柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

文字の大きさ
61 / 103

61話

しおりを挟む
「おぉー来たか。待ってたぞ」

 いつも通りカップラーメンを食べながら尚美は瑞希たちを出迎える。

「それでなんの用ですか? 放送まで使って」

 早く用件を終わらせて少しでも長く昼休みを過ごしたい瑞希はさっさと用件を述べるようにと尚美を催促する。

「実はな、明日この町のボランティア活動があってな。内容は河川敷のゴミ拾いな。町内のボランティアだからな、万年人不足らしい。そこでお前たちサポート部に白羽の矢が立ったわけだ。というわけで明日の九時にここに集合な。あたしからの用件は以上だ。解散」
「おい黒川先生。用件だけ言って解散って納得できるわけないでしょ。そもそもなんで私たちがボランティアなんてしなければならないんですかっ」

 やると言っていないのに、明日のボランティアについて簡潔に説明する尚美。
 尚美はもう用件は終わったと言わんばかりに、三人を解散させようとさせる。
 でも瑞希は納得がいかなかった。
 そもそも、なぜ瑞希たちサポート部がやる前提なんだろうか。
 瑞希たちの部活は『サポート部』であって『ボランティア部』ではない。
 さすがの瑞希も思わず尚美に語気を荒げてしまった。

「それはお前たちが『サポート部』だからだろ」
「黒川先生、意味が分かりません。もう少し分かりやすく言ってもらって良いですか? こんな説明じゃ納得できません」

 撫子も貴重な休日をボランティアに奪われるのは納得していないらしく、珍しく教師に噛みつく。

「別にあたしは楽しそうなんだけどな~。だって休日に三人で会うなんて今までなかったじゃん。いつも瑞希ちゃんも撫子ちゃんも用事があって無理だって言うし」

 リア充見習いの舞は、なぜそこまで瑞希と撫子が反対しているのか分かっていない様子だった。
 それにいつも断っていた理由は、ただたんに面倒くさかっただけである。
 そもそも休日は休みためにあるものであり、友達と一緒に過ごして疲れるためにある日ではない。

「金森はやる気十分だな。柊も白鳥も金森みたいだったら良いのに……」

 やる気のある舞を良しとして、瑞希や撫子のようにやる気のない者を悪とする考えに瑞希はイラっとした。
 そもそもボランティア活動というものは、ボランティアがしたいと自分から進んでやるのがボランティアだ。
 嫌々やるならそれはボランティアではない。

「私は別に貴重な休日を潰されるのが嫌なだけです。適当に他の先生から押し付けられたなら職権乱用で校長先生に報告しますよ」
「おい待て。別に職権乱用はしてないからそんな物騒なことは言うな」

 頑としてボランティアをして休日が失われることが死んでも嫌な瑞希は尚美に脅しをかける。
 尚美の反応を見るからに嘘を言っているわけではないだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

陰キャの俺、なぜか文芸部の白髪美少女とバスケ部の黒髪美少女に好かれてるっぽい。

沢田美
恋愛
この世の中には、勝者と敗者がいる。 ――恋人がいて、青春を謳歌し、学校生活をカラフルに染める勝者。 そしてその反対側、モブのように生きる俺・高一賢聖(たかいちけんせい)。 高校入学初日、ぼっちを貫くつもりだった俺の前に、 “二人の女王”が現れた。 ひとりは――雪のように白い髪を持つ、文芸部の女神・瀬良由良(せらゆら)。 もうひとりは――バスケ部の全国エースにして完璧超人、不知火優花(しらぬいゆうか)。 陰キャ代表の俺が、なんでこの二人に関わることになるんだ!? 「文芸部、入らない?」 「由良先輩、また新入生をたぶらかしてる〜!」 平凡で静かな高校生活を夢見ていたのに―― 気づけば俺の毎日は、ラブコメと混乱で埋め尽くされていた。 青春なんて関係ないと思ってた。 だけど、この春だけは違うらしい。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

処理中です...