6 / 12
第99異界⑤
しおりを挟むとにかく、泥人形に他の指示も出して見る。
「右旋回」
移動時に比べると早い。 人間がとまではいかないが、扇風機の首振り機能程度の早さでは顔?のつもりで作った3つの穴が右回りを続けている。
「左旋回」
同様に左回り。 移動は遅いが旋回は最低限の動きだ。 移動に関しては、やはり足の問題だろう。 腕が無理なのに足を付けるなんて不可能だ。 まして歩行など夢のまた夢。
「後退」
3つの穴の向いている方向、の反対方向に進む。 回れ右とかして進行方向に方向転換した後、改めて進む訳ではないらしい。 当然遅い。 車…というよりは戦車の移動方法に近い。
正直、コレが一番気になっていた。 「攻撃」についてだ、これに関しては不安しかない。 なにせ殴る、蹴るに関しては絶望的だ。 手足が無いので当たり前だが、そもそも機動性が死んでるので接近戦は絶望的。 かといって遠距離攻撃は想像出来ない。 考えても仕方ないので指示を出して見る。
「攻撃」
と言って、何も無い方向を指差す。 泥人形は指示された方向に方向転換した後、口?のような部分から泥を吐いた。 距離としては大体3m程度といったところ。 攻撃力が有るようには見えない。 精々、嫌がらせ、良くて目潰しといったところだ。
「なるほど、そうきたかー」
頭を抱えて、その場に座り込む。 やはり手足を作れないのは致命的かも知れない。 機動力に加えて攻撃力も無いとは…。 ひょっとして俺詰んでる?
イヤ、これを成功させなきゃ俺に未来はない。 さっきの話のニュアンスから察するに、戦闘は俺の意思とは関係ないタイミングでやってくる。 そんな予感がする。 だからこそ、一刻も早く攻撃手段を確立する必要性があった。
いずれにせよ、無駄な時間は無いと闘志に鞭打ち。 志向を回転させる。
仮にコレをゲームだと仮定しよう。 ステ振りはどうする? 機動性の向上は不可能だ、防御性能に関しても、勝利条件が不明な以上は切り捨てるべきだと判断する。 頑張ってもたかが知れてるだろうしな… となれば残された選択肢は、ただ1つだ。
攻撃全振り。
ひとまず、プロトタイプの口?を大きくしてみる。 「攻撃」指示を出す。 先程よりも多量の泥を吐き出す。 ふむ、予想どおり。
次に目?を塞いで、先程とは別の方向を指差し、「攻撃」の指示をだす。 何の反応もない。 なるほど、なるほど、目のような部分だと思っていたが、どうやら耳の機能も兼ねているらしい。
耳を設定してないから、目と耳と混ざってしまったのかな? しかしこんな穴で目の機能が補える訳はないので、この場合は何らかを感知するレーダーの様な物と捉えるのが正解ポイな。
ここまで実験してみて、俺の中には既に2種類の泥人形強化案が出来上がっていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる