俺の恋

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俺の恋

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俺は来島裕泰。24歳の冴えない男である。俺はあまり恋愛経験がない。決して女性と接しるのが苦手と言う訳ではない。過去のあるトラウマで女性に告白出来ないだけである。だがこんな俺でも付き合ってくれる人が居た。それは俺が高校を辞めてグレている時に友達の紹介で付き合った子である。彼女と居る時間はとても幸せだった。しかしそんな幸せも長くは続かなかった。3年付き合った彼女に突然「東京行くから別れよう」と言われた。そして別れた。それから暫くはショックで何も手につかなかった。そんなある日俺はとある街のキャバクラにフラッと立ち寄った。そこで俺はある人と出逢った。それが今の嫁さんである樹梨亜だった。今は冴えない4人の父親だがその当時はとても荒れていて誰でも喧嘩を吹き掛ける様などうしようもないワルだった。そんな俺をいつも笑顔で迎えてくれた樹梨亜は天使のようだった。樹梨亜とはよくプライベートでも遊んだ。でも樹梨亜の事が好きでも告白は出来なかった。何故なら過去のトラウマが怖かったからである。中学時代のある日好きな子に告白したが振られた。次の日に学校に行くと同学年の殆どの女子が知っていて、俺はそれを理由に馬鹿にされた。その過去のトラウマが俺が樹梨亜に告白出来ない理由なのだ。最初はよく遊んでいたし、連絡もほぼ毎日していたのに、徐々に遊ばなくなり連絡もしなくなった。俺は連絡したかったが連絡しても既読がつくだけで連絡はなかった。暫く経ったある日店に行ったら樹梨亜が仲良さそうに男と喋っていた。ボーイの話によるとその男は樹梨亜の彼氏なのだと言う。しばらく見ていると樹梨亜がこっちに気付き目が合った。でも俺はすぐに目を逸らし逃げる様に店を去った。それからは仕事に没頭した。そんなある日樹梨亜から連絡があった。内容は『しばらくお店来てないけど元気?久しぶりに会いたいからお店に来てよ!』という内容だった。俺は『分かった。行くよ。』とだけ送って店には行かなかった。その後も樹梨亜からはちょこちょこ連絡がきたが殆ど返さなくなっていた。ところが樹梨亜が『ヒロくん…大事な話があるから会いたい』と連絡がきた。俺は正直会いたくなかったが大事な話という部分に引っかかり会うことにした。待ち合わせ場所は公園だった。俺は待ち合わせ時間より少し早めに公園に着いた。そこには既に樹梨亜が待っていた。「ヒロくん!」樹梨亜が大きな声で手を振りながら叫んだ。俺は近くまで行き「恥ずかしいから叫ぶんじゃねぇよ!」と少し怒り気味に言った。樹梨亜は少しシュンとなった。少し移動した所にベンチがあったので2人で腰掛けた。暫く沈黙が続いたが、先に口を割ったのは樹梨亜だった。「あのねヒロくん…実はねあの男の人と別れたの…」樹梨亜が言っているあの男の人とは、俺が店に行った時に樹梨亜と仲良さそうに話していた奴だ。「そうなんだ。俺2人ともお似合いだから結婚とかするのかと思ってたよ。」俺は心にも無い事を口にした。「でもね…私気付いたの…」そこまで言って樹梨亜が突然黙って震えだした。俺はそれに気付き「どうしたの?泣くなよ!」「別に泣いてなんかない!」というやり取りが暫く続いた。その後少し落ち着いた樹梨亜がまた話始めた。「実はね。ヒロくんが私の事好きなの気付いてたよ!でもなかなか告白してくれないから嫉妬して欲しくて、告白して欲しくてあの男の人と付き合ったの…」「それで?」俺は少し冷たそうに返事した。「それで、あの日ヒロくんが久しぶりにお店に来た日私と目が合った瞬間に逃げる様に店を去った時悲しかったし、ヒロくんが遠くに行っちゃう気がして怖かった。」それを聞いた俺はすこし怒り気味に言った。「気付いてたならなんでそれをオレに好きなの?とか聞いてこねぇんだよ!何で他の人と付き合ったりしたんだよ!俺は正直樹梨亜に告白するのが怖かったんだよ!振られるんじゃないかと思って告白出来なかった!その時告白してたら付き合ってたのかよ?」樹梨亜は泣きながら小さい声で「うん。付き合ってたよ。」と答えた。俺は正直びっくりした。びっくりしつつも俺はあの男と別れた理由を聞いた。「家に遊びに来るってなって、実はシングルマザーで4人子供が居ること伝えたら別れるってなったの…」俺はさらにびっくりした。樹梨亜は28歳だが年齢を感じさせない若さがあったし結構痩せていたので子供が居るとは思ってなかった。「子供居るんだ…」「やっぱりヒロくんも子持ちの人とは付き合えないよね?自分の子供じゃないもんね。ごめんね。」そう言いながら樹梨亜は去ろうとした。俺は樹梨亜の腕を掴んで言った。「ちょっと待ってて!誰が子持ちなんかとは付き合わないって言ったよ!俺にはそんなの関係ねぇよ!守るもんが樹梨亜だけじゃなくて4人の子供も守れば言い訳だろ?」「でもヒロくんの子供じゃないんだよ?」「だからそんなの関係ねぇって言ってんだろ!」俺は続けて言った。「俺は樹梨亜が好きだ!その好きな人の子供ならその子供だって俺は好きだ!」樹梨亜が泣きながら抱きついてきて「ヒロくんありがとう。私も好き。」その日から俺と樹梨亜は付き合う事になった。1年という長い期間を費やして俺は樹梨亜の子供と慣れる事が出来た。その後俺と樹梨亜は周りから反対されたが結婚する事にした。結婚生活は思いのほか幸せだった。現在では4人の子供の…おっとイケナイイケナイもうすぐ産まれてくる子も含めれば全員で5人の父親である。樹梨亜はもう少しで30歳になるが今でも素晴らしい美しさを保っている。
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