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7 私なんかが
しおりを挟む一度昼食を挟み、午後からは兄のテオドア様との顔合わせとなる。
テオドア様の部屋は、全体を茶色で統一した模範のように一般的なインテリアになっている。先程の寒々しい印象の部屋と比べて、こちらは暖かみを感じられて好ましい。
だが当の部屋の主とは視線が合わない。
オドオドとした様子で、でもどうにか私の顔を見ようと顔を上げているが、恐らく首元辺りが限界なのだろう。すぐに俯いてしまう。
「ユリアーネ殿下、お、お久しぶりにございます。ユタバイト家長男のテオドアにございます」
ドミニク様とテオドア様は顔つきはそっくりだが見分けがつきやすい。
先に見合いをした弟のドミニク様は、その色合いから冬を思わせるが、テオドア様はレンガのような赤茶の髪とくすんだオレンジ色の瞳を持っていることから秋を思わせる。
性格もドミニク様は社交的だが、テオドア様は気が弱く内向的と、正反対な双子だ。
「お久しぶりね。テオドア様。先程ドミニク様ともお会いしたけれどお二人ともお元気そうで私も嬉しいわ」
「ありがとうございます。で、殿下は益々お美しくなられました」
「どうもありがとう」
少しつっかえたが、今の言葉を言うと決めていたのか、テオドア様にしては淀みなく言えている。
ユタバイト家に苦手意識はあるが、テオドア様に対してはそういったものは薄い。
彼はユタバイト家の誰かがいる場では他と同じく「青の血」を褒める言葉を言うが、そうでない際は口にしない。私がそれを厭っているのを早々に気付いているからだ。
気が弱いからこそ人を見ていて気付ける力がある。
ぜひともその気付いたことをユタバイトの人たちに伝えてほしいのだが、彼はあの家で肩身が狭い生活を強いられていることを察している。
理由は簡単。彼が持つ色が青ではないからだ。
青を重んじるユタバイト家にとって、彼が持つレンガ色の髪とくすんだオレンジ色の瞳は忌避されるものだろう。内向的な性格も、幼い頃よりその容姿を疎まれ続ければ納得する。
なんとも馬鹿馬鹿しい話だ。
髪も瞳もどんな色だろうと皆等しく血は赤いなんてこと、幼子ですら知っている。
そもそも青い色彩を持っているから「青い血が濃い」などと言っているのすら馬鹿らしい。私も母も、そしてもちろん過去の王族たちも皆等しく血は赤いのだ。
王族は神ではなく人だ。
だからこそより良い治世のために案を講じるのだ。
そんなに神に祈りたいのなら、教会にでも行ってほしい。
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