逆ハーレムを作ったけど、護衛騎士が婿候補をことごとく蹴散らしていく件【R18】

冬見 六花

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  及第点

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 王配殿下専属である二人の騎士によって案内されたのは、後宮内でも滅多に人のこない区画にある使われなくなった北側の宮にある小屋だった。
 昔俺が物心ついた頃から閉じ込められていたあの離れと雰囲気が似ていて、全身の産毛が逆立つような不快感を覚えた。

 小屋の扉を開けると、もう陽が明るいというのに中に光が行き届いておらず薄暗い。長く使われた形跡がないらしく至るところに埃が積もっているし、目を眇めるほど舞っている。王宮内は広大で用途不明だったりすでに使われていない建物もかなり多い。この小屋はその一つだろう。

 もしこのような汚い場所に姫様がおられると考えるだけで怖気だつ。
 一刻も早く助けなければ。

「こちらです」

 古びた絨毯が隅のほうに捨て置かれるようにあり、一人の騎士がそれを捲ると床と同色でわかりづらいが辛うじて扉があることが窺えた。
 それを開けるとブワッと埃が舞い、奥から湿った黴臭い空気が舞い上がった。

「地下室か……」
「数代前の乱世で使われていた王族用の避難室です」

 王族用とはいえ、かなり昔の、しかも避難室となると今見れば粗末なものに見えてしまう。
 
「ここの他に入口は?」
「通気口と、緊急時の脱出用の穴はありますが、入口らしいものはここだけです」

 一人には物置の中で待機してもらい、もう一人の騎士と俺の二人で階段を下りていく。階段は足元がおぼつかなくなるほど真っ暗だったため、王配殿下の騎士が持ってきたライトを使って照らしていく。

 最下層にある扉を開けると床も壁も天井も真っ白な廊下が現れ、いくつか扉がついていた。地下にしてはかなり広い。確かに王族用の避難室と言っても過言ではない内装だ。
 逸る気持ちで手近な扉を開けていくが、使われなくなった簡易な水回りだったり無人の空室があるだけで、誰もいない。

 勢いよく扉を開けては無人の部屋を見てチッと舌打ちをしていく。そして一番奥の部屋へとたどり着き扉を開けようとすると、鍵がかかっているのか開かなかった。
 ここか、そう思うと体に力が入った。

「姫様っ! ここにおられますか!?」

 強く扉を叩いて叫んだが返事はない。扉に耳をつけ中を窺うが、何の音も聞こえない。
 一緒にいなくなっているテオドア卿も一緒なのだろうか。
 あの男、もし姫様に何かしようものなら細切れにしてやる。

「ここの鍵は?」
「存じません。探しましょうか?」
「いい。扉を壊す」

 派手に蹴破って破片が中にいる姫様に当たらないよう、糸を使って扉を崩して中へと入った。


 中には、誰もいなかった。




 
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