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王家の絆編
PART38 迫り来る恐怖の炎
しおりを挟む静寂の大宇宙の一角で、小さな閃光が巻き起こる
数分前まで其処にはアメリカ宇宙艦隊長門タイプ
12番艦ウィスコンシン
伊勢タイプ2番艦ヒューガ以下
十数隻の駆逐艦がいた
調査隊が現場に到着したとき、辺りには
バラバラに破損し焼けただれた人間の亡骸が漂い
見る者に目を背けない者は居なかった
この時調査に向かったケンタウロス第8調査艦司令
ガーロデアス・リービは後に報告書にこう書いている
{地獄という表現がチープに思える程、悲惨な状況で
此を行った物は人の命を何とも思わない血も涙もない
怪物である}と
ケンタウロス星系のレイドロス星にある
一連の{艦隊襲撃対策委員会}では連日、
意見交換が行われたが、併しそれは
どれも似たり寄ったりで在り来たりの
杓子定規な意見が繰り返されるに
過ぎなかったのである。
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★付箋文★
ハヤテ第一艦橋司令室
岩川が拳を震わせながら
「これでもう6件目だぞ」
小原も同じように声を荒らげ
「全くだ委員会は何をやってるんだよ」
その時後方から誠矢が
「そうグチるな、もうすでに100隻を上回る
艦船がやられているんだ、迂闊な報告は
状況を悪化させるだけだ」
一見冷静に見える誠矢だが、
その顔は怒りに満ちていた
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真耶が一人、霧の中に佇んでいる
辺りを見回し誠矢が誰かと歩いているのを見た
その気配に真耶は不吉な物を感じて駆け寄った
「誠矢兄さん待ってーっ!」
併し誠矢は立ち止まろうとしなかった
真耶はやっとの思いで追いつくと
誠矢の背中に触れようとした、だが
その手を横にいた女に掴まれ邪魔され
怒りが沸いた「離して!」その時
女の顔を見るが真っ黒で誰かは解らない
そうする間に誠矢はそのまま前に進んでいく
「アアッ待って兄さん!」真耶が叫んでも
誠矢は止まらなかった
「離して下さい!誠矢兄さんが行ってしまうわ!」
その時やっと女は口を利いた
「あの人は貴女の御兄さんじゃないわ」
真耶の顔がヒキツり心に鈍痛が起きた
「な・・何を言ってるの・・誠矢さんは私の・・」
「あの人は貴女のお兄さんじゃないのよ
追うのはよしなさい」そう言われて真耶は
必死に否定する
「違うわ!!誠矢さんは私だけの兄さんよ!!」
「いいえ、誠矢兄さんは私だけの兄よ!」
そう言って不気味に微笑む女の顔を見て
真耶は悲鳴をあげた
その女の顔は紛れもなく{真耶}の顔だった。
「誠矢兄さん、あの人は私だけの物
貴女の兄さんではない、私の兄さんよ」
もう一人の自分が誠矢の手を引き
二人は霧の中に消えていった
「待って!私の兄さんを返してー!!」
だが何の返事も帰ってこない
「誠矢兄さん!!」この時真耶は、
布団の中からガバッと跳ね起きた
心臓が早鐘のように脈打ち
大量の寝汗をかきながら
息も荒くなっている・・
真耶が外を見ると
まだ夜中で月光が窓から差し込んでいた
思わず彼女は顔を覆い声を殺して泣き出した。
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★付箋文★
同時刻
クルセイダータイプ3番艦マルセイユが艦隊を率いて
月面司令部{ルナ・ディフェンス}を出航した
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★付箋文★
泣き疲れた真耶は急に寒気を感じたので
自分の身体を見ると汗でビッショり濡れていた
『シャワーでも浴びよう』
真耶が1階に降りてみると今は空き部屋になった
誠矢の父の書斎に灯りが灯っている
中を覗いて見ると誠矢が何かを読んでいた
取り敢えず真耶はシャワーを浴びる事にする
熱いシャワーは冷えた真耶の心も身体も
暖かくしてくれた、そして
シャワーを浴びおえ出てきた時もまだ
書斎の灯りは灯っていた。
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★付箋文★
誠矢は父親の日記を読めば妹の件について何か
解るかも知れないと思って調べていたのである。
其処にシャワーから出た真耶が書斎に入ってきた
「誠矢兄さん、何をしてるの」
声を掛けられ誠矢は日記を開いたまま
真耶に「ああ今か、父さんの日記を調べてる」
真耶は誠矢の父もお父さんと呼んでいる
「お父さんの?」
そして誠矢の一言に動揺する
「妹の事を調べているんだ」
真耶は呟くように少し震えながら
「ぁあの夢が本当になる・・」
「何の事だ?」誠矢は真耶の様子がおかしい事に
気が付き日記を置いて向き直った
真耶はとうとう我慢できなくなり
誠矢の胸に飛び込むと泣きながら・・
誠矢に自分の中の不安をブチマケた
「兄さんはもう私の事が邪魔なの?
本当の妹じゃないからいらないんだ!!」
真耶が誠矢の胸にしがみつき、そう言って泣いて
初めて自分が真耶に酷い事をしていたと気が付き
「済まない真耶、解ってくれて居るものと思い
少し自分勝手だった、ゴメン」
そう言ってから抱きしめて真耶の頭を撫で慰めた
『自分一人で不安を抱えて
そんなに悩んでたのか・・』
「たとえ本当の妹が見つかっても
お前は俺の掛け替えのない妹だ」
其れを聞いた真耶は今度は安心から大泣きした
マイッタナ(誠矢は泣く子をあやす)心境だった。
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★付箋文★
宇宙戦艦マルセイユ_通信室
艦長ウィリアム・ミッチェルは
地球から出撃し残して来た妻と通信中だ
「ジェーン、ケイトは元気にしているかい?」
妻のジェーンは多少年を取ったものの
未だに美しい女性であり性格も穏やかな人だ
<ええ、とても元気よ悪戯ばかりしているわ>
「そうか、今度帰ったら纏まった休みをとるよ」
年を経て得た子ほど可愛いと言うが
ミッチェルにはその子が宝物となっていた。
「そうしたら何処かに旅行に行こう」
<旅行なんて何年ぶりかしら?>
ガルスグレーサーとの戦争も落ち着き
娘の事で会話も出来る様になった
その時小さな少女が通信モニターに割って入る
<パパーいつ帰って来るの?>
「もうすぐ帰るよ~
いい子で待っているんだよケイト」
<帰ってきたら一杯遊んでねパパ!遊園地にも
連れてってね!>
「遊園地?」
<お友達は皆パパに連れて行って貰ってるのに
ケイトだけパパに連れて行って貰った事ないもん>
ジェーンが娘を後ろから抱き上げて
<パパを困らせちゃダメよ、今度ママが
連れてってあげるから>
ケイトはホッペを風船みたいに膨らませ
<パパじゃなきゃヤッ!>と駄々をこねた
思えば戦争で何処にも連れて行けてない・・
愛娘の成長を側で見守ることも出来ず
可愛い盛りを見逃して来たのだ
「解ったよケイト今度連れて行ってあげるよ」
<ホント!ヤッター約束よパパー>
「ああ約束だ」
ケイトは喜びの余り掛けだして部屋を飛びだした
其れを見てジェーン婦人が<待ちなさいケイト
そんなに走ったら転びますよ>と注意する
通信の切り上げ時と思ったミッチェル艦長は
「それじゃあジェーン後を頼んだよ」
<貴方もお気を付けて>そう言って通信を終える
冷たい宇宙空間で心温まる小さな幸せの一幕だ
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★付箋文★
ガルスグレーサー本星
星帝宮殿でギルザート18世が
恐ろしい悪夢に襲われていた
その夢の中でファノサイスが白銀の戦艦によって
撃沈され、他のファノ艦隊も悉く沈められた
{心せよ・・巨人の王よ・・蒼き魔導の船を
・・恐れよ・・ファノサイスの真成る力にて
この災厄を葬り去れ・・さもなくば・・
巨人界は恐るべき災厄に滅されるだろう・・}
そして恐怖の炎に包まれガルスグレーサー
天体級大円盤が眩しい光に包まれ崩壊していった
そこでギルザート18世は悪夢から覚めた
気が付けば宰相リンクスとドロシーとエリーナの
二人の王女が自分を心配そうな顔で覗いている
「ギルザート様お目覚めになられましたか?」
王座に座るギルザートはリンクスに状況を聞いた
「10分ほど前から陛下はトランス状態と成られて
おられました」
其の際に白目を剥いて瞑想状態となり
数分は意識がなかったと伝えられた
ギルザートは気付けに水を飲み呼吸を整える
「そうだ・・実に何年かぶりの啓示が降りた」
此より先は神の言葉を告げると言うことで
王の間は厳戒態勢となり、選ばれし者以外の
入室を禁じられると
ファノ艦隊の艦長と王女二人だけが
同席を許される事となり
結果として此処にガルスグレーサーの
支配者階級だけが一同に集う事と成った。
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その日の明け方
地球大西洋上空に12機の小さな黒点が現れ
その姿を遮蔽して日本エリアに向かった
海面スレスレを猛スピードで移動する
そのマシーンは海岸から上陸しそのまま
街に向かって行った。
その日
誠矢はジョンと坂巻と言う
実に珍しい顔ぶれで街に来ていた
{真耶に聞かせたくない街まで付き合い
相談に乗ってくれ}そんな風に誘い
誠矢は真耶の1件をジョンに相談していた
「それでジョンお前の経験から
言うとどうなんだ?」
ジョンは「僕はイザベルと直接血が繋がってるし
真耶と誠矢の参考に成るとは思えないけど」
「だいたい兄妹間の独占欲と言うのは
多かれ少なかれあると思うなー」
「もっとも・・こんな事をイザベルに言ったら
僕はアイツにケチョンケチョンに言われるのが
{落ち}だけどね」
坂巻がジョンに同情して無言で肩を叩きながら頷く
『こいつ・・』ジョンは少し苛ついた
「それにしても妹同士で兄貴の取り合いかー
もてる兄貴は辛いよな誠矢」
坂巻のからかいに誠矢はむすっとし
「そんな良いものじゃないぞ・・」
「マアマア、こんな話街中で話すのも
どうかと思うし喫茶店でコーヒーでも
飲もうぜ二人とも」そう坂巻が誘う
確かに歩きながらする話でもない
そう思って誠矢が坂巻を見ると
何かを鋭い眼光で睨んでいる
『敵!?』
坂巻が見ているのはビルの屋上だった
2人の緊張感にジョンも状況を理解した
「敵かこんな街中で?」
その時、誠矢達3人を監視する男達がビルの影に
隠れてている
<あの男・・坂巻進吾だ・・どうする?>
<関係ない、それより目的はジョンスミスだ>
<我々ムーの末裔の名誉を挽回するチャンスだ>
<必ずジョンスミスを誘拐するぞ!!>
3人は周りに被害を出さない為に小走りで
人気のない場所を目指し移動している
その時{偶然路地裏}で一人を3人が取り囲み
喧嘩をしている現場に出くわした
『よりにもよってこんな時に』
ジョンが足を止め
「おい坂巻、止めた方が良くないか?」
坂巻も止まり喧嘩を見て「そうだな」
坂巻が誠矢に何かを目配せし
3人は喧嘩の仲裁に近づく
それに申し合わせるように男達は
3人を取り囲んだ
ジョンが異変を感じボクシングポーズで身構える
「コイツ等様子がおかしいぞ!!」
「気を付けろ!!」
一人の男が銃をジョンに向けるが
次の瞬間には坂巻がその男の腕を破壊している、
いつもの攻撃パターンだ
だが、その男は光の粒子に成って
その場から消えた、
坂巻の二撃目の蹴りが光粒子を素通りする
「なに!?」
気が付けば、さっき消えた男がジョンの
後方に現れた、進吾は体制を立て直し
全力で駆けつけようとするが
「気を付けろ転送装置だ!」
「コイツ等に触られるな!!」
坂巻は敵の戦略にいち早く気が付いた
其れを聞き誠矢は一瞬で敵の狙いに気が付く
「ジョン!!こいつ等の狙いはお前だ!!」
併し遅かった、ジョンが敵に腕を掴まれたのだ
襲撃者は粒子になってジョンを巻き込み
転送しようとした
「ジョン!!」
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★付箋文★
100万光年離れた先に
ガルスグレーサー本星
天体級大円盤・ムーがある
その内部にはアルプス山脈を超える高さの
高層ビル群的な建造物と天を貫く巨大円柱が見え
此処にガルスグレーサーによって集められた
数多の星系に属する種族が暮らしていた
その人口は有に150億を超える。
その時、一つの武器庫が襲撃され
大量の武器弾薬が奪われてしまう
此が続け様に3件も起こった
そしてこの事件等の首謀者が
アリーヌ・ロイ・シュライザである
ガルスグレーサー内において平和共存勢力が
武装決起を起こしたのだった。
アリーヌは次の攻撃目標を
第3武装牢獄に決めた
「進撃を開始せよ!!」
王女将軍の号令に、数万もの義勇兵が
自由平等の信念のために戦う
この短期間でこれ程の戦力が
集まったのは全て{アリーヌの名声と
彼女を支持する将軍達の力}であった
第3武装牢獄、そこはガルスグレーサーに置ける
危険分子即ち政治犯罪者達が収容されていた
アリーヌはそこの政治犯を完全解放する為に
平和血盟軍を作り襲撃させたのだ。
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★付箋文★
クリスタルアーマーステーション
状況が刻一刻と変化するその狭間で
真耶は例えようのない胸騒ぎを感じ
ジッとしていられなくなった
真耶が車で何処かに向かおうとしている
其の様子がおかしいと感じた響は
真耶に行き先を聞いた
「竜一さん・・何だか兄さんに
危険が迫ってる気がして」
真耶は超能力者だ、こうした予感は無視できない
「解った一緒に行こう」
「竜一さん・・有り難う」一も二もなく
来てくれる、{いざ}という時は本当に
頼りになる男である
真耶は己の超感覚を信じて車を走らせた。
其の頃、街で襲撃された3人はと言うと
ジョンの腕を掴んだ敵に坂巻は迷わず
何かを飛ばし目潰しをくらわせた
「走れジョン!」
敵が怯んだその隙にジョンを走らせる
「坂巻流にあんな目潰し何かないぞ!」
3人が走って逃げる最中、誠矢が坂巻を
そう言って咎めると「それじゃあ俺が開祖だな」
なんて適当な事を言った
『それにしても何を投げたんだ?』
誠矢が見ると坂巻の襟のボタンが一つない
『ボタンに魔導力を流してブツケたのか』
只のボタンで失明した襲撃者達は
怒り心頭である
「くっそう舐めやがって」
ビルの上に配置させた転送船は遮蔽しており
見つかる心配はない
此は周到に練られた作戦であり
到底失敗は許されない
「例え坂巻進吾がいようと必ず成功させる!」
転送装置で自由にビルの隙間を移動できる
襲撃者達の方が有利な状況だ
誠矢達3人の前に粒子光線が照射され
襲撃者の一人が実体化する
「来たぞ!」「挟み撃ちか!」
銃を構える敵に向かって行きたいところだが
進吾と誠矢が離れた途端ジョンが無防備になり
あの手口で誘拐されてしまえばエンドだ
『どうする?』『これはかなりキツいぞ!』
戦いなら100%の勝率なのだが
転送機を駆使した鬼ごっこは分が悪すぎる!
「コッチも銃ぐらい持って来るべきだったな」
誠矢の言うとおり心の油断である
「どうせ{拳一つで解決出来る}からと
護身用の銃も持って来てないのは怠慢だった」
坂巻にしてみれば護衛に銃など必要ないと言う
訳にはいかないのだと教えられた。
『まだまだ未熟』
そして敵には銃がある
相手は一方的に撃ち放題だ
手に魔導を纏わせて飛んできた銃弾を
空中で弾き返し敵に当てるカウンター技さえも
転送して避けられてしまう
そして誠矢は
坂巻ほど{人外}ではないので
銃弾相手では避けるので精一杯だ
だからジョンを狙い撃ちされそうな時は
坂巻が防御して守った
だが良い加減手詰まり状態だ
その時、誠矢の耳に真耶の声が聞こえ
見ると見慣れた真耶の愛車が止まっており
中から男が一人降りて来た、其れを見て
『天は我に味方せり』「助かったぞ響だ!」
進吾は敵の弾丸から二人を守りながら
其れを確かめニヤリと笑う
そしてジョンが喜び勇んで「本当だ響だ!」
そして響に向かい
「響こいつらガルスグレーサーだ」と伝えた
本当はムーの末裔だが其れは些末な事
響は「今直ぐ助けるぞ!!」
そう言うとライフルを掴み駆け寄った
ムーの末裔達は新たな敵を迎え撃とうとしたが
銃を持った敵が増えるのは想定外だった
坂巻に銃を撃っている最中の末裔の一人が
響に撃ち倒された。
こうなると話は別だ一人戦力が減り
敵に武器持ちが現れたのである
「駄目だプランを変えるしかない
全員装甲を装着せよ!!」
その声にムーの末裔達は転送装置
でガルスグレーサー製の重装甲を身に纏った
これで銃は無力化出来る
其れよりも何と装甲兵はジェットパックで
飛行してきた
響は装甲兵達が頭上を通過するさい
一点に集中してライフルを発射し
装甲の唯一の弱点といえる頭部のバイザーに
命中させた、前方が見えなくなった装甲兵は
バランスを崩し地面のコンクリートに
叩きつけられた「ま・・前が!!」
装甲兵のサンバイザーにヒビが入っていた
「響!落とした奴はもう良い他を狙え」
坂巻はそう言うと墜落した装甲兵の
首を手刀で軽く叩き{気絶}させた
響はジョンを必要に狙う装甲兵を狙うが
殺気を感じた2体の装甲兵はビルの上に逃れた
「駄目だ作戦は失敗だ次の機会を狙う為逃げるぞ」
残った末裔達は転送装置船を操り脱出を計る
だが其れは不可能だった、ここまで大ぴらに
行動すれば防衛軍の監視網が放っては置かない
すぐ様{迎撃機}がスクランブル発進して
遮蔽した意味もなく2機は敢えなく撃墜された。
そして捕らえたムーの末裔の口から
ガルスグレーサーの情勢が判明する。
ハヤテのミーティングルームで
今回の件に関わった誠矢、進吾、竜一、真耶
そしてジョンが集まり艦長から説明を受けた
「捕虜の証言によると、どうやら
ガルスグレーサーはジョンを誘拐するために
転送船を4隻派遣したらしい」
「暗殺ではなく誘拐?」
何の為にと言う皆の疑問に
勝艦長は、{捕虜}によると誘拐を依頼した
ガルスグレーサーのエージェントから
聞いた話だがと前置をきして
「どうやらガルスグレーサー内部で反乱が
起こったらしいんだがその首謀者が
アリーヌ・ロイ・シュライザだそうだ」
「アリーヌが!?」
「大丈夫かスミス」と声を掛け
勝艦長はジョンが落ち着くのを待った
「取り乱して申し訳ありません、もう平気です」
艦長は話を続ける
「それから依然に誠矢がJから聞かされた
情報は全て真実だった、現在起こっている
{艦隊襲撃事件}は全て{ファノサイス}と
呼ばれる敵の要塞戦艦が引き起こしたものだった」
真耶はJの名前が出て思わず艦長に尋ねた
「それでJジョーカーは
今どうしてるのでしょうか?」
勝艦長は答えを言い渋った
その様子に只ならぬ事態を真耶は感じ取った
「どうしたんですか彼に
何かあったんですか艦長!」
真耶の様子に誠矢は落ち着かせようと声を掛ける
だが真耶は「はぐらかさないで下さいお願いです
教えて下さい!!」その様子に勝艦長が
「黙っていても何れは知れる事だ教えよう」
そして勝艦長の口から
「捕虜に寄ると聞いた話だがJは{ギルザートの
暗殺に失敗し壮絶な死を遂げた}と言う話だ」
真耶は一瞬声を失った、やがて肩を振るわせ
「どうして・・やっと理解しあえたのに・・
シャロンの時もそうだった・・どうして・・
どうして私の仲間達は皆死んでいくの!?」
真耶はその場で泣き崩れた
超能力者の友人達の死は真耶にとって
{超能力者は必ず不幸な死に方をする、
その運命から逃れられないと言う不吉な暗示となっていた。}
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★付箋文★8:46 2024/12/10
宇宙戦艦マルセイユ率いる地球艦隊が
航行していると、その背後に巨大な影が迫っていた
マルセイユのレーダー士官は突然現れた
大き過ぎる反応に戸惑った
「何だ此は、おかしな反応があるぞ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その時ウイリアム艦長が副長と話をしている
「通信でしか話せないのも後少しの辛抱ですね艦長」
副長は艦長の長過ぎた任務に同情していた
「地球の平和を守る仕事とはいえ過酷な任務でした」
「ああ、それだけに守り切れた達成感も大きい」
愛する娘の未来を信じて命を懸けて
地球を守り抜いた、
それは父として彼の生き様なのだった
「ケイトちゃん今年で7歳でしたね」
副長の言葉にウイリアムの表情は緩んだ
「そうだ、悪戯ばかりして妻が手を焼かされている
帰れば私の番かと思うと今から気が重いよ」
「本当ですか嘘を言っても無駄ですよ艦長
目元が綻んでますからね」
ウイリアム艦長は破顔一笑で
「そうかね、親バカと言われてもあの娘の
為に良い父親でいようと思うのだが
中々ままならない物さ」
副長はこの尊敬する艦長を一刻も早く
愛する家族の元に返してあげたいと節に願った
だがその時である、、宇宙戦艦マルセイユの
横に並んでいた巡洋艦が吹き飛んだのだ
ウイリアム艦長は瞬時に行動を起こした
「全艦第一級戦闘態勢!」
「主砲用意」
レーダ士官が報告をあげる
「敵艦補足、超大型です!」
ウイリアム艦長が其れを聞き敵艦の
正体を想定し
「報告にあった敵の切り札ファノサイス
かも知れない至急救援要請を出せ!!」
艦長は巨大すぎる黒い影に狙いを定め
攻撃司令を出す
「全艦砲撃開始」「撃ちまくれ!!」
地球艦隊から一斉に砲撃が始まった
だが、ファノサイスの周りでビームは全て
拡散し弾かれる
レーダ士官が悲鳴を上げる
「信じられません!ビームが・・主砲が
弾着5キロ手前で弾かれています!!」
ウイリアムは驚愕した
「なっ!バリアーか・・それにしても
5キロ手前とは防御の効果範囲が大き過ぎる」
それから直ぐファノサイスから
{艦載機}が発進した、
ウイリアム艦長はそれを見て取り
「直ぐ打電しろファノサイスのバリアは
何処かが開いている筈だと!!」
ファノサイスから再び砲撃が始まった
赤い光線がまるで弄ぶようにわざと急所を外し
味方の艦を穴だらけにしていく
凶暴にして残忍な攻撃を繰り返す
だがこちらの攻撃も有効なことに
ウイリアム艦長は気がついた
そうか・・
「追伸!奴は攻撃時にバリアーを解く!」
この時点で宇宙戦艦マルセイユは炎に包まれている
だがウイリアム艦長は地球のために一つでも多くの
敵艦情報を必死で伝えようとした
<済まないケイト・・パパは約束を守れそうにない
だけど君の事を愛しているママを大切にするんだよ>
「全隊員に退艦命令を出せ!」
ウイリアム艦長の指示に副艦が悲痛な声で
「艦長{退艦}不能です!!」
その上機関長が「ODIZブロック火災発生!!」
「機関部に火が回るぞ消化を急げ!!」
「もう間に合いません!!」
「燃料に火災が引火しました!!」
「最早此処までか・・」
絶望的な状況の中で、満身創痍の宇宙戦艦マルセイユは
艦体を斜めに傾きながら、それでも尚前進を続ける
「まだだ・・地球に帰れる味方を一隻でも多く
盾となり守るんだ」
マルセイユは敵の攻撃を一身に受ける
未だ健在の僚艦にマルセイユの姿は生きる
勇気を与えた
「針路BC13・・目標ファノサイス・・全速前進!!」
マルセイユは至る所に小爆発を起こしながら
ファノサイスめがけて特攻して行く
炎が廻ったブリッジでウイリアム艦長は
ケイトのホログラム写真を見ながら
『ケイト済まない・・パパはもう
帰ることが出来ない、ジェーン、ケートを頼んだ!
愛しい娘よ健やかに育ってくれ
さらば・・我が愛する妻と娘よ・・』
こうして宇宙戦艦マルセイユは宇宙に散った
そして残された16隻の艦隊も満身創痍
後は止めを刺されるだけと覚悟したとき
それまで凶暴な暴風雨の如く荒れ狂っていた
ファノサイスが突如として荒れるのをやめ
その空間から離脱したのである
生き残った艦隊はまさに、マルセイユによって
その命を救われたのだった。
______________________
★付箋文★
ガルスグレーサー天体級大円盤ムー
その大円盤に1隻の巨大な要塞戦艦が帰還した
それは巨人要塞戦艦{艦隊旗艦}
ファノサイスである
そのファノサイスからシャトルが一機
大円盤に向かった、それには一人の巨人が
乗っている、ファノサイスの艦長を務める
巨人族の有力者{ル・リオン}将軍
第4戦艦艦隊隊長{ESP部隊司令兼任}であった。
彼は紛れもなく偉大なる
ロイシュライザ王家の血に連なる一人なのである、
その王位継承順位も{一桁代}と高い
「星帝が神の啓示を受け我に帰還命令を
出され馳せ参じた、それで叔父上は何処に?」
巨人族の中でも一際背が高いこの男は
小人奴隷からもその凶暴な性格と
残忍性から恐れられていた
「星帝様他全ての、ロイシュライザの方々が
{星雲の間}にて既にお待ちで御座います」
ル・リオン将軍は上位の血統が一同に集まったと
知り緊張の色を濃くする、実質上ガルスグレーサーの
最高権力であり最高戦力の集合は、実に数百年ぶりの
大異変に違いなかった
『一体どれほどの啓示を受けられたというのだ
叔父上殿は?』
{星雲の間}とは啓示を受けた代々のギルザートが
一族を集め其れを伝える専用の部屋である
あらゆる防衛装置に護られており何者も
この{聖域}を冒すことは出来ない。
『武器の持ち込みも出来ない・・ある意味
逃げ場のない舞台であるな』
腰の剣と銃を台に置くとル・リオンは
自動ドアを潜り20メートルの巨体を
星雲の間に運んだ
そこには想像通りの世界が待っていた
天井には巨大な星雲の立体映像、その精巧さは
本物をそのまま縮小させた事を意味する
そして大理石の床から3段高くなった
円筒の場所が部屋の中心部にあり其処には
9席の椅子が用意されていた
その椅子には既に星帝ギルザート18世と
8名のロイシュライザの名を冠する者達が
鎮座していた
そしてその残された9人目の席に座る
爵位を持つ者が自分である事に
ル・リオンは愉悦を感じた。
『宰相リンクス・・二人の王女と・
・・我が派閥の3名・・アリーヌの抜けた席には
前任の(名は知らないが)男が座っている』
席に座るとル・リオンハ早速ギルザートに
遅れたことを謝罪し、その直ぐ後
「ともあれ、戦場からわざわざこのル・リオンを
呼び戻すとは余程の事・・一体どんな啓示が
あったのです叔父上」
ギルザートは自分をこの場で叔父と呼ぶことを
甥に禁じた、その上で「皆の者心して聞くがよい」
重々しい声でギルザートは話を始めた
「余は{朱の魔導}より警告を受けた・・
この侭だと我がガルスグレーサーは滅亡すると」
その場にいた全員の表情が一瞬で変わった。
______________________
★付箋文★
朱の魔導の予言とは2万年続く
歴代ギルザートだけに託宣される現象で
ガルスグレーサーに関する重要な未来を
予言するのだ。
「知っての通り朱の魔導による予言は
的中率100%だ、余はこれから起こる
未来を観せられた」
ル・リオンは息を呑む、想像もしていない事を
この叔父は言い出した・・大事な時期だというのに
この侭では不味い「併しながら・・」
ガルスグレーサーの法律で朱の魔導による
予言は絶対だ、異論は認められない「黙れルリオン」
ギルザートは甥を睨みつける
「予言と申しましても数百年も前のこと
その信憑性をもう一度吟味すべきかと」
その甥にギルザートは王錫を突きつけて脅す
「黙れと申しておるのだこの謀反者め!」
其れこそ全員が息を呑む言葉がギルザートの
口から発言された
「未来を見たと余は言った、その未来ではお主は
謀反を起こし、其れも又ガルスグレーサー滅亡の
引き金の一つの要因となる」
ル・リオンは全身から脂汗を流す
『不味い・・不味いぞ・・全て事実だから
本当に不味いのだ・・何とかこの場を逃れて』
だが遅かったギルザートの棒術は達人級
体格の差がどれだけあった所で
本気の一撃を心の臓に食らえば意識を奪うのも
容易だった、そしてル・リオンの取り巻き達も
ギルザートの王錫で一瞬にして殴打され
混沌させられる。
「お見事ですギルザート様」
宰相のリンクスはギルザートの達人ぶりに
感嘆の声を上げた
「何かしていると言う予感はありましたが
とにかく用意周到で尻尾が掴めず」
リンクスの言葉にギルザートは微笑し
「余が証人だ此以上の証拠はあるまい・・
其れよりもだ」
「ファノサイスが敗北するのですね?」
察しの良い宰相が先に答えた
「まさかファノサイスがあり得ません!」
ドロシーとエリーナが声を揃え訴える
「否・・残念ながら余は観たのだ・・
ファノサイスが太陽の船に沈められる
未来の光景を・・」
ギルザートはそれをもう起こった
出来事の様に語った
「何かの切っ掛けで白銀の船(ハヤテ)が
覚醒を果たし、その結果{覚醒した奴}に・・
ファノ艦隊は次々に撃沈される」
「信じられない」二人の王女は言葉をなくす
「だが・・沈んだのはファノサイスだ、真の
ファノサイスではない!」ギルザートの眼孔が
鋭く煌めく、そして拳を強く握り締める
「だから出し惜しみは無しだ・・最初から
全能力を解放したファノサイスをハヤテに
ぶつける!」
「朱の警告は以上だ・・リンクスよ」
宰相リンクスはギルザートを見て寒気を感じた
「どうやら我々は敵を完全に見誤ってた様だ
我等の真なる敵はハヤテ・・アトランテス王家
二万年の遺産{太陽の舟}だ」
______________________
★付箋文★
「それが朱の警告だったと?」
リンクスは少しの間一人思考を巡らせた
『・・やはり地球にアトランテスの遺跡が
存在したのだ、銀河円盤はハヤテの{欺瞞戦術}
其れに我等はまんまと騙されていたと言う事か
それなら此までの疑問が全て晴れるが・・』
「覚醒ハヤテ・・とはどのような?」
全ての謎が解けた訳ではない
寧ろファノ艦隊が全滅させられた事実の方が
更に驚異だった
「もしも・・だが・・真のファノサイスが
破れた場合・・覚醒ハヤテの戦力は
この{天体級大円盤}でさえ破壊する
であろう」
リンクスもその通りだと思った
「つまり次の戦いは必勝以外には無いと」
心配そうに自分を見る王女達にギルザートは
「案ずる事はない、シン・ファノサイスは
ファノサイスとは次元が違う」
「それこそ敗北などあり得ぬと断言出来る」
星帝は覚悟を決めていた
「そしてこのギルザート18世が
命を賭して戦うのだから必勝と断言出来るのだ」
「命を賭すとは・・」
それがどう言う意味かリンクスは
直ぐに理解した
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
数日後
ル・リオンは見知らぬ場所で意識を取り戻した
だがその時自分が見たのは{自分自身の姿}で
性格に言えば幽体離脱にも似た感覚があった
<一体なんだ此は何事だ!?>
<アレは我が肉体だ!>
生命維持タンクに浮かぶのは間違いなく自分の
姿であり更にル・リオンが自身の頭部を見ると
頭がパックリ割れ脳が摘出され空洞と成っていた。
<まさか我の脳を取り出したのか?>
<察しが良いな我が甥よその通りだ>
『その声は・・まさか叔父上か!?』
<何処だ!?何処に居る>
<この我にこんな真似をして只で済むと
思うなよ何処だ!何処に居るギルザート!!>
<騒ぎ立てるな我が甥よ・・お主にも見えておる>
<お主と同盟を結んでおった者達の抜け殻と>
ギルザートの発言通り、自分と同盟を結んだ
3人衆が生命維持タンクの中で
{タコの足の如く蠢く触手状の機械に
頭を食いつかれ}その侭頭蓋を切開されて
脳を摘出される場面を目撃した
<その横に余の抜け殻も同様にあるであろう>
ル・リオンは自分と同じく脳を摘出された状態で
生命維持タンクに納められたギルザート18世の
姿だった、叔父の正気を疑う自体に動揺し
<何故だ?何故こんな酷い真似をする?>
星帝に対し普段では見せない不敬な言葉を羅列する
<元に戻せ早くしろ!>
ギルザート18世は静かに愚かな甥に説明を始めた
<此は全てガルスグレーサーの為なのだ・・>
ル・リオンは頭の中に直接話しかけられ
※{脳だけとはいえ、朱の魔導の力で
脳粒子波により会話も出来れば見ることも出来る}
<こんな機能がファノサイスにあったのか・・>
<ル・リオンよ、お前は
真のファノサイスを知らぬ>
<どういう意味だ!?>
暫し間を置き巨人要塞戦艦ファノサイスの
艦首部分がまるで{タコ足の様に開き}その中から
巨人サイズの脳が入った容器が6個現れた
<何だ此は知らんぞ・・我はファノサイスに
こんな機能がある事を知らない>
ギルザートの声が答える
<愚かなるル・リオン此がファノサイスが
常勝無敗の理由だ>
<考えても見るが良い・・この大宇宙で2万年も
旅をし続けて常にあらゆる文明に勝ち続けるなど
到底不可能・・だがそれを可能にしたのが>
ファノサイスの頭脳中枢部品として自分の脳が
取り込まれる事を知るとル・リオンは恐怖の
叫び声を上げた<そんな・・正気じゃない!
こんな馬鹿な事があるか!!>
<恐れるな我が甥よ・・歴代のギルザート全員が
帝国を護るために我が身を犠牲にしてきたのだ>
ギルザートはさらに説明する
<具体的に言うと一つの脳がファノの能力を
一つだけ引き出すカートリッジとなる>
<戯ざけるなよ・・何がカートリッジだ
そんな消耗品と一緒にする・・待てよ・・>
『カートリッジ・・と言うことは
使い切るとどうなるのだ!?』
ギルザートは慈愛の籠もった声で
ル・リオンの脳に語った
<決まっておるではないか・・
力を使い果たせば{死}ぬのだ>
<死・・>ル・リオンは未だに{自分は
自分だけは死とは無縁}だと思っていた
<冗談じゃない・・戻せ!我が脳を元に戻せ
戻してくれ、叔父上!!>
<知っておるぞ余は未来で起きることを
全て見てきた>
『この男は何を言っているのだ?』とル・リオン
だがギルザートには確信があった
<未来でお前は謀反を起こし、その結果
リンクスに破れた>
<!?>この我があのような若造に?ありえぬ!>
<だがお前の裏切りのせいでファノの力が分散して
あろうことか帝国は壊滅したのだ!>
<そんな、未来で起こす罪で我を裁くというか?
叔父上殿!誤解だ!我にそのような意志はない!>
<黙るが良い最早手遅れだ・・>
<正気じゃない・・>
ル・リオンはギルザート18世を完全に見誤っていた
時代遅れの老害所か実は恐ろしい狂王だったのだ
<何にせよ星帝になると言うお前の醜い野心が
こうして叶ったのだ喜ぶが良かろう>
<これでどう喜べと言うのだ戯けるな!!>
<哀れな我が甥よ・・お前が望んだのだ
ギルザートの呪いをな>
<ギルザートの呪いだと?>
<そうだ・・ギルザートにはガルスグレーサーの
為に自分の脳をファノサイスに捧げる運命にある>
<そんな・・>
<国家の危機に瀕し
{シン}ファノサイスの力が
必要に成ったときギルザートは
ファノサイスの贄となる運命なのだ>
※{シン・ファノサイスとは巨人の脳を使った
サイボーグ艦なのである}
<我はそんなことは知らなかったのだ・・
許してくれ叔父上・・我はもうギルザートなど
どうでもいい・・>
<遅いな、お前はもうシン・ファノサイスの
一部なのだ、喜ぶが良いル・リオン
今よりそちもギルザートの仲間入りだぞ>
<嫌だ!我はギルザートなどに
成りたくない!>
脳粒子波の作り出した幻影がル・リオンに
歴代のギルザートの怨念が群がりシガミツき
地獄に引き吊り込むイメージとなる
過去の亡霊{星帝達}は皆王冠を付けた骸骨の
姿をしル・リオンも顔面半分が骸骨と化していく
<全てが同化するまで暫し時間が掛かるようだな
其れまで地獄の時間を過ごす事になる>
<うわあああ><助けてくれ><お慈悲を>
ル・リオンに荷担した愚かな3人の同化も
順調に進んでいるようだ・・今更泣き喚いて
命乞いをしたところで無駄な事も解らぬか
最期まで見苦しい者達だ・・・
<{序列も17位と18位19位・・
仕様ギリギリであるな}
彼等の名も一応ギルザートの末席に加えられる
救国の英雄としての名は残るのだ本望であろう>
<力不足ではあるが1戦は持つか・・>
<何とか余を含め5名の
ギルザートの新しい脳が
シン・ファノサイスにチャージされた
此で負ける筈はない、現に2万年もの間
ガルスグレーサーはあらゆる危機を真なる
ファノの力で乗り越えてきた実績があるのだ>
『だが不安は残る、一人分の脳が
古い侭だ・・果たして戦闘に耐えられるか
アリーヌの前任者とは言え・・申し訳ないが
無理を強いる事になる』
(ギルザート18世は王家の血に連なる者を
今以上を犠牲にする事は出来なかった)
残された王家の血統はアリーヌとドロシー
それにエリーナのみ!どうして犠牲になど
出来ようか!!
(ギルザートの地位を巡り激しい権力闘争の末
王家の血統同士がつぶし合った結果が此だ)
ル・リオンに暗殺された奴より上位だった
血統の者が4人残っておれば・・
{結果としてル・リオンは自らの首も絞めていた}
※(暗殺された中にはル・リオンの親兄弟
それに3王女の弟を身籠もった女性も居た)
ギルザートの脳裏に白い閃光に崩れ去る
天体級大円盤ムーの姿が浮かぶ
<あの破滅的な未来を変える、必ずだ!!>
こうしてギルザート18世は、ハヤテと言う名の
(伝説級)である太陽の舟を万全の状態で迎え撃つ
準備を整え終えたのであった。
_______________________
★付箋文★
宇宙戦艦マルセイユ撃沈の知らせは
太陽系防衛軍に多大なる衝撃を与えた
併しウイリアム艦長の英雄的な活躍で
多くの僚艦が生き残り地球に帰還した
彼は第1級の英雄として{名誉勲章}を
授与された
「ウイリアムはファノサイスの
ウイークポイントを最期まで
伝えようとしてくれていた」
勝艦長は友人の一人として式に参加する
英雄を送る葬儀には多くの艦長達が列席した
皆悲痛な表情でウイリアム・ミッチェルの
遺体の存在しない棺桶を見つめている
だが何より胸を締め付けられたのは
後に残された遺族の悲しみの姿だった。
突然父を失った娘のケイトが目を泣き腫らしている
いったいどれだけ泣いたのか・・勝流水は
自分の娘の姿と重なり堪らない気持ちになった
「ウイリアム艦長、御安心下さい
ファノサイスは必ずハヤテが沈めて見せます」
「もう二度と貴方の娘さんみたいに悲しい想いを
する娘が居ないように此処に誓います!」
この時の勝艦長が余りに恐ろしい形相のために
誰も声一つ掛けることが出来なかったと言う。
______________________
★付箋文★
ハヤテ基地
クリスタルアーマーステーション
ハヤテ_発進ハンガー
坂巻進吾は親友の誠矢と前日の
ウイリアム艦長の式の話をしていた
「マルセイユの艦長の遺族の姿は見る者の
涙を誘ったそうだ」
誠矢はファノサイスという此以上放置できない
問題に真剣に取り込む必要を感じていた
「ファノサイス、一刻も早く仕留めなければ
悲劇が増えるばかりだ」
「その通りだな・・」
坂巻はその時喪服を着た美しい未亡人が
子供を連れて基地にやってきたのを見た
進吾の目線を追い誠矢もその二人に気が付く
「何処かで見た人だな」
坂巻が驚いた声で
「思い出したぞウイリアム艦長の奥さんだ」
「マルセイユのか?」坂巻は「そうだ」と答え
彼女がハヤテに来た理由を考えた
「恐らく勝艦長に会いに来たんだ・・
目的は定かじゃないが・・」
「ハヤテにマルセイユの仇を取ってくれと
勝艦長に直接言いに・・来たとか?」
「まさかな・・」誠矢も進吾も
それは無いと思いたかった。
ウイリアム・ミッチェルの妻子は
受付を通して勝流水との面会が叶った
そして勝の居る艦長室に通される
重厚なドアが自動で開きミッチェル婦人は
ケイトの手を引き室内に入った
その姿を見て勝艦長は席を立ち手厚く出向かえ
「ミッチェルさん、今回の事・・誠に残念です
彼は類希な優れた艦長でした何と御慰めすれば
良いか、言葉もありません」
だが婦人はキッパリト言った
「今の私は慰めの言葉はいりません」
勝は目線を落とし
「これは・・至りませんでしたお許し下さい」
その謝罪の言葉にミッチェル婦人は
「良いんです、今日は主人があなたと親しかったと
聞きましたので参りました」
「事実です御主人とは学生時代からの友人でした」
勝は懐かしい若き日の自分とウイリアムの姿を回顧
しながら婦人にソファを薦める
婦人は頭を下げてから
「夫の戦いに妻が口を出すのは烏滸がましい
のですが・・夫が戦った敵艦の名を教えて下さい」
それは軍事状の機密に抵触するが・・やがて
重い口を開きおもむろに「ファノサイスです」と
その名を口にした。
婦人はむずがるケイトを宥めながら
口の中で聞いた名を忘れないように反芻する
「・・有り難う御座います・・」
そう勝に礼を述べ席を立つとケイトを立たせた
そして「・・どうか・・この子の父の仇を・・」
そう言い掛けて婦人は必死に歯を食いしばり
言葉を呑んだ
勝は婦人が夫を殺された恨み言を必死で
言うのを耐えたのを見て、武人の妻の鏡だと思う
だが「私情を挟むのは間違いかも知れませんが」
勝艦長は敢えて感情に従った
「ファノサイスは今や我々地球人にとって
共通の脅威です、脅威は取り除かねばなりません
絶対に」静かだが決意の籠もった宣言に
婦人はケイトと握る手に思わず力が入る
ケイトはそんな母の気持ちは知らずキョトンとした
あいた方の手で婦人は嗚咽の漏れそうな口を押さえ
「・・それでは、あの」
勝艦長は力強く頷いてみせる
「ウイリアム艦長に代わり、必ずファノサイスを
倒して見せます!」
婦人は深々と勝艦長にお辞儀をし
感謝の言葉を述べた。
______________________
★付箋文★
クリスタルアーマーステーション
小さい女の子が白銀に輝くハヤテを眺めている
其れを坂巻進吾・戦闘機隊・隊長が見つけた
「綺麗な船だろ?」そう声を掛ける
ケイトは日本語が解らずキョトントした
『まだ世界標準語(日本語)を習ってないか』
{世界では言葉は8つに絞られていた
大体5ヶ国語位は話せる者が全人口の
4割から居て教育が徹底しているのである}
「お舟を見ていたの・・」日本語でケイトが答えた
『話せるのか・・』「お舟好きかい?」進吾は
その場で屈んでケイトの目線に合わせた
「好き、パパが乗ってたもん」
「そうか、お兄ちゃんもこの
お舟に乗ってるんだよ」
其れを聞いたケイトの顔がパッと明るくなる
「本当!?」進吾は笑顔で「本当だよ」と答える
「ケイト!!」少女を呼ぶ声と共に婦人が
二人に駆け寄ってくる
「急に居なくなって心配したのよ!!」
坂巻の影に隠れたケイトに代わって進吾が
「お嬢さんは船を見ていたんです」と答えた
婦人は話しかけてきた坂巻に挨拶をし、そして
「ケイトが船を?」と聞いた
「ええ・・お嬢さんが船が好きだと言ってくれて」
船乗りなら自分の乗る船を褒められれば喜ぶのも
当然だと、船乗りが夫だった婦人はそう思い
「そうですか娘が・・」
だが婦人はこの若い隊員の顔を
何処かで見た気がして
「貴方はもしや・・坂巻隊員では?」と聞く
すると「ハヤテ、スカイドラゴン小隊所属の
坂巻進吾と申します」と答えた
其れを聞き婦人はこの若者が
防衛隊最強のエースだと思い出す
「お噂はかねがねニュースで目にしております」
ケイトが坂巻の腰に抱きついてジャレてくる
其れを軽く片腕で持ち上げ抱っこする
その様子に婦人は「有り難う御座います
坂巻隊員と言えば鬼神と噂されますが
印象がずいぶん違いますね」
坂巻は照れながら
「全部マスコミの印象操作ですよ」
{坂巻を敵には鬼神に味方には英雄として
防衛隊が宣伝に利用している}
「どうりで・・本物の貴方は
子供好きの優しい青年ですのに」
「そうですね子供は好きです、妻がもうじき
産むので今から楽しみです」
「まあ奥さんが居るんですか、その若さで」
其れを聞いたミッチェル婦人は坂巻の手を取り
「それなら呉々も命だけは大切にして下さい
お子さんの為にも」
坂巻は戸惑いながら婦人の言葉の重みを感じた
『この女性の言うとおりだ俺は
絶対に景子と子供を悲しませては成らない』
「有り難う御座います肝に銘じます」
ウイリアム・ミッチェルの妻子を見送り
坂巻進吾が戦争による悲劇を憂いてると
「進吾」と声が聞こえる「誠矢か」坂巻は
振り向かず前を向いたまま
「殺るぞ誠矢、ファノサイスと言う悪魔を
俺達の手で必ず地獄に叩き落とす」
「お前にしては珍しいな
そんなに熱くなるなんて」
誠矢の指摘も坂巻は「そうか」と
素っ気なさを装う
だが誠矢は坂巻の様子にいつもとは違う
熱い空気を感じて居た。
______________________
★付箋文★
坂巻家・屋敷
明るい光が射す和室で
景子が洗濯物を畳んでいる、カレンダーを見て
「もう11月も25日経って、年月の流れは
早いものね」そう呟くと休めていた手を再び
動かし始めた。
併し彼女は時計を見て
「もうこんな時間、行かないと」
ファノサイス討伐任務による出航前の
ミーティングがあるので、景子は
クリスタルアーマーステーションへの
出頭を司令部に命じられていた。
景子は出かける前に道場に立ち寄ると
中央で正座する進吾の父、鉄斎に
「それでは、行って参ります」と挨拶する
「うむ、気をつけてな」
そう鉄斎は景子に返事を返すと再び
精神統一に戻る
だが景子が戸を閉めようとしたとき
鉄斎が再び口を開き
「成る可く早い内にハヤテを降りられよ
此以上は負担になるだろうからな」
それは自分だけでなく周りにもと言う意味だ
「判っております御義父様」
景子は道場の戸を閉め屋敷を後にした
__________________
クリスタルアーマーステーション
ハヤテの戦闘機ハンガーに坂巻進吾が降りると
清水が愛機の整備をしていた
「清水、どうだ調子の方は?」
清水は坂巻に向かって
「てんで駄目だ、部品にガタが来てる
なのに部品がまだ来てないしな」
坂巻は機体を撫でながら
「この機体はまだ配備が始まったばかりで
絶対数が不足している」
スパナで頭を掻きつつ
「そうなんだ、このスペースユニコンは
良い機体だが補充の部品が無いのと構造が
複雑なのが玉に傷だ」
「そう言えばアローホークの交換機は
スペースユニコンEタイプらしいが
Eは構造が簡単で他の機体の部品も使える
らしいぞ」
坂巻のその情報に清水は羨ましそうに
「そりゃ便利になるな」
坂巻は少し考え何かを決意し
「其れを待ってる時間は無いよな?
良いよ俺のユニコーンの機体から
必要な部品を使ってくれて」
清水は驚いた
「お前!パイロット辞める気かよ!?」
「違う違う、俺は暫くカラメティドラゴン
専門にされそうだからだよ」
{カラメティドラゴン・人類初の魔導戦闘機}
「ああ・・あの超絶叫マシーンか、そりゃ
坂巻以外に乗りこなすのは不可能だよな」
流石の清水もアレに乗る勇気はない
「だから遠慮なく使ってくれ」
両手を合わせ拝みながら
「恩に着るよ本当助かる」
坂巻は笑いながら「気にするな」と
清水の肩を叩いた。
進吾は自分の愛機を撫でながら
『済まないなお前との付き合いはまだ短いのに
こんな事になって、今は非常事態で戦力が
1機でも必要なんだ部品を分けてやってくれ』
「また一緒に空を飛ぼうなユニコーン」
「おい進吾!」と西沢が進吾の所にやってきて
「新型が入ったから見に来いとさ!」
「新型?ファイターユニコンか」
西沢は違うと否定し
「バルキリーコスモとか言う奴だ」
坂巻はレシピを反芻し「ああアレか」
そして一呼吸おいて
「試作機も良いところだぞ!!」
西沢も頷きつつ「だな、併し次期主力攻撃機で
量産型は確か・・」坂巻が引き継ぎ
「コスモアロー、ダッシュ力はユニコンBに匹敵し」
「格闘力はタイプAより劣るも攻撃力は
サンダーシャークの1、6倍」
「併しバルキリーコスモはアローホークに
匹敵する格闘力だろ?」西沢がドヤ顔で
坂巻の説明に乗っかる
「なーんてな、併し詳しいなー坂巻」
それよりもだ、と西沢は背筋を震わせ
「バルキリーってーのはアレだろ?」
{北欧神話の死せる英雄を選ぶ者}
「ゾッとしないよな?」
笑いながら坂巻も西沢に同意した。
このバルキリーコスモが次代の{魔導戦闘機}
だと言うことは未だ極秘情報だった。
_____________________
★付箋文★
地球日本エリア11月26日22時18分
クリスタルアーマーステーションより
宇宙駆逐艦ハヤテは、ファノサイス討伐に出撃した
ハヤテのテラスに坂巻進吾と景子の二人が
遠ざかる青い故郷の映像を手を取り合い見ながら
{ハヤテは完全密閉型構造なのである}
「貴方が突然こんな事をするなんて
ロマンチストにでも目覚めたの?」景子は
年下の旦那様の誘いに頬を染めその胸に
顔を埋めてウットリした表情になる
「君がハヤテを去れば次に二人で此を見る機会は
もう来ないから思い切って誘ったんだ」
進吾はそう言い景子に接吻した
景子は幸せに包まれ愛しい夫の肩に
もたれ掛かりながら青い地球を見つめていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★ PART32に続く
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