柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

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38話

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「それで二人は一色さんと仲直りがしたい。それが依頼ということで良いのよね」
「うん」

 撫子は改めて今回の依頼内容を確認する。
 今回の依頼を一言で言うと、舞たちと椿たちを仲直りさせるというものだ。
 言葉で表すと簡単である。
 舞も食い気味で頷いている。

「思ったんだけど、一色と仲直りしたいなら私たちに相談するよりも栗山の方が分かるんじゃないのか。栗山って一色と幼馴染なんだから私たちよりも一色をよく知ってるだろ?」

 椿と帆波は幼馴染である。
 瑞希や撫子のように、顔見知り程度しか知らない奴よりも昔から椿のことを知っている帆波の方が適任だと瑞希は考える。

「それはそうなんだけど……」

 瑞希に話を振られた帆波はなぜか歯切れが悪い。

「椿の奴、あれから全然口聞いてくれないんだよね~。僕が話しかけても無視だし……こういうのは初めてのパターンだから」

 椿に無視されるのが精神的に辛いらしく帆波の声に覇気はない。
 入学当初から椿と帆波は仲が良い二人しか知らない瑞希からすると、今のこの状況は不思議な状況だった。
 あの仲の良い幼馴染にも冷たい態度を取っていることから推測するに、椿は相当帆波に怒っていることが分かる。

「ちなみに栗山さんと一色さんって今まで何回ぐらい喧嘩をしたかって分かるかしら? そこから仲直りの手がかりを見つけられれば良いのだけれども」

 撫子がナイスな質問をする。
 いくら仲の良い幼馴染と言えども、喧嘩だってたくさんして来ただろう。
 そこから今までの喧嘩のパターンと仲直りにいたった経緯を知れば、解決策が思いつくかもしれない。
 しかし、帆波から返ってきた答えは意外な答えだった。

「う~ん……あまり覚えていないけど、覚えているものだと一回だけかな?」
「「「一回っ」」」

 その答えに三人全員の声がハモリ、驚く。
 だって椿と帆波は小学生の頃からの幼馴染だ。
 そんなに長い時間を過ごしたのにも関わらず一回しか喧嘩をしたことがないだなんて……。
 少なすぎて驚きである。

「……えっ、そんなに驚くこと?」

 逆に帆波はなぜ三人がそんなに驚いているのか分からないらしく、一人首を傾げた。

「ちなみに、そのたった一回の喧嘩ってなにが原因だったの。残しておいてプリンとか食べたとか?」

 椿と仲直りさせるため、撫子は帆波から情報を引き出そうとする。
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