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第七十四話
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「だから指切りをしましょう。約束と言えば指切りよね」
「良いですよ。絶対に忘れないでくださいよ」
「大丈夫よ。私、もう二度と中村さんとの思い出は忘れないわ」
葵と優はお互いに小指を出して、指切りをする。
葵の小指が優の小指に絡み合う、
細く長く、しっかりしていて全てを包み込む抱擁感があった。
「もう二度と中村さんを悲しませたりなんかさせないわ。もう二度と中村さんの悲しい顔なんて見たくないもの」
そう言って葵は慈しむように優のことを抱きしめる。
また葵のおっぱいが優の顔に触れる。
葵の胸は凄く安心する。
まるで羊水の中に胎児のようだ。
「楠先輩、私からも謝らせてください。今までさんざん冷たい態度を取ってごめんなさい」
元はと言えば葵がお酒に酔って優とのキスを覚えていないのが悪いのだが、優も今まで葵に冷たい態度を取っていたことを謝罪したいと思っていた。
それで葵が傷つくことは分かっていたのだが、心がついてこなかった。
「中村さんが謝ることはないわ。だって私があの夜のキスのことを覚えていないのが悪いもの」
「それでもです。……これで仲直りはできましたよね」
「できたと思うわ。私は全然中村さんを怒っていないもの。でもこの二週間、ホントにきつかったな~。中村さんと話せないことがこんなにも辛いなんて」
「私もです。私も楠先輩と話せないことがこんなにも辛いなんて思いませんでした」
優自身、葵にモヤモヤしたりイライラもしていたら、葵と話せなかったこともかなり辛かった。
自分から葵のことを拒絶していたのは自覚しているが、それでも葵と話せなかったことは辛かった。
それは葵も同じだったらしく、優と話せなかったこの二週間は辛かったらしい。
「それじゃーこれからはその分もたくさん話して、思い出を作るわよ」
今まで話せなかったらその分、これから話していけば良い。
そしてこれからもっとたくさん楽しい思い出を作っていけば良い。
葵の言うとおりである。
「そうですね。これからはもっとたくさん楠先輩と思い出を作っていきたいです」
「私もよ中村さん。今度は絶対忘れないから」
葵はヒマワリのような笑みを浮かべる。
その笑みに優は心を打ちぬかれる。
葵は本当に笑顔が似合う女の子だ。
向日葵に『葵』という字が入っているように。
「良いですよ。絶対に忘れないでくださいよ」
「大丈夫よ。私、もう二度と中村さんとの思い出は忘れないわ」
葵と優はお互いに小指を出して、指切りをする。
葵の小指が優の小指に絡み合う、
細く長く、しっかりしていて全てを包み込む抱擁感があった。
「もう二度と中村さんを悲しませたりなんかさせないわ。もう二度と中村さんの悲しい顔なんて見たくないもの」
そう言って葵は慈しむように優のことを抱きしめる。
また葵のおっぱいが優の顔に触れる。
葵の胸は凄く安心する。
まるで羊水の中に胎児のようだ。
「楠先輩、私からも謝らせてください。今までさんざん冷たい態度を取ってごめんなさい」
元はと言えば葵がお酒に酔って優とのキスを覚えていないのが悪いのだが、優も今まで葵に冷たい態度を取っていたことを謝罪したいと思っていた。
それで葵が傷つくことは分かっていたのだが、心がついてこなかった。
「中村さんが謝ることはないわ。だって私があの夜のキスのことを覚えていないのが悪いもの」
「それでもです。……これで仲直りはできましたよね」
「できたと思うわ。私は全然中村さんを怒っていないもの。でもこの二週間、ホントにきつかったな~。中村さんと話せないことがこんなにも辛いなんて」
「私もです。私も楠先輩と話せないことがこんなにも辛いなんて思いませんでした」
優自身、葵にモヤモヤしたりイライラもしていたら、葵と話せなかったこともかなり辛かった。
自分から葵のことを拒絶していたのは自覚しているが、それでも葵と話せなかったことは辛かった。
それは葵も同じだったらしく、優と話せなかったこの二週間は辛かったらしい。
「それじゃーこれからはその分もたくさん話して、思い出を作るわよ」
今まで話せなかったらその分、これから話していけば良い。
そしてこれからもっとたくさん楽しい思い出を作っていけば良い。
葵の言うとおりである。
「そうですね。これからはもっとたくさん楠先輩と思い出を作っていきたいです」
「私もよ中村さん。今度は絶対忘れないから」
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向日葵に『葵』という字が入っているように。
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