ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

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20話

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「……ホント、可愛げがない」

 そう文句を言う紗那はなぜか嬉しそうな表情を浮かべ、他の二人もなぜか笑みを浮かべていた。

「……早く戻らないと遅刻するので私はもう帰ります」

 先輩女子三人に微笑ましい笑顔を向けられむず痒くなった真希は一人で教室に帰ろうとする。

「同じ校舎だし一緒に戻るか」
「それサンセー。一緒に戻ろうよ北野ー」
「そうですね。わざわざ別々に戻る必要もないですし」
「……」

 先輩女子三人は少しでも長く真希と一緒にいたいらしく、真希と一緒に校舎に戻った。
 真希も別々で帰る合理的な理由を思いつかなかったので、仕方なく三人と一緒に戻るのであった。



 朝の紗那の出待ちはもはや日常になり、その後電車を降りると清美と麗奈と合流する。
 これが真希の朝のルーティーンになっていった。
 紗那たちといるとひっきりなしに話題を振られるので面倒だったが逃げる場所がないため、真希は諦めた。
 そして教室では相変わらず一人でいる。
 たまに陽子が気を使ってというか仲良くなるために話しかけるぐらいで、むしろ教室にいる方が一人でいられて楽だった。
 もちろん、好んで一人でいるのになぜかクラスでは腫物扱いするような視線を向けられる。
 本当に心外である。
 どうしてみんなといることが『善』として一人でいることを『悪』だ思っているのだろうか。謎である。
 真希からすれば、全く分からないのに友達の言葉に共感して友達ごっこをするより一人で自分の好きなことをしている方が楽である。

「北野さん、次の授業体育だから一緒に更衣室に行かない?」

 休み時間になり、ちょくちょく陽子が真希に話しかけてくる。
 紗那のようにウザいまでは行かないが、煩わしいと思っている。
 でも紗那のように強引なことはしないので、まだ陽子の方がマシである。

「そうだな。移動しないとな」

 別に陽子の提案にのったわけではないのだが、次は体育で更衣室で着替えをしなければならないため、真希も移動を開始する。

「そんな奴、気にかける必要ないわよ陽子。早く行くわよ陽子」

 一度も話したことがないのに愛理は明らかに真希を敵視している。
 変に馴れ馴れしいより愛理の方がまだマシである。この時は。

「待って愛理ちゃん。行こう、北野さん」

 先に行く愛理を見て焦った表情を浮かべる陽子。
 でも真希と一緒に行くのは諦めていない陽子は、手や腕ではなく袖を掴み愛理を追いかける。
 陽子を力ずくで払いのけることは簡単だが、陽子の体は真希よりも華奢である。
 力ずくで払いのけたらきっと陽子は転倒し、それを見た愛理は怒り狂った顔で真希に詰め寄るだろう。
 それはかなり面倒くさい。
 だから真希は陽子に逆らうことはせずされるがまま連れていかれる。
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