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第二話
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「え、まだあのヒモ飼ってたの?」
「飼ってるってゆーな」
今日は大学で同期だった遥と久しぶりに会っている。こうして会うのは久しぶりだ。大学時代は毎日のように一緒だったのに、いつの間にかときどきLIMEで連絡を取り合う程度となってしまった。
「ヒモなんて将来ないよ。私らもう27なんだし、さっさと追い出して彼氏見つけなよ」
「これでいいの、私は。それにヒモって言うけど、ご飯はちゃんと毎日作ってくれるし、他の家事だってちゃんとやってくれてるよ?」
「それは捨てられないように媚び売ってるだけ。まさかそのまま結婚とかする気じゃないよね?」
あまり考えたことはなかったが、ふと想像してみる。
今の生活が今後もずっと続いていくってことだよね。……うん、悪くないんじゃない?
「……ありかも」
「は? マジで言ってんの? もし子供とか出来たらどうするわけ?」
「しばらくは育休とったり時短勤務したりすることになるだろうけど、大丈夫じゃない? 今までの蓄えもあるし。私、結構稼いでるから」
「え、子供生まれてからもずっと今のまま働く気なの? 私は無理だわー。会社辞めて専業主婦になりたいし。――あ、そうそう。この前私、彼氏出来たんだよね。ほら、この人! 慶早大出のエリートで今は商社に勤めてるんだー」
遥はスマホの画面を見せてくる。そこには如何にもエリート然とした男が写っていた。仕事できそうだし、顔も整っている。所謂、優良物件ってやつ?
「へぇ。出来そうな人だ。よかったね、遥」
「でしょー?! この前もすっごいお洒落なフレンチのお店連れてってくれたんだよ。いやー、私あんまりそういうところ慣れてないから緊張しちゃって。何着てけばいいかわかんなかったから、彼に聞いたらさーー」
遥は彼氏の惚気話を続けていく。正直、内容にはあまり興味はなかったが、遥が幸せそうなので私もほっこりとした気分で聞いていた。うん、うんと相槌を打っているだけなのに話は淀みなく続いていく。
「幸せそうじゃん」
「うん、幸せー! あ、そうだ! この前、彼の同期で彼女募集中の人いるって言ってたし、せっかくだから空に紹介してあげるよ。ヒモなんかよりそっちの方が絶対いいって!」
その瞬間、私の中の温度が急激に冷えた。冷や水を浴びせられた気分だ。
なんでそんなに裕人を否定したがるんだ。私は充分幸せだって言うのに。きっと私のことを思ってのことだろうけど、余計なお世話だ。
「いいって。新しい男にかまってる暇なんてないし。それに私は今のままで充分――」
「いいから、いいから。今日帰ったら彼に聞いとくね」
「いや、だから私は――」
「いっそ四人で遊びに行ってもいいね! もうすぐ夏だから……BBQとか? 彼、アウトドア趣味もあるからきっとうまいこと準備してくれるし」
「ちょっと人の話を――」
「あ、LIME返ってきた。まだ彼女いないってさ。よかったね!」
「……ごめん、今日はもう帰るね。お金は私が払っとくから」
私は伝票片手に席を立って会計へと向かった。こんな子だったっけ? それとも彼氏が出来てテンションがおかしくなってるだけ?
「え、あれ? なんか怒った? ねぇ、空ってば――」
今日はもういいや。これ以上話聞いてられないし。……せっかく楽しかったのになぁ。
「飼ってるってゆーな」
今日は大学で同期だった遥と久しぶりに会っている。こうして会うのは久しぶりだ。大学時代は毎日のように一緒だったのに、いつの間にかときどきLIMEで連絡を取り合う程度となってしまった。
「ヒモなんて将来ないよ。私らもう27なんだし、さっさと追い出して彼氏見つけなよ」
「これでいいの、私は。それにヒモって言うけど、ご飯はちゃんと毎日作ってくれるし、他の家事だってちゃんとやってくれてるよ?」
「それは捨てられないように媚び売ってるだけ。まさかそのまま結婚とかする気じゃないよね?」
あまり考えたことはなかったが、ふと想像してみる。
今の生活が今後もずっと続いていくってことだよね。……うん、悪くないんじゃない?
「……ありかも」
「は? マジで言ってんの? もし子供とか出来たらどうするわけ?」
「しばらくは育休とったり時短勤務したりすることになるだろうけど、大丈夫じゃない? 今までの蓄えもあるし。私、結構稼いでるから」
「え、子供生まれてからもずっと今のまま働く気なの? 私は無理だわー。会社辞めて専業主婦になりたいし。――あ、そうそう。この前私、彼氏出来たんだよね。ほら、この人! 慶早大出のエリートで今は商社に勤めてるんだー」
遥はスマホの画面を見せてくる。そこには如何にもエリート然とした男が写っていた。仕事できそうだし、顔も整っている。所謂、優良物件ってやつ?
「へぇ。出来そうな人だ。よかったね、遥」
「でしょー?! この前もすっごいお洒落なフレンチのお店連れてってくれたんだよ。いやー、私あんまりそういうところ慣れてないから緊張しちゃって。何着てけばいいかわかんなかったから、彼に聞いたらさーー」
遥は彼氏の惚気話を続けていく。正直、内容にはあまり興味はなかったが、遥が幸せそうなので私もほっこりとした気分で聞いていた。うん、うんと相槌を打っているだけなのに話は淀みなく続いていく。
「幸せそうじゃん」
「うん、幸せー! あ、そうだ! この前、彼の同期で彼女募集中の人いるって言ってたし、せっかくだから空に紹介してあげるよ。ヒモなんかよりそっちの方が絶対いいって!」
その瞬間、私の中の温度が急激に冷えた。冷や水を浴びせられた気分だ。
なんでそんなに裕人を否定したがるんだ。私は充分幸せだって言うのに。きっと私のことを思ってのことだろうけど、余計なお世話だ。
「いいって。新しい男にかまってる暇なんてないし。それに私は今のままで充分――」
「いいから、いいから。今日帰ったら彼に聞いとくね」
「いや、だから私は――」
「いっそ四人で遊びに行ってもいいね! もうすぐ夏だから……BBQとか? 彼、アウトドア趣味もあるからきっとうまいこと準備してくれるし」
「ちょっと人の話を――」
「あ、LIME返ってきた。まだ彼女いないってさ。よかったね!」
「……ごめん、今日はもう帰るね。お金は私が払っとくから」
私は伝票片手に席を立って会計へと向かった。こんな子だったっけ? それとも彼氏が出来てテンションがおかしくなってるだけ?
「え、あれ? なんか怒った? ねぇ、空ってば――」
今日はもういいや。これ以上話聞いてられないし。……せっかく楽しかったのになぁ。
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