遅刻勇者は異世界を行く 俺の特典が貯金箱なんだけどどうしろと?

黒月天星

文字の大きさ
147 / 202
第五章 塵も積もればなんとやら

接続話 女スパイはお出かけを提案する

しおりを挟む

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

「さ~て。どうしたものかしらねぇ」
『……? 何がですか?』
「いやね。昨日色々あって、ちょっとややこしい事になっちゃっているのよん」

 ここは王城の一室。担当する訓練まで手持無沙汰なイザスタは、自身に用意された部屋で手持ちの砂時計を通じて誰かと連絡を取っていた。

「実は天命の石についてアキラちゃんが調べてね。それでちょっと揉めかけちゃったのよ。それぞれの仲が一気に悪くなるんじゃないかってひやひやしたわ」
『その様子だと、そうはならなかったようですね」
「まあね。一度冷静になって話そうって各自部屋に戻ったのだけど、それが良い方に働いたみたい。さっき朝食の時に『勇者』の皆の顔を見たら、大分昨日に比べて落ち着いた顔をしていたわ。……特にユイちゃんは昨日あんまり酷い顔をしていたから正直ホッとしてる」
『ユイというと……貴女が以前私にアドバイスが欲しいと言っていた方ですね。その後お変わりありませんか?』
「それよリーム! それなのよんっ!!」

 イザスタは少しだけ興奮した様子で砂時計の向こうに居る誰か、リームにまくしたてる。

「さっき食事の後で、ユイちゃんが自分から思いの丈を話してくれたのよん! 『私、今日の訓練が終わったら皆さんとまた話してみようと思います。……まだ自分の言葉で上手く伝えられるか分からないけど、それでも……話してみようと思います』って。いやもうほんっと精一杯頑張ろうって姿にお姉さん胸がキュンって来ちゃったわよん」
『……元気でやっているようで何よりです。貴女も、そのユイさんも』

 砂時計から聞こえる声に、極々僅かに呆れに近い感情と成長を喜ぶ感情が混じっている。それを察したのか、イザスタは軽く舌を出していたずら気味に微笑んで見せた。……この連絡は音声だけで姿は見えていないのだけど。

「元気でやっていると言えば、リームってばちゃんとやれている? いやまあ仕事に関しては人一倍しっかりやれてはいると思うんだけど日常的な意味で」
『日常ですか? ……特に問題なく過ごせていますが?』
「その間がちょ~っと怖いのよねぇ。ケンちゃんもオリバーちゃんもそうだったけど、皆して仕事に手を抜くって事を知らないんだから。まあ良いけど」

 その後はちょっとした雑談などを挟みながら、互いの近況報告やら仕事の進捗具合を話していく二人。しかし、途中のイザスタの言葉に一気に話が進展する。

「ところで……ぶっちゃけた話天命の石ってなんとか手に入らない? リームなら何処にあるかも調べが付いているんでしょう?」
『調べ……というほどではありませんが、私の現在居る魔王城の宝物庫に収められている事は直に見て確認が取れています。勿論正当な手続きの上でです』
「さっすがリーム! 仕事が早いわねん! ちなみに貸し出してもらえたりは」
『無理ですね』

 イザスタが若干猫なで声で聞くのだが、リームはばっさりと即答する。

『まず一度しか使えないのに貸し出すも何もありません。次に私のような新参者がそんな貴重な品を欲しいと言っても聞き入れられるとは到底思えません。加えて死の運命を捻じ曲げるような強力な道具をそう簡単に使おうというのがナンセンス。さらに言えば』
「もう分かった。分かったわよんっ!! まったく、相変わらず理屈っぽいんだからリームったら」
『必要な事だからです。……さらに言えば大前提として、という話もありますが』

 その言葉にイザスタもムムッと真剣な顔をする。

『何事も対価もなしに手に入れられるものはありません。通貨、行動、時間、或いは信用で必ず支払われるものです。……それでも手に入るとすれば、それは自分以外の誰かが既に対価を支払っているからです。はたして『勇者』の方々に死の運命を覆すだけの対価を払えるかどうか? そこが私には分からないのです』
「対価って言ってもねぇ。お金で解決って訳にもいかないわよね」
『難しいですね。いったいどれだけの値になるか測りかねます。そもそも知っての通り、ヒュムス国とデムニス国は犬猿の仲。これまでは国家間長距離用ゲートがあった為最低限、本当に最低限国交断絶一歩手前ギリギリですが繋がりがありました。しかし今はそれすらない。こんな状況では国同士で交渉を始める事自体がまず困難と言えます』
「そうよねぇ。まずはそこなのよねん。まだゲートが復旧するまでどれくらいかかるか分からないし、もうしばらく待つしかないかしらね」

 イザスタはふぅ~とため息をつきながら、困ったように手を顔に当てて考える。こればかりは自分一人で解決出来る問題ではないし、どちらかと言えば国が何とかするべき問題だ。

 石がデムニス国にある以上国家間の交渉が必要不可欠。しかしゲートが壊れている以上移動手段は限られるし道中の危険も多い。ならまずはゲートが復旧してからとなるけど、そもそもそこまでして国が石を手に入れようとするかが少し心配だ。

 『勇者』は確かに重要だけど、それをわざわざ元の世界に帰す為に仲の悪い国に借りを作るような真似をするだろうか? もちろん『勇者』の不興を買うのを避ける為何らかの行動を起こすのは間違いない。だけどそれは石を手に入れる以外で誤魔化される事もあり得るのだ。

 またはヒュムス国を通さず『勇者』個人としてデムニス国と交渉を行うという方法もある。しかしそれはヒュムス国にとって裏切り行為と取られる恐れもあるし、なにより個人で対価を払えるほどの実力も財力も功績も足りていない。最近は鍛錬の甲斐あって戦闘力だけならそこそこだが、圧倒的に世慣れしていないのだ。

「手を貸してあげたい所だけど、あんまりこういう事に干渉しすぎるとマズいのよねぇ。何かリームは良いアイデアはない?」
『そうですね……『勇者』の方々がやるべき事は多々有りますが、国家間での交渉を主に進めるのであれば国への発言力を増大させる事。個人として直接交渉するのならそれだけの実力を身に付ける事からですね。どちらにせよ一朝一夕には出来ませんが』
「まずは土台固めからって? 思いっきり正論ね」
『何事も地道な努力に勝るものはありませんから』

 もっともな意見にイザスタも苦笑いする。間違ってはいないのだけど状況を劇的に改善するものではない。しかし今はそれしか手が無いのも事実。

「ありがとね。参考になったわリーム」
『役に立ったのなら何よりです。では私はそろそろ仕事に戻ります。イザスタさんもくれぐれも『勇者』だけではなく本来の仕事を忘れないように』
「は~い。分かってるわよん。また連絡するわね」

 その言葉と共に通信が切れ、イザスタは軽く頭を掻きながら虚空を見つめる。

「……やっぱりまずはアレかしらね。そうと決まれば早く許可を取ってこなくっちゃ! お姉さん張り切っちゃうわよん」

 イザスタは一人考えをまとめて頷くと、考えを実行に移すべくさっそく行動を開始した。




「という訳で、これから皆でお出かけするわよん!」

 急に飛び出たイザスタの発言に、いつものように訓練場に集まった面々はそれぞれ驚いた表情を浮かべた。ここしばらくは襲撃の危険もあってほとんど城にこもりっきりの毎日だったからだ。明と優衣は怪我人の治療で外に出たが、それも城からごく近い場所のみに限定されていた。

「勿論許可も取ってあるわ。ずっと城で講義ばっかりだと色々差し障るのよねん。一般常識とか。だからここは一つ町へ繰り出しちゃおうと思います」

 教えられた知識と自分で体験した知識では大きな差がある。国側としてはもうしばらく城の中に居てほしいという思惑があったのだが、イザスタは『勇者』の成長の為という事で何とか許可をもぎ取ったのだ。……幾つかの条件を出されたが。

「お出かけですか? たまには良いかもしれませんね。優衣さんも皆さんもそう思うでしょう?」
「おう! そうだな明。ず~っと城の中でいい加減飽き飽きしていた所だ」
「ふん。やっと出歩ける訳か」

 余程鬱憤が溜まっていたのだろう。明達が久々の外出に胸躍らせる中、優衣は一人不安そうに声を上げる。

「で、でも大丈夫なんでしょうか? また前みたいに襲撃なんてことは」
「そうね。その危険性は完全には否定できないわ。凶魔はディランちゃんや衛兵さん達の活躍であらかた撃退されたと思うけど、まだ襲撃犯の一味が潜伏している可能性はある。なので、今回は護衛を増やす事になったのよん」

 そうイザスタが言うのと同時に、強い圧力と共に訓練場に何者かが入ってきた。

 その者は異様だった。全身を銀と灰色を基調とした鎧で覆い、同じ材質であろうフルフェイスの兜を装着して素顔が分からない。腰には一本のロングソードを差しているが、鎧がほとんど傷らしい傷もないのに対して剣の鞘の部分は酷く傷だらけだ。

 鎧は無駄な装飾もなくややシャープな印象を受けるが、それにしても普通に考えれば相応の重量があると考えられる。なのにほとんど金属音も足音もしないのだ。

「な、なんだアレ?」

 黒山はとっさに拳を構えるが、本人も気がつかないほど僅かに拳が震えている。それは高城や優衣も同じく、訓練場の入口に控えていたそれぞれの付き人達も同様だ。

 アレに殺気はない。それどころか敵意も害意もない。あるのはその何者かから漏れ出る指向性のないただの圧力のみ。それでもここまで鍛錬を重ねてきたからこそ、本能的に感じ取ってしまったのだ。

 

 この中で平静を保てていたのはイザスタと明だけだった。それでも明は冷や汗が浮かんでいたし、イザスタも珍しく少し真剣な顔つきでこの鎧の騎士の動向を見守っている。

 鎧の騎士は静かに『勇者』達の前に歩み寄ると……そのまま片膝をついて首を垂れた。その瞬間漏れ出ていた圧力がフッと消え去り、この場に居たほとんどの者が安堵のため息をつく。

「え~っと、初対面でいきなりこんな事になっちゃったけど、この人が追加の護衛としてしばらく動いてくれるレオンちゃんよ。……分かると思うけど実力の方は保証付きよん。普段は少し離れた所に居るけど、いざとなったらすぐに駆け付けてくれるから頼りになるわ!」

 イザスタが少し重くなった雰囲気を振り払うように明るく語るが、鎧の騎士……レオンは黙ったままだ。かなり無口な気質らしい。

「あの、実力の方は分かったんですけど、この人いったい何者なんですか? こんな目立つ人これまで城内に居たらすぐに分かると思うんですけど」
「ああ。それね。なんでもレオンちゃんってばしばらく交易都市群の方に居たらしいんだけど、王都襲撃の報を聞いてさっき帰ってきたらしいわよ。そこで丁度追加の護衛を探してた所だったし、無理言って引っ張ってきたってわけ」

 明の質問にイザスタは軽い調子で返す。そして一拍間を空けると、さらに加えてこう言った。

「あと『剣聖』って呼ばれてるらしいわよ。ヒト種最強の剣士ですって」

 その一言でまた場が固まったのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...