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第99異界④
しおりを挟む「何ッテ、戦闘準備デス」
戦闘………かぁ。
「やっぱ戦闘あるんだね。 アクションスキルとかある段階で何となく想像ついたけど、しかし何で戦闘とインフラの充実が関係してくるんだ?」
「他ノ98異界二存在スル、他ノ98ノ神ヲ下スコトデ、他ノ神カラスキルヲ取得スルコトガ可能トナリマス。 獲得スルスキル二ヨッテハ、神様ノ世界ニオケルインフラ施工二有用ナモノモ有ル。 …カモシレマセンヨ?」
俺の他にも神がいる。 そして倒せばスキルが奪えると、そういうルールの世界なのか。
「しかし、戦闘ってどうやるんだ? そもそも相手はどうやって探す? 少なくともこの場には居ない様に見えるが?」
「ソレハ時ガ来レバワカリマス。 ソウ鐘ハ既二鳴ッテイルノダカラ。」
…鐘? …時? …要領を得ないな、しかし彼女はそれ以上語るつもりはないらしく、口を噤み、押し黙る。
しかし、戦闘準備って言われても…。 って、そうか!
「泥人形!」
コクリ、頷く。 笑顔ではないがカワイイ。
どーせ作り方は知らないだろうから、その辺は試行錯誤するしかない。 しかしコツはわかってる、「イメージ」だ。 俺はRPGでよく見る泥の塊のモンスターを思い浮かべる。 ドロドロの体に、辛うじて頭と手があって、目らしき穴が2つ、口らしき穴が1つ、しょーもない雑魚モンスターの一種。 それを想像する。
まずは泥作りからか、手で穴を掘る、その中に先程のぶどう酒を手汲みで穴の中に流し込み混ぜる。 人によってはぶどう酒勿体無いと思う方もおられるでしょうが、俺はとても旨いとは思えないし、何より死活問題だ、水が無いならワインを使うしかないじゃない。
数分混ぜ込むと、よく水を吸った泥が完成する。 何だか童心に返った気分だが、ジャージ姿のオッサンがいい歳こいて泥遊びとか中々のヤヴァさだと思うが、今は気にしてはいられない。
泥の具合は造型するには少し緩い気もするが先ずはプロトタイプだし、適当で良いだろう。
「あ、手が作れない。 ま、いいか」
何気にヒドイ気もしたが泥ではそこまでの造型は不可能だ。 諦めよう。 せめて骨組みでも作れればなぁ。
それから、数十秒で出来損ないのハニワ(手は無い)のような物が完成した。 さて、ちゃんと動いてくれよ。 そう思った瞬間だった。
泥で出来たハニワの体が小刻みに揺れ始める。 これは成功でいいのかな?
「進め」
とりま簡単な命令を出してみる。 泥の塊はズブズブと地面を侵食しながら進み始める。 一発成功とか、俺って天才過ぎ? そんな俺の思考がわかるのか、ジト目を向けられてしまう。 カワイイ。
「しかし……おっせーな」
亀の方がまだ早い。 まだまだ試行錯誤が必要ってことだ。
「初回トシテハ及第点ナノデハ?」
「そーでーすねー」
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