【完結】婚約者の浮気相手に「私にしない?」と囁いてみた

長草琵琶

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本編

心にもない愛

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「ふふ……君から見て、君のダーリンはそんなに可哀想に見えるかい?」
「……っ彼のどこが幸せそうだと言うんですか!貴方がギデオンを縛る為に、同世代の令嬢を脅して見張らせていることはとうに知っています!!許せない……!!」
「脅して見張らせる!なるほど、それは極悪人だな」
「馬鹿にして……っ」

   おや、勝手に遊ばれているものと勘違いしていたが、どうやら我が婚約者様はそれなりに愛されているらしい。

 『許せない』か。本当におかしなことを言う子だ。

「……すごいね君は。所詮親に従うことしかできない貴族令嬢私たちと違って、自分を持っている」
「さ、さっきからなんですか?!私の話をからかってばかりで……!」
「ああすまない。好きな子はいじめてしまうタイプでね」
「は、はぁ!?」
「では、返事をしようか。私はギロロンくんを束縛したことなんて一度もないよ」
「ギデオンだ……」
「勿論、君に嫉妬して嫌がらせを働く気は微塵もない。何故なら、私はオニオンくんに気ほども興味が持てないからだ。どちらかというと君の方がタイプだ」

 ひとつひとつ丁寧に誤解を解いていくと、フェリシア嬢は最初信じられないと両手を口に当てたが、次第に恋人を見る目がどんどんと冷めていく。

 私に向ける視線から疑心が薄れたのを見て、追い討ちをかけた。

「ただ、君たちには慎み深い行動をしてほしいとは思う。私とオニオンくんが結婚し、我が家が王族の庇護下に入る。それが閣下の……クローディア公爵の望みだからね」
「……!王妹の……」

 世間知らずのお嬢さんも、さすがに彼女のことは知っているらしい。閣下ったら有名人。かるーく釘も刺したとこだし、そろそろとどめをさしにいくかな。

「でもね、どうしても君たちが一緒になりたいと言うのなら、私は身をひいていいと思っているんだ」
「え……」
「だけど君の心は、王族と触れ合うには美しすぎる」

 真摯な目をまっすぐ向け、なるべく優しい声でそういうと、彼女の視線がようやく私だけに向く。

 先程と違い、静かに続きを待つ彼女に微笑みかけた。

「私は一応、5年間それの婚約者をしている。心無いことを言われることも………利用されることもあった」
「……」
「私はそういう場所で生まれ育ったから、まだ良い。でも、君には」
「……」
「君には、これが当たり前だと思わないままでいてほしいんだ」

    徐々に赤く色づきだした柔らかい頬に触れ、囁いた。

「変わってしまうくらいなら………私にしないか?」

 彼女越しに真っ青になっている婚約者を、鼻でわらって。
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