【R18】犬猿の仲なもので

冬見 六花

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深々とナカに突き刺さっているものから齎される快感を必死に受け止めようと無意識に蠕動すると、そのたびに私に覆いかぶさるヤマトの喉元から苦しそうな呻き声が聞こえてくる。

「ッ、ハア……ゃべっ、んだよ、これ……」
「ッン、ふ……っ、ゃ、まと………わ、私の、なか……へ、変……?」
「変になるほどめっちゃ気持ちいいっ…。あっちーしグッショグショだしうねるし、腰溶けそっ…」

言われた言葉は恥ずかしいが、好きな人が自分で気持ちよくなってくれることの幸福が、これほど筆舌尽くし難いものなのだと、もはや感動のようなものを覚えた。
私を見て興奮して、でも気遣ってくれて、愛してくれる。
そう思うとポロポロと先ほど目を赤くするほど流れた涙がまだ溢れてきた。

悲しいんじゃない。
痛いんじゃない。
苦しいんじゃない。

そのことをヤマトはわかっているのか、愛おしそうに見つめてくれている。

「ラキ、どうした?馴染むまで動かねぇから」

愛でるように私の頭上の耳ごと撫でて、キスをくれて、それが心地良い。
自分の体とベッドに挟まれている尻尾が動ける範囲で全力で動いていることがわかる。

「わ、たし……ヤマトに、だけ……素直に、なれないの……。ほんとは、大好きなのに……ヤマトにだけ……怒っちゃうの……ごめ、ね……き、嫌わ、ないで……」

自分の素直な気持ちを言っておきたかった。
でもきっとこの睦事を終えたらいつものヤマトの前だけ素直になれない私に戻ってしまう。身も心もまっさらにさらけ出している今、この時に伝えておきたかった。

「――ハハッ、なんだそれ。俺にだけとか………最っ高の愛の告白だなっ!」
「アア゛ッ!、んあっ、ハッ、…っ、……アッ、っゃあ、!ンン゛~~~~~っっ!」


そうして、まるで衝撃のような抽挿がはじまった。



先程頭を撫でられて僅かにゆとりが生まれた膣は愛液をどんどん作り上げ抽挿を体中で表現するかのように喜んだ。

噛み付くようなキス
首や鎖骨を舐めるようなキス
胸の先端を赤子のように吸うキス
手指を舐めるようなキス
ヤマトは腰を巧みに動かしながらそれらを行っていく。私の体はそれらすべてに歓喜し、怒張を締め上げ、愛液を作る。

「アッ、うぅぅ、っはあ゛……ンン、アッ、っは、~~~~~っ゛……だ、めぇっ……っ゛……また、…き、来ちゃっ……ヤマッ……あ、っ、んんあっ………んんぅ、」
「っ、…ラキっ……来ちゃうじゃない。“イク”だ。俺でイクとこ、俺に見せてくれ…」
「っや、ぁっ~~~、み、見ちゃ……だめっ……っやあ、………ヒィッ!イッ……イッちゃ、ぁ!…っふぁ、……っひゃ、ぅ、イッちゃ、っの……っやあぁ!」


ギシギシと立派なはずのベッドが軋む音がする。その音がだんだんと早くなっている。


限界が近い。
私も。ヤマトも。


ギュウっと絞り上げるかのようにヤマトを締め付けているのが、自分でもよくわかる。


「あぁ、可愛いなぁ、ラキ。ラキは素直じゃねぇからな。ほんとは見てほしいんだろ?安心しろよ、ラキ。俺はお前の全部を見て、全部愛してるよ。素直なラキも、素直になれねぇラキも、な」

「アアアッ、~~~~~っ゛……や、まとぉぉ……好きっ……っん、あ!……だ、だい、すき……っきゃ、っん……っ゛!あっ……もっ、イッ!!……っ゛―――――ンン゛ァァアアアアッッ!!!」




――――――ドクンッ……ドクンッ……




脈打ったのは鼓動なのだろうか。
へその内側にじんわりとした熱を感じる。その温もりが嬉しくて涙が横に流れていった。


「…ッハァ…ッハァ…ほんとに、夢みてぇだ。ラキ、愛してる」
「ヤ……マ、ト……わ、たしも……大、すき」
「そこは愛してるって言ってくれねぇの?」
「そ、れは……その、……」
「はいはい。ラキちゃんは俺のこと愛してるけど恥ずかしくて言えないんだな」
「~~~~~っ、ば、ばかぁ!」
「ハハッ!俺も愛してるよ。ラキ」

素直になれない私の「バカ」をヤマトは「愛してる」と訳した。
そのことが気恥ずかしくて、でも嬉しくて、でもやっぱり素直に言えなくて、ヤマトの両頬に手を添えて自身へと引き寄せキスをした。

「っ!」
「その…言葉は、言えるようになるまで……もうちょっと、待って……」
「ちょ、待て。ラキからのキス。やべぇ。しかもなにその顔、可愛すぎんだろ。俺の嫁可愛すぎっ!よっしゃあ!元気でた!じゃあ次後ろからな」
「えっ!?お、終わりじゃないの!?」

一度怒張が引き抜かれたかと思うと、クルンとうつ伏せにされてまた濡れそぼった秘裂にヤマトが入ってきた。

「ンンンッッ!!……っは、あ……なん……でぇ……」
「ラキ。獣人は本来、後背位が基本だぞ。それにラキの可愛い尻尾見ながらしてぇだろうが」
「―――アゥウッ!……し、尻尾、さわっちゃ、……アアァン、アッ!ヒャァウンン!!」







“貪る”とはまさにこのことだと体感しながら私達はその日一日中互いを求め合った。他種族獣人との子作りには前もって準備が必要な為に妊娠の心配はないのだが、それにしたって交尾がこんなに激しい行為だとは知らなかった。

結局定休日は貪られるだけで過ごした次の日の夕方、足腰が未だフラフラの状態で出勤し、心配してくれたメリーに礼を言ったのだが、それよりも何故フラフラなのかをニヤニヤされながら問いただされたのは言うまでもない。



鼠獣人さんはあの後すぐに自警団に捕まり、この街の通行拒否令が下され、即刻街から追い出されていた。
だがどうにも侵入されたかもしれない家にいたくなく引っ越そうと思っていると、あれよあれよという間にヤマトと同棲をすることになり、家はすぐさま引き払った。
未だヤマトは首族長となってはいない為に、一緒に住むのは良いのだろうかと悩む反面、一緒にいれることを素直に喜び、それを伝えるとその日はぺろりと食べられた。





あいも変わらず私はヤマトの前でだけどうにも素直になれず、猿獣人の事情もあって私達はお付き合いをしていることは互いの友人に伝えてはいるものの端から見たら口喧嘩もよくするしドライな関係であった。

そんな様子を見た人たちからは、「ほんとにうまくいっているのか?」と割とよく聞かれる。

ほんとは家の中では昼間人前でまた悪態をついてしまった私が誤解を解くべく素直に好きと言おうと努力している姿をニヤニヤニマニマしながら見られ、そのまま甘い言葉を吐かれベッドへ連れてこまれている日々を送っているだなんて言えるわけがない。


その為私はこう言うことにしている。






「まあ…………犬猿の仲なもので」




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