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第99異界⑤
しおりを挟むとにかく、泥人形に他の指示も出して見る。
「右旋回」
移動時に比べると早い。 人間がとまではいかないが、扇風機の首振り機能程度の早さでは顔?のつもりで作った3つの穴が右回りを続けている。
「左旋回」
同様に左回り。 移動は遅いが旋回は最低限の動きだ。 移動に関しては、やはり足の問題だろう。 腕が無理なのに足を付けるなんて不可能だ。 まして歩行など夢のまた夢。
「後退」
3つの穴の向いている方向、の反対方向に進む。 回れ右とかして進行方向に方向転換した後、改めて進む訳ではないらしい。 当然遅い。 車…というよりは戦車の移動方法に近い。
正直、コレが一番気になっていた。 「攻撃」についてだ、これに関しては不安しかない。 なにせ殴る、蹴るに関しては絶望的だ。 手足が無いので当たり前だが、そもそも機動性が死んでるので接近戦は絶望的。 かといって遠距離攻撃は想像出来ない。 考えても仕方ないので指示を出して見る。
「攻撃」
と言って、何も無い方向を指差す。 泥人形は指示された方向に方向転換した後、口?のような部分から泥を吐いた。 距離としては大体3m程度といったところ。 攻撃力が有るようには見えない。 精々、嫌がらせ、良くて目潰しといったところだ。
「なるほど、そうきたかー」
頭を抱えて、その場に座り込む。 やはり手足を作れないのは致命的かも知れない。 機動力に加えて攻撃力も無いとは…。 ひょっとして俺詰んでる?
イヤ、これを成功させなきゃ俺に未来はない。 さっきの話のニュアンスから察するに、戦闘は俺の意思とは関係ないタイミングでやってくる。 そんな予感がする。 だからこそ、一刻も早く攻撃手段を確立する必要性があった。
いずれにせよ、無駄な時間は無いと闘志に鞭打ち。 志向を回転させる。
仮にコレをゲームだと仮定しよう。 ステ振りはどうする? 機動性の向上は不可能だ、防御性能に関しても、勝利条件が不明な以上は切り捨てるべきだと判断する。 頑張ってもたかが知れてるだろうしな… となれば残された選択肢は、ただ1つだ。
攻撃全振り。
ひとまず、プロトタイプの口?を大きくしてみる。 「攻撃」指示を出す。 先程よりも多量の泥を吐き出す。 ふむ、予想どおり。
次に目?を塞いで、先程とは別の方向を指差し、「攻撃」の指示をだす。 何の反応もない。 なるほど、なるほど、目のような部分だと思っていたが、どうやら耳の機能も兼ねているらしい。
耳を設定してないから、目と耳と混ざってしまったのかな? しかしこんな穴で目の機能が補える訳はないので、この場合は何らかを感知するレーダーの様な物と捉えるのが正解ポイな。
ここまで実験してみて、俺の中には既に2種類の泥人形強化案が出来上がっていた。
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