役立たずの雑用係は、用済みの実験体に恋をする。――神域結界の余り者

白夢

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#5 海と島人

40 計画、それが一番楽しい

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 彼と恋人になって四年が経つ頃、彼は私に「海に行かないか」と尋ねた。

「海ですか?」
「四か月休みを貰ったんだ、お前のおかげで」

 私は彼の仕事を手伝うようになり、私も職員として認められたのだ。彼にひっついているうちに、何故か彼が昇進した。

 現に所長をなさっているジャック様が、適当な性格だからだと思う。

 その昇進のおかげで彼は何人か部下を得て、そして自分の仕事を任せられるようになった。
 彼本人はそれほど人を使うのが得意でないようだけれど、私はその開発目的故に人を使うのはそれなりに上手いので。

 そういうわけで、私は彼の長期休暇も把握していた。

「個人旅行では遠すぎると仰っていたのは貴方ですよ」
「ジャックさんが軍の遠征に行くんだってさ。帰りは色々寄り道するらしいから遅くなるけど、行きは軍の特殊車両に乗せてくれるらしいんだ」

「軍の特殊車両に乗ってもいいんですか?」
「総長が良いって言ってるんだから、部下はどうこう言えないんだよ」
「そんなことをしているから貴方は軍人さんから嫌われるんですよ」

 伝統的に王国の王城に仕える王国騎士団とは別に、近年新設されたセラフィム護衛軍という名の武力団体は、今やお飾りと化した王国騎士団に代わり、神域結界内部及びその境界付近の治安維持を一手に担っている。
 そもそもの由来は、まだ教会が十二しかなかった時代に九番目の教会を守っていた騎士団だそうだ。
 そんな彼らは騎士と区別されて軍人と呼ばれている。

 セラフィム護衛軍は、そんなジャック様が暗黒の時代に結成した。
当時はルシファー様はお隠れになっていたので、秘密裏の結成だった。
 この物語は断罪と贖罪編にて記されている。

「ほら、お前海を見てみたいって言ってただろ?」
「それはずっと前の……去年のことですよ」

 しかも別に本気で計画していたわけでもなく、なんとなく呟いただけ。当の私ですら忘れていた。

「今年は思ってないのか?」
「いえその……そんなことはありませんが、覚えていらしたんですね」
「覚えてるに決まってるだろ。行きたくないか?」

 断るなんてあり得ない。
 せっかく言ってくれるのを無下にしたくもないし、それに軍人さんと一緒とはいえ、彼と旅行するなんて心が躍る。

「喜んでお供します」

 私は笑ってそう言った。

「マジか、あははっ、楽しみだな!」

 子供みたいに喜ぶ彼が、愛おしいと思った。
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