柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

文字の大きさ
103 / 103

103話

しおりを挟む
「……これがグループラインなのね。初めて見た」
「感動するところそこっ」

 案の定、舞はそんな舞を見て驚いていた。
 その後舞から、写真が送られてきた。
 三人で撮った初めての写真だ。
 舞はとても楽しそうな表情を浮かべているが、隣の瑞希と撫子はいきなりの写真に戸惑い、あまり楽しそうな表情ではなかった。
 舞はこの三人でいられる時間を思い出として残しておくために写真を撮りたいと言っていた。
 正直、今の瑞希はその気持ちはあまり理解できなかった。
 写真は記録を残すことはできても感情を残しておくことはできない。
 写真を見て、楽しかったーとか悲しかったーとか思うのはその写真を見て、忘れていた感情を思い出すからそう思うのであって、写真自体はただの記録の媒体でしかない。
 だからこそ、写真というデータは消さない限り一生残すことができる。
 この、ほんの一瞬の今を切り取った写真も、大人になって見返したら楽しい高校生活の一コマだったと思うかもしれない。

「これからももっとたくさん三人で写真を撮っていきたいな~」
「まだ高校一年生の四月なんだから撮るチャンスはまだたくさんあるだろ」
「そうだよね。もっともっと写真を撮って思い出を残していければ良いな。この三人で」

 瑞希たちはまだ高校一年生、しかもまだ四月である。
 高校生活なんてまだ始まったばかりである。

「大人になって高校生の時の写真を見て三人で笑い合いたいね」

 舞はスマホで撮った三人の写真を見て思いを馳せる。
 未来のことは誰にも分からない。
 だから約束はできない。

「そうだったら良いな」

 でも瑞希もそうだったら良いなと思っている。
 青春という言葉は嫌いだが、嫌な思い出より楽しい思い出がたくさん残っている方が良いに決まっている。
 今、この時を切り取った三人で撮った写真。



 瑞希にとってこれが高校生になって初めて撮った友達との写真だった。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...