば、宇宙海賊に対する対応も
出来ないのではないのか?」

銀河連邦の強力な宇宙戦艦相手では
ガドラの宇宙戦艦では歯が立たないが
ガルスグレーサーとの軍事衝突の危険を
恐れユニオンが宇宙戦艦を派遣できない今なら

我が戦艦を{海賊艦に偽装}し
ウラジーノの交易艦を襲わせ物資を奪い、
その海賊艦を我が艦隊が拿捕すると言う
自作自演の仕組みをこさえれば
国際上、何の問題もなく事が上手く進む

そうすればウラジーノは我が国に再び
護衛を依頼せねば成らなくなり
奪った物資を我が物と出来、正に一石二鳥だ。

そう考えに至ったド・グルナスは早速軍に命令し
本当にその思い付きを実行に移した。

主も主なら部下も部下なので
長年に渡る腐敗した汚職軍人が支配する宇宙軍に
軍規や誇りなど微塵もなく

{軍人としての矜持失った彼等は
或る意味、宇宙海賊よりも性質が悪かった}

そして突如として商業船団が
謎の海賊船に襲われ始めた。

「船長、前方に所属不明の
宇宙戦艦3隻出現しました!」
船員の報告に緊張が走る

「未確認艦発砲!!」

20センチ砲2連3門の強力な
光線砲弾が火を噴き商業船団の目前を通過する
彼等にとって宝の山である商船に
当てる気は毛頭無い停船させる事が目的だった。

そして物資の全てを奪い尽くし次にド・グルナスが
とった行動とは襲った船団の乗組員を拿捕し
ウラジーノに身代金を要求する事だった

人の命の価値が高いウラジーノはこの要求に
応えるしか手がなく、泣く泣く国庫から
要求額を捻出し人質を取り返すも

その後が更に問題となった
此に味を占めたド・グルナスは軍に命じて
彼方此方の航路の商業船を見境無く襲うようになり
自営の為に武器を使用した商業船を撃沈した事から
銀河注目の社会問題となり海賊船に懸賞金が
掛けられた

だがド・グルナスは懸賞金の掛かった船を
軍艦で破壊し、その懸賞金をも奪う事に成功する
海賊が退治されたと喜び再び商業活動が戻れば

ド・グルナスが再び軍艦を海賊船に偽装し
商業船を襲わせると言う無限ループに
惑星ウラジーノ 首相・テリ・シヤンは
この一連の襲撃が全て隣国ガドラの仕業である事を
薄々は知っていた

だが、其の犯行が用意周到で
その証拠も全て推測の域と断言されてしまえば
軍事力の無い商業国家に対抗する術はなく

然もユニオンが{軍事介入}を拒んでいる今・・
泣き寝入りするしかない状況である

首相テリ・シアンは追い込められていた
『こうなれば誰でも良い神でも悪魔でも
我が国の守り手を見つけ出すのだ』

この状況で商業活動が実質不可能になった
ウラジーノは最悪の経済状態となり
空前の世界恐慌が訪れ商業国家として疲弊し
崩壊寸前となる

「しめしめ此処まで{我がビジネス}が上手く
行くとは、さあ益々稼ぎ幕ってやるぞ」
独裁者ド・グルナスの高笑いが止まらない
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だが・・そんな時だった
「私に会いたいと言う御仁が?」
首相テリ・シアンの自分に
アポ無しに会いに来るなど
通常ならば門前払いなのだが

執務室に通し、話を聞く事にしたのも
気の迷いと言うよりも{藁にも縋る思い}
からだった、そんな彼の前に現れたのは

白いロングコートに金の刺繍を施した
見るからに只者とは思えない出で立ち
『この人物・・もしや』
だが商人として眼の越えたテリ・シヤンは
この男が軍人だと直ぐに見抜く
其れも相当の修羅場を潜り抜けた強者と

「どうも初めまして首相殿・・私はヘルターナーと
申す者で、実はある提案をしに参りました」

「良くおいで下されたヘルターナー殿・・
其れで御提案とは?」

「実を申しますと私は自軍を持っているのですが
あまりに規模が大き過ぎまして・・此を養うのに
出来れば首相殿のお力をお貸し頂きたく
お願いに参りました」

惑星ウラジーノ 首相・テリ・シヤンは
今自分の目の前に現れたこの男が
{神にも悪魔にも見えた}だが
どちらにしても力が無ければ話に成らない
声の震えを押さえテリ・シヤンはヘルターナーに
「それで・・規模とはいか程か?」と聞いた。

ターナーは微笑を浮かべ
「なに・・宇宙戦艦が800隻程ですよ」

その規模は一つの惑星国家戦力に及ぶものだ
『大きい・・だが今の経済状況が悪化した
ウラジーノにそんな軍事力を有する者に
提示できる物が・・』

「す・・凄い規模ですな・・」
『第一・・此が本当かどうか・・
詐欺だったら目も当てられんぞ』

だがターナーには首相の
そんな不安はお見通しだった

「まあ直ぐに信じろと言うのは無理な話です
そこで分かり易く信じて貰うために
私の艦隊をガドラと隣接する宇宙域に
待機させて頂いております」

そう答えたヘルターナーの発言通り
絶大な規模の宇宙艦隊が{宇宙国際上中立的な
宇宙域}に、まるでウラジーノを守る盾の様に
停船していたのである。

ガドラ軍の偽装海賊船は
この状況でウラジーノの商業船を襲うのは
{謎の艦隊を刺激する事}となるので
迂闊に動く事が出来なくなった

その事実を知らされ首相はこのターナーなる人物が
{本物}である事を確信する事が出来た。

「確認が取れました・・確かにヘルターナー殿が
仰る通りの艦隊が不可侵宙域に停留しております」

ターナーの艦隊を目撃した商業船の証言によると
その戦艦の装備は見事且つ荘厳たるもので
とても素人の艦隊には見えず実践を潜り抜けた
プロフェッショナルの貫禄を持つと言う事だった。

『やはり本物だ、この人物は確かな力を持つ
本物の軍人だ』

テリシヤン首相はヘルターナーに改めて聞いた
「もう一度確認しますが・・貴方は我が惑星を
侵略に来た訳では無く・・支援を目的に
接触したと仰りますか?」

ヘルターナは満面の笑みを浮かべながら
「その通りです、有り体に言えば私は首相殿と
友好を結びに参ったのです」

そんな言葉を鵜呑みにする事は出来ない、だが
この男が今のウラジーノにとって必要な戦力を
持っているのは確かだ

このまま滅亡の道を辿るくらいならば・・・
この男にウラジーノの命運を託すのも
一つの手段だろう
「では・・ターナ殿さえ宜しければこの後
一緒にお食事など如何でしょうか?」

ヘルターナは穏和な笑顔を浮かべ首相の晩餐の
誘いを快く承諾する。

その頃・・軍事国家ガドラでは
この一連の出来事が大問題と化していた
「一体何なのだあの大艦隊は!?」

「アレはどう見ても只の民間の宇宙船を武装した
だけの偽物ではない・・本物の宇宙戦艦だ!」

「それが800隻以上の数がある・・そして一際目立つ
あの艦隊の旗艦が物凄い・・アレほどの宇宙戦艦は
見た事がない!まるで化け物だ」

「それに何だあの正方形の巨大な物体は?
解らない・・奴等は一体何処から来たのだ」

「方向的には例の太陽系方面みたいだが・・まさかな
ガルスグレーサーと関係がある何て事は幾ら何でも」

ドグルナスは謎の艦隊の規模が余りに大き過ぎて
手を出すにも躊躇した、もし軍事衝突した場合
相手の力量が自分達よりも格上だった事を考えると
恐ろしくて手が出せないのだ。

『戦って見るまで解らないが・・見る限り
侮って良い相手には見えない』
「此処は最低限情報を探るのが定石だろう」
ド・グルナスはスパイを送り
謎の艦隊との接触を図るが、その実体が
全く掴めない

「アレ程の規模の大艦隊だ・・誰かハグレ者とか
一人は居そうな物だが、どうした訳か
そうした隙が中々見えてこない」

・・ド・グルナスそう思っていると
一人の初老の男が諜報網に引っ掛かった
その男の名は{グラダー}と言うらしい

「まずはその男から情報を得るようにしろ」
ド・グルナスは諜報員にそう命じた。
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★付箋文★

ターナーシンジゲート艦隊
今や800隻の数を有する大艦隊である

旗艦キングターナー二世
主砲55センチパルスカノン3連7門
副砲30センチパルスカノン2連4門
全長770メートル
全高400メートル
全幅300メートル

軍用シャトルが帰還しN,o2のグラダーが
ボスのヘルターナーを出迎えた。
「お帰りなさいませターナー様」

「御前も戻っていたかグラダー
其れで首尾は?」

「{上場}に御座います」

ターナーは獲物が罠に掛かったと聞き
眼を細め次の作戦に移る事にした

「では次の行動に移る、
サードとフォースにその様に伝えて置け」

「ハハ!」とグラダーはボスに敬礼し
サードとフォースにボスの通信を送ると
サード=シルカース フォース=シューカー
二名に作戦を実行するよう指令が届く

今彼等は宇宙港で荷物の運搬作業をしている
それを軍用のパワードマシーンで
自分達の軍艦に運び込んでいた

「まさか我々が運送の仕事をする事になるとはな」
シューカーが笑いながらシルカースに話しかけた
「作業中に無駄話をしていると社長殿に
お叱りを受けるぞ」

真面目に運送業に精を出す同僚にシューカーは
「ああそいつは困るな査定が下がると
給料が減額されてしまうからな」
冗談めかしにそう言うシューカーをシルカースは
良く言うよと言う感じで相手にしない

当事者である社長は見るからに巨大な
軍艦をみて、「それにしたって政府も
よくぞこんなゴツい船を用意したもんだ、
『見た目はゴツいが中味は民間の
只の張りぼての筈だ・・』

これで海賊が見た目にビビって襲ってこないと
本気で思ってるとしたら、上は現場の事が全く
解っちゃいない・・」

『かといってこのまま物資を届けなけりゃ我が社は
不渡りを出して倒産なんだ・・やるしかない』

社長は多くの社員をリストラし
最古参の自分達で、言わば
命がけで荷物を送り届ける仕事に
挑む彼等を誇りに思う

今残るのは老い先の短い社員達で固め
社長はこの仕事を一世一代の大勝負として
挑むのである。

「おいコラ!シューカー!もっと丁寧に運べ
中身は貴重な物資だぞ!」
他に働いている若い作業員達の表情が固まるが

「了解です社長!慎重に扱います」
素直に返事を返すシューカーに
他の作業員達も大人しく作業を進めた

「そうそうやれば出来るじゃないか
この仕事が終われば後で酒を奢ってやるから
頑張ってくれ!」

「はい楽しみにしています」
「頑張りますよ社長さん!」

ふふ、政府が雇った入植希望者達・・
全員若く屈強な体をしているから
事業が上手く行っている時なら
{全員即採用}なのだが、この御時世だ

気の毒だが何処も雇い手は居ないだろう
それでも働いてくれるのだから出来るだけ
面倒を見てやりたい・・・{其れが社長の本音}だ
また其れが解らぬシューカーとシルカースではない

「良い社長だな」  「ああ悪くない上司だ」

二人はこの気の良い社長を此処まで追い詰め苦しめた
宇宙海賊とかいう連中に怒りを感じていた。

______________________
★付箋文★

「はあ?事業ですか?」
商業惑星ウラジーノの首相テリ・シヤンは
ヘルターナが言い出した事に度肝を抜かれた

「そうです、我々は軍艦を800隻も所有している
此を遊ばせておくのは勿体ないでしょう?
ですから運搬船として利用し正当な労働をして
対価を稼がせて頂きたい」

首相はターナーの艦隊が護衛をするだけで
大金を払えと要求するとばかり
思っていたので、この言葉に驚いたのである。

「いや・・それは有り難い話ですが本気で?」

ターナー自分が可笑しい事を言ったのかという
表情で、寧ろ更に首相が耳を疑う事を言い出す
「それで私の組織には数万の屈強な
労働力もありまして出来れば彼等も
労働力として雇って頂きたい」

「其れはつまり、軍人に運送業をやらせると
言うことでしょうか?」
首相は驚きすぎて本音が口から出てしまう

「そうですとも」とターナー

首相はもしそれで、海賊に襲われたら如何なされる
つもりなのでしょう、と最早立場を忘れ
自然と遜るようにターナーに聞いていた

ターナーはごく自然に「それは襲ってきた
その海賊共は相当運が悪い、何しろ本物の軍事力を
我が身で体験する事に成るでしょうから」
そう言ってターナーは噛むようにして笑う

其れを聞いた首相は顔面蒼白となりながら
「どうして貴方は我々にそんなに親切になさるのです?
何の得があって・・一体何を企んで・・」

ターナはユーモアーを混ぜながら
「簡単な話ですよ首相、
俺はウラジーノの方が手を貸して特になると
確信した、だからあんた等を繁栄させる
その為に邪魔な奴等は排除するのさ」

ターナーは胸襟を開き首相に本音で語っている
此は商売人として感覚を磨いてきた首相が
本当の事を行っていると確信をもてた言葉だ

だから敢えて釜をかけた
「太らせてから食うと言う訳か・・
成る程それなら理解出来るしそうなのでしょう?」

だがターナーは平然と
「いいやそれは全然違うぞ首相殿、
俺はそんな小さな事じゃ全然満足しないさ」
そう言って眼を細めるターナーに
戦慄を覚えつつ首相は困惑する
『一体何が狙い何だこの男は?』
長年培った感でもターナーと言う人物の底が
全く見えなかった。
_____________________
★付箋文★

宇宙に出て貨物船団が惑星ウラジーノから
出発する。

その情報を掴んだガドラ軍の偽装海賊戦艦が
久々の獲物に喚起した

「馬鹿な奴等だ、どうせ我々に襲われると
解っているのに船を出すとは」

海賊船長に副長が報告を入れる
「船長・今回の獲物何ですが、どうやら
軍艦に偽装してるみたいで・・」

「何だ?我々に逆らうつもりか?馬鹿め」
海賊船長は久々の獲物を無傷で捕らえたいと考え

「よし!まずは主砲で威嚇して足を止める
それから乗り込んで何時も通り物資を頂くとしよう
だがもう奴等は身代金を払えないから
見せしめに全員殺すがな」と残酷な事を言う

「その映像を記録してウラジーノ政府に
送り届けてやる」
とまで言い出す始末、もはや殺戮と欲にまみれた
この男に軍人としての矜持も誇りも何もない

在るのは野獣にも劣る品性下劣な顔だけだ
その上司に従う部下達もまた同じように
最早外道に染まっているのだった。

<止まれ!!>脅し文句と共に戦艦の主砲が
貨物船団の前を通り過ぎた

この威嚇が効いたのか、貨物船団は
運行を停止する

<よ~し良い子だ・・大人しくしてろよ・・>
海賊船長はメインモニターに映る獲物を
睨みつける

その獲物は戦艦で言えば超弩級・・
自分達の海賊船より一回り大きく
主砲の大きさなど45センチ砲に見える
それが3連4門だ、其れが
燻し銀に光りながら自分達を威嚇する
此が本物なら途轍もない破壊力だろうが

『は・・ハッタリにしては・よ・良く
出来てるじゃねえかよぉ・・』

こんな貨物船?が4隻も並んで航行していれば
さぞかし物資は凄いお宝に違いないぞ・・ゴクリ
海賊船艦隊は12隻・・こっちが数は上だ
あんな武装只の{書き割り}本物の訳がない

「それよりまずは船長を出せ!要求を伝える!」
通信が繋がり一人の屈強な作業服姿の男達に
囲まれた小柄な社長がメインモニターに出てきた

その小男は何時も見慣れた怯えた眼の光をしていたが
問題は後ろに聳え立つ男達の方だ、怯えの色が
見えないばかりか、それより反抗的な眼をしている

「気に入らんな・・この俺を誰だと思っている
この海賊船団の船長だぞ!」

「このまま撃沈されたくなければ大人しく
武装を解除し俺様の部下が乗り込むのを
黙って受け入れろ!」

その言葉を聞き社長は毅然として
<駄目だ断る!我々にはもう後がない
何があっても通してもらう!>

海賊船長は社長の言葉に激高する
<この俺に逆らうとは愚かだな!
物資は勿体ないが仕方ない
全艦砲撃開始!この愚か者共に
身の程を教えてやれ!>

海賊船艦隊の20センチ砲2連3門が
一斉に火を噴き貨物船団に雨霰と降り注ぐ

だが・・

「撃ち方やめいーっ」
大量の爆炎のため全く視界が効かない状況になり
海賊船艦隊はその煙が消えるまで暫し砲撃を
停止した。

『此ではあのデカ物も跡形も残らないだろうな』

そして煙が晴れてくるとその中から
全く無傷の貨物船団が姿を見せたのだ

「馬鹿な!あれだけの砲撃を喰らいながら
全くの無傷だとーっ!?」

そして返礼の砲撃のために貨物船の
主砲が海賊船艦隊に向けられる
心の臓が激しく脈打つ
「ハハハ・・ハッタリは寄せ!もう解っているんだ
其れが只のお飾りなのはな・・ハハハ」

だが45センチ・パルス砲3連が発射され
それが海賊船の装甲を紙のように
貫通し、燃料タンクに引火
爆発炎上を起こすのを目撃した途端
海賊船長の笑い顔は凍り付いた様に固まった

「何だ・・何なんだアレは?どうして
俺達の船が吹き飛ぶんだ?」

そして要約・・思考が働き出すと
貨物船だと侮っていた相手が正真正銘の
超弩級戦艦なのだと頭が理解した
『まさか本物ぉおお~?』
そして背筋が凍り恐怖に襲われる

例えて言うなら
自分達はヘビー級のボクサー4人相手に
街のチンピラレベルでチョッカイを
掛けてしまうと言う愚行を冒したのだ。

「少し待ってくれ、なんで現役の軍艦が
運送屋のバイトなんかしてるんだ?
可笑しいじゃないか!、こんなのは聞いてない
聞いてないぞぉお!!」

「第2射ヨーォイ」シルカースが社長の後ろで
腕組みをしたまま喜々として号令を掛ける
「撃ちぃ方ぁ始めぇえーっ!!」

45センチものエネルギー砲が火を吹けば
真空の宇宙と言えども衝撃波が暴れ狂う
海賊船艦隊は何発も被弾し殆どの船が轟沈した

未だに撃沈されずに済んでいるのは
海賊船長の乗る船只一隻のみだ

「お・・おた・・助け下さい・・ドルグナス様」

止めの主砲の一撃で海賊船の艦橋部分が
粉々に吹き飛んで海賊艦長は目も眩む
眩しい光の中に溶けて消えた

「成敗完了しましたぜ」
シルカースは社長に笑顔で報告し
「さあ御客様に荷物を届けに行きましょう」
と言った、社長はこの心強い屈強な男を
正式に雇う決意をする

「さあ出発だ!」
たった今、長きに渡りガドラ軍に苦しめられてきた
ウラジーノに明るい未来の日が昇った。

____________________
★付箋文★

一方、軍事国家ガドラは大騒ぎとなった

{一訪が届いたのはその日の夕方
長きに渡り商船を襲っていた宇宙海賊が
ウラジーノ政府の雇った新設したばかりの
{ターナー宇宙運輸の輸送船}が、
{海賊に襲われた為に正当防衛を執行し撃滅した}
と言う信じられないニュースだった。

{その輸送船と言うのがどう見ても巨大な宇宙戦艦で
あり、乗員も作業服を着てはいるが中味はどう見ても
屈強な軍人達だった}

ニュースでは
<ターナー宇宙運輸は何時でも何処でも
呼ばれれば最強最速の船で荷物を御届けしますと
宣伝し、早速ですが各惑星の運送会社から契約が
殺到している模様です>

軍艦を輸送船に使うアイディアのユニークさと
安全性に人気が集まり今や新会社とは言え
ターナー宇宙運輸の株高は鰻登りになっていた。

<そこで私達は街頭でインタビューをしてみました>
レポーターが市民にマイクを向ける

<エエ見ましたよターナー運輸の輸送船が海賊船を
ぶっ飛ばすシーン胸がスカットしましたね>
30代男性

<軍人さんが荷物を運んでくれるなら安心だ>
50代男性

<物価が落ち着くし治安まで良くなって
良いことずくしよ>と20代の女性

<軍艦や兵隊を普通なら護衛だけに使うのに
輸送船とその作業員に使うなんて凄い発想だ
此を考えたウラジーノ政府は慧眼ですよ>50代男性
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『何なのだ此は?此では海賊作戦がもう
使えんじゃないか~』
軍王ドグルナスは執務室で地団駄を踏み悔しがる。

『己~このままでは済まさんぞ~ウラジーノめぇえ』
そう逆恨みをするのがやっとだった。
___________________★付箋文★

惑星ガドラ国の軍王・デザー・ド・グルナスが
次に動いたのは銀河国際連邦にウラジーノに対し
訴えを起こした時だった。

一体何を訴えたかというと
ターナー宇宙運輸が軍艦を使用するのは
国際上問題であると言う物だった

ガドラ国は隣国の安全を守るのは自分達の
役目であり其れを脅かすとして
ターナー運輸の輸送船の武装解除を
銀河連邦に直訴した

だが輸送船の武装は航路の安全上認められており
又、軍艦を「平和」利用するのに何の問題もないと
銀河連邦裁判所に敢えなく棄却されてしまう

何故なら連邦加入国の多くが商業惑星であり
此までユニオンに軍事力を依存していたが
それが滞り海賊被害を被った事で、
加入国が自ら望んでターナー運輸会社に
特別処置として入港を許可した為だった。

国の防備に軍事費を裂かれる多くの国々は
運送コストだけで安価に{安心安全}と
確実な輸送が期待出来るターナー運輸の誕生を
歓迎したわけだ

この変化に経済までが上昇気流に乗り
商業惑星ウラジーノを中心に
多くの星々が好景気に突入した

ターナー宇宙運輸の船でなくても
海賊が襲うと偶々通りかかったターナー運輸の
貨物船に遭遇する不運で見つかり次第次々に撃沈
されるという抑止力は苛烈の一言で
もはやターナー運輸がある限り海賊仕事は
最も割に合わない{オワコンビジネス}
と化してしまう

デザー・ド・グルナス軍王はこうした事態に
危機感を抱き10年ぶりに商業惑星ウラジーノに
国主として訪問する算段を計る

今更どの面下げてとは思うが国際情勢を鑑み
首相シヤンは軍王ド・グルナスを国賓として迎える
そして二人は記者会見を開き両国の抱える
問題を色々と話し合う事になった

「我が国の邦人を不当に拿捕し未だに帰らない
家族が悲しんでいるのです、軍王閣下には
今すぐ彼等の解放を御願いします」

その要求は軍王にとって重要なカードだ
当然だが此までと同じ答えを返してやる

「成る程、我が国をそのような誹謗中傷をするからには
確固たる証拠があっての事でしょうな?」
証拠と言っても全て知らぬ存ぜぬで通されてきた
揃えた動かぬ証拠も捏造と一笑され終わりだ。

「証拠があっても貴公は
取り合ってくれないではないか」

「人聞きが悪いですな・・ですが私も
話によってはその行方不明者達が我が領土に
存在するかどうか捜査をして差し上げても・・

その時、天より声が響いた
「そして又、この国から金を毟り取るのか?」

驚くドグルナスに司会が説明を始める
<今日のゲストにお呼びした今注目の人物
ヘルターナー氏を御紹介します>

そこに純白の衣装に金の刺繍が入った
ロングコートを身に纏い精悍な顔をした
伊達男が姿を現した

『この男がターナーか・・結局顔しか情報が
なかったが・・写真で見たよりも若いな』

{グラダーと言う男から諜報部は写真だけ
入手していた}

『だがこんな若造に良い様に言わせて置く訳には
いかない!示しを付けてやる!』

「失礼だぞ貴様!我は偉大なるガドラの軍王
デザー・ド・グルナスなるぞ!」
身長では遙かに劣るドグルナスは席を立ち
ターナーに腹をすり付けんばかりに
{踏ん反り返る}とそう名乗りを上げた

だがターナーはゴミを見るような冷たい眼差しで
睨み据える、本気の殺気を肌身に感じた
ド・グルナスはこの瞬間蛇に睨まれた蟾蜍となる

生存本能が警笛を鳴らす
この男はその気になればこの場で
{躊躇無く自分を殺す}そう言う奴だ!

先に目を反らしたのはドグルナスの方だった
「まあ、今日は此くらいで勘弁しといてやる
感謝するがいい・・」そう威厳を保のがやっと
だった

そして席を勧められ二人は横列に座る
ターナーの横には小さくなった首相が座っていて
彼はターナーが差し出した手に気が付き
急いで立ち上がって握手を交わした

先程のドグルナスに対する態度とは180度違い
穏和な笑顔を見せ首相との友情を握手で表す
ターナーは完全にウラジーノ寄りである

軍王はこのターナーに対する首相の態度一つ見ても
明らかにターナーが事実上立場が上だと感じた
『間違いない・・この男の気分次第でこの俺の
運命が変わる』

そして何としてでも
この男を自分の味方に欲しくなった

まだこの時点ではヘルターナーをその程度の
相手だと見下していた、それが大変な間違いだと
思い知るには、まだ若干の時間が必要である
_____________★付箋文★

その頃グラダーは惑星ガドラの
安酒場で諜報員の男と接触していた

「それは・・本当なのかグラダーさん?」

奢りの馳走に箸をつけ酒を呑みつつ
「ああ言わなかったけ?あの人は
元ガルスグレーサーの司令官だった
ヘルターナー様なんだよ」

其れを聞いた諜報員は
顔色が見る見る蒼白になる

「す・・すまん」そう言って金をテーブルに置き

「後は適当にやっててくれ俺は用事が出来た!」
そう言い店の外に飛び出していった

グラダーは酒の入ったグラスを掲げ
「毎度~」と一言礼を言い
煙草をくわえ煙を吹かす

『此で楔は入れましたよターナー様』

諜報員が掴んだこの情報は
ガドラにとって余りに危険極まりない
情報である、情報を上に上げると同時に
多くの軍人達が恐怖と絶望を覚えた

そして今テレビの生放送で
国家元首の目の前に居るのが
あの超巨大国家ガルスグレーサーの
{元司令官を務めた男}だと知り、この事実を
直ちにドグルナス軍王に伝えなければ
成らなくなったのだ

一計を案じたガドラ政府はテレビ局の局長に
その胸を伝え、生放送にも関わらず
一つのメモをドグルナスに渡すよう依頼する。

______________________
★付箋文★

<ウラジーノ政府主催で
現在生放送しております
このトップ会談ですが緊急出演された
現在最も勢いのある著名人として知られる
ヘルターナー氏が参加し、新たな展開と
成っております>

ドグルナスはターナーに一つの提案をする

「ターナー君と言ったね?君も経営者なら
大勢の社員を食わせねばならないだろう
そこでだが、私から一つ提案があるのだが・・」

ヘルターナーは{不貞不貞しい}態度を
一切崩さずドグルナスの言う提案を
{聞いてやるから言って見ろと}言う態度で
話を促した

隣に座るシヤン首相はターナーの態度に
冷や汗をかいている

ドグルナスは一瞬怒りが沸きだし
こいつ・・とは思ったが所詮腕っ節が強いだけの
頭の悪い軍人だ、後で如何様にも躾てやればいい
と考え直し怒りを抑え話を進める

「私の星で君を雇おうじゃないか
今なら言い値を支払おう、ウラジーノの
2倍・・いや3倍・・ええい10倍
出そうじゃないか!」

表情一つ変えないターナーの態度に痺れを切らし
ドグルナスは10本の指を立て、そう断言した

だがターナーは首相に向かい
「こいつはこう言ってるが・・首相にお聞きします
この私がウラジーノ政府に金を要求しましたか?」と
丁寧な口調と態度を改め尊敬する人物に取る
正しいマナーで話しかける

するとシヤン首相は真面目な表情になり
「いいえ、ヘルターナー氏は只の一度として
我が国に対し一切の金品の要求も
また軍事的な契約もしておられません!」と
言い切った

「此については私は首相として
宣誓しても良いくらいです!」

首相のその凛とした態度に放送を見ていた
ウラジーノ国民は胸を打たれた
『なかなか骨があるじゃないか我々の
首相も見直したぞ』
この放送によりテリ・シヤン首相の評価が
一気に見直された

ターナーは首相に向かって只一人
この場で怒りを顔に出しているドグルナスに
向き直ると

「まあそう言う事だ、俺は金で雇われる傭兵でも
無ければ海賊でもない、どちらかと言えば
投資家に近い存在だ」

ドグルナスは怪しみながら「投資家だっと~?」と
ターナーに血走った目を向けて言った

そして「投資家だというならどうしてこんな
ビンボー国のウラジーノに味方する?」

「我が国の現在の国庫の資産を知っているのか!?
ウラジーノの25倍だぞ!」

「この貧困国など比べものに
成らない程の富と栄光をこのワシと組めば
貴様は手に出来るのだ!!」

一通りまくし立てると呼吸を整える為に
肩で息をしながらドグルナスは
イスから立ち上がりターナーを見据えて
「だから悪いことは言わん
お前も略取する側に成れ」と誘いを掛けた

ターナーは一つ溜息を付き「座れ豚」と
一言言うとドグルナスの目を睨みその気迫だけで
大人しく座らせてしまう

「良いか?今からなぜ俺が貴様の国ではなく
ウラジーノを選んだのかを教えてやる!」

そう言ってからターナーは懐から
ガドラ紙幣とウラジーノ紙幣を取り出した

「此は両方普通の紙幣だが、偽造対策をしていない
ガドラは{偽札が横行し}殆ど価値がないのを知ってるか?」
そう言ってターナーはガドラ紙幣を
破り捨てた

「なっ!?」そんな事は知っている
それが何だと・・

「一方で・・ウラジーノの方の紙幣は偽造対策が
完璧で偽札を1枚つくるのに100倍の手間暇が
掛かる・・この技術差は致命的だ」

だが・・そんなもの国ごと奪ってしまえば同じだと
ドグルナスが言うと「貴様ならそう言うだろう
と思った」ターナーは残念そうに溜息をつく

「あのなー作る事が出来るのと
奪うことしか出来ないのとでは
根本的に違うんだ」・・と言っても
この豚に理解出来る訳もない
「技術がないんだよお前の国には」

「技術など技術者を捕まえて来ればそれで済むこと
わざわざ金をかけ苦労して得るものではない」
ドグルナスは本気で言っている様だ

恐るべき短慮・・これでよく
国家元首でいられるものだ

「もう一つ言わして貰えばガルドの飯は
とにかく不味い!」
ターナーはその星の文化レベルは食に現れると
思っている、飯が不味い国は終わっている

だが其れが解らないドグルナス
「上手い飯が食いたければそれこそ
高級レストランに行けば良いだけの話だ」

『俺はそう言う事を言ってるんじゃない
兎に角話が噛み合わんなこの豚は・・・』
ターナーは察しの悪い馬鹿との会話が兎に角
苦痛であり嫌いだ

「俺が価値を感じるのはウラジーノの将来性だ
平和な時に景気が良くなる星に投資する方が
儲けが長続きするからな」ターナーの言葉に
思わずテリ・シヤン首相は笑顔になる

そして見下すように
「逆にお前の国には技術も将来性もない
平和な時に儲ける手段が何もないからだ」

「うぐぬぬ・・」ドグルナスの瞼が
ピクピクと痙攣したように引き吊る
ターナーが言ったことはドグナルスには
容認出来ない事だった

「だから俺がウラジーノを平和にする
そうして繁栄させて他の星も同じように
繁栄させれば、やがて俺の存在は
銀河の商業になくてはならないものになる訳だ」

そう言いきるターナーをドグルナスは
正気とは思えない『この狂人め!』

「そんな事はさせんぞ!お前の家族や友人
お前自身も不幸な事故に合う事になるからだ
貴様は完全にこのワシを敵に回した!!」

この脅しが全く効果がない事を
この直ぐ後ドグルナスは知る事に成る

司会が「放送中ですが」と
一言断りを入れて「ドグルナス閣下に
本国より至急お伝えしたい情報が入りまして
そのメモを渡すようにと局の上より指示が」

そう言い終えるとアナウンサーが席を離れ
メモ帳をドグルナス本人に手渡した。

『諜報部からの緊急のメモか・・・
こんな時に一体何を・・!!!』

「!!!!!!!???????」

「うあああああああああ~!?????」

この時ドグルナスは
ターナーの正体を知り血圧が一気に低下して
貧血を起こしそうになって頭がふらつき
椅子から転がり落ちそうになる

司会が「危ない」と咄嗟に
ドグルナスの身体を支えなければ
巨漢が派手に転倒してた

「いいいい・今の暴言はてっ・・」
体制を何とか起こしながら必死で言葉を発する
ドグルナス、だが恐怖が先走って
上手く言葉が出ないばかりか

声が裏帰り息が詰まり死にそうなほど
咳で咽せ返り乍それでも何とか
「てっ撤回致します!」とだけ言えた

余りの無様な同様ぶりに司会も首相も思わず
心配そうに大丈夫ですかと声を掛ける

だがターナーは冷徹な目で
「貴様・・今の言葉しかと受け取ったぞ
このターナーに牙を剥いた事を後悔させて
やろうか?」

その言葉にドグルナスは恐れおののき
首を面白い位横に振って
「待て待て待ってくれ!本気ではなかった
謝罪する!もうウラジーノには
手を出さないから許してくれ!」

『こいつの事だ全く信用ならんが
まあこんな所だろう』

「まあ良い俺が手を下さなくても、お前は
3ヶ月以内に国民の叛乱で粛正されるからな」

「ははは何の冗談を・・」
ドグルナスは顔色を蒼くして震え声で反論する

「果たして冗談かな?」
不敵に笑いつつ、ヘルターナーは
テリ・シヤン首相に

「ガドラが民主国家になったら
再建に手を貸してやると良いでしょう
どうやら大量の資源が手付かずらしいですから」

其れを聞いたテリ・シヤン首相の目は
一瞬商売人となった

「ホホ~ウ・・・」
{グラダーはガドラの内情ばかりか
どんな資源があるかまで探りを入れていた
それに、ちょっとした工作もしており・・}

軍王ドグルナスは焦燥して席を離れた
「体調が優れないので・・これで退席します
どうかターナー殿・・先程の非礼は後ほど・・
日を改めまして必ず致しますのでご容赦を」

「帰るのか、なら心して聞いて置け
俺は一度友と判断したファミリーを傷つける奴は
地獄の果てまで追いつめ必ず復讐する男だ
このウラジーノの何人も傷つけることは許さん」

「この意味が解るなら、貴様等が捕らえている
ウラジーノ人を全員釈放しろ・・賠償金と
併せてな・・明日の日が拝みたければ
早々にやるべきだと言っておこう」

ドグルナスは顔面を蒼白にしながら
「か・・必ずそういたします、ですから
良しなに!良しなに!」

そこでターナーは穏和な顔になり
「其れは貴様の心がけ次第だ
首と胴が繋がっている間に頑張るが良い」

そして直ぐ様、凶悪な形相を見せ
「だがな・・気に入らなければ挑んで来い
この俺に貴様を滅ぼす理由を与えてくれれば
幾らでも相手をしやるぞ」

その一言に飛び上がり、ドグルナスは
ほうほうの体で会見会場を後にした
_____________________
★付箋文★

暫くの時が経ち、夜になると
ニュースはターナー、一色となった

<大変な人気ですよターナー氏は!>

<悪党にとっては最凶の地獄の使者だ>

<あの独裁クソ雑魚野郎に
一泡吹かせてくれるなんて最高だ!>

<ウラジーノの守護者ターナー万歳!>

街の声にターナーを敵視する声はまだいない
いずれターナーの{経歴}が知られたら、
ターナーの真意を疑いその目的を
怪しく思い誹謗中傷する人間も出てくるだろう
まあそんな声はターナーの想定内なのだが。

ウラジーノ政府貴賓館

地球の中東に近い建築様式を科学的に
発達した様式美を持つ美しい建物である
此処でターナーは国賓としてもてなされた
まさに最上級の扱いで。

本来なら{隣国の国家主席殿}も
持て成す予定だったが・・
肝心の本人が体調不良のため出席を辞退し

本国に逃げ帰ったので、本当に持て成したい
{本命の大英雄}ターナーだけが出席したので
料理人も喜び勇んで腕を振るう。

「本当に素晴らしい料理だよシヤン殿
ウラジーノ料理は地球にも匹敵する程極上だ!」

二人だけとなりターナーは砕けた様子で
首相に向かいウラジーノ料理を賞賛する

「この魚の新鮮さ生きたまま捌く腕・・
まるで地球の生け造りを思い出す
酒も米に似た穀物から製造し恐ろしく
清らかで透き通った味だ」

(地球は日本が基盤となり食文化が
世界中の食を日本流にアレンジした物に昇華し
それがスタンダードになっている)

ターナーは地球から取り寄せていた
幾らかの調味料を持参していた

醤油を始めとして各種の香辛料にワサビ
調味料は世界中から取り寄せた
ヘルターナーは
{地球に潜入}し半年は地球産の食文化を
堪能しつくし、地球攻略のヒントを得ていた
抜け目のない戦略家なのだ。

「随分と地球と言う星の食文化に御執心ですな・・
そんなに良い星なのですか?」

ターナーは此処で株式投資をする機会を
この商才溢れる商人首相に与えた

「この話は此処だけの予言だが・・
ガルスグレーサーは今年中に銀河連邦に
宣戦を布告し、そして銀河の盾に破れる」

『何ですと!?』

「その後、この銀河で覇権を握るのは
銀河の盾だ・・地球はその中心メンバーと成る」

「あの・・銀河の盾が・・」
この情報は{金で宝}だぞ!

「今のうちに地球と友好関係を結んで置け
文化的にもこの国との相性が良い・・力強い
兄弟に成ること請け合いだ」

そしてしみじみと・・
「まあ序でに言えば、あのガルスグレーサーが
8年掛けて落とせなかった唯一の星で
いずれ銀河のリーダーと成る星でもある」

「おっと・・コレは今は根拠の薄い妄想の類と
流してくれ」そう言いながらもターナーの
瞳は爛々と輝いていた

これを首相は聞き逃さない、
『此ほどの男が銀河のリーダーと予言するとは
地球という星は其れ程迄に重要なのか?』

テリ・シヤン首相はターナーの助言を
最重要に考え
翌日にも地球にコンタクトを取る算段を
外務省に命じる事を心に決めた。
______________________
★付箋文★

そして翌日、ガドラ政府から

軍警察の捜査が実を結び
結果としてウラジーノの行方不明者が
多数見つかり30名以上を返還すると連絡が入った

どうした訳か一人頭に戦艦が買える額が支払われ
その金塊を持たせて今日にも帰したいと言う

その言葉にターナー運輸は問答無用で
{輸送船}を20隻程、行方不明者の
迎えに送りつけガドラ宙域に{強引に進入}する
輸送船団旗艦の船長はシルカースだ。

ガドラ星から大慌てでガドラの貧弱艦隊が
駆けつけてくる <お待ち下さい!>

<我々ターナー運輸が人質を奪還するのを
まさか止めるつもりか?>

そう言ってレーザー照射して、いつでも
主砲を発射出来るんだぞと威嚇してやる
悲鳴と雑音が通信機に鳴り響く

<とんでもありません!只・暫しの間、
御猶予を頂きたいのであります!>

通信機から悲鳴にも似た声が聞こえ
シルカース船長は腹の中で大笑いする
『ああ愉快痛快!こんなに楽しい
軍事行動は初めてだ』

<今すぐ行方不明者達を帰すのでこの場で
待機していて下さい>と泣いて頼むので
シルカース船長は渋々待ってやることに

否・・しない

<そんな!待って!待ってくれぇえ~>

20隻で問答無用で人質の待つ
ガドラ首都の宇宙港上空に乗り込んでやった

明日はこのまま殲滅させられるかも知れぬ
その恐怖を{骨の髄まで植え付ける作戦}である
馬鹿を解らせるには此くらいが丁度良かろう

その暴虐無人な振る舞いにガドラ軍人は
心の底から恐怖を味わった
都市が破壊された訳でもないのに
魂を破壊されたのである

ターナー宇宙運輸の恫喝でガドラ軍国は
軍事国家の誇りも名誉も威厳さえも
粉々に砕け散った。

為す術もなく人質達を奪い返され
戦艦30隻分の金塊を迷惑料に接収
ガドラ軍国は戦わずして大敗北を喫した。

軍王・デザー・ドグルナスはこの光景を
軍王宮殿の執務室で震えながら観ていた

頭髪は抜け落ち白髪まみれとなり
頬骨が浮きだし目が窪んでまるで半病人だ
全身から力が抜け震えが止まらない

この震えは怒りの震えではない
ヘルターナーに植え付けられた死の恐怖が
もたらす最悪の恐怖の震えである

海賊船に偽装していたとはいえ
ガドラの戦艦クラスが只の一撃で
紙屑のように破壊されたと知り、その時点で
ターナーが只者ではないと思ったが・・

『奴がガルスグレーサーの
総司令官だったと知っていれば、
あんな不遜な態度は絶対取らなかった、
格が違い過ぎる!その報復は苛烈そのもの
・・奴がその気になればワシはこの星丸ごと
抹殺される!』
________________________
★付箋文★

商業惑星ウラジーノの放送は
地球のクリスタルアーマーステーションにいる
誠矢達にも即刻伝わった

テラス席の前に巨大なTVビジョンに
例の会談番組が映されている
其れは先日のウラジーノ星の録画放送だった

<ターナー宇宙運輸は
ガドラ軍国に捕らえられていた
人質全員を取り返し賠償金の戦艦30隻分の
金塊を全てウラジーノ政府に譲渡しました、
この偉業に対し政府はターナー氏に平和勲章を
贈与することを議会満場一致で決定しました>

『あの時ハヤテを利用して追っ手の艦隊を
罠に填めた食えない男だ・・』
大城誠矢は自分をコケにした男を忘れていない
ヘルターナー・・こいつがそうか・・
映像に観る男の精悍な顔はどこか狂気を含んでいた

「それにしても軍艦を輸送船にしちまうとは
こいつ頭が良いな」と映像に映るターナーに
響が感心しながら頷いている

「戦艦は輸送能力に優れているし
何より頑丈だ、そして軍人に作業員をさせて
働かす何て平和利用の極みですよ!」と
軍艦マニアの岩川が膝を叩き敵ながら天晴れと
賞賛した

それに沿うように春吉も
「平和を取り戻した後の軍艦と軍人の
再利用と雇用を考えれば最良の方法かも
知れないが・・軍事力の独占保有を
そのまま許すのはどうかと思うがね・・・」

誠矢も春吉と同意見である
「この男は銀河中に自分の軍艦を輸送船として
貸し出すと言っている・・そうして
平和を餌に裏から支配力を伸ばす腹積もりだ」

響は率直に誠矢に聞いた「だけどそれで
平和になればターナー運輸に頼らなくても良くなって
勝手に支配力とやらも消えて行くんじゃないか?」

誠矢は頭を横に振る
「いや・・どんな時代になっても人の争いは
絶える事はない、軍隊を持つより
平和に投資する方が遙かに安価だしな」

軍事に回す金を全て経済に回せば
信じられない利益を得る、そして
平和ボケして更にヘルターナーの力に依存し
支配権がどんどん拡大していく事だろう
・・安易な平和は猛毒と同じだ

『この男は危険だが今は仕方ない・・
必要悪として放置し監視しだけは怠れ無いな』
大城誠矢はヘルターナーにだけは
{生涯気を許すまい}と決意した。
_____________________
★付箋文★

そして商業惑星ウラジーノから地球政府に
通信が入り、銀河の盾連盟に参加したいとの
打診が届く。

これを銀河の盾加盟国のシリウスとケンタウロスは
地球の判断に任せるとし、地球が受諾した為に
ウラジーノの加盟が即刻認められる運びとなる、
更に

<追伸、我が商業惑星ウラジーノは
銀河の盾代表である地球と友好関係を望みます、
どうか御検討頂きたい>

これが切っ掛けで地球とウラジーノが
友好関係を結び親密と言える国交が開始される
やがてこの時の判断を下した首相テリシャンは
最高のタイミングで最高の判断を下した偉人として
歴史に名を残すのであるが、それは又別の話。
______________________
★付箋文★

それより今日は重要な日だった

「艦長今日は23日です」

「そうか、もうか・・もうそんな時間か」

クリスタルアーマーステーション
ハヤテ第一艦橋司令室

誠矢と勝流水は衛生軌道上にある
宇宙天体望遠鏡の映像を観ている
「景子隊員アリーヌ王女の情報に従い
LNCK3078の方向を観測してくれ」

銀河の外の長距離観測が始まったが
銀河外なので見えるのは遠くの星雲と
僅かな星だけだった

岩川が何もないなーと少し気の早い事を言い
その言葉を遮りイザベルが何かを見つけた
「ストップ!何かあるわ、中央を拡大して下さい
最大にです」

望遠を最大にしたときハヤテ隊員達は声を無くして
ただ呆然とスクリーンを見つめるだけだった。

「こんな馬鹿な・・」
春吉はその余りの大きさに驚愕する
此は・・惑星とも言えるサイズだ・・
重力で自壊しないのが信じられない

「此がガルスグレーサーの本拠・・
大円盤なのか!?化け物じゃないか!!」

其処にはガルスグレーサーの
本拠らしき物が映っていた

然しそれは星ではなかったのだ
それ自体が移動する天体クラスの
大円盤だったのである。

誰もが旋律を覚える中で大城誠矢だけは
これが真の敵だと標的を新たにしていた
此処に巨人の全てがある、{必ず終わらせてやる}
そう魂に刻みつけるのだった。
________________________
★付箋文★

その3日後

辺境空域DR03で
20隻の宇宙艦隊が消息を絶った

然しその現場には完全破壊された
艦隊が漂っているだけであり、
その映像資料を司令部から受け取り
ハヤテの隊員達は憤る

「犯人を見つけたら只じゃ置かない
敵を討ってやるからな!」血気にはやる
若い隊員達の中にあり大城誠矢だけは
あの男の言葉を思い出していた

『Jジョーカー・・』

奴は俺の前に何処からともなく突然現れた
エスパーに時と場所は関係ない様にだ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★


月夜の中、基地近くの
海岸線を歩いていると、突然奴が現れた

「大城総隊長、久しぶりだな」

「貴様はJ・・・何のようだ?」
腰のドラッケンサーベルに手を伸ばし構えると

「お前に知らせておくことがある」

Jジョーカーからガルスグレーサー本星より
最強の要塞戦艦が出撃したと言われ、その名を
ファノサイスと教えられた。

※ガルスグレーサーの神話では火炎神ファノを
従える勇者をファノサイスと呼んでいる。

「どうしてそんな重要な情報を俺に教える
ガルスグレーサーを裏切ったのか?」

それを聞くと奴は「今更だな」といい笑った
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「俺と弟は孤児だった、俺達の両親や知り合い
星に住む多くの民はガルスグレーサーに
抹殺された・・超能力民族のDNAを手に入れるのが
目的だったが想像以上の抵抗に焦り・・
{熱衝撃弾頭}と言う奴を使ったからだ」

※熱衝撃弾頭
直径2Mの人工太陽発生兵器
火球温度9万℃20秒間

僅かに生き残ったJ達はガルスグレーサーに
従属する他生き残る道はなかったのだ

「所でお前はガルスグレーサーの
最高権力者の名をしっているか?」
突然そんなことを言い出すJに誠矢は
確かギルザートとか言ったな、と答えた

「そう俺の目的はその首を上げることだ
此で俺も生還は出来ないだろうから
最後にお前と話をしに来たんだ」

「お前と出会い、やはり巨人帝は生かして
置けないと解った・・」

「・・真耶と会って行かないのか?」

Jは首を振り「やめておく・・今の真耶には
全てが見通されそうだ、未練は残したくない」

「さらばだ大城・・短い間でも
真耶を大切にしてやれよ」

「J・・どういう意味だ!?」

併しJジョーカーはテレポートした後だった
辺りには只涼しい浜風が流れている

『短い間とは何の事だ?』
この時はまだ誠矢は何も知らずにいた
___________________

水面に月が映る砂浜に一人佇む。

「大城隊長、此処に居たんですね」と
誠矢を月夜のデートに誘ってロマンチックな夜を
夢見る鏡子が砂浜を早足で近づく

そこで夜空の月を見ていると
鏡子が乱れ髪を手で掻き揚げながら
思い人の側に肩を寄せ。

「大城隊長・・」やっぱり
凛々しく素敵な人・・「月が綺麗ですね」
自然とそんな言葉が出てくる

ここで大城誠矢はハッとした
隣にいつの間にか鏡子が居る
「!?」喉元まで何時来たんだと
言い掛けるが、流石にそれは出来無いので
「そうだな綺麗だな・・鏡子」と
言って誤魔化した

「まあ綺麗だなんて嬉しい」
そう誠矢に言われて鏡子は
肩に首を擡げ本当に嬉しそうだが
誠矢の心中はJが言った情報が錯綜していて
それ所ではなかった。

『要塞戦艦ファノサイスに星帝の暗殺
其れに・・後一つ・・何か引っかかる事を
言われた気がする』

そして辺境空域DR03で
20隻の宇宙艦隊が消息を絶ったニュース
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

それが巨人要塞戦艦ファノサイスの起こした
最初の悲劇であった
恐るべき悲劇の連鎖はたった今始まったばかりだ。
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