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第99異界③
しおりを挟む「以上デスキルノ照会ハ終了トナリマス。」
「ふむ、わかったよ。 ありがとう。 ちなみに聞いてもいい?」
「ドウゾ」
短く肯定されたので、質問を続ける。
「スキルってどうやって使うのかな?」
「………」
………しばし沈黙………。
小首を傾げられてしまった。 カワイイぞ、オイ。
「…サァ」
「さぁ…っ!!?」
「私ハ、神デハアリマセンノデ、ワカリカネマス」
「ぅえーー……」
自分の中に急に芽生えたスキル。 さて、どうしたものか……。
「……うーん、とりま色々と試してみるしかないかな」
「ソレガ宜シイカト愚考イタシマス」
まずはそこいらの土を掘り返してみる。 それから現世でよく食べていた、握り拳大ぐらいのロールパンを創造しながら握ってみる。 4,5回ほど握ると常温の菓子パンコーナーに5個入り135円ぐらいで販売してそうなロールパンが1個完成する。
「お、おおお」
自分の発動させた奇跡に静かな感動を覚える。
早速、食してみる。 うむ!旨くも不味くもない! しいて感想を述べるなら「虚しい味」だ! しかし、今のでコツみたいなものは掴めた気がする。 様はイメージなのだ今回はパンを思い浮かべたら、土がパンになる。 ならばぶどう酒は?
池溜りの水(濁っている、とても飲み水に適しているとは思えない)を手で掬う、掬った水は指の隙間から流れ落ちてしまう。
「こ、これは、ム、ムズイっ!?」
完全に予定外だ。 パンが存外簡単に上手くいったから舐めて掛かっていたが、今回はかなり難易度高めだ。 何らかの方法で水を保持しないと…。 うーん、どうしたものか?
「…池ノ水ヲ全テブドウ酒二変エテミテハ?」
「!?」
目から鱗! 天才か? 早速、試してみる。
池溜りに両手を突っ込んで、去年の忘年会で飲まされた赤ワインを必死で記憶の奥底から呼び起こす、ワインを美味しいと思ったことは無い。 できればコーラとかサイダーになって欲しい。 ビールも可。 おっと雑念は捨てろ! 捨てるんだ! 集中! 集中! とか何とかしてる間に、掌の周りの水が赤っぽく変色していく。
「おおお」
池の水が見る見る変色していく。 10分もすると池の水が全て赤に染まる。 どれどれ味見してみるか…「うん! 渋っぶーーーー!!! マズっ!!」 まぁ、泥水啜るよりかマシか?
「こりゃインフラ早いとこ何とかしないとなー…不老不死のスキルが有るから、すぐ死ぬ事は無いはずだが…こんな食事じゃ、体の前に精神が逝っちまう。 なんかいい方法ない?」
現代日本に生きる俺にこの生活水準は耐え難い。 縋る様な目に耐えかねてか、少女が重い口を開く。
「アルニハ、アリマス……」
「……ん? 妙に煮え切らないな? どうした?」
………。
若干、間を空け。
「準備ガ必要デスネ」
「準備…ですか?」
「準備デス」
「へぇ?何の?」
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