柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

文字の大きさ
41 / 103

41話

しおりを挟む
「ごめん、言い過ぎた。確かに幼馴染の栗山からすれば気分の良いものではなかった」
「ごめんなさい。確かに私たちは一色さんのことよく知らないわ。よくも知らないのに勝手にこうだと決めつけて一色さんを責めるようなことを言ってごめんなさい」
「ううん。僕こそカッとなってごめん。椿の悪口を言われるとつい頭に血が上って……それに二人は椿とは付き合い浅いしそう思うのも普通かなって。確かに僕が椿と初対面だったら二人と同じことを思う。うん、絶対思う。確かに椿は我がまますぎるよね~」

 人が初対面の人に会った時、第一印象がまずその人の性格だと思ってしまう。
 よく第一印象でその人の印象が決まるっていう話は有名な話だろう。
 第一印象で分かるのはその人の表面的なことだけだ。
 見た目。体型。話し方。言葉遣い。
 色々な要素が組み合わさって、その人の印象が決まる。
 そこから少しずつ話して、少しずつ仲良くなり、少しずつ深く知っていく。
 そうすると、第一印象と違かったということはよくあることだ。
 瑞希も撫子も椿の表面的なことしか知らない。
 我がままで傲慢で、声は大きいし、生意気だし、リア充で自分の意見はオブラートに包まずにストレートに相手に言う。
 それが瑞希の椿に対する印象だった。
 だけど幼馴染の帆波はもっと深く椿のことを知っているのだろう。
 椿のことを深く知っているがゆえに、表面的なことしか知らない瑞希たちに、表面的な椿のことを言われ、帆波はカッとなった。
 つまり瑞希と帆波では、同じ椿でも違うものが見えているということである。

「そうだよね。あたしたちはまだ表面的なことしか知らないから、これから少しずつ仲良くなってお互いのこと深く知っていこー」

 今まで静かだった舞が、この場を少しでも明るくさせようと思いっきり元気な声を出す。

「……いや、別にそんなこと望んではないんだけど……」
「……別に興味ないわ」
「そうだね。みんなお互いのことを知らないから喧嘩になっちゃうんだよね。少しずつ仲良くなろー」
「そうだよ、せっかく同じクラスになったんだし。仲良くならないなんてもったいないよ」

 別に瑞希は椿と仲良くなるつもりなんて毛頭ない。
 でも、社会は声の大きい人の声しか届かない仕組みなっている。
 瑞希と撫子の小さい声は、帆波と舞の大きな声によってかき消されてしまった。
 そもそも同じクラスになったからといって、そこにいる人たちはつい一ヵ月前まで同じクラスどころか名前も知らない赤の他人だ。
 それが同じクラスになった途端、距離感が近くなったと錯覚する人が多い。
 そもそも同じクラスになったんだから、その人たちと仲良くならないともったいないよねという発想が理解できない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...