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本編
夜会とドレス
しおりを挟む説得を成功させるには、まず一番に相手を知らなくてはならない。
というわけで本日は、主に興味がなかったという理由で一度も参加したことのない夜会に従者を引き連れて参加してみた。
今日はまだ相手に接触しないので女装している。女なのに女装とはこれいかに。
「………僕を巻き込まないでくれませんか」
「まあそう怒るなレイ。そんな不貞腐れた顔では女性も目も当てられないよ」
「あんたのせいですごく見られるんですけど」
「君が珍しく顔を出したからでは?」
「いや間違いなくあんたです」
ああ、そういえば女装で貴族の前に出るのは初めてだったな。父がめちゃめちゃ張り切っていた……母は泣いて嫌がっていたが。
ちなみにうちのレイは究極の女顔である。
スラックスよりスカートが似合い、女性ではなく男性にモテる。
ちなみに一部の女性のあいだでは違った意味合いで人気を集めており、それがまた彼の女嫌いに拍車をかけている。
「それにしてもお前、また背が伸びたなぁ。この調子だと子猫ちゃんから女豹くらいには成長できるんじゃないか」
「死ね」
最近の子はすぐ死ねって言う。ひぃん。
そうだ、頭に男前をつければ解決じゃないだろうか。他にも色男とか「抱いて!」とか。うん、次からそうしよう。
「レイくん、ギデロンくんは」
「ギデオン」
「ギメオンくんはどこだろう」
「は?そんなの自分で探してくださいよ。あんたの婚約者でしょ」
「あんなどこにでもいるようなモブ顔覚えているわけないだろう」
「あんたそんなだから浮気されるんですよ」
それな。
いやしかし本当に覚えていないんだ……閣下には全然似ていないから、閣下のご主人に似ている説が濃厚だな。
流石私。これでギギオンくんの顔を思い出せるぞ。さて、その為にはまず閣下のご主人の顔を思い出さねば。
「ダイアナ様、いました」
「え、アレ?」
「違いますアレです」
「いやアレは閣下だろう」
「違います、アレがギデドンくんです」
ギニオンくんな。
いやしかしアレはどうみても閣下……あれ、スラックスはいてる。そうか。アレが私の婚約者の……ギト……ギト……くんか。
「そして隣にいる阿婆擦れがドローレス伯爵家の養女になったフェリシア嬢ですね。………なるほど、決め手は胸部kごほッ」
「ははは、馬鹿が」
鳩尾をおさえ呻く駄犬を悪意を込めて罵倒する。安心してくれ、私は身内以前に世の中の全ての女性の味方だ。
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