50 / 54
幸せ
しおりを挟むヴォルフの愛撫は秘部だけでおさまることはなく、指は挿入したままゆっくりと前後に動かしながら秘芽を舐めるし、キスや胸への愛撫もとことん行う。
指という異物が入っていることの違和感はとっくに快感へと昇華されていて、ヴォルフは挿入する指を増やし、蜜壺をさらに広げながら私が感じる部分を的確に探りあててくる。
その度に大きく声を上げてしまう私を、額に汗をにじませたヴォルフが嬉しそうに見つめてくる。
それが恥ずかしくて、愛おしいとも思った。
絶え間なく快感が来ているというのに、疼きは収まるどころか昂っていく。
それはヴォルフも同じらしい。
ずっと苦し気に息を荒らげ、視界の隅に見える下穿きからは先程から隆起し続けていた。ずっと私ばかり気持ちよくしてもらっているせいで余計につらいだろうと思い、おもむろに手を伸ばしたがすぐさまその手を掴まれた。
「ユリアーネ様、なにを……?」
「だって、ずっと私ばっかりだから……ヴォルフもつらいんじゃないかなって思って……。嫌だった?」
「そんなはずがありません。ですが今触れられたら俺は情けない姿をお見せしてしまうことになるので……、どうかご容赦を」
「でもあなたにも気持ちよくなってほしいの」
その言葉に面食らったような顔をした後、何故か耳を赤らめて顔を背けられた。
「どうしたの?」
「いえ、そのなんと言いましょうか……。ユリアーネ様への想いが暴れてしまいそうで、どうにか抑えようと……」
「私達は愛し合っているのだから抑えなくてもいいと思うのだけど……アァッ!」
ナカに入ったままだった指をスルリと抜かれ、思わず声が漏れた。すでに十二分な愛撫によってヴォルフの指を容易く受け入れていた蜜壺は、空になったことを嘆いている。
ヴォルフが再び正面から覆いかぶさると、いつの間にか脱ぎ去って一糸まとわぬ姿となっていて秘裂に熱い熱杭を押し当てた。
「あっ……」
「痛い思いをさせてしまうから、その前に存分に気持ち良くなってほしいと思っていたのに……っ」
ヴォルフが悔しそうに歯噛みしたと同時に、熱杭が蜜壺を押し開いていく。
体重を乗せられ動けないのに、奥を征服されていく感覚に腰を引いてしまう。疼痛が下腹部に走り、眉根を寄せながらシーツを掴んで顔を背けながら、覆いかぶさるヴォルフの首にしがみついた。
「あっ……く、ぅ……」
「はあぁ……、ユリアーネ、さま……」
熱く長い吐息が耳元で聞こえた。おそらく熱杭が全て埋まったのだろう。
自分の中に、自分じゃないものが隙間なくビッチリと埋められているのがありありとわかる。そしてそれがヴォルフのものであることに、思わず感涙がこぼれ、眦から流れていった。
それに気づいたヴォルフが慌てた表情で顔を上げた。どうやら私が痛みによるつらさで泣いていると勘違いしているのがすぐにわかった。
「い、痛みがおつらいのでしたら、もう今日は……」
「絶対嫌よ。こんなに幸せなのに、もう終わりだなんてひどいこと言わないで?」
「幸せ……」
ヴォルフの頬に手を添え、そっと引き寄せてキスをした。
「やっぱり、ヴォルフは私を幸せにしてくれるのね」
黒い瞳が瞬いたかと思うとかぶりつくようなキスが下りてきて、ヴォルフの腰が緩やかに揺れ始めた。
猛々しく硬くなった肉棒が緩慢だが的確に奥を突いていき、嬌声が漏れ出ていく。そのうち律動は大きくなっていき、ベッドが軋む音が響いてきた。
「あっ……んぁ……っ、ヴォルフっ……」
律動と共に縺れるように舌を絡み合わせていると、二人の間の境界線が曖昧となっていくような心地になっていく。
ヴォルフの体は一見細身だというのに、凝縮された筋肉に覆われているように硬く、無意識に背中を撫でてはその逞しさを堪能してしまう。
動きはどんどん激しいものへと変わり、身体が上下に揺さぶられると同時に少し湿った打擲音が響いた。
ヴォルフの汗ばんだ喉元から苦し気な音と共に熱いため息が漏れでている。それが眩暈がするほど凄艶で、自身を穿つ熱杭を締めつけてしまう。
「ヴォ、ルフっ……もっ、……っんぁ……!」
蕩揺され昂られ続けて気を遣りそうになり、媚びるような声でヴォルフを呼ぶと、一層苦し気に眉根に皺が寄ったのが見えた。その途端、身体が折りたたむようにヴォルフが覆いかぶさり、上から振り下ろすように熱杭が奥を穿ってきた。
「アッ! ……あぁ、っ……んんぅっ!」
二人共互いを強く抱きしめながら情欲を享受し合ったまま強い律動をした後、ヴォルフがグッと体を硬くし、その直後最奥に熱いものが注がれた感覚がした。
「んっ……はぁ……っは……」
「っ、まだ、出るっ……」
耳元で聞こえる熱く雄々しい声を聞いて、蜜壺がキュウと締まって吐精の手伝いを無意識にしてしまった。
そしてずべてを出し切った様子のヴォルフは、熱杭を抜くことはせず、私を抱きしめ続けていた。
とても重く感じるが、それでも完全な脱力ではないようで重さが心地よく感じる。二人共無言のまま息を整え余韻に浸りながら、私はヴォルフの頭を撫でていた。
ようやく荒い呼吸が小さくなり、ヴォルフが顔をあげた。至近距離で見つめ合いながら汗で湿った頬に手を添えると、嬉しそうに私の手に頬擦りをしてきた。
「本当に、幸せだわ」
「はい。俺も、至福の心地です」
「ヴォルフ、キスしたい」
「俺も同じことを思っていました」
額を合わせて二人で笑い合いながら、先程のような情欲的なものではない、唇を食み合うようなキスをした。
まさか自分が、こんなに多幸感にあふれた情交をするとは夢にも思わなかった。
国のために生きる者の定めとして子を儲ける。そのために夜の営みをする。だから私にとってはいずれするべき作業のようなものだった。
でも今、ヴォルフと繋がって如実に感じる。
私はヴォルフを愛したい。そしてヴォルフとの子を産みたい。
国のためでもなんでもなく、私がそうしたいと願っている。
そう思えることが、そう思える人がいることが、そう思える人に愛されることが、ただひたすらに嬉しくて、幸福だと思えた。
すると自分のナカに入ったままの熱杭が、また先程のような太さと硬さを帯び始めているのを感じた。
それを私に悟られたのがヴォルフもわかったらしく、少々気恥ずかしそうにしている。
「また、したいの……?」
「あ、や、その……ですがユリアーネ様に無理をさせるわけにはいかないので……」
「実はね、私ももう一度したいって思っていたの」
「っ!」
気遣いでも優しい嘘でもなく、本心を伝えるとヴォルフの瞳に喜色が灯った。そして熱杭がどんどん芯を持ち始め、また蜜壺をみっちりと押し広げてきた。
一度受け入れたからなのか、まだ動いていないというのにもう体が快感を拾い始めている。
「んっ……」
「少し、体勢を変えますね」
軽々と私の脚を持ち上げたかと思うと、身体がくるりとひっくり返り繋がったままうつ伏せにさせられた。先程とはまた違う密着感が心地よく、そして刺激される箇所が違うことが気持ちよく、まだ動いていないのに腰が震えた。
その刺激に興奮したようにヴォルフが腰を持ち上げ、そのせいでお尻を突き出すような体勢となってしまった。
「あっ、やぁ……これ、恥ずかしいわ……ひゃん!」
強く最奥を突かれたと同時にヴォルフが覆いかぶさってきて、胸を包むように揉んできた。一気に襲い掛かった刺激にグシャグシャになっているシーツを握りしめた。
自分のローズピンクの長い髪がシーツに落ちている。それを視界に捉えながら、後ろから奥を突かれる快感に翻弄されていく。
「だめっ……アッ、んっ……!」
先程放った白濁がまだナカにいるせいで、律動するたびに水音が大きく響いていく。だがヴォルフはお構いなしに、というよりその音を楽しむかのように私の腰を掴んで最奥を突いてくる。
矯激な動きによって齎される快感のせいで、四つん這いにになることさえ難しくなっていきずるずるとベッドに完全にうつ伏せになってしまう。だがそんな私を愛おしいと言うようにヴォルフが背筋をねっとりを舐めあげた。
「ひあぁっ……あっ、あぁ……」
先程とは違い打擲音が響き、一瞬の休憩もなく最奥を突かれ続けるこの体勢と動きは快楽の猛打のようで、忽ち気を遣ってしまった。
「はあ……はあ……はっ……ヴォル、フ……」
「乱れる後ろ姿も、至高のお美しさです。ユリアーネ様」
「もう、ばかぁ……私一人で達するのは、嫌よ……」
振り向きながら涙目で訴えると、ヴォルフの黒い瞳に更なる情炎が灯った。
「ならもう一度、よろしいでしょうか?」
「うん。次はヴォルフを気持ちよくさせてみせるから。……ごめんね? 先に達してしまって」
「謝らないでください。俺はユリアーネ様が、俺で気持ちよくなって達されることが嬉しいのです」
体勢を変えず、後ろから胸を揉まれながらまた奥を突かれ続け、直前に高みへと上ったせいですぐに気を遣りそうになる。だがヴォルフもあまり余裕はなかったようで、ほどなくしてお腹に二度目の熱が放たれた。
32
あなたにおすすめの小説
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
【短編完結】元聖女は聖騎士の執着から逃げられない 聖女を辞めた夜、幼馴染の聖騎士に初めてを奪われました
えびのおすし
恋愛
瘴気を祓う任務を終え、聖女の務めから解放されたミヤ。
同じく役目を終えた聖女たちと最後の女子会を開くことに。
聖女セレフィーナが王子との婚約を決めたと知り、彼女たちはお互いの新たな門出を祝い合う。
ミヤには、ずっと心に秘めていた想いがあった。
相手は、幼馴染であり専属聖騎士だったカイル。
けれど、その気持ちを告げるつもりはなかった。
女子会を終え、自室へ戻ったミヤを待っていたのはカイルだった。
いつも通り無邪気に振る舞うミヤに、彼は思いがけない熱を向けてくる。
――きっとこれが、カイルと過ごす最後の夜になる。
彼の真意が分からないまま、ミヤはカイルを受け入れた。
元聖女と幼馴染聖騎士の、鈍感すれ違いラブ。
ハードモードな異世界で生き抜いてたら敵国の将軍に捕まったのですが
影原
恋愛
異世界転移しても誰にも助けられることなく、厳しい生活を送っていたルリ。ある日、治癒師の力に目覚めたら、聖堂に連れていかれ、さらには金にがめつい師によって、戦場に派遣されてしまう。
ああ、神様、お助けください! なんて信じていない神様に祈りを捧げながら兵士を治療していたら、あれこれあって敵国の将軍に捕まっちゃった話。
敵国の将軍×異世界転移してハードモードな日々を送る女
-------------------
続以降のあらすじ。
同じ日本から来たらしい聖女。そんな聖女と一緒に帰れるかもしれない、そんな希望を抱いたら、木っ端みじんに希望が砕け散り、予定調和的に囲い込まれるハードモード異世界話です。
前半は主人公視点、後半はダーリオ視点。
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる