柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

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95話

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 次の日。
 瑞希はいつも通り学校に登校する。
 昨日、撫子と仲直りというか和解できたので足取りが軽い。
 避けられている理由も分かったし、もう避けないと舞が言ってくれた。
 それだけでも瑞希のストレスは半減する。

「おはよう瑞希ちゃん」

 校門前で舞と遭遇し、あいさつを交わす。

「おはよう金森」

 瑞希もあいさつを交わし、一緒に昇降口に入る。

「撫子ちゃんとも仲直りができたし、良かった良かったー」

 撫子と仲直りができた舞は朝から上機嫌だ。

「そうだな。仲直りできて良かった」

 瑞希も舞と仲直りができたことに安堵して、朝から足が軽い。
 瑞希も初めて知ったことなのだが、最初から誰も友達がいないよりも、ある程度親しくなってから拒絶される方がきつい。
 朝の昇降口というのは言わば通学ラッシュである。
 今日は結構混んでいる時間帯に来てしまった。

「あっ」
「大丈夫か金森」

 人混みに押され、足を滑らせる舞。
 その舞を手を引っ張り支える瑞希。
 瑞希が手を引っ張ったおかげで舞は間一髪転ぶことはなかった。

「ありがとう瑞希ちゃん」
「ううん、金森こそ転ばなくて良かった」

 瑞希に助けられた舞は瑞希にお礼を言い、瑞希は舞が怪我しなかったことに安堵する。
 ガタン。
 昇降口になにか落ちる音が聞こえた。

「……柊さん……金森さん」

 瑞希たちの目の前には上履きに履き終え、外靴を閉まっている途中で落とした撫子がいた。
 撫子はまるで恋人の浮気現場を見たような目をしている。
 目は焦点が合っておらず、まるで朝から信じられないものを見たような目だった。
 一体、何秒の間撫子と見つめ合っていただろう。
 二、三秒ぐらいのはずなのに数分ぐらい経っている感覚だった。

「白鳥」

 瑞希たちを見て逃げ出す撫子に向かって名前を呼ぶ瑞希。
 やっぱり、撫子の問題は解決していなかったのだ。
 どうりで歯切れが悪いと思った。
 瑞希は急いで外靴をしまい、上履きに履き替えて撫子を追う。
 学校の廊下を走ってはいけない。そんなの知っちゃこっちゃない。
 撫子が走って瑞希から逃げている。
 ここで逃がせば、なぜかもう二度と関係の修復ができないと瑞希は思った。
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