柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

文字の大きさ
19 / 103

19話

しおりを挟む
「えっ、これで分からないのっ」
「そんなに悪いのか、このポスター?」
「必要最低限のことは書いてるからこれで大丈夫なはずだけど」

 瑞希も撫子ももう一度自分たちが作ったポスターを確認したが、どこが悪いのか見当もつかなかった。
 A四の紙に部活名未定と活動内容と、部員の名前を黒の油性ペンで書き、それを廊下の掲示板に貼っていたのだ。
 イラストは二人とも書けなかったので割愛した。

「確かに必要最低限のことは書いているけど……。それじゃーダメなんだよ。まずイラストがないから、パッと見どんなポスターなのか分からない。それに色も一色でしかも黒だから目立たないし、印象にも残らない。ポスターってインパクトが大事で、まるで報告書みたいポスターなんて誰の印象にも残らないよ」
「「……」」

 舞のダメ出しを聞いて、その発想はなかったと瑞希は反省する。
 舞の言う通り必要最低限のことは書いていたがそれだけだった。
 それさえ書いてあれは十分だと思っていた瑞希だったがそれは違うらしい。
 ポスターはインパクトが大事だ。
 そもそもポスターを貼っても見てもらえなければ意味がない。
 見てもらうにはどうすれば良いのか。
 そんなの簡単である。
 人々の意識に残るような、目立つポスターを作れば良い。
 そうすると、イラスト無し、黒一色のポスターでは全然インパクトはないし、誰の記憶にも残らない。

「あっ……ごめん。少し言い過ぎたかな」
「別に大丈夫。むしろその通りだなと思って感心してた」
「確かに金森さんの言う通りだわ。よくよく考えてみればこんなポスターでは誰の印象にも残らないし誰にも読まれないわね。一つ勉強になったわ」

 撫子も瑞希同様図星を突かれて、ポカーンとして反応を忘れていたらしい。
 舞が指摘してくれたおかげで、撫子だけではなく瑞希も勉強になった。
 今まで瑞希はポスターを作ったことがなかった。
 それは撫子も同じようだった。
 それに中学や高校でも部活勧誘ポスターを見てきたが、自分には関係ないものだと思い真剣には見ていなかった。
 今回だってそうだ。
 自分たちのことしか頭になかった二人は、他のポスターの良いところを真似るという基本中の基本を押さえていなかった。
 この時、改めて瑞希は視野が狭くなっていたことに気づく。

「ありがとう金森。一つ勉強になったよ」
「柊さんの言う通りね。金森さんが私たちの部活に入ってくれて良かったわ」

 大事なことを教えてくれた舞に対して瑞希と撫子は感謝の気持ちを伝える。
 お金も大事だが知識だって人生の資産である。
 そんな大事なものをくれた舞には感謝の念しかない。

「そ、そんなことないよ~。あたしだって分からないことだってたくさんあるし~」

 二人に褒められた舞は照れながら謙遜する。
 やっぱり落ち込んでいる表情よりも笑っている方が人間、美しく感じる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

陰キャの俺、なぜか文芸部の白髪美少女とバスケ部の黒髪美少女に好かれてるっぽい。

沢田美
恋愛
この世の中には、勝者と敗者がいる。 ――恋人がいて、青春を謳歌し、学校生活をカラフルに染める勝者。 そしてその反対側、モブのように生きる俺・高一賢聖(たかいちけんせい)。 高校入学初日、ぼっちを貫くつもりだった俺の前に、 “二人の女王”が現れた。 ひとりは――雪のように白い髪を持つ、文芸部の女神・瀬良由良(せらゆら)。 もうひとりは――バスケ部の全国エースにして完璧超人、不知火優花(しらぬいゆうか)。 陰キャ代表の俺が、なんでこの二人に関わることになるんだ!? 「文芸部、入らない?」 「由良先輩、また新入生をたぶらかしてる〜!」 平凡で静かな高校生活を夢見ていたのに―― 気づけば俺の毎日は、ラブコメと混乱で埋め尽くされていた。 青春なんて関係ないと思ってた。 だけど、この春だけは違うらしい。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

処理中です...