救世主(メシア)様は傍若無人

鏡華

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第1番 救世主のいる町

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青い空、白い雲、

「ふむ、白か。」

風でひらひらと揺れる長いスカートの中から覗く純白の白い下着。

「めっ、救世主メシア様っ!す、スカートの中に入るのは…おやめください……恥ずかしいです…っ。」

「うるさい。黙って洗濯物を干し続けろ、救世主の命令だ。」

「うぅ……。」

カゴから洗濯物を取り出し、シワを伸ばして干す。その動作の度に程よい肉付きの尻が揺れ、上下する。良い眺めだ。
目の前で誘うように動くに触れようと手を伸ばす━━━━━━━━

「メシア様ー!!どうか…どうかお助けをーー!!!」

教会の方から男の声がする。

「め、メシア様!民が助けを求めております!!」

「チッ、別にどうでもいいだろう。私がアレを助けた所で私には何の利益もない。私は(自分の欲望を満たすために)忙しいんだ。」

「そんなこと言わずに……民を救うことが良い世界に繋がるのです…ですから…っ…!!」

「民を救って良い世界にしたとしてだ、それで私の腹は膨れるか?私が過ごした無駄な時間は返ってくるのか?」

「そ、それは…。」

ひねくれた質問に言葉を詰まらせる。顔は見えないが恐らく今にも泣きだしそうな顔で俯いているのだろう。
まったく、よくもまあそんな根性で民を救うだとか世界を平和にするだとか言えたものだ。

「メシア様ー!!いらっしゃるのでしょう?どうか救いの手を……!!!」

教会の扉をドンドンと叩く音が聞こえる、声の感じからしてだいぶ切羽詰まっているようだ。

「め、メシア様……民が…民が……っ。」

「……はぁ、シラケた。仕方ない、話くらいは聞いてやるか。」

スカートの中から顔を出し、教会の中へと向かう。

「メシア様…!ありがとうございますっ…!!」

シスターの嬉しそうな声、私の方へと走りよる音が聞こえる。
になったらこいつを思い切り。そう思いながら教会の裏口から中に入る。





"ギィィ"と音を立てて教会の正面の大扉が開かれる。
開かれると同時に一人の男が転がり込むように入ってきた。

「おぉ!メシア様…!!どうか私の妻をお助け下さい!!!」

「いきなりなんだ、礼儀知らずな奴だな。物事にはというものがあるんだ。この意味が分かるか?迷える子羊よ。」

「メシア様!民は困っておられるのです、急ぎのようですしそんな━━━━━」

男の無礼を指摘してやると、シスターが止めに入ってきたが、私はそれを遮るように言う。

「お前には何も聞いていない。もう一度言うぞ、物事には順序がある。そうだろう?迷える子羊よ。」

「も、申し訳ありませんメシア様……私は隣町の靴屋のというものです。助けて欲しいというのは、妻が不治の病にかかりまして…色々な町を回り大勢の医者に診てもらったのですが、どの医者も"先は長くない"、"治すことは不可能だ"とお手上げ状態でして……。この度はこの町に救世主メシアが降臨されたという噂をお聞きしてこの町に…。」

シュズと名乗る肩を震わせながら話す男の様子はとても真剣だった。それだけ妻を愛し、そして病の状態は深刻なのだろう。横を見やるとシスターも真剣な眼差しで話を聞いている。

「なるほど、それで?この私に何をしろと言うのだ?」

言いたいことはだいたい分かっているが、あえて聞くことにした。

「は、はい…!!メシア様にどうか妻の病を治し、救って頂きたいと思い今日は参りました…!!!」

思った通りの言葉が来た。

「そうか…妻を愛し、妻の病を治そうと想うその気持ち、心意気。しかと受け取った。」

「メシア様…!!妻を助けて下さるので━━。」

「断る。」

その場が一瞬で「シーン」と凍りついた。目の前のシュズは目を見開き唖然し、疑問と絶望が入り交じった表情で固まっている。なんともマヌケな顔だ、思わず笑みが零れてくる。

「メシア様!!どうして…どうしてそのようなことを…!!!迷える子羊…困っている民を救うのがメシア様のお役目のはずです!!!」

私に向き合い訴えるシスター。

「シスター、何度も言わせるんじゃあない。この世の中はで物事を解決することは不可能だ。何をしようにも必ずが必要になってくる。人類はそうやって発展してきたのだ、お前にもその意味が分かるだろう?シュズよ。」

「あ………た、対価でございますね…。これだけのお金を用意しました…今私が払える最高の額を用意致しました…。"500万ゼン"です…。どうかこれで妻を助けてください、お願いします…。」

「ゼン」というのは、この世界のお金の単位の事だ。

「500万ゼン、お前にとって妻の命はそんなにもものなんだな。」

「そ、そんなことはありません!!妻は私にとって自分の命よりも大切な…の存在なのです!!そんな妻に先立たれてしまったら……妻のためならだって惜しくありません…!!!」

私の問いに泣きながら必死に訴えかけるその姿はなんとも滑稽だ。

「シュズと言ったな?今お前、と言ったな?」

「は、はい…!!!もちろんです!!!」

「フン、いい覚悟だ。その覚悟を無駄にはしない、お前の妻は助けよう。なに、金は取らない。」

「あ、ありがとうございます!!!」

"ゴッ"と音がするくらい勢いよく頭を下げるシュズ。安堵した声で「ありがとうございます…本当にありがとうございます…!!」と繰り返し私に向かって言う。
私の隣でやり取りを聞いていたシスターも「メシア様…迷える子羊をお救いいただきありがとうございます…。」と祈りのポーズで安堵している。

そんな2人に私は再びを与えた。

「その代わり、。」

「「えっ……。」」

シスターとシュズが合わせて声を漏らす。

「言っただろう?物事には対価が必要だと。というのはこの世で最も尊く、重いものだ。天へと還る運命を覆そうと言うのなら、その対価もやはりでなければいけない。」

ニィっと笑いながらをシュズに突きつけた。

「え……あ…わ、私の命を……代わりに……。」

「メシア様!!貴方様は…どうしてそんな!!」

またもマヌケ面になるシュズと、私に考えを直すよう諭すシスター。
私はピーピー騒ぐシスターの体を舐めまわすように見やる。
窮屈そうに主張する豊満な胸、ひき引き締まった腰、滑らかな形を作る大きな尻。いわゆる巨乳安産型だ。
私はシスターを近寄らせ、耳元で囁いた。

「ならシスター、お前が払うということにしてやろう。別にお前を殺そうってことじゃあない。あくまでお前がを払うという事だ。」

「そ、それって…そのっ…つまり……。」

私の言った言葉の意味を、どんどん顔が赤くなるシスター。

「それでいいな?シスター。」

「は、はい……。」

「よし、いい子だ…。」

ニチャアと笑い、シスターの頭を撫でてやる。シスターは顔を赤くし、肩を震わせている。
私はマヌケ面でぼーっとして居るシュズに近寄り声をかける。

「おい、シュズよ。さっきのは冗談だ。お前とその妻をしてやろう。対価は必要ない。」

「メシア様…ほ、…本当でございますか!?」

「あぁ、だが私から出向く訳にはいかない。他にも迷える子羊が来る可能性があるからな。だからを出してやろう、手を出せ。」

「は、はいっ…!!」

差し出されたシュズの手に私は手をかざした。
その時、私の手からが放たれ、シュズの手に2つの小瓶が出てきた。

「こ、これは…。」

「その小瓶の中に不治の病を治す薬が入っている。それを妻に飲ませろ。2つあるのは1つはお前の分だ。」

「わ、私の分でございますか…?」

「あぁ、もしもだったら1番近くで過ごしてきたお前も感染しているかもしれないだろう。妻が助かってお前が死んだら元も子もないだろう?2人元気に、幸せに暮らせ。」

そう言って柄にもなく微笑みかけてやる。
そしてシュズは涙を浮かべながら言う

「ありがとうございます!!メシア様、このご恩は一生忘れません!!!」

「なに、礼には及ばないさ。さぁ、急いで妻の所へ行ってやれ。お前の帰りをずっと待っているぞ。」

「はいっ!!また絶対に…お礼に…礼拝に参ります!!!ありがとうございました!!!」

そう言って駆け足で教会から走り去るシュズ。あの薬がかも知らずに。
まぁそんな事はどうでも良かった、今夜はお楽しみが待っている。それを考えるだけで心が踊る。

「おい、シスター。まだ迷える子羊が来るかもしれないだろう。しゃんとしろ。」

放心状態のシスターの尻を撫でつつ声をかける。

「ひゃんっ!?は、はいっ……。」

「それとも、もうにするか?」

にやにやしながら問う。

「い、いえ…まだ救済のお時間ですし、私は修道女シスターです…。なので迷える子羊の救済を……。」

「そうだな、昼間だ。はまだまだ来るだろう。」

開けっ放しになっている大扉を閉めさせ、私は中央の壁に掛けられた大きな十字架の下、そこの玉座に座る。
その横に立つシスター。
私は再び、来るかも分からないを待つことにした。


それがこの町に降臨した救世主メシアとしての私の役割だからだ。
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