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王家の絆編
PART44 二つの力・時代の流れ
しおりを挟む━━━━天体級大円盤転移まで後り48時間━━━━
アトランテスノヴァが目的の宇宙域に到着すると
一際大きな円盤が目に映る、其れが銀河連邦艦隊
{旗艦}大円盤ユニオンソーサーである
「おい見て見ろよ、とんでも無い
宇宙戦艦が混じってるぜ」
と言う響の第一声に皆が注目する
銀河連邦の中に3隻の見慣れた艦影が見える
其れはかって太陽系でハヤテが死力を尽くし戦った
ガルスグレーサー最強の3将軍の宇宙戦艦であった
先行したハヤテFもその横に並港している
「一体何があったんだ?」
アトランテスノヴァが到着したのを見計らう様に
ユニオンソーサーからハヤテFの隣に
曳航するようにユニオンソーサーから指示が届く
<こちらユニオンソーサーのUゼロワン
我々銀河連邦は銀河の盾アトランテスノヴァの
到着を歓迎します>
わざわざ誘導灯で迎え入れるなど
他の宇宙戦艦では絶対にやらないであろう
歓迎ぶりに大城誠矢は政治的な意図を感じた
「此はゼロワンか・・ゼロツーならこんな
政治パフォーマンスはやらないだろうからな」
どうやらゼロツーはこの場に居ないようだと
誠矢は理解した、まさかとは思うが・・
俺と通じ合ってるとでも疑われたか?
まあ他のU星人より話を通しやすい相手なのは
認めるが、内通とかはしてないからな
(換喩はされたが・・冷汗)
だがアストラとして会談に出席して欲しいと
各国の首脳陣に懇願されては
銀河の盾代表の立場として参加しない訳にも
いかなくUゼロワンの招待を受ける事にした
「その際呉々も自分の事をアストラ王とは
呼ばないようにUゼロワンに念押すが・・」
もう殆どの銀河連邦加盟国が
時代の銀河で最強の覇権を握る者を
銀河の盾アトランテスノヴァの
古代アトランテス王国のアストラ王だと
勝手に呼び其れが噂に成っていた
その彼と直接会えるのだ
この機会を逃す者はいない
少し前なら彼等の最も会いたい人物は
ギルザート18世と宰相リンクスだったのに
余りに露骨な態度の切り替えと変化に
時代の残酷な流れ{凋落}が見えてくる
ガルスグレーサーの栄枯盛衰は著しく
※「栄枯」は草木が茂る事と枯れること
「盛衰」は栄えることと衰退すること
アトランテスは栄え、ガルスグレーサーは衰退した
此は最早、時代転換期に起きる必然なのだ。
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★付箋文★
天体級大円盤・{大会議場}
その会談とは天体級大円盤に対する
破壊方法の説明が主題となる
其処に銀河を代表する有力惑星国家の
首脳レベルが集まっていた
「つまり転移の1時間前に星雲時計の
秒針を天体級大円盤に撃ち込むと?」
震える声で銀河連邦加盟国1国の代表から
アストラ大使に向け質問があがった
<否・・撃ち込むのではなく正確に言うと
60秒で秒針が一周し針が通り過ぎるだけだ>
アストラの言葉に議会場全体が静まりかえる
・・・・星雲時計の秒針の長さが数光年だと
考察してその移動速度は光速など遙かに超える
其れが1周して目標を破壊するのだ
更に挙手し質疑をする別の異星人
「なら・・宰相リンクスが望む
アトランテスノヴァとファノ艦隊との決戦は」
アストラは其れをキッパリ否定した
シン・ファノサイスとの死闘に勝利した時点で
4隻が1万隻だろうがファノサイスクラスでは
既にアトランテスノヴァの敵ではない事は明白だ
そんな敵を虐る趣味は自分には無いと言う
<其れは恐らく向こうも解っている事だろう>
ではリンクス宰相は無抵抗で終わるのかと言うと
アストラは <其れはない、宰相リンクスは
黄金の狐と呼ばれる程の知恵者だ>
<恐らく通常では考えられないような心理戦を
仕掛けて来るのは間違いない>
其れがアストラの見解だった
だが艦隊戦でアトランテスノヴァの力を
再び記録したかった者達の思惑は此で外れた
其れを臆面にも見せず代表団は冷静に対応する
「成る程・・確かに武力だけが戦争では
ないですからな」
アトランテスノヴァが戦闘に付き合わないのなら
ファノサイス4隻は其れこそ絵に描いた餅だ
神の秒針を起動したアトランテスノヴァを
阻止する術はない
此はいよいよガルスグレーサーも
年貢の納め時が来たな
其れが銀河連邦代表団全員が抱いた感想だ。
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ガルスグレーサーからの{移民}は
銀河の盾に加盟するのを目的に集まった
異星人の代表達にとっては大きな交渉材料である
一隻で銀河系最強の国力を持つ
英雄戦艦アトランテスノヴァと交渉する材料は
軍事力でも物資でもない
アトランテスノヴァが唯一持っていない物
それは大量の移民を受け入れられる国力なのだ
「アストラ大使、我が星系は
銀河の盾に加盟を望む」
「その見返りと言っては何ですが
大戦終結後、大量に発生する
ガルスグレーサー難民の受け入れを
我が星系では300万人引き受ける
準備があります」
其れを聞いた別の星系代表異星人は
「300万とは大変な決断ですね
まあ我等の惑星連盟は難民1000万の
受け入れ体制を用意してますがね」
その席の横にいた異星人が怖ず怖ずと挙手をし
「当方は・・国力が低く其れほど多くの
{移民}を受け入れられませんが1000人程度なら
明日にでも{移民}の支援体制が整います」
此の数の少なさに他の大国大使は鼻で笑う
彼は自国の国力では相手にもされないと思い
銀河の盾に加盟したいなど夢にも思っていない
其れを誠矢は見抜いていた
<ボランディア星人代表の方、
ガルスグレーサー{移民}政策に御参加頂
誠に有り難う御座います>
アストラがボランディアと言う小国代表に
直接{礼を述べる}など想像だにしていなかった
各国代表が慌てる
「どう言うことだ?たった1000人を受け入れるとしか
表明していないボランディアが1000万受け入れる
我が国より優遇されるのか?」
「一体何を選考基準にしているのかサッパリ
解らないぞ!」
まるで奇異な物を見る目で異星人代表達は
アストラ大使を見た
ボランディア代表は恐縮しながらも
「いえ・・アストラ大使程の方に
その様に御評価して頂こちらの方こそ
大変恐縮致しております」
アストラはフルフェイスの下の表情が見えない分
声で感情を露わにして話す
<明日にでも{移民}を受け入れて頂ける
と言う具体的な内容も去る事ながら
支援までしていただけるのは本当に助かります、
ガルスグレーサーにも将来があるのですから>
確かに難民の数ではない明日どう生きるかが
本当の問題なのだ
国の中に迎え入れて共に生きると言う
{移民政策}を真剣に考えてくれる国こそ
大城誠矢(アストラ)は重視したのだった
難民の扱いは解っている、{隔離だ}
何があったとしても共生の道ではない
<星系に移住可能な惑星があれば一度
考えて頂きたい>
<彼等の惑星改造技術はレベル1でさえ僅か
2~300年間でレベル3の段階に開発が
可能です>
<銀河の盾の加盟国には、開発途中の惑星に
移民して貰いレベル3になった時点で
{連合}として加わって貰うと言う
計画もあります>
200年も同じ星系で暮らせば共存共栄も
自然と成すだろうと言うのがアストラの見解だった
「成る程・・随分と具体的な話ですな」
「地球が既に其れを
実践している事がまず素晴らしい」
「難民ではなく移民として受け入れるのか・・」
「開発中の惑星なら幾つか覚えがある」
「確かにガルスグレーサー人は無力ではない」
「300万隻もの宇宙艦隊を保有する優力民族だ」
「此はまず根本から移民政策を練り直す必要がある」
異星人の間にも{銀河の盾}に加盟する以前に
近々の課題が見えるエピソードとなった
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次回の会議が終戦後の明日以降に決まり
ロビーに出たアストラ大使はUゼロワンの
元に歩いて向かい所謂ロビー活動に専念する
<Uゼロワン少し話がしたい>
<アストラ大使・此処で出来る話なら>
この人物の中身もやはり1万の意識が総合されて
居るのかと思うと誠矢は一人と話している
気分がしない、だが・・今此処で聞きたいのは
<先に言っておきたいのはガルスグレーサーの
天体級大円盤の破壊を承認したのが銀河全体の意志
であって私はそれに従うと言う形式の確認だ>
Uゼロワンは『責任の所在確認か・・・』と
アストラの本意を探る
<其れはつまり・・銀河全体の過半数が
承知しなければ{神の秒針}を使わないと
そう言いたいのかね?>
アストラは<率直に言えば>と其れを肯定した
<神の秒針は此から星雲時計の効果が切れる
約2千年間、何時でも出せる文字通りの最終兵器
・・強固な安全装置は絶対に必要だ>
想像を超えた神の秒針の性能にゼロワンは
息を呑む<アレを・・2千年使用可能だと・・?>
<使い方次第で護るものさえ
自ら破壊しかねない
だからこそ正確な制限が必要だ>
此処で念を押すアストラ
<銀河全体の過半数にアトランテスノヴァ・クルー
全員一致の{賛成}が使用の最低条件とする事>
<銀河全体の総意となると流石にハードルが高い
中にはガルスグレーサーの工作員も
混ざるだろうからな>
<それに関してはユニオン星人がその条件に合致
すると私は知っている>
ゼロワンは『ゼロツー』により自分達が銀河中から
選び抜かれた1万人の統合意識生命体だと言う機密を
アストラに既に伝えたと理解していた
<ユニオン星人の代表である君達二人は
まさしく銀河の代表だと言える>
<つまり私とゼロツーの二人が承認すれば
アストラ大使は神の秒針を行使されるのか?>
<まあ第一の安全装置はそれで解除だ>
<次に銀河の盾加盟国の半数以上の承認と
アトランテスノヴァ・全クルーの過半数同意で
俺は全ての責任を背負い力を使うと約束する>
『そうなると銀河の盾に加盟するのは
相当高いハードルになるな・・・』
だが其れより聞きたいのは・・
<気になるんだが其処に君の意志は
繁栄されるのか?>
Uゼロワンは最後にアストラの意志を聞いた
<当然だ・・結局責任を果たすのは
最後にトリガーを引くこの俺となる>
アストラは言葉少なく其れだけをU01に伝える。
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次にアストラが向かったのは
シリウスとケンタウロスの代表の元にだ
「アストラ大使お疲れさまです」
<お疲れさまです>
3人は軽い談笑をしながら「それにしても」と
切り出した話題は
「地球の政権が元に戻って本当に良かったですな」
「まさか地球がガルスグレーサーに有利な政権に
あのタイミングで代わるとは思いもしませんでした」
「たった3国の(現)銀河の盾加盟国が
まんまと終戦間際の隙を突かれましたね」
<創設主要国メンバーが情けない話です>
アストラは二人に謝罪をする
その態度に二人は顔を見合わせ
「否・大使に責任は有りませんよ」
「今回の銀河会議には間に合いませんでしたが
次回からは銀河の盾の主要国として
参加なさればいいのですから」
此の遣り取りでハッキリしたことは
『やはりアストラ王は地球人に間違いない』
二人の大使はそう確信し地球が銀河の盾の
創設国だと確信する、まあ9割方そうだろうと
前々から予測していたので二人に驚きはない
『銀河辺境の未開発惑星と揶揄された地球が
実質上、銀河系最強国家に躍り出た訳か・・』
ケンタウロスの大使はアストラに
「地球政府に新政権誕生の祝電を送りました
宜しければ地球の大使を我が星に招待したい」
『地球との有効関係をもっと強固にせねば』
「ならば我がシリウスにも是非招きたい」
『アストラ王個人との関係を結びたいが
地球と親密になる方が遙かに近道だ』
将を射んと欲すれば先ず馬を射よだ
その会話を他の異星人代表達の居る
横でするのだからアストラも人が悪い
此で銀河中の惑星国家は地球に対し
今まで取っていた態度が180度豹変するのは
ほぼ間違い無い、地球が銀河の強国になる
第一歩を踏み出したのだ
広いロビーから退出するアストラ大使を
銀河中のマスコミ達が群がりインタビューを
試みるも銀河連邦の警備が其れを阻み許さない
記者会見は予定された時刻と場所以外
NG 行為と規定され、アストラ大使には
今から銀河史に残る大偉業を
達成すると言う任務が待っている
銀河中のマスコミが
英雄戦艦アトランテスノヴァによる
銀河外侵略者の本拠地を叩くその瞬間
史上最大のスクープを狙っているのだ!!
その為、謎多き英雄アストラに
ほんの少しでも危害が加えられないよう
警戒は厳重にされていた
{銀河英雄戦艦アトランテスノヴァの一撃が
銀河の明日を切り開く!!!}
そんなニュースの見出しだけで
銀河系ネットワーク界隈は
史上最高の数字を叩き出すだろう。
「いよいよだな・・」
アストラの中の誠矢はアトランテスノヴァに
戻る前にどうしても挨拶を済まさねば成らない
3将軍との会談に向かった
会談の場として提供されたのは
3将軍飛騰のウルフシューターが所有する
ミサイル戦艦スペースヴォルフ{2世}
語り尽くせぬ程の伝説の名を引き継ぐ名鑑に
3将軍揃い踏みである
「お久しぶりですウルフシューター将軍」
アストラの仮面を脱ぎ大城誠矢は素顔で
この偉大な狼将軍に握手を求めた
アストラの正体を知っている
ウルフシューターでさえ今の大城誠矢の
隠し切れぬ巨大な覇王の気には度肝を抜かれる
「少し見ぬ間に凄まじく成長成された
キャプテンアストラ」
その役職を知っているという事は
彼は既にハヤテFと接触し勝艦長と接触が
済んでいるという事である
「いえ・・お三方にはファノサイス攻略のため
散々鍛えて頂きましたから其の御陰です」
此を聞き次に握手を求められた
グリフォン将軍が冷や汗を流しながら
「先の件に付きましては是非水に流して
頂きたい、もうとても適いませんから」
誠矢は「模擬戦でも?」少し手に力を加える
「勘弁したいですな・・」
鷲将軍の眼からは言葉とは逆に
受けてやるぞと言う覇気を感じる
「アトランテスノヴァに成らないと言う
ハンデ付きならばですが」
誠矢は笑いながら
「それじゃ気持ちよく
恩返しが出来ないですよ」
「其れはお礼参りじゃないかな?」
そう言って横から手を差し出すのは
ワイルダー将軍
「ワイルダー将軍ならまだ
デストロイ・カタストロフで
1回はいけそうですね」
其の手を握りながら誠矢は威嚇するが
「悪いが今は護らなければならない女性が
出来て命がけの遊びは付き合えなくなった」
「ええ!其れって目出度い話じゃないですか!
是非結婚式に招待して下さい」
誠矢の言葉にワイルダー将軍の頬が赤くなる
「まだそうなると決まった訳ではない
姫の御気持ちも確かめない事には」
其れを横で聞いていたウルフシューターが驚き
「お主エリーナ様とそう言う関係なのかぁ?!」
グリフォンは笑いながら
「何だ狼将軍殿は気が付かれてなかったのか
二人を取り巻く空気に?」
「気付く訳が無かろう・・そう言うのは専門外だ」
元巨人族の姫君と鬼神将軍の恋
其れも平和な時代の訪れを告げる
ロマンスの一つだろうか
誠矢は3将軍と火星コロニーでの再会を約束して
アトランテスノヴァに戻るのだった。
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此は彼女が初めて乗艦した時の話だ
アトランテスノヴァに対し鋼欄隊員が抱いた
第一印象は、戦闘艦らしくない所だった。
ハヤテの時でさえ異常な舟だった
其れがアトランテスノヴァに成ってからの
この舟はまるで神を祭る儀式船の様だ
「特にあの人は・・戦士と言うより王様ね・・」
欄がテラスで詩集を読んでいると其処に
キャプテン大城がやってきて
「天と地相容れぬが如きなれど、人誰しもが
宇宙に憧れる」
欄は其の詩に続き
「されど手が届かぬ物故に人宇宙に憧れる」
其処で欄は振り向き
「この詩を知ってるんですか?」
誠矢は寂しさを纏った口調で
「亡くなった俺の親友に教えて貰ったんだ」
そう言う誠矢に欄が
「失礼を承知で聞くんですが・・
キャプテンとは何処かでお会いした気がするんです」
誠矢は驚きの表情を見せ
「俺もそうだ、やっぱり何処かで会った事が
あるらしいな」
其処にタイミング良くサイバドック7号が
駆け込んできて二人を見ると一瞬たじろぎ
後ろから追いかけて来た滝川鏡子に
あっさり捕まった
「彼奴また何かヤラカしたのか?」
誠矢は顎を掻きながら
「今日は素直に捕まったみたいだな」
鏡子も誠矢に気づき照れながら
「珍しい事もあるもんですよね誠矢・・」
そして欄の存在に気が付き言い直す
「じゃなくてキャプテン!」
鏡子は7号の尻尾を掴み腰に手を置きながら
小声で誠矢に詰め寄り
「あなたもかなり手が御早いですね{誠矢艦長}」
※誠矢と呼べるギリギリライン
そんな鏡子に誠矢はタジタジで
「誤解だ誤解・・俺はそんなに気が多くないよ」
「どうだか・・」
其れじゃあ此でと言わんばかりに
踵を返す鏡子(だが何故かお尻を振り振りアピール)
この時7号が鏡子に
「チーフ僕の鼻の回路が変です」
誠矢と欄の事が気になる鏡子は上の空で
「どうして変なの」其の問いに7号は
「だって匂いが同じだから」と
自信なさげな小声で言う
「変な言い訳は良いから」
そう言ってモップとバケツを渡し
「35回目の罰掃除、頑張りなさい」
滝川チーフが去りサイバドック7号は
ブツブツ言いながら罰掃除を始めた
時は戻り現在天体級大円盤転移まで後り40時間
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銀河連邦陣営から出航しようとする
アトランテスノヴァに対し
その出陣を礼砲で見送る銀河連邦艦隊
<銀河の英雄戦艦が行く>
その向かう先は天体級大円盤ムーと
其れを護るファノ艦隊4隻が待ち構える戦場だ
通常速度でガルスグレーサー陣営の横を
通り過ぎていくアトランテスノヴァ
其れをガルスグレーサー艦隊は一切手を出さず
それどころか、彼等の本音は
自分達の星を滅ぼされ其ればかりか
無理矢理奴隷にされて余所の星を攻めさせ
られた屈辱と後悔の日々・・其れが今
唯一彼等奴隷の叛乱を強力に阻んでいた
ファノサイスがアトランテスノヴァによって
撃沈されたのだ
確かに巨人にはまだ4隻のファノサイス級が
残っている、だが其れもアトランテスノヴァの
敵ではない今・・巨人に従い戦う理由はない
ガルスグレーサー艦隊は心の中で礼砲を打ち鳴らし
アトランテスノヴァを応援したいのが本音だった
彼等の複雑な感情は涙となって伝わってくる
無言の侭、誰からともなく銀河の英雄戦艦に向かい
敬礼が始まる
もうアトランテスノヴァは
銀河だけの希望ではない
ガルスグレーサー民族にとっても
大いなる希望なのだ。
そしてもう一つ大きな流れが
ガルスグレーサー帝国から
大船団となって銀河に向かっていく
其れはガルスグレーサーから脱出してくる
避難民の宇宙船の群だ
銀河連邦艦隊もガルスグレーサー艦隊も
この船団には一切手出ししない
銀河はガルスグレーサー難民を全て
受け入れる方針であり
ガルスグレーサー艦隊も王命により
船団には不可侵を徹底されている
アトランテスノヴァから見る其の光景はまるで
銀河に逃れていく小さな星の煌めきに見えた
其の流れを見つめている内に
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空間の歪みを感じ
アトランテスノヴァのクルー達の意識は
再びあの感覚の中に吸い込まれていく
<此は・・脳粒子次元世界だ>
<また来たのか>
誠矢と春吉はいち早くこの状況に対応した
恐らくアトランテスとムーの接触で
このような事態も起こり得ると予測していた
と言うことは近くにムー王家の血統を継ぐ
何者かが居るのだ
<そろそろこの空間の{感覚}にも
馴れて来たな・・>誠矢の次に響が順応した
操縦者としての感覚がこの異常事態にも
いち早く対応させたのだろう
続けてジョン・スミスも順応し真耶とイザベルも
そして鋼欄も入り込む
<此処が話に聞く脳粒子次元・・>
少しして、誰かが近づいてくる
ジョンはギルザート18世の時を思い出し
警戒するが<ジョン・・貴方なの?>
近くで自分の名を呼ぶ声が聞こえる
この時ジョンの耳に意外な声が飛び込んできた
<そ・・其の声は・・アリーヌか?>
<そうよジョン私よ、会いたかったわ>
互いに姿を見るなり駆け出す二人
脳粒子波世界では声だけではなく姿まで反映され
互いに近づき包容することさえ可能となる
※(リスクとして此処で負った怪我はそのまま
本体にダメージとして再現されてしまう)
二人は抱き合ったまま
暫くそのままでいた
其処に至る経緯を聞いたのは
少し後になってからだ
アリーヌはまず最初に{アストラ}と呼ばれる
生きる伝説の英雄、大城誠矢に挨拶した
<ガルスグレーサー平和共存勢力代表の
アリーヌ・ロイ・シュライザです>
<初めましてアリーヌ代表
銀河の盾アストラです>
<アリーヌ殿下自ら避難民船団護衛の
責任者になってらして驚きました>
<ガルスグレーサー民族を導くのが私の
使命だと思っての事です>
<危険を省みず勇敢な方だ>
<では此から我々がする事は・・許せませんか?>
アリーヌは静かに首を横に振り
<銀河にガルスグレーサー民族の救いを求める
私の立場としては・・そんな身勝手な発言は
許されません・・其れが私の気持ちです>
『この女性は自分の種族よりも小人奴隷として
虐げられてきた民族の未来を選んだ』
アリーヌ・ロイ・シュライザのリーダーとしての
覚悟と姿に大城誠矢は少なからず感銘を受ける
『素晴らしい指導者だ』
誠矢はジョンを見て
<ジョン隊員、暫く通信機は故障している事にしろ>
こんな状況で何をと一瞬思い
ジョンは誠矢の心使いに気が付く
<大城艦長、有り難う御座います>
<5分だけだぞ>
脳粒子波空間でも時間の流れは現実空間と同じだ
其れほど長くこの場に止まる訳にいかない
<ジョンやっと会えたのね>
<そうだ、もう誰も僕達を咎める者はいない
此からは大手を振って何時でも逢えるんだ>
其れを聞いたアリーヌは今だけ恋する乙女の
表情になった。
其の様子を誠矢達は静かに見守っている
併し5分と言う時間は一瞬の内に通り過ぎてしまい
アリーヌは手を振りながら
<今度は地球で、貴方の故郷で逢いましょう>
ジョンも振り向き手を振りながら
<ああ、約束だ!>
恋人達の道は例え此処で別れても
必ず又同じ道を歩む運命だった
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★付箋文★
天体級大円盤転移まで後り38時間
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銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ
(第一作戦会議室)
「天体級大円盤の時空間転移の約1時間前に
神の秒針を発動すると警告しましょう」
それは春吉進一郎の発言だった
誠矢の精神的な負担を少しでも軽減したい
彼らしくないこの発言にはそんな
意図が隠されている
その気遣いに誠矢が気付かない筈もなく
大きな作戦には其れなりの綿密な準備が必要な事も
解っている、其れでも
「否・・もっと積極的に行こうと思う」
こうした時、大城誠矢の判断は揺るぎない
「此処から神の秒針を出し、天体級大円盤に
そのまま接近する」
場が凍り付いた
此は刀を鞘から抜いて敵の本陣に迫る
脅しとも取れる威嚇行為である
「其れくらい此方の本気を見せ危機感を煽れば
巨人族も{揺り駕籠}から巣立つ決断が出来る筈だ」
目の前に全長5光年の神の秒針に
迫られれば、その恐怖は巨人族の氷固まった
意固地な心を溶かすと言う誠矢の言葉だが・・
天体級大円盤内部の内状は宰相リンクスに
完全に情報封鎖されていた
誇り高い巨人族の{おぞましい}今の姿を
見せたくないと思うのは自然な事だろう
そんな事態を知る由もない大城誠矢は
アトランテスノヴァの{神の秒針}を
発動させた「セコンドハンド発動!!」
巨大な何かがアトランテスノヴァを覆い隠し
「ベルテリオン粒子反応発生」
銀河中心部に蒼い魔導気を凝縮して
黄金の魔導気にして送り、星雲時計に
神の秒針を{寄越す様に}誠矢が命じると
契約主の命に応えてベルテリオン粒子が呼応し
アトランテスノヴァに圧縮された
{神の秒針}が召還される
其れはまるでアトランテスノヴァを
包み込むように一瞬にしてこの宇宙に
出現したかに見えた、其の全長5光年
「これ程巨大な物体が自在に操れるとは
人類科学の範疇を遙かに超えている」
春吉{科学班長}のこの感想が殆どの科学者が
神の秒針に同様に抱く感想だろう・・そして
2千年間も此の状態が継続すると言う
その事実が恐ろしい
この秒針はブラックホール6個分の
クエーサーをベルテリオン粒子で凝縮し
形成された言わば破壊エネルギーの権化であり
的がどんなに巨大で頑丈であろうとも
接触すれば全てを消し飛ばしてしまう
而も其れが永続して存在すると言う究極の無体
一体誰がこんな途方もない力に抗い耐えられると
言うのだろうか?
最早この宇宙のどの様な物理的な力も
神の秒針の前では無意味となった
この神の秒針がアトランテスノヴァの
推進力だけで徐々に前に進んでいく
重さが推定出来ないので
アトランテスノヴァの力の源元となる
神風型宇宙駆逐艦ハヤテの出力限界が
8億トンで其れに近い重さがあるのは確実だ
{星雲時計全体の重さ}は推定する事さえ
困難だが・・秒針だけで其れ程の重量があるのだ。
「重さがある神の秒針は
光線ではなくやはり物体として存在する」
春吉{科学班長}は光が物質化するには
ベルテリオンが必要で、原料が光であるため
神の粒子は万物を創造しえたと推測した
恐らく旧支配者(オールドルーラー)は
この神の粒子でDNA其れ自体を0から造り・・
「巨人族を無から宇宙に生み出した
まさしく神をも恐れぬ暴挙だな」
同じ様に全宇宙規模で
こうして生み出された種族が
数多くいる事も推測できた
そして巨人族は自らの創造主である
旧支配者を滅ぼし
遂に星雲時計まで{創造}した挙げ句
今度はガルスグレーサーの巨人族が結果として
自らが生み出した星雲時計の一部である
{神の秒針}により滅亡の道を辿る・・此は
人が身の丈に合わない科学を欲した先にある
人類種の未来を暗示(警告)している
「此が負の連鎖か」
春吉科学班長はベルテリオンを
手にした人類が巨人族と同じ誤った道を
歩むのではないかと危惧するが、
今はこの力で巨人族の過ちを正さねばならない
それが過ぎた暴力と知った上でだ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
神の秒針の観測は銀河からでも
容易に観測可能だ
其れ程に巨大で強力な光を発していた
否・・厳密に言えば100万光年位なら
余裕で鮮明に観測できる異常現象だった
この光景を恐らく大勢の生命体が目撃して
様々な思惑(畏怖・恐怖・嫉妬・絶望)
等々を抱かせた事は間違いない
何れにせよ宇宙中に激震が起こった
此が銀河にとって天恵となるか災をもたらすか
其れは後の歴史家が語る事だ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
商業惑星ウラジーノ
(元)太陽系攻撃隊司令ヘル・ターナー
(現)ターナーシンジゲート・ボス
{復讐の心臓・リベンジハート}
ガルスグレーサーで
巨大な権力を得ようとした野心家、
だが英雄アストラの存在が
この男を思いもしない形で覚醒させ
銀河内に闇の帝国・ターナーシンジゲートを
創設させてしまう。
ギルザート18世戦争集結宣言文
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
我が親愛なる国民達よ・・長きに渡り
大宇宙を共に旅をした多くの親民達よ・・
余はギルザート18世
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
此より最後の命令を伝える
1つ
巨人から小人化する法的な制限を
今より全て撤廃する
2つ
銀河への移住に関しても望む者は
自由に私財を携え行くことを許そう
※3つ
ヘルターナーにガルスグレーサー大使として
将軍クラスの権限と地位を与える
4つ
銀河に対し最大限の謝罪と戦争被害の賠償を
保証し、同様に侵略により被害を被った
多くの惑星にも保証を約束する
5つ
銀河連邦ユニオンと終戦協定を結ぶ事を許す
6
銀河と和睦しガルスグレーサーは
永久中立の立場を取り
理由の如何を問わず此を破ってはならない
以上が ギルザート18世の終戦宣言である
━━━━━━━━━━━━━
今やヘルターナーはガルスグレーサー軍の
単なる脱走兵の身分から将軍クラスの地位を獲得し
ガルスグレーサー大使として認められていた
「あの光の針が・・アトランテスノヴァの
神の秒針と言う奴か・・」
ヘルターナーはターナーシンジゲート保有の
本部ビルで、その天体ショーを見ていた
「凄いなこの距離で肉眼ではっきり見えるとは・・
一体どれ程強大なエネルギーなんだ」
『ガルスグレーサー軍では色々あった
だが・・此で巨人族の命運は完全に潰える
此は予感ではない、確信だ』
ヘルターナーには肝心要の戦いにおいて
神懸かり的な感が冴える
彼の感が告げるのだ天体級大円盤が
破壊される未来を。
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地球の日本エリア
{坂巻本家屋敷}
日本家屋の縁側に和服姿で
三日月が見える夜空を見上げるのは
髪をバッサリ肩まで切った坂巻景子だった
坂巻の遺影を持ち神の秒針を見つめる
天体級大円盤転移まで後り35時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
全長5光年の神の秒針
アトランテスノヴァは毎時2万キロmの
猛スピードで天体級大円盤の元に向かう
此処から徐々に加速していき最終的には
ワープ速度に達し100万光年を飛び越え
24時間で天体級大円盤破壊範囲に到達する
此処だけの話になるが大城誠矢は
既に運命の天秤が決して傾かないよう
ある仕掛けをしていた
大城真耶は其れを聞いて反対した
「誠矢兄さん・・其れって何かあった時
取り返しが付かなくなるからやめた方が良いわ」
だが大城誠矢は引かなかった
「俺も人間だ・・だから今の決断を
迷わず押し通すには此しかない」
誠矢のやろうとしている事、其れは
ガルスグレーサー天体級大円盤の破壊プロセスを
プログラムで自動的に行う事だった
全てをプログラムで実行すれば
未来が確定してしまう事となる
だがこの決断は決意表明ではあるが
此と似たようなことをしている
ある特定の人物がいた
其れは他ならぬギルザート18世だ
天体級大円盤の{時空間転移}を
取り消しの出来ない時限式にしたのと
理屈は同じだ、決意表明とは
自分の下した決定を後戻り出来なくする
縛りとも言えたのだ。
『誠矢兄さんは変わってしまった・・此処に
坂巻さんが居ればこんなやり方・・
絶対に止めてくれたのに・・私の言葉じゃもう・・
誠矢兄さんは止まってくれない』
坂巻が指摘した通り今の大城誠矢と
ギルザート18世の思考パターンは
良く似ている
即断即決を絵に描いたような
国民にとっては最高の{善の独裁者}
其れが二人の大きな共通点だった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
話は少し前に戻る
地球から緊急発進した宇宙船団があった
其の船団は銀河の外を目指し
何を思ってかガルスグレーサーの
天体級大円盤ムーに連絡を取る
(地球は{憲法9条に従い}
銀河外宇宙航行を想定して
宇宙船を設計しておらず
グレートウオールの磁場を無視して
リープすると核エンジンに
深刻なダメージを負う(最悪片道切符となる)
{同じく}太陽系から
{其の船団}を少し遅れて追って来たのが・・
神風型ハヤテF(偽装艦)艦長室にて
「グレートウオール磁場対策無しに無茶をするな」
勝艦長がその親しい友人にそう注意する
「いや・・私だってそんな事は十分承知の上だ
だが・・奴等が・・」
宇宙戦艦{雷光}の陣代艦長が故障した自分の
艦を見ながら頬杖をつき
「地球から航宇宙法を一切無視し飛び出した
あのバカ者共を追って・・まさか銀河系外に
飛び出すとは思わずにな」
勝艦長は陣代艦長に「奴等とは?」と聞くと
「あの船団には君も良く知っている
ある人物が乗っていたんだ」
「私でも知っているだって?」
「民意党総裁、新米{前}総理大臣だ」
「何だって!?」
思い掛けない名前だった
「どうしてそんな大物がわざわざ地球から」
陣代艦長は此処だけの話・・として
「どうやら前総理は秘書の古史と言う男に
唆されアトランテスノヴァの妨害目的に
担ぎ出された様だ・・全く申し訳ない」
勝艦長は苦笑いで
「私に謝られても仕方ない話だな・・
アトランテスノヴァのキャプテンアストラに
直接面識もないし」
其れを聞き陣代はイヤイヤイヤと首を振り
「アトランテスノヴァが
シルバーソーサーを名乗っていた頃から
ハヤテのサポートをしてくれていた仲だろ?
其れが面識がないって話はない」
「噂ではアトランテスノヴァが
ハヤテに化けていた何て話も聞いてるぞ」
だが勝艦長は
「一方的に助けられていただけだ・・
地球の一政治家が行ったところで
相手にもされんだろうって」
陣代は勝の話を聞き安堵の溜息を付いた
「何だそうだったのか・・それじゃあ
新米前総理のやろうとしている事は
全く無意味な訳だ」
勝はニヤリと笑い
「まあ、そうなるだろうな・・」
そう言って肩を竦めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
推定8億トンの重さで全長5光年と言う
人智を超えた神の秒針を運ぶ
アトランテスノヴァを先回りし
待ちかまえていたのは・・
その存在をアトランテスノヴァの
レーダーを担当する{新メンバー}鋼隊員が
いち早く気付き、キャプテンであるアストラに
報告した━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アトランテスノヴァの第一ブリッジの色は
白金を基本としたベースに、黒と銀色そして
黄金色のアトランテスデザインで
彩られとても地球の舟には見えない
鋼隊員もアトランテスデザインの衣装で
正体を隠し名前も(セクメト)と名を変え
アトランテスノヴァの闘士として活動する
其の際、大城誠矢は全乗組員に対し
アトランテスノヴァに乗る間は
自分達は銀河の盾の闘士であり
地球との関係を一切捨てる宣誓を立てさせた
自分達の現在の身分は悪まで
銀河の盾アトランテスノヴァの闘士であり
それ以上でも以下でもない。
そんな闘士セクメトがキャプテンアストラに
少し驚きの声で報告する
誠矢は心の中で宰相リンクスがファノ艦隊で
待ちかまえているという報告だと確信していたが
欄の報告は違う意味で驚く物だった
「前方に非武装の宇宙船多数発見、地球の
識別反応あり」
地球の船?また何故こんな場所に
「間違いじゃないのか?何で地球の船が?」
「其れも非武装の民間船がグレートウオールの
電磁場を突破して来るなんて不可能だ」
響(セット)と春吉(トト)が
続けて反応する
「落ち着け、航路を空けるように呼び掛けろ」
誠矢(アストラ)がそう命じると
ジョン(アヌビス)が通信を送る
<当方の進路を邪魔する不審船団に警告する
直ちに進路を空けろ此は命令だ>
すると、其の船団は返信してくる所か
いきなり地球の国旗を立てて放送を始めた
<此方地球より平和を訴える目的で来た
使節団である>
<私は地球首相を務める民意党党首
新米総理大臣です>
<あなた方{銀河の盾}の暴挙に対し
地球代表として猛烈に抗議いたします、直ちに停止し
我々との話し合いに応じて頂くよう要請する>
アトランテスノヴァのブリッジでは
少なからず混乱した
「おいあの馬鹿・・いきなり何を言ってるんだ?」
不適切発言が思わず声に出るほど
誠矢キャプテン(アストラ)も困惑する
ジョン(アネビス)が肩を竦めて
「確かに正気じゃないな・・大体
新米と言えばこの前失脚した男だろ?」
響(セット)も頭を掻きながら
「其れが今更何しに来たんだ?」
真耶(アイシス)が慌てた様子で
「大変!!あの人達に教えて上げないと
アトランテスノヴァはもう自力で止まれないって」
!!
「そうだった」と
誠矢達がその事に気が付いたのは
真耶(アイシス)の一言でだった
今現在アトランテスノヴァは
全自動破壊プログラムで
天体級大円盤(破壊目標)の元に
向かっていると言う事実を。
天体級大円盤転移まで後り30時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この時より遡る事{3日前}
地球の日本民意党党本部ビル
「一体どうしたら良いんだ」
民意党党首の新米は追い詰められていた
選挙戦で大敗した責任を追及され
総理の座から失脚したばかりか
今度は民意党内部からの突き上げを食らい
党首の座さえ失おうとしていた
「大丈夫ですよ新米先生」
其の声で我に返る新米の目に
第一秘書の古史暉が映る
「どう言うことなのかね?古史暉君」
そう言いながら新米は秘書の胸倉を鷲掴みにした
「君の言う通りにしたら支持率が上がるところか
私は巨人族に味方する裏切り者扱いされてこの有様だ
一体どうしてくれるんだ!?」
政治理念など皆無のこの男が
政治活動の方針を秘書に丸投げした挙げ句
それが上手く行かなければ責任を押しつける
『この男には元々政治家等、到底無理なのだ』
「大丈夫です先生にはまだ盤石な政治基盤である
巨神教(ムーの末裔)の信者300万人が
付いております此処から挽回するのです」
「そうだな・・確かにそうだ・・然し・・
どうしたら一度失った国民の指示を取り戻せる」
其の秘書の目はその時蛇の如く陰湿に
そして獲物を絡め取るように慎重且つ狡猾な光を灯す
「良いですか先生・・今宇宙では
アトランテスノヴァが天体級大円盤を
破壊しようと向かっています」
其れは地球でも今一番の関心事と成っている
ニュースで取り上げられない日は一日もない程だ
「勿論知って居るとも其れがどうした?」
其の発言に待っていましたとばかりに
古史がグググと新米に顔を競り寄せ
「先生がその蛮行を止めて見せるのです・・
其れが政権トップに帰り着く最良の
方法だと思いませんか?」
何を言っているんだこの秘書は?
だが既に精神を薬で蝕まれている
新米議員には其れが魅力的な提案に
聞こえて来る
其れに宇宙船に乗る多くの支持者達も
自分の事を期待を込めた眼差しで
見てくるので此は本当に効果の有る
活動なのではと思えてしまうのだ
「だ・・だが無理だ・アトランテスノヴァとは
一切の政治団体の圧力を受けない完全独立の
特殊部隊だ・・アレこそ説得に耳を貸さない
究極の暴力装置だと新聞で読んだぞ」
実に適切な評価である、だが秘書はもう一つの
新聞を取りだし
「ですが先生・・銀河の盾には
実は地球も加盟して居るのを御存知でしょう
其れも最有力な3ヶ国の筆頭ですよ」
其れは事実だ、地球は銀河の盾の
創設期に深く関わる惑星国家だ
「ですから地球の総理大臣自らが目の前に
立ち塞がれば・・停止せざるを得なくなる
其処が狙い目なのです」
秘書は更に新米の耳にネットリとした声で
「平和を唱え身を挺して止める
先生の勇敢なお姿に共感し反戦を願う地球国民の
指示は再び先生に戻るのは間違い御座いません」
新米は秘書に言われるがまま巨人教信者
(支持者)等と共に宇宙船に乗り
宇宙に飛び立ったのだった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<其処の宇宙船舶に警告する君達は許可無く
他の宇宙船の航路を妨害しています
直ちに地球に引き返し指定された宇宙港に
着陸しなさい>
だが教会の宇宙船団はそれらの警告を
悉く無視し銀河外に向かってリープした
防衛軍は船団の船に乗っているのが
{前}総理だと解ると宇宙巡洋艦・
雷光を派遣し捕獲しようとしたのだ、だが
グレートウオールの{電磁場}の影響で
雷光はエンジンが故障し追跡を断念した、
そしてハヤテFの救援で難を逃れた
そのまま抗議船団はリープで
ノヴァを先回りし今に至る訳である
天体級大円盤転移まで後り28時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アトランテスノヴァから再三に渡る警告が発せられる
<現在本艦は全自動攻撃プログラムで航行しており
手動で操作できない状態である>
神の秒針全長5光年の切っ先が
徐々に前方を塞ぐ抗議船団の宇宙船に接近していく
<現在本艦は慣性の法則で時間経過に伴い徐々に
航行速度を増しており其方の無謀な行動は
大変危険である!!直ちに待避しなさい!!>
ジョン(アヌビス)は語気を強めた
其れでも抗議船団は退こうとしない
『この頑固者共め止まらんと言ってるのに
死にたいのか!?』
<尚・・待避しない場合どの様なことが起ころうとも
当方は一切責任を持たないから覚悟してくれ>
此を聞き流石の抗議船団も同様を見せる
「おい本当に止まるのか?」
新米は恐怖で全身が震えている
最初は強気だった秘書も顔を徐々に曇らせ
そうしてどんどん危険な状況に成ってくる
「全自動で動いて止まれないと言ってるぞ」
「まさか・・非武装の抗議団体の船を・・
攻撃する訳が・・」
国際条約上・・そんな暴挙は許されないが・・
軍事行動中にミサイルの前に飛び出した
抗議団体の船が撃沈されたとして、一体誰が
咎められると言うのだろうか?
無謀で無責任な行動を避難されるのが
良い所だ、そして今が正にその状況だった
「おい!早く逃げろアレは張ったりじゃない
止まる気ならもうとっくに止まっている!!」
だが秘書の古史には絶対に退けない理由がある
其れは秘密通信でガルスグレーサーから
アトランテスノヴァの進行を妨害し
足止めに成功すれば巨人としての地位を
特例で約束すると言う物だった
彼等ムーの末裔にとってそれは
願ってもない神の末席に加えられる
最高の名誉である、絶対に退くことは出来ない
そして何を思ったか秘書の古史は
銃で船のコントローラーを撃ち抜いてしまった
「何いいいい~狂ったか貴様ぁあああ」
新米は古史に掴み掛かって行くが
その胸を銃で撃ち抜かれ即死する
「私が神になるチャンスを
邪魔しないで頂たい・・・先生」
「何だって・・」新米の顔が引き吊る
そして船団から放送が流れ出す
{10万光年先にも届く超高次元電波}
此だけでも、この船団が地球の技術ではなく
他惑星の技術で造られた船だと解る
<アトランテスノヴァに救助を求む
当方の船一隻がトラブルにより故障した
宇宙航海法に則り人命を第一とし
軍事行動を一時中断し救助を願います>
此の返答は迷いがなかった
ジョン(アネビス)は冷静に
<全自動攻撃プログラム中のアトランテスノヴァは
神の秒針から動けず救助活動は不可能である
申し訳ないが君達だけで何とか人命救助をして
其処から待避して貰いたい>
此も事実だ・・計らずして
キャプテン大城誠矢(アストラ)が下した
判断が如何なる妨害工作も完全に不可能に
してしまっていた
『こうなる事を予測して誠矢君は
全自動化にしたのか・・凄いな』
春吉(トト)は誠矢の先読みの予見力に感心する
聞いた時はアトランテスノヴァの反撃能力まで
制限する行為だと反対したが
『神の秒針に入ってしまえば外界から
アトランテスノヴァを破壊する事は絶対に出来ない』
と言う誠矢君の一言で決定した
彼はもう一介の隊員の枠を超えキャプテンとして
覚醒している、非公式乍アトランテスノヴァの
キャプテンは間違いなく大城誠矢だ。
「まあ其れより{トト先生}、脳粒子波であの船団の
リーダーの乗る船に今すぐ行ってみましょう
多分面白い物が拝めますよ」
「其れはどう言う・・」どうやら何かの超感覚が
目覚めたのかキャプテン・アストラの{感}は
何かの事件を感じ取っているかの様だ
『段々得体の知れない存在に成っていくな
この若者は・・』春吉は身震いしながら
大城誠矢という若き天才を見た。
天体級大円盤転移まで後り26時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
神の秒針は徐々に加速を始める
全長5光年の物体が与える重圧は
抗議船団と言えども恐れ怯ませるには
十分すぎる迫力だった
<い・・良いのか?民間人の・・其れも
平和を訴える非武装の船を、このまま無慈悲に
攻撃しても・・其れが銀河の盾の正体なんだな!?>
アトランテスノヴァのブリッジでは
キャプテン・アストラが半眼で{敵}を
睨み据えていた
ベルテリオンの力で全宇宙に通信が届くよう
力を制御し誠矢は敵の正体を暴き出す
<いい加減下手な猿芝居はやめろムーの末裔共
貴様等がガルスグレーサーの巨人を神と崇める
狂信者であることは解っているぞ>
いきなり核心を突かれた古史は同様し
心の声を思わず漏らしていた
『どうしてその事を知っている・・
一体こいつは何者なんだ?』
「バカな何を証拠に言っている!?」
キャプテン・アストラは船団に掌を翳し
脳粒子波で捉えその心の声を通信で放送する
<俺は銀河の盾代表アストラだ
貴様等悪党共の悪夢となる存在だ!>
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
その頃・地球では少々の騒動が起きていた
以前からガルスグレーサーとの反戦運動を扇動し
人心を惑わす巨神教と言う信仰団体のアジトを
{破防法}を盾に特殊軍警察隊が強行捜査した
特捜隊・鬼瓦隊長が礼状を読み上げる
{巨神教団に告ぐ直ちに武装解除し投降に
応じるよう命じる、これは強制代執行である
抵抗する場合我々には武力を行使する権利が
認められる}
この強制代執行はムーの末裔でさえ
全く情報が掴めないほど緊急で決まった
つまり総理から法務大臣に直で命令が
下されたのだ
何しろ相手は狂信者のスパイ集団
出し抜くには早さが何より重要だからである。
スパイ防止法と破防法、其のコンボで
強制代執行がわずか数時間で決まり
教団に突入する準備を数日掛けて用意していた
特捜の本気が見えてくる
この突入にはマスコミにも報道を政府が依頼し
全地球的に緊急放送が展開された
そして強制捜査でガルスグレーサーとの密約の
動かぬ証拠を押収しその日の内に巨神教団は
巨人を崇める狂信的なテロ集団である事が
暴露された━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<地球では面白い事が起きている
其方でもそろそろ連絡が来るんじゃないかな?>
其の声が艦内の、其れも自分が今いるブリッジ内で
聞こえたとき古史の後方に突然アストラが姿を現した
「貴様はアストラ、一体何処から!?」
転送なら転送サインと言う現象が
実体化の際に現れる筈、なのに粒子現象の
光もなくこの男は現れた
では転移かというと転移用のゲートが現れ
此も事前に察知が出来る筈だ
古史がそんな疑問に囚われていると
女の悲鳴が上がった
<きゃあああ>
其の悲鳴を上げたのは
アストラの横にいた戦士アイシスだった
<大丈夫かアイシスどうした?>
<兄さんあれ・・>
震えるアイシスを抱きしめたアストラは
彼女が指さす方向にある新米(元)首相の死体と
拳銃を握っている秘書の姿を目撃する
<まさか撃ち殺したのか?・・無茶苦茶だな、
狂信者のやる事は>
古史は稚拙な言い訳を始めた
「ち・・違う此は違うんだ!!」
アストラは呆れて
<なにが違う・・こんな明からさまな事を
しておいて今更言い訳とは見苦しいぞ>
その言葉を聞いた瞬間、古史は
アストラに向かって銃を発砲した
だが、銃弾はアストラの体をすり抜け
宇宙船の壁に当たった
『実体じゃない』
アストラが悠然と前に進み出ると
其の周りにアトランテスノヴァの闘士達が
姿を現す、全員黒のロングコートを纏った
勇敢な闘士が勢揃いである
<驚いたか・・此は脳粒子波通信という方法で
脳波チャンネルを繋ぎ貴様の脳に直接見せている・・
オマケに今はU星人のテクノロジーで
此処で起こる全ての映像まで録画可能なんだぜ>
<何だとぉお>
此が何を意味するのか馬鹿でも解る
自分が新米を殺した動かぬ証拠を
敵に提供してしまったのだ
「き・・貴様卑怯だぞ・・」
確かに新米を殺したのは早計だったが
其れをこんな形で押さえられてしまえば
もうお終いだ
「う・・嘘だ!幾ら何でもそんな事が
出来る訳がない」
<出来るさ、其の証拠にギルザート18世が巻き
起こした星雲時計の企みはU星人の
脳粒子波技術で暴き出されたんだからな>
そう、もう既にU星人のこうした技術は
銀河連邦条約で第一級証拠物として
承認されているのだ。
<お前達狂信者を追い詰めるのに此以上の
証拠はないよな既に今の映像をU星人に送った
もう言い逃れは出来ないぞ>
古史は悔しげな表情でアストラを睨み
「こ・・この悪魔め」
<カルト野郎に悪魔扱いされるとは照れるな>
其れを聞いた周りのノヴァ闘士団がクスリと笑う
<もうお前達は間違っても巨神教の殉教者にも
成れない只のテロ集団だが、このまま最後まで
退くなよ・・せめて巨神の為に命を張って
無駄死にして見せてくれ>
真耶は兄の余りの言葉に流石に其れは酷すぎると
言いたかったが響きが止める
「待て・・君の兄貴を信じろ」
真耶は頷きその言葉に思いとどまった
脳粒子波を解除し
古史を解放した誠矢達ノヴァの
闘士達の意識は5光年後方にある
アトランテスノヴァへと戻る
そして今や抗議船団という御題目を失った
テロ船団は慌てて動けない1隻から乗員を全て
移動させアトランテスノヴァの航路から
這々の体で逃げ出した。
その後残された宇宙船は神の秒針の切っ先に
ほんの少しで当たると思った瞬間
其こに最初から何も存在しなかった様に消滅する
メットを外し其の光景を見ながら
誠矢(アストラ)は
「死ぬ覚悟がないなら
最初から逃げればいいんだ」
そう言って明らかに安堵して見えた
真耶はそんな兄を見て響に
「本当、誠矢兄さんはあの人達が逃げやすいように
わざと酷い言い回しをしてたのね」
「そうさ、俺達のキャプテンはそんなに
非情な奴じゃないさ」
脳粒子波で意識を共有するブリッジ内で
そう言って互いの手を握り合う二人
銀河に向け逃げ出したテロ船団だったが
銀河連邦艦隊に敢え無く拿捕され地球の
宇宙戦艦雷光の陣代艦長に引き渡された
{彼等はテロ実行の重罪人として扱われ
地球に戻った後、公式な裁判を受ける
恐らく首謀者である古史は政治家を意図的に
殺害した罪で終身刑になる可能性が高い}
逮捕され連行される古史が報道のカメラにわざと
晒されU星人の底意地の悪さが心底笑える。
天体級大円盤転移まで後り24時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
遂に残り時間が丸一日と差し迫った・・
足止めにも成らなかったムーの末裔には
とうの昔に見切りを付け、宰相リンクスが
いよいよアトランテスノヴァの前に現れた
彼が率いるのはガルスグレーサー最強の
ファノ艦隊4隻、その4隻の内訳は
ファノクジャタ
魔導兵器・暗黒ガス星雲砲(現在・使用不可)
{ファノクジャタ伝説に語られし1節
異界より呼び出せし魔物の息は強毒気体
何千何万という魑魅魍魎も無垢な魂の子等も
皆等しく死の川を渡るという}
ファノアプス
魔導兵器・超重力砲(現在・使用不可)
{ファノアプス伝説には大軍に襲われた龍が
その軍勢の中心部に黒い穴を作りそれらを
全部飲み込ませたという1節がある}
ファノタウリ(リンクス艦)
魔導兵器・高次元振動砲(現在・使用不可)
{ファノタウリ伝説では大地の存在しない世界で
龍が地震を起こし全ての敵を葬り去ったと言う}
ファノシルト
魔導兵器・超精神汚染砲(現在・使用不可)
{ファノシルト伝説では龍が心卑しき悪鬼共の魂を
全て浄化し清浄に戻し無傷で神に献上したとある}
何れもファノサイスと同じく
星帝級巨人要塞戦艦である。
その内部は巨人が乗り込み使えるよう
全て巨人サイズに合わせ設計が成されている
この4隻にも巨人の脳を移植し船の意志となる
{ブレイントレーサーシステム}が有るが・・
肝心のギルザート血統の巨人脳が今はない
「アリーヌ様とエリーナ様は別として
他の下位の王族も全て{ル・リオン}の
策略により暗殺されてしまっている」
「万死に値する行為だが・・奴はもう既に
ギルザート18世様によって粛正され
此以上罪を償わせる事は出来ない」
有る意味ル・リオンこそが
国家反逆の大罪人なのだが・・・
シン・ファノサイスのパーツとして
必要であったが為に今だに・・
奴の名誉は守られているのが
リンクスには歯痒かった
「今はあの様な者どうでも良い
問題はアトランテスノヴァだ!!」
神の秒針をいきなり展開し迫ってくるとは・・
流石に思いも寄らなかった「敵ながら
アストラという男は聞きしに勝る恐るべき将」
「だが・・・勝機はある・・」
リンクスがそう思うのは
神の秒針が破壊目標に到達するまで
身動きが取れないと言う事実・・其れは・・
「つまり此方からは攻撃し放題と言う事だ」
天体級大円盤転移まで後り23時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
ファノ艦隊旗艦にして星帝級巨人要塞戦艦
ファノタウリ
その作戦室で宰相リンクスは4人の巨人達を
{急遽}将軍職に格上げした
護衛隊長ビルドと
軍務大臣のアープ、其れに加え
唯一軍人で大佐のビッグそして
元・科学省長官シューター
その彼等に立案した作戦を伝えるリンクス宰相が
神の秒針の全体図をビデオパネルに映し出し
その弱点を講釈する
「内部温度は計測で5000万℃を維持し
超密度な光粒子で物質形成されている
その光粒子は恐らくベルテリオン」
秒針長さ5光年で厚み0,005光年
秒針駆動軸部がアトランテスノヴァの所在だ
リンクスが示した箇所に蒼い光点が灯り
宇宙船の形になる(秒針根本)
「光点を中心に惑星攻撃用熱衝撃弾頭を
今ある100発全弾を撃ち込む」
4人の将軍から感嘆の声が上がる
「流石はリンクス様です」
「確かに闇雲に攻撃してもあの大きさでは
効果が期待できませんからな」
「アトランテスノヴァだけを集中し狙えば
あの神の秒針内とて無傷では済みますまい」
皆が意気揚々とアトランテスノヴァを
葬り去る策を論じている時に
元科学省長官だったシューターは
怖ず怖ずと手を挙げた
「此は素朴な疑問なのですが・・・
アトランテスノヴァが身動きが取れないので有れば
直接ファノ艦隊で銀河を攻撃すれば宜しいのでは
ないのでしょうか?」
シューターは神の秒針を横目に見つつ
『アレはどう考えても破壊不可能・・』
5000万℃のエネルギーを閉じこめた容器を
壊せる筈がないし・・もし其れを壊せたとして
その壊滅的なエネルギーが溢れ出せば
周辺にいる我等も巻き込まれ只では済まない
其れが彼の見解だった
そんな事が解らないリンクスでもあるまいし
シューターはリンクスほどの男を無駄死にさせては
国家の一大事だと思っての発言である。
其れは解る・・だがリンクスは
「シューカー将軍の意見は正しい」
シューターは一瞬喜びの表情になるが
リンクスの苦悶に満ちた顔に言葉を失った
「だが其れは出来ない」
将軍の顔にエと言う文字が浮かぶ
「そ・・そんな何故です!?」
其の疑問にリンクスは答える
「銀河に対し我々は平和条約を結んだ
其れもギルザート18世様の御名でだ」
その通りである、此処でシューターの
意見通りの行動などとれば
ギルザート18世まで裏切る事に成るのだ
「そうだぞシューター、恥知らずだぞ其れは!」
「貴殿に巨人の誇りはないのか?」
「ギルザート18世様の御名を辱めるなど
有っては成らない事だ」
シューターとて此が非道な行いである事は
重々解っている、だがこのままでは
リンクスを犬死にさせる事に成りかねない
「私にだって・・巨人の誇りはある・・
だが・・黄金の頭脳をこんな事で失う位なら
卑怯の誹りを受けてでも進言せずにはおられぬ」
シューターの涙ながらの訴えに
他の3将軍は黙り込み一人一人が本音を言い出した
「私もシューター殿の御気持ちは解ります
ですが・・此が最後ならば余計に
死に際に醜態を晒す様な真似はしたくない」
「一度交わした約定を違えるなど・・其れこそ
巨人族の名折れ」
「やはり我々巨人族は王道を進むべきだ」
「ル・リオンの如き邪道は歩むべきでない」
ル・リオンとゲーレッツの二人の名は
崇高な巨人族の名を汚す汚名として
後世に伝わるだろう
『ル・リオンの様な卑怯下劣な手段は
かえってアトランテスノヴァの怒りを買うだけ
待っているのは苛烈な抱腹と拭いきれない
汚名ばかりだ』
「我々が今からやろうとしている事は
本土防衛であり領宙域を侵犯された我等には
防衛行動をとる権利がある、此は正当な行為だ」
将軍達は皆、リンクス宰相の力強い言葉に
共感を覚えた、其れにはシューター将軍も
納得せざるを得なかった。
「100発の惑星攻撃用熱衝撃弾頭は
我々にとっては虎の子である」
「まあ使い方次第では
面白い事に成るかも知れない」
リンクスはそう思わせ振りに言うと
神の秒針の立体映像を手で掬い上げて見せた
此が意味する所は
アトランテスノヴァが8億トンの推進力の
全てを使い神の秒針を徐々に加速させていく
天体級大円盤転移まで後り20時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
その前方に今度こそ
ガルスグレーサー本星を防衛する
4隻の星帝級巨人要塞戦艦が待ち構えていた
アトランテスノヴァの闘士達は気を引き締めた
「遂に出て来たか{黄金の狐}宰相リンクス」
リンクスは{巨大な神の秒針}を
睨み据えながら約5光年後方に存在する
アトランテスノヴァを捉えていた
今直ぐにでも飛んでいって猛攻を加えたい
衝動を抑え彼は必要な手順を踏む
<銀河の盾アトランテスノヴァに告ぐ
貴艦はガルスグレーサー領域を侵犯している
直ちに領域外に退去せよ>
<尚此を守られない場合当方は貴艦に敵対の
意志ありと判断しあらゆる軍事行動を行使する>
5光年後方のアトランテスノヴァにて
脳波粒子通信でリンクス達の思考を聞いていた
キャプテンアストラは
この{正当な作法に拘りを見せる}宰相リンクスに
何処かギルザート18世を想い起こす
『悪まで王道を進むか・・』
アストラは宰相リンクスに敬意を払い
マイクを手に取ると
<本艦は破壊目標である天体級大円盤に
全自動で向かっている途中で停止不可能な
状態だ此は脅しではない
巨人族は直ちに人間サイズに戻り
宇宙船で脱出するよう勧告する>
此は説得だ・・・
<銀河には人間サイズに戻った君達全てを
受け入れる準備がある>
此処まで敵に譲歩するのは
正直言って色々な意味でギリギリだが
無抵抗の一般市民を問答無用で
葬り去るのを銀河連邦も躊躇している
<巨人の諸君が人間サイズの世界に飛び込むのは
大変な勇気が必要だとは思う・・だが
何とか勇気ある決断をして欲しい
一人でも多くの命を救って戦いを終わらせよう>
此は飴(温情)と鞭(脅迫)を絶妙に使った
無条件降伏の勧告だったが、
リンクスはこの申し出を躊躇無く跳ね除けた
「有り難い申し出だが
丁重にお断りさせて頂こう」
そうリンクスは毅然とした態度で答える
誠矢(アストラ)は国家の命運が掛かった決断を
{まだやれる事があるうちには決められない}
と言う態度に対し無性に腹が立った
『国民の命が掛かっているのに
そんなこと言ってる場合か!!』
ファノ艦隊は5光年を短距離リープして
神の秒針の後方に出現する
目標を見定めたリンクスは直ぐに
神の秒針を映像に捉え分析を開始する
「やはりそうです」
神の秒針を分析し終え
シューター将軍が宰相リンクスに報告する
「神の秒針の構造体は多重構造と成っており
アトランテスノヴァの居る場所も壁によって
仕切られ熱エネルギーの影響を受けない仕組みです」
「そうか・・ファノギウスと同じく
中に入る檻を作り立て籠もる仕掛けか」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
No.5ファノギウス(撃沈×)
魔導兵器・超神域電磁砲
{ファノギウス伝説では龍が雷の檻を作り
その中に敵の星を閉じこめることで
無傷で星の果実を得たとある}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やはりアトランテスとムーの技術は
同じ旧支配者の科学が起点なために
何処か発想が似てくるのだな・・と
リンクスは道を違えども
アトランテスノヴァに親近感を感じる
「神の秒針の厚みも幅も同じく0,005光年あり
やはり破壊は困難としか言いようがありません」
「良いのだシューター博士・・いや将軍
破壊できなくても目的は違う所にある」
そう言うとリンクスは惑星攻撃用熱衝撃弾頭を
狙った場所に発射させ宇宙地雷の様に設置させる
「惑星攻撃用熱衝撃弾頭(以降・メギドの火)
順次起爆せよ!」
その命令を復唱し各ファノ艦隊は次々に
メギドの火を爆発させた
1発で惑星が消滅する威力を誇るメギドの火
其れが一度に40発も爆破されれば
例え太陽のような恒星でさえ跡形も残さず
砕け散る凄まじい威力になる
全長5光年の神の秒針であっても
その総重量は推定8億トンしかない事を
科学班が導き出していた
『あの巨大さで僅か8億トンとはな・・・
破壊出来なくてもやり用はあるという事だ』
神の秒針の端に当たる部分に
アトランテスノヴァがある
其処を集中的にメギドの火40発が
大爆発を起こすと
太陽にも匹敵する光球が発生し
其れと同時にリンクスの狙い通りの
爆発による衝撃波が発生した
その衝撃波が上にある神の秒針を
梃子の力で持ち上げる圧力が発生する
その梃子の力は推定すると
「メギドの火が目標の数値に到達しました!
推定圧力2000億×10乗」
「どうだ此は!!」リンクスが拳を握る
破壊出来なくても良いのだ
神の秒針の向かう方角さえ変える事が出来れば
だが・・びくともしない
神の秒針は持ち上がるどころか
そのまま何事も無いように真っ直ぐ
突き進んでいく
『何故だ?たった重量8億トンしかない筈だ
どうして持ち上がらない』
リンクスの疑問は最もだった
だが神の秒針の図を見てリンクスは
一つの考えを導き出す
『アレは・・時計の秒針だ・・星雲時計の
一部だと考えればアトランテスノヴァは
時計の中心軸に当たるという事になる・・』
天体級大円盤転移まで後り19時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
「そうか!!」
リンクスは次に神の秒針の前方に
全艦隊をリープさせた
「どうなされたのですかリンクス様」
慌てて移動した将軍達がそう訪ねると
「私は考え違いをしていた
秒針を動かすなら先の方を指で
動かす方が正しいのだ」
神の秒針は其れ単体に見えて実は
姿が見えぬ本体と連動している
その概念で見れば軸を攻撃しても意味がない
そう説明され4人の将軍達も納得する
「成る程・・確かに」
更にリンクスは
「勿体ないが・・今度は1発で
どの位動くか確かめたい」
シューターはリンクスが{勿体ない}と言ったのは
メギドの火の残数より残り時間の方だと理解する
「距離が遠いほど1度のズレで何万光年も
位置をズラせると言う事ですな」
他の将軍も成るほどと思い
だとすると一刻も早く行動を起こさなければ
成らないのだと理解し最速で行動を起こす
「1発を秒針の左に設置します」
ファノクジャタの(ビルド将軍)がそう報告を上げ
「上手いぞ、確かに時計の針は全部右回りだからな」
ファノアプスの(アープ将軍)が
ビルド将軍を評価し
ファノタウリの(ビック将軍)が(リンクス乗船)
「次弾を用意設置致します」とリンクスに報告
「君達の判断に任せる」リンクスは4将軍の連携が
上手く機能し出したと感じ任せる事にした
メギドファイヤーの一発が起爆して
思っていた通り神の秒針が僅かに
右に動いた様に見えた
『いける!』そう感じた将軍達は
各々連携してメギドファイヤーを設置し
次々に秒針の移動に合わせて爆発させ続けた
その威力でも動く角度は僅かばかり
其れでも最終的に神の秒針の進行方向を
実に10度も傾けたのである
その時メギドファイヤーの残弾数も
残り4発となっていた
「どうやら思った以上に効果があった様だな・・」
「この距離で10度°のズレは致命的でしょう」
「神の秒針恐れるに足らずか・・」
「所詮人の手で造られたもの・・
何かしら欠陥が有るという物よ」
だが・・リンクスは青ざめていた
「神の秒針の進行方向がずれない・・」
その言葉に一番に反応したのは
科学に精通したシューター将軍だ
敵の破壊目標とされるガルスグレーサー本星
天体球大円盤と現在の神の秒針の
立体的な宇宙地図を計算すると
恐るべき結果が出た
「神の秒針は傾きを無視し中心軸そのものの
進行方向は全く変わっていません」
シューター将軍は歯軋りして悔しがる
図を見れば一目瞭然で、神の秒針の
軸は真っ直ぐ破壊目標へと進んでいく
秒針を回しても無駄だったのだ・・
時計そのものが天体球大円盤にロックオン
された状態なのだから・・・
こんな事は宇宙図で確かめていれば
直ぐに解った筈なのに自分は
目の前に見える怪物だけに心を奪われ
大勢を見失っていた
{黄金の狐}知将リンクス様でさえも・・
心理的罠から逃れる事は出来なかった
此処でシューターはハタと気づいた
『本当か?本当にそうなのだろうか?
凡人の自分ならまだしも・・
天才のリンクス様がこんな致命的な
ミスを犯すだろうか?』
だがどう見ても
リンクス様も驚愕の表情をしている様に見える
{上手の手から水が漏れる}
でもあるまいし、やはり追い詰められて
冷静な判断を失った・・のであろうか?
シューター将軍は今のリンクスが置かれた
状況を思い出してみた
ドロシー・ロイ・シュライザ様が無惨な
死を迎え、その非道を起こしたのが
彼が愛する巨人の民達・・
狂戦士の呪いと名付けられた伝染病により
凶暴化した何百万もの怪物が星帝宮ばかりか
首都までも破壊し収拾がつかない状態
こんな異常事態ではリンクス様の天才が
鈍ったとしても・・誰も咎められない
だが何かが引っかかる、果たして私の如き凡人に
{この天才の考えを}理解出来るのか?
彼が思考の海に潜っている合間にも
神の秒針はその速度を更に加速していく
「神の秒針進行速度、間もなく光速に到達します」
「何だとぉ!?」
最初は時速20キロにも満たなかったが
毎時加速を続け{遂に}光の速さに到達
まだガルスグレーサー本星まで
60万光年以上もあるのにリープ速度に達し
数時間もあれば
神の秒針が本星を{攻撃範囲内}に捉えてしまう
こうして手を拱いている場合ではない
其れが解っていても、もう打てる手段がない
シューターはリンクス宰相を期待を込めた
眼差しで見つめる、他の将軍達や
将兵達も同様に見つめていた
『この御方ならば・・
何かやって下さるに違いない』
此までの実績と絶大な信頼が結集し
彼等の期待の根拠を形作っている
当然其れに応えられるからこその
宰相リンクスの天才である
「案ずるな諸君・我々にはまだ
天体級多重防衛鏡面黄金盾
(ペルセウスの盾)がある」
ペルセウスの盾の名を聞いた
将軍達が色めき立つ明らかにその目に
希望の光が灯った
{天体級大円盤ムーには数度に渡る
最大の危機が訪れた、その中でも
{ファノサイス不在時}ブラック星人に
ガルスグレーサー本星を強襲された際
敵生物が使用したのが今回と同じ
5000万℃に達した
超凝縮強化重力砲バスターテンペストである
此を防御したのは天体級大円盤
{防衛の要}ペルセウスの盾だ!!
何とそのペルセウスの盾は
超凝縮強化重力砲バスターテンペストを
凌ぎ切ったのだ、此は3千年前の伝説である
「5000万℃のエネルギー砲を防いだ実績は
伊達ではない」
リンクスの言葉に勇気付けられ4将軍等は
ペルセウスの盾をどう使うのかを
戦闘シュミレーションで学習する
4隻のファノクラス艦を四点に
(最低3点であっても機能する)
天体級大円盤からエネルギーが送られ
ペルセウスの盾を展開させる
そうすれば5000万℃の超高温障壁が発生し
神の秒針の進行を妨害出来る算段だ
「此は正に神の秒針と同じ構造です」
シューター将軍の自信に満ち溢れた説明に
他の将軍達も希望に胸踊らせる
だがリンクスだけは悪まで冷静な態度だった
天体級大円盤転移まで後り17時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
4隻のファノはそれぞれの配置に付いた
此で天体級大円盤ムーから起動命令が届けば
旧支配者の造りし2万年間無敵の
防衛システムが目覚める
「其れでは此よりペルセウスシールドを起動する」
天体級大円盤からプログラムが発信され
40万光年付近で神の秒針を待ち構える
4隻のファノに太古の力が溢れ出す
船体に紅い魔導の光が走り、その紅い光が
長方形の箱状に1万光年の距離で停止した
4隻を起点にして展開され
更にはその四点の
エネルギーフィールドに
天体級大円盤から超高温のエネルギーが
凝縮されながら蓄積されていく
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★付箋文★
アトランテスノヴァのブリッジ内でも
この事は確認されていた
「見ろよアレを、まるで神の秒針の盾版みたいだ」
自動操縦でやることのない響(セット)が
驚いてみせる
其れに対し春吉博士(トト)は
「無駄な事を」と一言だけ呟き
立体映像で神の秒針とペルセウスシールドを
映し出すと
「10度に傾斜した秒針をこうして斜め角度に
盾で受けても其れで止まるわけではない」
響(セット)は両腕を組みながら
「じゃあ元の位置に戻るとか?」
「相手の力と拮抗したらその可能性も
有るだろうが・・私に言わせれば
危険極まりない行為だとしか言いようがないね」
春吉博士(トト)の言葉に合わせ
誠矢(アストラ)は
「注意を促そう・・こんな事で奴に死なれては
元もこも無いからな」
天体級大円盤転移まで後り15時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アトランテスノヴァからファノ艦隊に向け
再三に渡り退避勧告が出されるも其れを
悉く無視する宰相リンクス3世
「神の秒針接近、後り10秒で接触します」
10・9・8・7・6・5・4
<無駄な事はやめろ!死にたいのかリンクス>
だが彼は最後まで意地を通す
3・2・1「接触!!」
神の秒針と接触した瞬間
シールドはガラスが割れるように
砕け散り、その破片が神の秒針と
ファノ艦隊に襲いかかった
「こんな馬鹿な」「うわああああーーーっ!」
限界まで圧縮された超高温のエネルギーの
爆発と破片が散弾化してファノ艦隊の
2隻は一瞬で木っ端微塵となり散華した
「リンクス様ぁああああ!!」
リンクスの艦とシューターの艦は
済んでの所で体制を立て直し
短距離リープする事でその難を逃れるが
大破を免れただけで傷は大きかった
其れでも神の秒針に追走する
ファノタウリとファノシルトの2隻
リンクスの元にこの作戦で被った被害報告が
次々に入り呆然と立ち尽くす
誠矢(アストラ)の苛立ちは頂点に達した
<だから言わんこちゃない!
神の秒針がそんな事で止まる訳があるか!>
リンクスはその通信に答える為に
通信士に交信するように命じた
「では君なら手を拱いて只見ていると言うのかね?
敵わぬまでも一矢報い、其れが叶わずとも最後まで
抗い続けるのではないのか」
確かに信条的には其れは解る、だが
有る程度抵抗して駄目ならいい加減見切りを付け
命を救う選択を選ぶべきだ
其れはあのギルザート18世も同じだろう
当然この頭の良い男がそうしない理由が解らない
<お前程の奴が何を言ってるんだ!?
良いから早く巨人族を人間サイズに戻し
ありったけの輸送船に積み込み脱出しろ!!>
だがその忠告をリンクスは又しても無視した
「追走しながら艦砲射撃を加える」
王族不在の為ファノとしての力が使えない
ファノタウリとファノシルトの2隻には
リンクス指示で超大型の300センチメギド砲を
4連5門搭載してきた
「照準セット・主砲メギドファイヤー」
何百発ものエネルギー砲弾が直撃し
その怒濤の攻撃に晒され神の秒針が炎に包まれる
だが微動だにせず破壊目標に向かって突き進む
「諦めるな撃て!撃って撃って撃ちまくれ」
リンクスの飛ばす激に呼応し巨人将兵達は
メギド砲を砲身が熱で溶けるまで撃ち続けた
<だから無駄だって言っているだろう
何を意固地に成ってるんだリンクス!!
さっさと国に引き返し一人でも多くの
民を救うのが筋じゃないのか!>
砲撃の音でアストラの声が聞こえないのか
リンクスは神の秒針えの砲撃を継続させる
目標の周りをファノタウリとファノシルトの
2隻は旋回しながら最後の力を振り絞るように
砲撃を続けたが主砲の砲撃限界を迎え
『どうしてこんなに頑ななんだ?
其れとも何か企んでいるのか!?』
誠矢も天体級大円盤の転移時間が実は
フェイクで実際はもっと早いのではと疑った
だが脳粒子波空間でギルザート18世が
語った事は全て真実だとU星人が保証している
彼等の脳粒子波技術は虚と実を麻薬の薬物反応を
見極めるレベルで確実だ、結えにその恐れはない
では何がリンクスを彼処まで追い詰めているのか
正直言って誠矢にもサッパリ解らなかった
天体級大円盤転移まで後り10時間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★
其れからもリンクスの挑戦は続いた
ファノタウリとファノシルトの2隻は
既に満身創痍で、重厚な装甲と丈夫さで売る
ファノクラスの艦が此処まで破損した事は
かって無い程だ。
乗員の巨人兵も体力と気力の限界を迎えながら
リンクスの想いに応えようと必死に戦う
「此は全巨人族の誇りと名誉を護る戦いである
最後の最後まで巨人の戦士として恥ずかしくない
戦いをして銀河の人間共に巨人族の矜持を
示さなければならない」
リンクスは戦いに望む少し前に
全ての巨人兵に向け演説をしていた
「我々ガルスグレーサーが誇り高く生きていく
未来はこの戦いにあると知れ」
拳を揚げ兵達を鼓舞しながらもリンクスの心の
奥底は冷え切っていた
『どんなに綺麗事を並び立てようと
此は私の我が侭だ{見栄を張り通す為に}
この者達を死地に向かわせる事に変わりない』
彼の脳裏に最愛の女性の最期の無惨な姿が
明確に浮かび上がっては消える
いっそ気が狂ってしまえばどれほど楽か
『だがまだ早い・・私の罰はこんなものでは
済まされない筈だ』
0
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