【完結】婚約者の浮気相手に「私にしない?」と囁いてみた

長草琵琶

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本編

おわり

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  随分喋るようになったこと。さっきまでダイアナ様に泣きながら謝っていたくせに。

 あーあ、早く亡くならないかしら……ダイアナ様も叔母さまのことは従うべき人と思っているみたいで、叔母さまに傅く姿がたまらなく忌々しい。

「ところで、のうダイアナ。妾はそなたに聞きたいことがある」
「ん?なんですか?」

 ほら、今だって叔母さまの爪磨きなんてして………ダイアナ様になんてことを………なんて………なんて羨ましい!

「え、あんたいつからいました?」
「辛辣だなレイ。同じ邸からきたろう?」
「いやだって全然会話参加しないし空気だったじゃないですか」

 今日のダイアナ様はいつも通り男性の装いで、青い紙紐で括った髪がとても凛々しい。

 叔母さまの世話を焼く姿も相まって、まるで物語に出てくる騎士のようだ。

 ダイアナ様は普通の貴族と違って自己主張というものをあまりしない方だ。

 初めてあった時からしている男装も『みんなにチヤホヤされるため』なんて言っているけど、もっと他の理由があるように思えてならない。

「つか、殿下のクソ重感情をよくも平然と聞いてられますね。普通引きますよ。ドン引きですよ」
「そうか?私は愛らしいと思うぞ」
「ダイアナ様……!」
「む、ダイアナ!カノンだけずるいぞ!」

  ダイアナ様は外見だけでなく、心も海のように広く優しい素敵な方。

 父よりも母よりも私を愛してくれる。それが私だけじゃないのが、残念だけれど。

「で、なんでしょう閣下。私に聞きたいこととは」
「おお、そうであった……ダイアナ、おぬしギデオンの居場所を知っているのではないか」

 叔母さまの確信めいた言葉に、ダイアナ様は不思議そうに首を傾げる。

「さあ、夜会以来見てないですね。どうしてそう思ったのですか?」
「おぬし、ギデオンの女を誑かしていただろう。あやつはおぬしが去った後、女の心を取り戻そうと必死だったが……フェリシアはそれに目もくれず、お前を追ったと聞いた」
「なるほど、それで御子息も私の近くにいるのでは、と?」

    確かにギデオンは、自分に見向きもしなくなった女を必死に追いかけていた。

 静かに答えを待つ私たちに、ダイアナ様は困ったように笑った。

「残念ですが、彼はおろかフェリシア嬢も見ていませんね。仲直りしてお泊りでもしているのではないですか?」
「………そうか」

  ダイアナ様は嘘をつかない。

 叔母さまもそれ以上は詮索せず、飲みづらそうに紅茶を飲み干した。






 その後、ギデオン・アーチボルトとフェリシア・ドローレスの行方が確認されることは二度となかった。
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