柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

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75話

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「早織ちゃんも友達って仲良くなるまで時間かかるから焦らなくても大丈夫だよ」

 心優しい舞が傷心の早織を慰める。
 これでは瑞希たちの方が悪者ではないか。
 瑞希は一人納得がいかなかった。

「ご飯も食べ終えたことだし、教室に戻る」
「そうね、私も食べ終えたから教室に戻ることにするわ」

 別に舞たちと一緒にいる義理もないし、理由もない。
 ご飯を食べ終えた瑞希と撫子は、一言だけ声をかけて屋上を出る。
 舞と早織と帆波は名残惜しそうに見ていたが、椿だけは無関心だった。

「……はぁー」

 瑞希は誰にも知られないように静かにため息をこぼす。
 やはり人と関わるのは面倒だ。
 一人でいる時は相手のことを気遣ったり遠慮しなくても良い。
 煩わしい人間関係で悩むこともない。
 だから瑞希は一人が好きなのだ。

「大丈夫柊さん。凄く疲れている表情をしているわ」
「別に大丈夫だ」
「……そう」

 瑞希がため息を吐いていたことがバレたのか、それとも疲れた表情を浮かべていてそれに気づいたのか分からないが、気遣うように声をかける撫子。
 瑞希はため息を吐いたことがバレたと思い、思わずそっけなく返事をしてしまった。
 瑞希の対応が冷たかったせいか、撫子は暗い表情を浮かべた。
 だから嫌なのだ。
 他人と関わるのは。
 自分も他人も何気ない相手からの言葉で喜んだりも傷ついたりもする。
 だから誰か他人といる時はずっと気を張りつめなければならない。
 これが瑞希が友達を作らない理由だった。
 友達がいなくても人生は生きていける。
 一歩後ろで撫子が瑞希に声をかけたそうな表情を浮かべていたが、瑞希はそれに全く気付くことはなかった。
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