41 / 51
#5 海と島人
40 計画、それが一番楽しい
しおりを挟む
彼と恋人になって四年が経つ頃、彼は私に「海に行かないか」と尋ねた。
「海ですか?」
「四か月休みを貰ったんだ、お前のおかげで」
私は彼の仕事を手伝うようになり、私も職員として認められたのだ。彼にひっついているうちに、何故か彼が昇進した。
現に所長をなさっているジャック様が、適当な性格だからだと思う。
その昇進のおかげで彼は何人か部下を得て、そして自分の仕事を任せられるようになった。
彼本人はそれほど人を使うのが得意でないようだけれど、私はその開発目的故に人を使うのはそれなりに上手いので。
そういうわけで、私は彼の長期休暇も把握していた。
「個人旅行では遠すぎると仰っていたのは貴方ですよ」
「ジャックさんが軍の遠征に行くんだってさ。帰りは色々寄り道するらしいから遅くなるけど、行きは軍の特殊車両に乗せてくれるらしいんだ」
「軍の特殊車両に乗ってもいいんですか?」
「総長が良いって言ってるんだから、部下はどうこう言えないんだよ」
「そんなことをしているから貴方は軍人さんから嫌われるんですよ」
伝統的に王国の王城に仕える王国騎士団とは別に、近年新設されたセラフィム護衛軍という名の武力団体は、今やお飾りと化した王国騎士団に代わり、神域結界内部及びその境界付近の治安維持を一手に担っている。
そもそもの由来は、まだ教会が十二しかなかった時代に九番目の教会を守っていた騎士団だそうだ。
そんな彼らは騎士と区別されて軍人と呼ばれている。
セラフィム護衛軍は、そんなジャック様が暗黒の時代に結成した。
当時はルシファー様はお隠れになっていたので、秘密裏の結成だった。
この物語は断罪と贖罪編にて記されている。
「ほら、お前海を見てみたいって言ってただろ?」
「それはずっと前の……去年のことですよ」
しかも別に本気で計画していたわけでもなく、なんとなく呟いただけ。当の私ですら忘れていた。
「今年は思ってないのか?」
「いえその……そんなことはありませんが、覚えていらしたんですね」
「覚えてるに決まってるだろ。行きたくないか?」
断るなんてあり得ない。
せっかく言ってくれるのを無下にしたくもないし、それに軍人さんと一緒とはいえ、彼と旅行するなんて心が躍る。
「喜んでお供します」
私は笑ってそう言った。
「マジか、あははっ、楽しみだな!」
子供みたいに喜ぶ彼が、愛おしいと思った。
「海ですか?」
「四か月休みを貰ったんだ、お前のおかげで」
私は彼の仕事を手伝うようになり、私も職員として認められたのだ。彼にひっついているうちに、何故か彼が昇進した。
現に所長をなさっているジャック様が、適当な性格だからだと思う。
その昇進のおかげで彼は何人か部下を得て、そして自分の仕事を任せられるようになった。
彼本人はそれほど人を使うのが得意でないようだけれど、私はその開発目的故に人を使うのはそれなりに上手いので。
そういうわけで、私は彼の長期休暇も把握していた。
「個人旅行では遠すぎると仰っていたのは貴方ですよ」
「ジャックさんが軍の遠征に行くんだってさ。帰りは色々寄り道するらしいから遅くなるけど、行きは軍の特殊車両に乗せてくれるらしいんだ」
「軍の特殊車両に乗ってもいいんですか?」
「総長が良いって言ってるんだから、部下はどうこう言えないんだよ」
「そんなことをしているから貴方は軍人さんから嫌われるんですよ」
伝統的に王国の王城に仕える王国騎士団とは別に、近年新設されたセラフィム護衛軍という名の武力団体は、今やお飾りと化した王国騎士団に代わり、神域結界内部及びその境界付近の治安維持を一手に担っている。
そもそもの由来は、まだ教会が十二しかなかった時代に九番目の教会を守っていた騎士団だそうだ。
そんな彼らは騎士と区別されて軍人と呼ばれている。
セラフィム護衛軍は、そんなジャック様が暗黒の時代に結成した。
当時はルシファー様はお隠れになっていたので、秘密裏の結成だった。
この物語は断罪と贖罪編にて記されている。
「ほら、お前海を見てみたいって言ってただろ?」
「それはずっと前の……去年のことですよ」
しかも別に本気で計画していたわけでもなく、なんとなく呟いただけ。当の私ですら忘れていた。
「今年は思ってないのか?」
「いえその……そんなことはありませんが、覚えていらしたんですね」
「覚えてるに決まってるだろ。行きたくないか?」
断るなんてあり得ない。
せっかく言ってくれるのを無下にしたくもないし、それに軍人さんと一緒とはいえ、彼と旅行するなんて心が躍る。
「喜んでお供します」
私は笑ってそう言った。
「マジか、あははっ、楽しみだな!」
子供みたいに喜ぶ彼が、愛おしいと思った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
《完結》追放令嬢は氷の将軍に嫁ぐ ―25年の呪いを掘り当てた私―
月輝晃
恋愛
25年前、王国の空を覆った“黒い光”。
その日を境に、豊かな鉱脈は枯れ、
人々は「25年ごとに国が凍る」という不吉な伝承を語り継ぐようになった。
そして、今――再びその年が巡ってきた。
王太子の陰謀により、「呪われた鉱石を研究した罪」で断罪された公爵令嬢リゼル。
彼女は追放され、氷原にある北の砦へと送られる。
そこで出会ったのは、感情を失った“氷の将軍”セドリック。
無愛想な将軍、凍てつく土地、崩れゆく国。
けれど、リゼルの手で再び輝きを取り戻した一つの鉱石が、
25年続いた絶望の輪を、少しずつ断ち切っていく。
それは――愛と希望をも掘り当てる、運命の物語。
手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】
まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と…
「Ninagawa Queen's Hotel」
若きホテル王 蜷川朱鷺
妹 蜷川美鳥
人気美容家 佐井友理奈
「オークワイナリー」
国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介
血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…?
華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる