ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

文字の大きさ
10 / 91

10話

しおりを挟む
「はい、鈴木先輩の気持ちは伝わりました。つまり私と仲良くなりたいということですよね」
「そうそう、あたしはただ北野後輩と仲良くなりたいだけなんだよ。同じ通学路だし、同じ高校の生徒だし」

 しっかりと真希に自分の気持ちが伝わったことを確認できた紗那は嬉しそうに頷いている。

「でも私は一人でいるのが好きなので、別に鈴木先輩と仲良くなりたいとは思っていません。これが私の気持ちです。それに鈴木先輩、ウザいですし」

 紗那の真希と仲良くなりたいという気持ちは伝わったが、それで真希も紗那と仲良くなりたいかと言われればそれはまた別問題である。
 昔からみんなでいるよりも一人でいる方が好きな真希は友達が欲しいと思ったことすらない。
 だから紗那も含め誰とも仲良くなるつもりはない。

「ホントに北野後輩は凄いよ……よく本人の前で『仲良くなりたいと思ってません』なんて言えるよね」
「だって仲良くなりたいと思ってませんから」

 紗那はまるで未知の生物を見ているかのように呆気に取られている。
 真希からすればなにが凄いのか分からないが、そもそも誰かと仲良くなりたいと思っていないので、他人からどう思われているかなんてどうでも良かった。

「だから私と仲良くなることは諦めてください」
「いや、ますます仲良くなりたいと思ったよ北野後輩。先輩に対しても素直に『仲良くなりたくない』と言える度胸。ますます気に入った」

 面倒だから本当に仲良くなりたくないと真希は思っているのに、なぜかその気持ちだけは紗那に伝わらないようだ。
 もう意味が分からない。
 紗那も紗那でどこかおかしい人なのかもしれない。
 変な人に目を付けられてしまったものである。

「……どうしてそれで私を気に入るんですか。全然意味が分かりません。私ならこんな後輩、絶対に関わりたくありません」

 紗那の言っていることが意味不明すぎて、真希は頭を抱える。
 まるで話の通じない地球外生命体と話している気分だ。

「それは君が可愛い後輩だからだ、北野後輩」
「……」

 サラっとキザなセリフを吐く紗那。
 そのセリフに恥ずかしさやウザさや意味不明さが混ざり合い、言葉では表現できない気持ちになる。

「別に私は可愛くはありません」
「あはは、その反応が可愛いぞ北野後輩」
「あぁー、ウザいウザい。本当にウザいですよ鈴木先輩」
「素直に甘えても良いんだぞ、北野後輩」

 さすがにここまで馬鹿にされると真希も不快で、暴言を吐くものの紗那に笑いをこらえながら一蹴される。
 年上の余裕を見せられてますます不機嫌になる。

「拗ねた顔も可愛いぞ北野後輩」
「もー、ウザいので話しかけないでください」
「……さすがに怒らせすぎてしまったか。反省反省、後輩が可愛くてついやりすぎてしまった。これ以上怒らせるとさすがに可哀そうだな。少しは黙るか」

 何度も茶化されて堪忍袋の緒が切れた真希は紗那を拒絶する。
 朝からストレスが溜まる。
 紗那は小声でブツブツ言っているが、声が小さすぎてなにを言っているのか聞き取ることができなかった。
 その後、空気を読んだのか電車を降りるまで紗那は真希に話しかけることはしなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

陰キャの俺、なぜか文芸部の白髪美少女とバスケ部の黒髪美少女に好かれてるっぽい。

沢田美
恋愛
この世の中には、勝者と敗者がいる。 ――恋人がいて、青春を謳歌し、学校生活をカラフルに染める勝者。 そしてその反対側、モブのように生きる俺・高一賢聖(たかいちけんせい)。 高校入学初日、ぼっちを貫くつもりだった俺の前に、 “二人の女王”が現れた。 ひとりは――雪のように白い髪を持つ、文芸部の女神・瀬良由良(せらゆら)。 もうひとりは――バスケ部の全国エースにして完璧超人、不知火優花(しらぬいゆうか)。 陰キャ代表の俺が、なんでこの二人に関わることになるんだ!? 「文芸部、入らない?」 「由良先輩、また新入生をたぶらかしてる〜!」 平凡で静かな高校生活を夢見ていたのに―― 気づけば俺の毎日は、ラブコメと混乱で埋め尽くされていた。 青春なんて関係ないと思ってた。 だけど、この春だけは違うらしい。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...